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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2017.10.16
【ホンダ】軽量で静かなカーボンプロペラシャフト

goo-net編集チーム
ホンダのフラッグシップセダンであるレジェンドに搭載されるSH-AWD機構には、軽量で炭素繊維強化プラスチック製の「カーボンプロペラシャフト」が採用されています。
カーボン繊維(CFRP:炭素繊維強化プラスチック)を採用することで、制振性や静粛性の面からも非常に優れた素材であり、高度な素材加工技術により実現しました。
さらに、衝突時の衝撃吸収にも優れており、市販車に使用されるのはホンダの画期的な技術革新によるもので、発表と同時に関心の高さから大変話題となりました。
カーボンプロペラシャフトの特徴
カーボンプロペラシャフトは、後輪へ動力を伝えるプロペラシャフトであり、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)素材を使用しています。これにより、従来のスチール製のプロペラシャフトに比べて、30%にあたる約5.3kgの軽量化を可能にしました。
このほか、素材にCFRPを利用しているため、温度変化に強く剛性が高いため静粛性も向上しています。
ちなみに、スチール製のプロペラシャフトの場合、CFRPと比較するとコストも安価で加工しやすい反面、熱や振動の面で不利な面があります。
他社でカーボンプロペラシャフトを使っているのは、アルファロメオ・ジュリア(イタリア)、日産GT-R、マツダRX-8、三菱パジェロなど、ごく一部の高性能スポーツカーや本格的クロスカントリーモデルに採用され、耐久性の向上や軽量化を目的として使用されています。
フラッグシップモデルのレジェンドに採用することで、スポーティで静粛性の高い走りと優れた安全性能の両立を重視した、ホンダらしい他社とのコンセプトの差が明確に出ています。
カーボンプロペラシャフトの効果
車体下部に位置しているカーボンプロペラシャフトは、万が一の衝突時の衝撃を吸収する効果をもたらします。
その仕組みは、2段構造になっているスチール製シャフトと、CERPの特性をうまく組み合わせたことにより実現しています。
カーボンプロペラシャフトは、前側の「No.1 CFRPチューブ」と、後ろ側の「No.2CFRPチューブ」により構成され、衝突時には「No.1 CFRPチューブ」が後端で圧壊し、衝撃を吸収する構造になっています。
衝撃吸収性に優れる炭素繊維強化プラスチックの特徴を、最大限にいかしたテクノロジーと言えるでしょう。
カーボンプロペラシャフトの衝撃吸収効果は、複合的なメリットにひとつですが、世界最高峰のフォーミュラーレースF1などレースフィールドからのフィードバックをはじめ、カーボン素材の特性に精通した、ホンダならではの高い素材加工技術がいかされています。
カーボンプロペラシャフトの技術
カーボンプロペラシャフトは、5,000回転超の高回転で回転する部品であり、わずかな歪みやバランスの違いでも、大きな振動になって増幅するため、耐久性や走行性能の点からも高い精度が求められる重要な基幹パーツです。
開発にあたっては研究や実証実験の結果、CFRPチューブのねじり強度を確保するため、接合部も強度や耐久性を高める独自技術を施しています。
カーボンプロペラシャフトの実用化は、フラッグシップセダンに求められる、優れた静粛性や安全性、軽量化を実現した、ホンダならではの高い素材加工技術がいかされています。
軽量化に加え、万が一の衝突の際に衝撃吸収という重大な役割から、まさに「縁の下の力持ち」と称される先進のテクノロジーと言えるでしょう。