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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

ゴルフGT TSIはスーパーチャージャー+ターボ 1.4L、170psで日本に登場!! マーチスーパーターボ以来 18年振りに復活したメカを試す

大いに注目に値するメカニズム

エクステリアデザインは、これまでの“GT”とそれほど変わらないが、ホイールが17インチとなりひと回り大きくなった

エクステリアデザインは、これまでの“GT”とそれほど変わらないが、ホイールが17インチとなりひと回り大きくなった

【本記事は2007年3月にベストカーに掲載された記事となります。】スーパーチャージャーターボ。2段過給ともツインチャージャーともいわれたシステムだが、これを量産車であるゴルフに採用されると聞いた時、ついにVWもWRCに本格的に復帰するのかと思ったものだった。しかし、組み合わされるエンジンは1.4L、170ps。WRCベース車のライバルはいわずと知れたランエボ/インプレッサで280ps。次期モデルでは300psを競うのだから、これは少し様子が違う。それなのに今さらながら、この“過激”な過給システムを復活させるVWの真意がわからなかったのだ。なにしろ、スーパーチャージャー+ターボは量産車では18年前にマーチが1.6Lまでのホモロゲを得るのに市販したマーチスーパーターボ以来のメカニズム。その3年前の’85年にはランチアデルタS4で、やはりグループBのホモロゲのために200台が生産され、その心臓部が233ATR18Sと呼ばれる1.8LDOHCにスーパーチャージャーとターボを装着した456psのモンスターユニットだった。マーチの930cc、MA09ERTエンジンは110psだから、リッター当たり出力118psで、このゴルフのスーパーチャージャーが121ps/Lだから、ほぼ同じパフォーマンスアップだ。ということで、いずれにしても、ゴルフのこのシステムもやはり、スポーツを意識しているのは間違いないのだが、燃費による環境負荷が問われている今、なぜ燃費に背反しそうなこのメカニズムを選んだのかは、大いに注目に値する。

VWの将来を懸けた(新)メカ

そして18年前 マーチスーパーターボ マーチをベースにスーパーチャージャー+ターボを装着。最高出力は930ccで110psを発生!

そして18年前 マーチスーパーターボ マーチをベースにスーパーチャージャー+ターボを装着。最高出力は930ccで110psを発生!

このシステムが投入されたのはゴルフシリーズのなかでもスポーティなGT。これからもスポーティなエンジンであることはわかる。VWは従来のGTに積まれていた2Lの直噴ガソリンエンジンに代えて、TSIと呼ばれるこの1.4Lスーパーチャージャー+ターボを与えたわけだ。しかも、今後、他車種も同じように、このTSIを積んだモデルに変更されていく。つまり、未来を担うメインエンジンとして開発されたメカニズム。理由は、従来の2Lよりも燃費が優れ、それでいてパフォーマンスも高いということだ。これこそ、18年前のマーチスーパーチャージャー+ターボと大きく異なる点で、過給といっても心配される燃費の悪化はない。それどころか、10・15モードで14.0km/Lと、1.6Lクラス並みの燃費なのだから驚く。過去のメカニズムと異なるのは、直噴ガソリンエンジンをベースにしているため、空気だけを圧縮し、燃料を必要なだけシリンダー内に直接噴射できることにある。昔のシステムでは混合気を圧縮するため、ノッキング対策や充填効率の問題で、エンジン本体の圧縮比を下げたり、混合気のガソリン比率を高める必要があった。そのため、パワーが上がるものの、燃費の悪化を招いた。ところが、今回のゴルフのTSIはそれが両立できるから、次世代のパワーユニットとして期待されるわけだ。このなかでもスポーツグレード、GTに積まれたのには理由があって、このメカニズムゆえにスポーティで運転する楽しさも実現できるという点にある。最大トルクは24.5kgmと2LのNAエンジンよりも太い。従来のGTに比べても約4kgm太い。心配なのは、小さい排気量で過給した場合のドライバビリティの低下。単純にターボだけならそれもあるが、下のトルクの細さをスーパーチャージャーでカバーし、それを防ごうというわけだ。

1.4Lとはとても思えないほど、パワフルな走りを楽しめるゴルフ

王者のメカ

王者のメカ

実際に試乗する際、それが最も知りたいポイントだった。シートに座り、目に入るインテリアを見わたしても、これまでのゴルフと大きく変わるところはない。スピードとタコメーターの間にある2つの小さなメーターの左側がブーストメーターとなり、そこが変わっている点。そのメーターが過給モデルを主張しているように見える。このGTにはGTIに組み合わされるセミATのDSGが標準装備となる。このDSGとの組み合わせが、実はこのゴルフGTの魅力を高めるのにひと役買っているのだが、このダイレクトなシフトアップ/ダウンのフィーリングがスポーツ走行にきわめてマッチするのだ。今や全ゴルフの3分の1をGTIが占めるが、そこまでGTI人気が得られたのはこのミッションのフィールによるところが大きい、と思うのが個人的な印象だ。それをこのGTで、スーパーチャージャー+ターボと結びつけることで、燃費をかせぎながらも、ドライビングプレジャーを与えようとする、VWのクルマに対する奥深さが感じられる。シフトを1速にいれてアクセルを強く踏み込む。小排気量の過給エンジンにありがちな一瞬ためらうようなもどかしさを感じることなく一気に加速に入る。ほんの少し、グッともたつくような印象はあったが、それは本当に瞬間的なことで、2LのNAのAT車よりもはるかに短い一瞬だ。それ以降の加速は2L車以上、スポーツグレードとして恥ずかしくないような加速だ。ランエボやインプレッサのようなスポーツターボと同じではないが、充分速いし、ワインディングロードの上り下りでDSGを使いながら走ると、このゴルフが1.4Lとはとても思えないほど、パワフルな走りを楽しめる。

主要諸元

主要諸元

もっとスポーティな2L、200psのゴルフGTIと比べると、速さも低速トルクもひとクラス下といわざるを得ないが、GTIのDSGに比べると40万ほど安い。いい方を変えると約40万円しか変わらない、ともいえるが、スーパーチャージャーはイートン製、ターボはボルグワーナー製とパーツ自体は昔からある量販品。それを直噴ガソリンエンジンと組み合わせて、うまく制御したことがこのゴルフGTの真髄だが、低コストで実現できたのなら、もう少し価格を抑え200万円台後半にすれば、GTIとの差別化も図れるし、日本での拡販も望めるのではないかと思う。いずれにしても、燃費最優先で多少のドライバビリティの悪化は“必要悪”として諦めるのではなく、燃費と性能の両立を考えた次世代のシステムとして、このスーパーチャージャー+ターボは予想以上に痛快で、VWが2LNAエンジンの代替エンジンにすえているのもよくわかった。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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