中古車購入
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2015.07.17
優良物件を探すために知っておきたい5つのこと。
中古車を買う際、事前にある程度の知識があると便利である。店員とのコミュニケーションの取り方に関しては、相手があるものなので準備が無駄になることも多いが、物件の履歴やコンディションに関することなら、知っておくだけで有力な対策となる場合がある。今回はユーザーアンケートで特に重視度の高かった5つの項目を取りあげ、それらの知識について掘り下げていく。
※表の色分け ●1~3点 ●4~7点 ●8~10点
1.走行距離
■本体価格にまつわる重視度
「本体価格」にまつわる項目で、重視度の平均が最も高かったのは走行距離。たしかに、同年式でも1万kmと5万kmでは、乗られ方もボディの劣化状況も大きく違ってくるだろう
2.エンジンの整備状況
■車両状態にまつわる重視度
「車両状態」、つまり車両コンディションの面で最も重視度が高かったのは、エンジンの整備状況、2番目は内装の清潔感という結果となった。リスクを減らす方法を模索してみたい
3.事故・修復歴の有無
■履歴にまつわる重視度
「履歴」関連で最もユーザーが重視するのは、事故・修復歴の有無である。整備履歴や運転者の情報は詳しくわからないことも多いが、修復歴は高い確率で調べられることだ
4.内装の清潔感
■車両状態にまつわる重視度
「車両状態」、つまり車両コンディションの面で最も重視度が高かったのは、エンジンの整備状況、2番目は内装の清潔感という結果となった。リスクを減らす方法を模索してみたい
5.車検の残り期間と保証の有無
■オプション&サービスにまつわる重視度
車両コンディションからは逸脱してしまうが、「オプション&サービス」も優良物件を探すために重要な項目。特に重視度が高かった、車検の残り期間と保証の有無について分析する
1.走行距離 ベストな走行距離とは何万kmか?
~価格と車両状態とのベスト・バランス~
走行距離が多いほど価格は安くなるのが基本だが、5万km、10万km、それぞれの車両状態はどうなのか?走行距離と車両コンディションとの関係について、ベテラン自動車評論家が考察する。
自動車評論家 清水草一
自動車評論家 清水草一
自動車専門誌から一般誌まで、さまざまな媒体で活躍中のベテラン自動車評論家。近年はずっと中古車ばかり買ってきたが、久々に新車(S660)を買うことに!
過去の経験から得られた狙い目となる走行距離
中古車にとってベストな走行距離はどれくらいか!?
実に難しい問題だ。
低走行がいいのは当たり前だが価格が高い。過走行は避けたいが価格は魅力的。本当に難しい。
私はかつて、過走行のラテン車を2台購入しているが(ともに11万km超)、状態はすばらしくよかった。趣味性の高い車種の場合、過走行するオーナーは大抵クルマを大切にしているので、かえって狙い目という面はあるだろう。
しかし、8万km走行の国産スポーティカーは、すぐにトラブルが頻発した。サーキット走行やドリフト練習用になるような車種の場合、走行距離以上に消耗が激しい場合が多いのだ。
ドイツ車も意外とリスクが高い。6万4000kmで買ったBMWは、なんと納車当日にATがトラブってオーバーホールになった。ドイツ車は7~8万kmで基幹部品が消耗するケースが少なくない。「ドイツ車は丈夫」と思っていると痛い目にあう。逆にラテン車のほうが、警告灯を誤作動させまくりつつも、長く持ってしまったりする。
6万km台で購入した初代プリウスは、10万kmでバッテリーが息絶えた。しかし2代目以降なら20万kmもいけそうだ。つまり走行距離は、車種によって狙い目が変わってくる。
が、いずれにせよ、一番値落ちが激しいのは、新車登録間もない時期。高年式低走行車は相場が高いが、新車同然、いや「これは新車なんだ」ぐらいに考えれば、最もお買い得だと言えるだろう。
実際に買った中古車は何万kmでどうだった?
