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更新日:2019.09.04 / 掲載日:2018.12.13
【BMW X3】200万円の予算で探せる先代X3は今が買い時

ここ最近、SUVに求められる性能や用途が多様化している。そもそもSUVのルーツは、遡るとオフロード四駆(いわゆるクロスカントリー)にたどり着き、悪路走破性はSUVにとって欠かせない要件だった。それゆえSUVは、セダンやステーションワゴンとは区別された、特別なジャンルのクルマという認識を持つ人が多かった。しかし最近のSUVは最低地上高にゆとりを持たせた乗用車の派生モデルという意味合いが強まってきた。そうなると、SUVに求められるのは強い個性。SUVというジャンルそのものが個性だった時代は過去のものとなり、今は斬新なデザインや走りの性能など、そのモデル特有のアイデンティティが必要となった。その証拠に、クーペ風のボディを持つモデル、サーキットでのタイムを争うような、昔では考えられないような個性派モデルまで登場している。これはSUVのダイバーシティ時代の到来と言えるもので、このジャンルが成熟してきた証拠である。
今回注目するBMW X3は、ミッドサイズSUVのなかでも鉄板チョイスと言われるモデルで、2017年10月にフルモデルチェンジを受けて新型(3代目)となった。初代の登場は2004年だから、ミッドサイズのなかでは古株。ここ最近登場した同セグメントのモデルと比べると、ややコンサバな印象を受けるかもしれないが、その手堅さこそがX3の特徴で、老若男女に勧められる1台だと言えるだろう。ちなみに、X3にはより先進的なイメージを押し出したX4という派生車もある。ここでは先代X3を中心に、先代X4の相場にも触れ、買いの年式やグレードを探って見たい。
BMW X3ってどんなクルマ?
2004年7月に国内導入されたミッドサイズSUVがX3。BMW X5の弟分として登場したX3は、しっかりした足腰を持つスポーティなハンドリングが持ち味だった。その後SUVブームが到来し、さらに小型のX1とX5に挟まれた中間のポジショニングを受け持つ2代目が2011年3月に登場する。この当時、ライバルとしてボルボXC60、アウディQ5、メルセデスGLKなどの新参モデルが登場していたこともあり、初代X3のような鮮烈さはやや薄れていたものの、それでもクリーンディーゼルの設定など、新世代SUVにふさわしい話題を提供してくれた。
2代目X3の進化のポイントは、なんと言っても内外装が従来と比べて大幅に洗練されたことが挙げられる。シャープな形状のヘッドライト、ボリューム感のあるフロントデザイン、そしてホイールアーチからリヤエンドにかけて跳ね上がるような、アクティブなボディライン。小型オフローダーといった趣の野暮ったい初代のスタイルから、都会的なスタイルに大きくイメチェンしたのだ。室内も同様で、iDrive用の8.8インチワイドカラーディスプレイが新たに装着され、よりモダンな印象を与えている。さらにリヤシートの足元が初代から20mm拡大したことで、実用面もさらに高まった。これは弟分のX1がすでに発売されていたから、その差別化という意味もあるのだろう。X1は若年層向けのパーソナルSUV、X5は大きなラグジュアリーSUVだから、その間に納まるX3は、ファミリー層のユーザーがあらゆるシーンで使えるキャラクターとなっている。
BMW X3の世代別中古車相場は?

