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更新日:2019.10.21 / 掲載日:2019.10.17
ポルシェが世界で初めて採用したカーボンホイールの特徴や効果などについて解説!

グーネット編集チーム
2017年8月、ドイツの高級スポーツカーブランドのポルシェが、自動車メーカーとして世界初のブレイデッドカーボンファイバー製のホイールを提供すると発表しました。
スポーツカーとしては特に重要な軽量化の実現とともに、剛性が高まるなどのメリットがあります。
ポルシェ911ターボSエクスクルーシブシリーズのオプションとして提供されます。
カーボンホイールの開発の背景
車の性能を上げるためには、車両重量の軽量化が不可欠です。
このため、スポーツタイプの車のほとんどが、鉄よりも軽いアルミホイールを利用しています。
さらにポルシェは、アルミニウムよりもさらに比重の軽いカーボンに着目しました。
車はバネ下重量を軽減することが、快適なスポーツ性能に欠かせません。
操舵性や路面の凹凸の追従性を向上させる以外にも、乗り心地や燃費性能のアップなどさまざまなメリットがあります。
もちろん、燃費性能の向上はスポーツカーにとっても命題とされ、各スポーツカーメーカーにとっても重要な課題とされています。
ポルシェのカーボンホイールは、まさにこれらの条件を全て満たす優れものになります。
カーボンホイールの特徴
ポルシェのカーボンホイールは、従来のアルミホイールよりも20%の軽量化に成功しました。
その一方で剛性が20%も高まるなど、まさに一石二鳥の車の足元を彩るカーボンホイールなのです。
軽量化だけを考慮すると、アルミニウム以外にもさらに比重の軽いマグネシウムがありますが、加工が難しくなおかつ腐食に弱いなどウィークポイントもあげられます。
ポルシェでは外部からの調達よりも、自社製造をする予定でいます。
このブレイデッドカーボンファイバー製のホイールは、大きく分けてホイールセンター部とリム部から構成され、センター部は200以上の素材を手作業で組み立てられます。
リム部は巨大なカーボン編み込み(ブレイディング)機械を使用して製造します。
製品化・商品化するには、高度な技術力と相応の設備投資が必要になります。
ポルシェでは既に製造するための機械を揃えるなど、カーボンホイールの自社製造体制に本格的に着手しています。
世界トップレベルのスポーツカーブランドとしてのクラフトマン・シップを発揮し、妥協のない一貫とした車作りを身上としているからです。
カーボンホイールの効果
カーボンホイールを使用するメリットは、前述に記載したハンドリング性能の向上や軽量化にともなう燃費性能の向上以外にも大きなメリットがあります。
バネ下重量を抑えることによって、タイヤのバタつきを抑制することができ、安定した走行性能が得られます。
また、タイヤが回るための回転質量も小さく、加速性能はもちろんのことブレーキ性能も向上します。
実は車を速く走らせるのは、エンジン性能のアップと同時にブレーキ性能の向上も必要となります。
カーボンホイールは、全ての面で高性能スポーツカーに求められる、理想的な素材と言えるかもしれません。
ブレイデッドカーボンファイバー製ホイールは、製造コストが高いのことが難点ですが、世界最高峰のスポーツカーであるポルシェユーザーにとっては、待ち遠しいアイテムではないでしょうか。
カーボンは、軽量化やボディ剛性を高めるため、車の主要部品でも使用されるケースが増えてきました。
ポルシェユーザー以外にも国内外の自動車業界が、ポルシェの自社によるカーボンホイールの製造に注目しています。
カーボンホイールの安全性

グーネット編集チーム
カーボンは、これまでホイール用に加工することが難しく、鉄やアルミと違って非金属素材であるため、数年前までは衝撃に対する割れや破損が懸念されていました。しかしながら、バイクの世界においても、元・軍用ヘリコプターの部品メーカーであるBlackStoneTek社がJWL認証基準をクリアし、ドイツのTUV規格をパスしたカーボンホイールの製造に成功しています。これには、カーボンホイールの製法が大きく進化したことも貢献しています。
カーボンコンポジットの製造技術は、軽量化だけを目指して限界まで削り落とした軽さではなく、十分な安全率を考慮した「余裕のある軽さ」を念頭に開発されています。カーボンはアルミやマグネシウムの2倍以上の比強度があるので、もっと削り落とせはさらに軽くすることは可能ですが、究極的な強度と重量バランスによって頑丈に作られているのです。
カーボンホイールのメリットデメリット
そんな究極の性能を追求したといえるカーボンホイールのメリットとデメリットをご説明していきます。
カーボンホイールのメリット
カーボンホイールの最大のメリットは、バネ下重量の軽量化にあります。これまで、自動車用のホイールは、鉄やアルミ、マグネシウムなどの材質が使用されており、その狙いは主にバネ下重量の軽量化にありました。ボディの軽量化をした時と比べ、バネ下重量はその何倍もの効果があるとされており、走行性能、燃費性能に大きな影響があるのです。しかも、カーボンは鉄やアルミのように錆びたり腐食したりしないのです。
2013年のジュネーブショーでケーニグセグが展示した「アゲーラS」では、カーボンホイールが採用されており、前19×9.5J、後20×12.5Jの大型大径ホイールにも関わらず、重量は6kg台に抑えられていました。強度が保証されていながらも、アルミホイールの約半分の重量にすることができるため、究極まで走行性能を高めたいスーパースポーツカーにとっては、非常に重要なポイントといえます。
カーボンホイールのデメリット
軽量化に大きなメリットがあるカーボンホイールですが、普及が進まないのにはいくつかの理由(デメリット)があるからです。まず、カーボンは加工するのが難しく、カーボンホイールの製造は非常に限られたメーカーしかできません。まだまだ新しい素材なので、長期間における紫外線の影響などをテストする必要などもあり、製造コストが大幅に高くなってしまうのです。
現状では、重量、強度、製造コストなどのバランスが取れているアルミホイールが最も普及していますが、鉄やアルミのように錆びたり腐食したりせず、軽量で高剛性が実現できるカーボンホイールは、今後需要が大きくなることも考えられます。カーボンホイールを取り扱うメーカーが増えていき、国内でも採用される車種が増え、カーボンホイール全体の裾野が広がっていくことに期待しましょう。
車以外で使用されているカーボンホイールについて
車以外でのカーボンホイールと言えば、バイク用のホイールがポピュラーです。4輪でもバネ下重量の軽減は大きな効果がありますが、車重が軽い2輪では、加速、減速、コーナーリングの全てに大きく影響します。
たとえば、全世界750台限定となるBMW製のスーパースポーツバイク「HP4 RACE」には、ドイツのカーボンホイールメーカーである「TKCC」製のブレイデッドカーボンホイールが採用されています。このHP4 RACEというバイクは、レーストラックの走行を前提としている車両であるため、メインフレームをはじめカーボン素材がふんだんに使われているマシンなのです。
まとめ
今回は、ポルシェが自動車メーカーとして世界で初めて採用したカーボンホイールについて、その開発の背景や特徴、効果、安全性、メリットとデメリットについて詳しく解説してきました。アルミニウムよりもさらに比重の軽いカーボンを利用することでホイールを大幅に軽量化することができ、車の運動性能を高められることが大きなメリットですが、製造の難しさやコスト面で課題が多いのも事実です。今後の技術開発によって、カーボンホイールが普及していくことにより、自動車全体の低燃費化や運動性能アップにつながることが期待されます。