清水草一が過去10年に買った中古車とその走行距離(フェラーリを除く)
| 2006年 | ランチア イプシロン | 6万km |
|---|---|---|
| 2007年 | ダイハツ エッセ ECO | 1000km |
| 2008年 | メルセデス・ベンツ 280E | 12万km |
| 2009年 | トヨタ プリウス(初代) | 6万km |
| 2009年 | サーブ 900S 2.3 | 4万5000km |
| 2009年 | アルファロメオ アルファ147 ツインスパーク | 6万km |
| 2010年 | ランボルギーニ カウンタック アニバーサリー | 3万km |
| 2011年 | シトロエン C5 セダクション | 1万km |
| 2013年 | フィアット クーボ 1.3ディーゼル | 4000km |
| 2014年 | BMW 330iカブリオレ | 6万4000km |
新車同然の低走行物件から10万kmオーバーの過走行物件まで、さまざまな走行距離のクルマを中古で購入。コンディションに関しては、年式や車種ごとの弱点も大きく影響するということがわかった
ダイハツ エッセ ECO【1000km】
ほぼ新車だった超低走行車。走行距離とは無関係ながら、集中ドアロックが付いてないのが不便だった
フィアット クーボ 1.3ディーゼル【4000km】
新車同然。まったく問題なし。しかしフィアット製1.3Lディーゼルターボがあまりにも遅くてビックリ
シトロエン C5 セダクション【1万km】
新車同然だったのでまったく問題なし。最後のハイドロシトロエンの癒しの乗り心地にウットリ
ランボルギーニ カウンタック アニバーサリー【3万km】
距離よりも20年落ちの影響で、サスペンションブッシュのヘタリ(推定)がかなりきていた・・・
サーブ 900S 2.3【4万5000km】
まったくトラブルなし。北欧車は丈夫なのか?現在も友人のもとで元気に走っているとのこと
トヨタ プリウス(初代)【6万km】
8万kmくらいを越えてからたまにバッテリートラブルが起きるようになっていたが、10万kmで息絶えた
ランチア イプシロン【6万km】
走行距離については特に問題はなかったが、スバル製のCVTがいずれ必ず故障するはずと聞いていた
アルファロメオ アルファ147 ツインスパーク【6万km】
ウォッシャー液ホースの断裂くらい。友人に譲ってから10万km前後でトラブルが。ダンパーは抜け切った
BMW 330iカブリオレ【6万4000km】
納車当日にATのトラブルで突然2速固定に。ロックアップクラッチの消耗(?)でATをオーバーホール修理した
メルセデス・ベンツ 280E【12万km】
走行距離というより79年式(約30年落ち)だったので、燃料ホースが劣化していて、燃料漏れが発生した
※各アンケートデータは『Goo-netリサーチ』2015年の調査結果より。
2.エンジンの整備状況
中古車のエンジン、その調子を確かめる方法。
プロの整備士に話を聞きました
エンジンの調子を素人が確かめるのは難しい?見た目や音、振動による不具合の見分け方や、エンジン型式ごとのウィークポイントなどを、プロの整備士に解説してもらった。
自動車整備士 金谷樹男さん
自動車整備士 金谷樹男さん
埼玉県新座市の「金谷オートサービス」の整備士。ディーラー勤務経験もあり、年式を問わずあらゆるクルマのメンテに精通している。