ここで、先代X3の改良遍歴を簡単に振り返ってみたい。2011年3月に発売がスタートした先代X3のラインアップは、当初3.0L 直6の「xDrive28i」、同ターボの「xDrive35i」の2モデル構成だった。2012年3月、2.0L直4ターボを搭載したエントリーモデル「xDrive20i」を追加。2012年5月には、「28i」と「35i」のエンジンが、それぞれ新世代の2.0L 直4ターボと3.0L 直6ターボに変更され、加えて全車にECO PROモード付きのドライビング・パフォーマンス・コントロールという機能が設定された。これは複数の走行モードを任意で選び、エンジンレスポンスやトランスミッションの制御を変更するというもの。さらにアイドリングストップ機能の追加と相まって、燃費が大きく改善したのがトピックだ。そして同年9月には、待望のクリーンディーゼル搭載車「xDrive20d」が登場。ポスト新長期規制にも適合したこのエンジンは、JC08モードで18.6km/Lと、歴代X3でトップレベルの低燃費を実現したのが特徴である。
2013 年9月の改良では、「BMW SOSコール」と「BMWテレサービス」を標準装備。また、リモコンキーの操作で簡単に操作できる「オートマティック・テールゲート・オペレーション」も全車に装着された。2014年6月にはマイナーチェンジを受けて後期型へとチェンジ。ここでの改良内容は内外装デザインの変更が中心となっており、ヘッドライトとキドニーグリルが繋がった新世代フェイスが見どころだ。また、マット&アルミ仕上げの個性ある外観に仕立てた「xライン」も新設定された。そして2016年、「ドライビングアシストプラス」、「レーンチェンジウォーニング」など先進の運転支援システムが標準装備となったほか、レザーシートとシートヒーターが全車に与えられるなど、最後の大きな改良が行われた。
年式 | 中古車平均価格 |
2011年式 | 203万円 |
2012年式 | 221万円 |
2013年式 | 264万円 |
2014年式 | 303万円 |
2015年式 | 370万円 |
2016年式 | 417万円 |
2017年式 | 479万円 |
200万円台の予算なら2013年以前のモデルを
先代X3の新車価格帯はおよそ550万円から800万円と、かなり高額なクルマだった。しかし5年落ちなら半額以下、3年落ちでも6~7割程度にまで相場が下がっており、お買い得感は高い。なかでも2013年式以前の平均価格は200万円台となっており、このクラスサイズのSUVとしては手が出しやすい。ただし、先代モデルとはいえプレミアムブランド、100万円台の物件はほんのわずか。初期型でも最低200万円台前半の予算は見積もっておこう。
BMW X3のグレード別中古車相場は?

先代X3のグレード構成は、ガソリンが「xDrive20i」、「xDrive28i」、「xDrive35i」、ディーゼルが「xDrive20d」の合計4モデル。全車8速ATと4WDが搭載され、弟分のX1とは異なり2WDは用意されていない。また、各グレードには、標準タイプに加え、スポーティ仕様の「Mスポーツ」、専用外観の「xライン」も設定され、より幅広いユーザーにアピールしている。
初期費用を抑えるなら「20i」、長く乗るなら「20d」
物件数がもっとも多いのは、ディーゼルエンジン搭載車「20d」で、全体の6割以上を占めている。しかし、相場はほかのグレードと比べて100万円ほど高いのがネック。それでも低燃費でランニングコストに優れ、なおかつX3のキャラクターにディーゼルがマッチしているから、予算が許せばもっともオススメできるグレードである。
ガソリンのエントリーモデル「20i」はディーゼルよりも相場が低く、物件数もそれなりに充実していて買いやすい。2.0L 直4ターボエンジンは、低排気量ながらもパワー、トルクともに十分だし、排気量による税制面でも有利。こちらは200万円台前半の予算から探せるはず。なお全グレードを通してMスポーツ仕様の物件が目立つのが、BMWらしい傾向と言えよう。
X4と比較すると?

X3を購入する際、気になる存在なのがX4というモデル。2014年8月に発売されたX4はX3のクーペ版とも言うべきモデルで、大胆に絞り込まれたルーフラインが特徴。後席の頭上スペースなどはX3よりも狭くなるが、人とは異なる個性をアピールし、趣味性と実用性を両立したモデルとなっている。メカニズムの大部分はX3と共通だが、X4には360馬力の3.0L 直6ターボを搭載した「M40i」が選べるのが特徴。これはいわゆるハイパフォーマンスモデルで、専用チューニングされたトランスミッション、サスペンション、そしてコーナーリング性能を高める「パフォーマンスコントロール」などが与えられる。
こちらのX4の中古車平均価格は470万円と、X3と比べてかなり高め。グレードは「28i」、「35i」、「M40i」の3つから選べるが、中古車の大半は「28i」となっており、なかでも「Mスポーツ」が大半を占めている。とはいえ、物件全体のボリュームはX3よりも乏しく、価格の高さと相まって少し買いにくい。実用&価格重視ならX3、個性重視ならX4という選択になるだろう。