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更新日:2024.02.26 / 掲載日:2021.12.04
メルセデス・ベンツ SL/SLクラス|語り継がれる名車の系譜 vol.12|

文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年11月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2022年1月号の内容です)
1950年代から歴史が続くメルセデスの高級オープンカーは如何にして名車となったのか
強さと美しさを兼ね備えた究極のロードカー
レースから生まれたメルセデスの象徴
SLこそ、スーパーカーの元祖だ。そう主張する声もあるほど、SLはメルセデス、自動車史、そしてクルマ愛好家にとって特別な1台だ。
そのストーリーはサーキットから始まった。戦後復活を遂げつつあったメルセデスは、技術力をアピールするべく、市販の3Lセダン(300)をベースにW194を開発。300の軽量スポーツカー(Sport Leicht)という意味を込めて300SLと命名した。象徴ともいうべきガルウイングドアは、軽量化と高剛性を両立させるべく車体のサイドシルを極端に太くしたことで通常のドアがつけらないことから採用された。
初年度、ミッレミリアこそ2位に終わったものの、ル・マン24時間レースに勝利。さらに当時最高峰のスポーツカーレースだったカレラ・パナメリカーナで優勝したことで300SLの名声は一気に高まり、特徴的なガルウイングドアのインパクトもあって、その市販化を求める声が集まることになる。
こうして誕生したロードバージョンだったが、それを求めるのはレーシングドライバーではなく、富裕層である。そこで、デザインはよりスタイリッシュに、内装はゴージャスに変更された。まさしくスーパーカーのフォーマットである。
高性能で豪華で美しく、歴史のあるクルマ。SLという存在は、まさしくドリームカーなのである。
メルセデス・ベンツ SLはこんなクルマ




[メルセデス・ベンツ SL/SLクラスが名車になった理由]あらゆる要素が超一流のオープンスポーツカー
レースでの活躍からラブコールがやまず市販化につながった

SLクラスの始まりは市販車ではなくレーシングカーだった。ワークスチームに提供されたプロトタイプモデル(W194)は、数々の勝利をもたらし、並外れた性能とルックスから、市販化(1954年)へとつながった。
DNAとして受け継がれていく300SLの造形

メルセデスの歴史を語る上で欠かせない重要モデルだけあって、そのデザインは歴代モデルで着実に受け継がれている。時代に合わせた洗練と進化を受け入れながら、同時にルーツである300SLのモチーフを抱き続けている。
オープンカーの開放感とクーペの実用性を両立

SLクラスはラグジュアリーカーでもあった。初代からすでにオープンモデルがバリエーションとして作られていたのがその証拠。同時に耐候性と防犯に優れるハードトップの需要が高く、後のバリオルーフ開発につながる。
オープンの開放感とクーペの実用性をメタルトップで両立

オープンカーとクーペの魅力を1台で楽しめるのが、電動開閉式のメタルトップ「バリオルーフ」。初めて搭載したのは5代目(R230)で、モデルチェンジを重ねるごとにスピードや作動は洗練され、利便性を向上させている。
不可能を可能にするための努力が新技術を生み出す

Sクラスと同じくブランドを代表するモデルだけあって、開発にあたっては、運動性能と乗り心地といった相反する要素も徹底的に作り込まれていく。その結果として、高度な電子制御式サスペンションなどが誕生した。
オープンでも車内は快適な空間それがSLクラス

近年のSLクラスでは、クローズド状態での快適性だけでなく、オープン時の快適性も追求しているのが特徴。特に風の巻き込みについては、数々のアイテムや風洞を使った実験によりレベルアップを図っている。
いま買いの中古車たち
メルセデス・ベンツ SLクラス(R231)

メルセデスの量販モデルとして初めてフルアルミニウムボディを採用。ボディ剛性を20%アップさせながら、従来モデルに比べて最大で140㎏の軽量化を実現した。2015年にマイナーチェンジを受けている。
中古車参考価格帯:370万円〜1150万円(11年〜21年 全グレード)
メルセデス・ベンツ SLクラス(R230)

5代目はSLクラスとして初めて全自動格納式のメタルルーフを採用。ボディは従来モデルよりも大きくなったが、軽量素材を活用することで重量増を抑えた。2008年にはライトを2灯にする大きな改良を行った。
中古車参考価格帯:150万円〜900万円(01年〜11年 全グレード)
メルセデス・ベンツ SLクラス(R129)

電子制御技術を積極的に採用することで、ラグジュアリースポーツカーとしての能力を飛躍させた4代目。当時としては空力性能に優れる0.32というCd値を誇る。セミクラシックモデルとして中古車価格は上昇中。
中古車参考価格帯:170万円〜600万円(89年〜01年 全グレード)
メルセデス・ベンツ SLクラス(R107)

高性能はそのままに、快適性や安全性能といった近代的なラグジュアリ−カーの資質を大いに高めた。気軽に乗れるクラシックカーとして人気が高く、程度良好車になると1000万円を超えるプライスを掲げている。
中古車参考価格帯:350万円〜1400万円(71年〜89年 全グレード)