「アクセルを踏み込みながら状態をみることが重要です」
エンジンの調子の善し悪しは、プロの整備士でなくてもある程度判断することが可能です。まずはボンネットを開けた状態でエンジンを始動させ、アイドリングをチェックしましょう。
エンジンの前の方から「キュルキュル」という異音が出ているなら、エアコンやパワステなどの補器類を作動させるためのVベルトの劣化が疑われます。さらに、アクセルを少し踏み込んでエンジン回転を上げたときに音が大きくなるようだと、プーリーのベアリングの劣化も進んでいる可能性があります。
一方、「カラカラ」系の異音が出ている場合は、ヘッドまわりのタペット類の作動音なので、エンジンオイルの末期的劣化やヘッド内部の汚れが疑われるでしょう。エンジンが冷えきった状態からの始動直後だと、異常がなくても少し異音が出ることもありますが、暖気が済んでも異音が止まらない場合は、劣化などの異常をきたしていると判断できます。
エンジンの状態をみる際は、必ず回転をすこし上げてみることが大切です。レッドゾーンまで回す必要はありませんが、ある程度アクセルを踏み込みながら、エンジン回転の上昇の仕方に違和感がないかどうかもチェックしましょう。途中で引っかかるような症状が出ていたら、どこかに異常があります。
あとは排ガス。水蒸気ではない白い煙が出ているならオイル漏れが疑われ、排ガスのニオイをかいで目が痛くなるようだと燃焼に異常をきたしていると判断できます。わずかに硫黄のようなニオイがするのは触媒が正常な証拠。水が出るのは内部の結露が原因なので異常ではありません。
不調だと思ったら、すぐに販売店の店員さんに相談してみることをおすすめします。
エンジン型式ごとの注意点
直列型
オイルキャップの位置とヘッドまわりが近い設計が多いので、キャップを外すと内部の汚れ具合が確認しやすい。ヘドロのような汚れがあるなら要注意。
V型
最近増えた直噴エンジンは効率が良い反面、エンジン内部が汚れやすいという難点が。大排気量の多気筒では汚れるペースが早くなるのでオイル管理の履歴をチェック。
水平対向型
ヘッド部分が真横にあるので、ヘッドまわりのオイル漏れを確認しにくいが、エンジン下部の排気管などに漏れたオイルの焦げた痕跡がないかをチェックしたい。
ロータリー
弱点のアペックスシールの劣化は、マフラーからの白煙や異臭で確認できる。エンジンオイル交換の頻度が高い個体は安心度が高くなる。整備履歴を確認したい。
ディーゼル
ガソリン車よりインジェクターが汚れたり劣化しやすい。エンジン始動直後、または停止時にブルブルとした振動が大きく出るならインジェクターの劣化が疑われる。
ハイブリッド
エンジンの負荷が小さいと思われがちで、エンジンオイルの管理が悪いオーナーが意外に多い。走行距離が少ない個体でもエンジンオイルの管理が悪いと調子を崩す。
取材協力/(有)金谷オートサービス 埼玉県新座市あたご1-1-40 TEL:048-424-3660
優良物件を探すために知っておきたいCOLUMN
素人でもマネできる!?プロの鑑定師が語った!確認のポイント
今回取材に協力してくれた鑑定師
岩井正信さん
今回取材に協力してくれた鑑定師
岩井正信さん「中古車鑑定師」という仕事がある。今回はGoo鑑定に協力してもらっている鑑定師さんに、プロがどうやって中古車を確認しているか教えてもらった。素人の参考になる部分はあるだろうか?
