輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2019.08.05

メルセデス・ベンツ GLC/気になる中古車【試乗判定】

2017年モデル メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年9月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

満を持して登場させたスタンダードサイズのSUV

SUVラインアップの中核を担う存在

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、メルセデス・ベンツのコンパクトSUV、GLCの登場です。お借りした車両は2017年モデルで、グレードは「220 d 4MATIC」、走行距離は1万7000kmとなっています。
竹岡●気がつくとメルセデスのSUVってすごい数になってるよね。GLA、GLC、GLE、GLS、そしてGクラス。さらにGLCとGLEにはクーペもあるし。AMGモデルまで含めたら、いったいどれくらいあるのかしら(笑)。
九島●SUVだけでもちょっとした自動車メーカー並みの品揃えだ。もともとメルセデスは本格クロカンのGクラスがあったし、北米向けに開発したMクラスが売れてたせいか、展開そのものは遅かったんだけどね。
編集部●GLCが属する全長4.5m~4.6m級のDセグメントSUVですと、X3が2004年の登場ともっとも早く、続いてQ5が2009年です。メルセデスも2008年にGLKを登場させましたが、Gクラスを意識したクロカン的デザインでした。
九島●GLCが出た2016年はメルセデスが「SUVイヤー」と称して多数のモデルを投入した年だったね。ライバルに先行されていたのを一気に巻き返そうという戦略だった。
竹岡●やると決めたら徹底的にっていうのがメルセデスらしい。GLC自体のバリエーションも多いよね。
編集部●仰るとおりでエンジンだけでも4タイプあります。最初に導入された「250」が2L直4ターボのハイパワー版で211馬力。2017年に追加された「200」は同じエンジンのローパワー版で184馬力。さらに「220 d」が2.2L直4ディーゼルターボで170馬力。最後が「350 e」で、2L直4ガソリンターボ(211馬力)にモーター(116馬力)を組み合わせた外部充電可能なプラグインHVになります。
九島●プラグインHVだからモーターだけのEV走行も可能だね。
竹岡●さらにクーペ版もあると。最近のメルセデスってやっぱりバリエーションがすごく多い。
編集部●数えたら全部で14モデルありました(笑)。ちなみに「200」のみが後輪駆動でそれ以外は「4MATIC」つまり4WDです。
九島●それにしてもGLCってまだ新しいモデルだよね。中古車なんてまだ少ないんじゃないの?
編集部●それがグーネットではすでに350台近く物件が登録されています。しかも価格的にもなかなか魅力的なものも多く、積極的にねらっていきたいモデルだと思います。
竹岡●どのくらいなの?
編集部●ちょうど最初の車検を迎えた3年落ちのもので400万円前半。新車が700万円クラスですから、半額近くまで値下がりしています。
九島●そうなんだ。現行型がその値段ならいいじゃない。
竹岡●新型が出た最初の年は登録台数が多くなるから、価格競争が激しいのかも。たしかにチャンスだね。
九島●そういうのって中古車ならではのおもしろさだね。
編集部●それでは、そろそろ試乗の方をお願いします。

竹岡「CクラスがそのままSUVになったような扱いやすさ」

九島「現代のスタンダードカー 乗り味はメルセデスそのもの」

DETAIL CHECK

セダンから乗り換えても違和感なしのメルセデス的フィール

編集部●さて、試乗から戻ってきたお二人に感想を聞きましょう。
九島●乗ったらメルセデスだよ。クルマの動きとかドライバーに与える印象はどこをとってもメルセデス。
竹岡●Cクラスってだれが乗っても乗りやすいじゃない。それをそのままSUVにしましたよという。
九島●そうそう!
竹岡●ただし、GLCクーペは運転席からの視界が狭いから、背の低い女性はもしかしたら運転しづらいと感じるかも。SUVって私たちからすると、セダンよりもアイポイントが高いおかげでまわりがよく見えて、運転しやすいのが魅力なのに(笑)。
九島●そこもある意味でCとCクーペの関係に近いのかもね。
編集部●オススメのグレードは?
九島●ディーゼルもいいけど、真冬の豪雪地帯で走らないかぎり2WDでいいんじゃないの。
竹岡●そうね。実質的には2WDで問題ないんだけど、ゲリラ豪雨とかあると4WD(4MATIC)のほうが安定するから、運転にあまり自信がないひとが運転するというなら4WDもありかな。
編集部●走破性というよりも、より安心できる選択ということですね。
九島●でも雪道で事故を起こしているのは4WDだったりするんだよ。ガンガン走れてしまうために、過信してスピードを出しすぎる傾向があるというのは覚えておいてほしい。
竹岡●雨の日とかも同じだね。セダンみたいに走れるからといっても、実際の車重は重いから、「止まりきれない!」なんてことのないように。
九島●いろんな意味でGLCはいまの時代のスタンダードだと思うよ。
編集部●ありがとうございました。

充実した先進サポート装備 品質面でもセダンと遜色なし

 安全装備を統合した「インテリジェント・ドライブ」を搭載。従来「レーダーセーフティ」という名称だった装備群を発展させたものだ。ステアリングアシスト機能付きのクルーズコントロールや飛び出し検知機能付きのブレーキアシストなど、先進サポート装備はクラストップレベル。インテリア全体の質感も高く、上質な雰囲気が漂う。