まずは自分で確認して疑問は店員に聞くこと
中古車の品質を鑑定し、販売店や専門業者にその品質・査定情報を提供するのが中古車鑑定師の仕事。いわば、中古車のコンディションを見抜くプロである。下段では、素人でもマネできそうな鑑定プロセスの一部を取りあげているが、プロはルーフの上やスポイラーの色あせ、下まわりのサビまでチェックし、オイル漏れなどはアウトと判断する。ちなみに、鑑定師は一台につき10~15分で鑑定してしまう。
もちろん、エアコンのコンプレッサー作動音やボディの修復歴など、複雑な判別は素人には難しいところ。まずは自分の目で確認したうえで、どの部分であれなにかおかしいと疑問に思った部分があれば、直接店員に質問として投げかけてみることが重要である。
物件を確認する際に持っていると助かるのがペンライト。夜や天気がよくない日、または細部まで見る時にも便利だ
ホイールハウス内に手を入れてその幅が左右輪で違っていないかを確認。試乗が無理でも、誰でも簡単に安心感を得ることのできる確認技だ
写真ではわからない部分を見る
ボディ表面はともかく、素人が見逃しがちなのはガラスの飛び石キズ。ワイパーを持ち上げてその下までチェックするといい。ボディの下まわりも、ネット上の写真を見るだけでは判断できない部分だ。
機関
エンジンルーム内にオイル漏れがないか、奥はライトで照らしながら確認。にじみくらいならともかく、漏れはアウトと判断される
ボンネット内のボルトに外された形跡がないか。ボルトの塗装が周囲とずれていれば、新車時の工場出荷後に交換があったということ
骨格
骨格を形成するピラーの修復は、ゴムを外して内部の溶接跡をチェックする。販売店では店員に許可をとってから行ないたい
ドアの交換や修復については、塗装が途切れていたり、シーラント(埋め込み剤)の塗り直しがないかなど、ドアの側面で確認
外装
外装のキズやヘコミは、光の加減でなじんで見えなくなってしまう。前から横から後からと、ひとつの面をさまざまな角度から見ること
下から覗き込み、ブツけていないか確認。横と前も同じように確認する。ただし、深刻なダメージかどうかの判断は素人では難しい
最初の雰囲気が大切
まず車内の雰囲気を感じ取る。大切に扱われていたかどうかや、同時にニオイもチェックする。パワーウインドウなど電装系はすべて実際に動かしてチェックしたい。
サンバイザーをめくり周囲の色と比べて、天井の変色をチェックする。たばこのヤニなどで黄ばんでないかどうかが簡単にわかる
エンジンをかけ、ブレーキをしっかり踏んだ状態で、ATを変速させてみる。ショックやすべりがないか、入りが悪くないかなどをチェック
運転席に座ってダッシュボードなどを見渡す。キズや掃除の具合を見て、その販売店が物件をどんな雰囲気で扱っているか推察する
シートは座面などを手で押したりさすったりしてクッションの状態を確認する。ただ座っているよりヘタっている状態がわかりやすい
Goo鑑定とは?
プロの鑑定師に依頼して物件の車両状態をチェックするサービス。日本自動車鑑定協会所属の鑑定師が物件を実際にチェックして、上記内容を含む、外装/内装/機関/修復歴などのさまざまな項目について5段階で評価し、鑑定書も発行される。Goo-netではGoo鑑定車を検索することができ、スマホのGoo鑑定アプリでは、鑑定結果の詳細も見ることが可能。クルマの品質にこだわるユーザーにぴったりのサービスだ。
3.事故・修復歴の有無
3ステップで見分ける車両コンディション
修復歴の定義とは?
前のオーナーがどうやって乗っていたか、事故ったり故障させたりしていないかは、ひと目見ただけではわからない。気になる事故・修復歴について紹介しよう。
事故歴と修復歴はどう違うのか?
修復歴のある物件を安いから選ぶというのもありだが、一度フレームに深刻なダメージを負ったクルマは、安全性が下がっている可能性があるということも考慮しておきたい
近年は中古車業界も虚偽表示などがすっかり減ってきた。そのため、本誌やGoo-netでも修復歴のありなしが正確に表示されるようになっている。当然、ユーザーとしては購入検討物件の事故歴や修復歴が気になるところである。
そこでまずは修復歴について知っておきたい。下記のとおり、その定義は、「骨格部位等を交換したり、あるいは修復したもの」とされている。つまり、事故を経験しているクルマでも、交換部位がフェンダーなどの場合は修復歴車には当てはまらない。事故車ではあっても修復歴車ではないのだ。また、事故歴は表示されないし、ワンオーナーで下取り入庫車でもないかぎり、これらの事故歴を販売店が把握しているとはかぎらない。
では、修復歴がある中古車は絶対に選んではいけなのかというと、決してそうとも言いきれない。修復技術は年々進歩しており、しっかり修復されていれば長年乗ることもできるだろう。逆に、修復歴を表示している中古車は、相場より価格が大幅に安かったりする。リスクを十分わきまえたうえで乗るのであれば、なんら問題はない。コンディションより価格、と割り切った物件選びができるのも、中古車の醍醐味なのである。
修復歴車とは?
自動車公正取引協議会によると、フレーム、フロントクロスメンバー、フロントインサイドパネル、ピラー、ダッシュパネル、ルーフパネル、ルームフロアパネル、トランクフロアパネルのいずれかの修正、またはラジエターコアサポートの交換が行なわれたクルマが、「修復歴車」に該当する。ボディ表面のスリキズを塗り直した程度では修復歴車にならず、該当箇所に損傷があっても修正や交換をしていなければ、修復歴車とはいわない。
COLUMN 実際に「修復歴あり」物件を買った人に話を聞きました
事故歴のあるクルマを友人から格安価格で買ったMさん(39歳)。「安全性が損なわれるような修復箇所じゃなかったので問題ないです」
知っていながらあえて修復歴のある物件を買った人に意見を聞いた。「試乗したらまっすぐ走らなくて事故車だなって気づきました(笑)。もちろん修復してもらってから買いましたよ」(会社員26歳)「全然気になりませんね。部品交換が許せないという人だったら無理でしょうけど、細かいアラを探したらきりがありませんし」(自営業42歳)
と、やはり達観して買っている人が多い。それでも納得ができる金額で購入できたのだろう。一方、トラブルに見まわれたという人もいる。「しっかり修復されていると思ってたんですが、ちょっとサビがあったんですね。腐食が進んでマフラーに穴があいちゃいました」(教員29歳)「内外装はピカピカに直ってたんですが、オイル交換とかメンテがあまりされてなかったみたいで、すぐエンジンが不調に」(会社員34歳)
修復歴だけでなく、総合的な部分で見ることも大切なようだ。
STEP1 修復歴を書類で見分ける
なにより確実な記述での証拠だが、紛失もあり得る
全履歴の記載があるかどうかはともかく、記録簿そのものを紛失してしまっている物件は、価格が相場より安く設定されていることがある
物件を見に販売店へ行き、最初に目に入ってくるのはプライスボードだ。まず修復歴の有無はここで確認できる。とはいえ、プライスボードに関しては、すべての項目を記入していない販売店も存在する。
そんな時は、店員に声をかけて定期点検記録簿を見せてもらおう。記録簿とは、新車購入時に車両とともに入手できる書類で、クルマのオーナーが変わるごとに受け継がれ、どのようなメンテナンスを受けてきたかが記載されている書類。これを見ればパーツの修復歴や交換歴が一目瞭然となる。
ただし、記録簿は紛失されていたり、記入されていないこともあるので注意。
STEP2 修復歴を外観で見分ける
キズが多いなら過去を推察。パネルのすき間も要チェック
店舗に並んでいる物件は、洗車されてキレイな状態になっていることが多い。とはいえ、じっくりとクルマの周囲を見回せばキズやヘコミは見つけられる。あまりにもぶつけた跡が多い物件であれば、ある程度前オーナーの乗り方が推察される。
記載されるべき修復歴には含まれない部分だが、フェンダーの交換などを確認したいようであれば、パネルとパネルのとのすき間をチェックしてみよう。左右や部位によってその幅が一定じゃない場合は、交換や修復が疑われる。
ボディカラーも確認すべきポイントだ。新車時と異なる塗料の使用や、経年変化などにより、修復した跡を見分けやすいのだ。
よほど古いクルマならまだしも、近年の国産車であれば、パネルのすき間というのはかなりそろっている。左右同じ箇所で比べてみよう
修復がしっかりされていればドアはピタッと閉まるもの。閉まりがいまいちだったり、左右で閉まる音が違うのであれば注意が必要
STEP3 修復歴を乗って見分ける
もし試乗できるなら確認しておきたいのは音
なにより試乗が可能かどうかについては、物件や販売店次第となる。運良く試乗ができるようなら、ゆっくりでも十分なので、音に注目して運転してみよう。段差を乗り越えたり、右左折した時などにキシミ音は聞こえないだろうか。
また、たとえ試乗ができない場合でも、エンジンだけはかけさせてもらうといいだろう。キーを回した時に、素直にエンジンはかかるか、違和感を感じるような異音はないかなどをチェックしたい。
これらは経年劣化によって発生することもあり得るので、すべてが事故や修復を疑われるものではないが、なにか変だと思ったら店員に確認してみても損はないだろう。
ボディがしっかり修理されてない場合、フロアに雨水がたまってサビが発生することも。フロアマットをめくって濡れてないか確認
直線の平らな道路では真っすぐ走るかどうかを確認。ハンドルを握る力を少し弱めても、自然と左右に曲がっていかないだろうか
4.内装の清潔感 そのインテリア、リカバリー可能ですか?