高いアイポイントによる視界のよさはSUVならでは

 SUVのメリットであるアイポイントの高さ、頭上や肩まわりの空間的余裕がパッケージング上の特徴。後席は4対2対4の分割可能倒式。ラゲッジ容量は後席バックレストを倒した状態で1600L(「350 e」は1445L)まで拡大可能。ユーティリティ性能の高さはステーションワゴンに匹敵する。テールゲートの電動開閉機能は全車標準装備。

インターフェイスの設計はマイチェン前のCクラスに準じる

 各種メーターやインフォテインメント系の使い勝手についてもCクラスに準じた内容となっており、これまでCクラスに乗っていたひとであれば、違和感なくすぐに使いこなせる。8.4インチワイドディスプレイを核とする「COMANDシステム」は、タッチパッドやステアリングスイッチ、音声入力といった多彩な操作方法を用意している。

GLCのエンジンは3タイプ プラグインHVも存在

 パワートレインは大きく分けて3タイプ。2L直4ターボを搭載する「200」(184馬力)と「250」(211馬力)、2L直4ターボにモーターを加えたプラグインHVである「350 e」(211馬力)、そして2.2L直4ディーゼルターボの「220d」(170馬力)。駆動方式は後輪駆動がベースで、「4MATIC」モデルは4WDとなっている。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 【10点】ライバルが多いプレミアムSUVクラスではありますが、そのなかではかなり後発の印象。その分そつなく作られているので、普通のクルマから乗り換えても乗りやすい、いまの時代の定番中の定番カー、と言ってもいい立ち位置なんですよね。サイズ的にも日本の道路事情を考えると、じつはいちばん使いやすいサイズだったりします。

  • 【9点】インテリアはそのまんま現行モデルのマイナーチェンジ前のCクラスなので、メルセデス・ベンツらしさは満点! これまでセダンのCクラスしか乗ってこなかった方も、操作系を含め違和感なく受け入れられるハズです。ただし、操作系は決して使いやすいとは言えないのが悩みどころではありますが……。装備面では文句ナシのてんこ盛りです。

  • 【10点】ディーゼルモデルとSUVの相性って本当にイイ。低速トルクが太いので、街中でも中間加速でも、とにかくラクなんです。もちろん、高速でかっ飛ばす的な気持ちよさはガソリンエンジンには敵いませんが、荷物やひとをたっぷり積んで、実用的使うSUVとしてはベストチョイス。ただGLCクーペは視界的に私のような小柄タイプには厳しいです。

九島辰也

  • 【10点】アメリカから始まった乗用車のSUV化はいまや世界中へと広がっている。その動きを見逃さなかったメルセデスは、従来のセダン体系をそのままSUVにスライドさせた。つまり、GLCはSUVにおけるCクラスというわけだ。命名ルールを変更したこともわかりやすさに繋がっている。クーペのようなエッジを立てたグレードの存在も嬉しい。

  • 【9点】「ハイ、メルセデス!」で有名になったAクラスのmBUXやSクラス、Eクラスの未来的なコックピットと比べてしまうと、インテリアデザインには若干古さのようなものを感じてしまう。とはいえ実際的な装備内容は十分に充実している。とくに高速道路で同一車線をキープしてくれるディストロニックは、一度体験すると長距離運転では手放せない。

  • 【10点】走りはまさにCクラス的で、全体なバランスが整った優等生キャラクター。ステアリングの手ごたえや騒音、振動といった作り込みもしっかりメルセデスしている。試乗したディーゼル仕様もアクセルを深く踏み込めばなかなかの加速が楽しめた。そういうところもCクラス的。個人的にはスタイリッシュなデザインのGLCクーペに心が惹かれる。

グーワールド 編集部

  • 【10点】ライバルに対して後発となっただけに、GLCはメルセデスのSUVとして非の打ちどころがない完成度になりました。ブランド初の電気自動車であるEQCもこのGLCがベースになっています。まさにいまの時代のスタンダードモデルです。登場当時は比較的高額なモデルが中心でしたが、「200」が追加されたことで身近さもアップしています。

  • 【10点】いま中古車市場の中心は、デビュー時からラインアップされていた「250 4MATIC」系がメイン。こちらは装備面でも非常に充実しており、レーダーセーフティパッケージはもちろん、360度カメラや自動テールゲートといった日常に役立つ装備が標準となっています。とはいえ、「200」でも十分な装備。見た目がOKであればこちらもオススメできます。

  • 【10点】お借りした「220 d 4MATIC」はシリーズのなかでも重量級なのですが、ディーゼルエンジンならではの大トルクで走りはストレスフリー。騒音や振動も気になりませんでした。デイリーユースから長距離のバカンスまで活躍、まさにマルチなキャラクターで、ファミリーカーとしても理想的。中古車で走行距離が伸びているクルマが多いのも納得です。

メルセデス・ベンツ GLCのモデル主要変遷やスペック情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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