中古車研究家が内装の清潔感を徹底チェック!
もしも購入検討物件の内装に清潔感を損ねるような汚れや破損があったら、ガッカリしてしまうだろう。そこで、そういった箇所がリカバリー(修復)可能かどうか、中古車のプロが判定した。購入の決断をする際の参考にしてほしい!
中古車研究家 伊達軍曹
中古車研究家 伊達軍曹
一般企業で働いた後に自動車マスコミ業界へ。その生涯において見立てた中古車は400台を超えるプロの中古車研究家。
Check point
ある程度の妥協は必要となってくる!予算と相談して決めるのがいいだろう。
シートの汚れ
汚れの程度にもよるが、本革シートはスポンジなどでやさしくこすれば基本OK。ファブリックシートは希釈した中性洗剤で汚れを落とす。ただし重度の汚れはプロに依頼するのが無難。
シートのキズや破損
これは素材によりけりで、本革シートは腕の良い専門家がリペアすればかなり美しい状態に回復できる。しかし、ファブリックシートに深いキズが生じているケースはプロでも難しいかも。
車内のニオイ
カー用品店などで売っている専用のケミカルを使えば基本的にはDIYでも十分なんとかなる。ただし強烈すぎるタバコやペットのニオイは専門家に依頼しないと除去できないことも多い。
タバコの焦げ跡
軽い焦げ跡はさておき、重度の焦げ跡は本革でもファブリックでも難しい。プロが本気でやれば直せないことはないのだが、かなりの手間とお金がかかる。これについては諦めが肝心。
シートの色あせ
本革シートは専門家が再塗装すれば新品と見紛うレベルに戻るが、全面を塗装すると工賃はかなり高額に。ファブリックシートの色あせは復活させるのは困難なので、諦めるしかない。
スイッチ類の破損
欠品さえしていなければ、新しい部品を注文して付け替えるだけ。DIYでもできなくはないが、下手すると「直そうとして壊す」ことにもなるので、注文も交換作業もプロに頼むのが無難。
フロアマットのハゲ
その道の専門家に依頼すれば、ハゲた部分に「植毛」するのも不可能ではないが、ハッキリ言って新品に買い替えたほうが早いし安い。潔く諦めて買い替えるか、もしくはそのまま乗るか。
フロアマットの汚れ
軽度の汚れであれば自宅の庭かどこかで水と薄めた洗剤をかけてブラシでこすればOK。ひどい汚れでも洗車場の高圧洗浄機でなんとかなる。ただし淡い色のマットだとやや難しいかも。
ダッシュボードのキズ
内装リペアの専門家に依頼するか、もしくはダッシュボード自体を新品に交換すれば、理論上はリカバリー可能。ただしどちらもかなりのお金がかかるので、実際は諦めたほうがいい。
ダッシュボードの色あせ
これもダッシュボードのキズ同様、プロに依頼すればなんとかならなくもないが、リカバリーには莫大な予算が必要。とっとと諦めて、お気に入りの布を敷くなどしてごまかそう。
5.車検の残り期間と保証の有無 車検残期間と保証の上手な活用術
よい物件をさらによい条件で獲得するために
最後に紹介するのは、車検と保証について。購入前に気になる車検と契約後に気になってくる保証だが、どちらも中古車購入の成否を左右する大切な条件だといえよう。よりよい条件を得る方法とは?
車検残期間×価格の気になるカンケイ
年式が古くなればなるほど車検残は長いほうがお得に
一般的に車検には、最低でも5万円以上(普通車)かかる法定費用のほかに、検査・整備費用なども必要となる。車種によって大きく異なるが、普通車であれば最低10万円程度はかかると思っていいだろう。ユーザー車検などで費用を抑えるという選択肢もあるが。手間やリスクを考えると、販売店や専門業者などに頼みたいところだ。
では、車検の残り期間が違うとどれくらい相場が異なるのか、右の表では実際に比較している。走行距離や程度の違いもあってその差はまちまちだが、低年式車ほど車検の重要度が高いと見てとれる。
■フィット(13G)の場合
| 年式 | 車検残 | 平均価格 |
|---|---|---|
| 2012年式 | なし | 73万円 |
| 2012年式 | 2年 | 116万円 |
| 2013年式 | 4ヶ月 | 104万円 |
| 2013年式 | 1年5ヶ月 | 125万円 |
| 2014年式 | 8ヶ月 | 115万円 |
| 2014年式 | 2年 | 119万円 |
同年式で車検の残り年月も同じ物件3台以上の平均価格を調査。2012年式では車検2年の差で43万円、2013年式は1年1ヶ月の差で21万円、2014年式は1年4ヶ月の差で4万円の差となった
■セレナ(ハイウェイスター)の場合
| 年式 | 車検残 | 平均価格 |
|---|---|---|
| 2011年式 | なし | 150万円 |
| 2011年式 | 1年 | 183万円 |
| 2012年式 | なし | 163万円 |
| 2012年式 | 2年 | 188万円 |
| 2013年式 | 8ヶ月 | 232万円 |
| 2014年式 | 2年 | 262万円 |
調査方法は上のフィットと同じ。2011年式は1年の差で33万円、2012年式は2年の差で25万円の差となっている。残り年月は異なるが、やはり年式が新しいほどその差は小さくなっている
保証活用法1 中古車だからこそ保証が大切な理由
現代のクルマはそう簡単に壊れることはない。過走行車であっても「普通に走る」という部分ではそんなに心配することはない。とはいえ、機械というものはどうしても経年劣化するもの。今後も長く乗りたい、見栄えをキープして乗り続けたい、なによりいざという時のリスクを減らしたいと考えているユーザーにとっては、中古車の保証は力強い味方となってくる。
保証活用法2 保証内容や条件の大切なポイントとは?
保証内容の充実度より、その範囲を把握することのほうが重要だ。なぜなら保証内容は販売店によって千差万別。基本的には機関系部品の不具合に対するものが多いが、中古車の場合、予測していない部分が突然壊れることもある。どのパーツがOKか、期間は何年、何万kmまでカバーされているのかをしっかり把握しておけば、保証を上手く活用することができる。
保証活用法3 費用付き保証はどんな時に必要?
充実した保証があるということは品質に自信があることの裏返し。費用付き保証が心の安心につながることもあるだろう
費用をプラスすることで保証にプラスアルファの要素を付けられる販売店もある。たとえば、走行距離や期間などの保証範囲を延長できたり、消耗品の交換まで面倒みてくれるオプション、さらに、万が一の際のレッカーサービスなどをオプションとして用意している販売店だってある。特に年式が古かったり、走行距離が多めの物件を買う人には、おすすめとなる。
まとめ 譲れない部分を決めて物件を見定めること
今回は、ユーザーアンケートで上位に挙がった5つのポイントについて検証してきた。
もちろん中古車のコンディションを見分ける際には、これら5つ以外にも、注意するべきポイントや、着目すべきパーツはある。しかし、数多くの物件を見ても、最終的に購入する物件は1台しか選べないのである。
どの部分を譲らず、どの部分を妥協するのか。そういったところを自分のなかでしっかり決めたうえで、今回の5つのポイントに注意しながら物件を厳選すれば、きっと中古車購入は成功するはずだ。
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データはGoo-net6月調べ