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更新日:2019.09.04 / 掲載日:2018.11.15
【VW ザ・ビートル】生産終了間近! 現行型ビートルの中古車って安いの?

VWは、2019年にザ・ビートルの生産終了をアナウンスした。自動車の歴史に残る名車がまたひとつ消えてしまうことに、無念な思いを抱いている読者も多いだろう。というのも、ザ・ビートル、またその前身となったニュービートルの原点である「タイプI」が登場したのは1940年代であり、メキシコで造られていたタイプIまで含めると、ビートルシリーズは80年近くにわたって製造された超ロングセラーなのだから。ここ最近ザ・ビートルは、生産終了に向けた特別仕様車「マイスター」シリーズを次々とリリースしており、生産終了のカウントダウンは日本でもすでに始まっている。そんな今こそ、ザ・ビートルに注目しておくべきだろう。物件はどのくらいあるのか、購入に必要な予算、オススメのグレードなど、中古車購入にまつわる情報を詳しくお届けしていこう。
VW ザ・ビートルってどんなクルマ?
2012年6月、ニュービートルの後継として日本に導入されたザ・ビートル。戦前から存在するタイプIの系譜上にあるモデルで、丸目のヘッドライトはニュービートルのデザインをそのまま受け継ぐが、サイドのシルエットはタイプIをモチーフにしたのが大きな特徴。ボディタイプは、従来同様2ドアクーペまたはカブリオレを設定する。VWにはゴルフという実用重視のモデルがあるため、ザ・ビートルの内外装デザインは遊び心に富んだ楽しいものとなっている。なかでも目を引くのが、タコメーター、スピードメーター、そして燃料計と3つ並ぶメーターと、それを巧みに収めるダッシュパネルの造形。このデザインは、どことなくクラシカルな雰囲気を漂わせ、初代タイプIを想起させる。全体的に見ると、3つの円を重ね合わせたような女性的ラインの先代ニュービートルに対し、ザ・ビートルは大径タイヤを装着するなど、力強く男性的スタイルでまとめられている。新型は、先代を敬遠していた男性ユーザーにもアプローチした形となった。
一方メカニズムはゴルフとの共通点が多く、デビュー当初はゴルフにも積まれる1.2Lターボが搭載され、これに定評ある7速DSGが組み合わされた。後に1.4Lターボや2.0Lターボなど、排気量が大きく高出力なエンジンも追加されたが、基本的にメカニズムはデビュー時とあまり変わらず現在に至っている。価格帯はゴルフに近く、手頃な価格の実用クーペとして、VWのラインアップに華を添えるモデルである。
VW ザ・ビートルの年式別中古車相場は?

ザ・ビートルのデビュー時(2012年6月)におけるラインアップは、レザー内装が特徴の「デザイン レザーパッケージ」のみ。いわゆる初回限定モデルとして1000台が発売されたが、のちにファブリック内装の「デザイン」も選べるようになる。2013年3月には、電動ソフトトップを採用した「カブリオレ」が登場。同年8月には、211馬力を誇るスポーティモデル「ターボ」が追加された。2015年6月の一部改良では、229万9000円というリーズナブルな価格を実現したエントリーモデル「ベース」を追加。また同時に他グレードの装備が一部見直されている。
そして2016年9月には大規模な改良が行われ、前後バンパーデザインをリニューアル。同時にドライバー疲労検知システム「Fatigue Detection System」を全車標準装備したほか、後方の死角を検知する「ブラインドスポットディテクション」、後退時の事故を未然に防ぐ「リヤトラフィックアラート」が一部グレードに設定されるなど、安全面が強化されている。また、このタイミングで「ターボ」はよりスポーティな装備を充実させた「2.0Rライン」に進化。さらに同年11月には1.4Lターボを搭載した、手頃な価格のスポーティグレード「Rライン」も加わった。そして2018年に生産終了のカウントダウンがはじまり、これを受けて各種限定モデル「マイスター」シリーズが発売された。それを踏まえて、年式別中古車平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
2012年式 | 142万円 |
2013年式 | 147万円 |
2014年式 | 171万円 |
2015年式 | 175万円 |
2016年式 | 198万円 |
2017年式 | 245万円 |
※カブリオレを除く
5年落ち(2013年)がもっとも探しやすい
安全装備が充実する2016年以降の後期型も魅力的だが、こちらは物件が少なく相場も高め。現段階で買いやすいのは、それ以前の前期型になるだろう。なかでも2013年式がもっともボリュームがあるゾーンで、好みのカラーや仕様を選べる余地がある。平均価格は147万円となっているが、走行距離5万km以上ならば100万円以下の物件もそれなりに多い。概ね100万円台前半の予算で十分探せるはずだ。ちなみに2015年式は、2013年式よりも物件が半分程度となるが、3万km以下の低走行が目立つ。この年式から探すなら、予算は150万円前後を見積もっておこう。
VW ザ・ビートルのグレード別中古車相場は?

ザ・ビートルは、エンジン別に3タイプのグレードが存在する。もっともベーシックな「デザイン」に搭載される1.2L SOHCターボ(105馬力)、2016年末に加わった「Rライン」に積まれる1.4L DOHCターボ(150馬力)、そして最上級の「ターボ」または「2.0Rライン」に積まれる2.0L DOHCターボ(211馬力)である。このほか、ザ・ビートルには数多くの限定車が存在する。たとえばスポーティな専用エクステリアが魅力の「レーサー」、バレンタインデーに合わせて、スイーツを連想させる専用内外装が与えられた「チョコ」「ミルク」「ビター」、クロスオーバー風スタイルの「デューン」など、その数は非常に豊富だ。今回は、基本グレードを中心に中古車平均価格を見てみよう。
物件比率に極端な偏りあり。グレード選びは「デザイン」一択
様々なグレードが存在するザ・ビートルだが、市場に存在するグレードには大きな偏りがある。9割以上がベーシックなデザイン系となる一方、ターボやRライン系は極めて少なく、相場がかなり高めな状況なのである。ボディタイプ別ではクーペがほとんどで、カブリオレはかなり希少な存在となっている。ちなみに「デザイン」のなかでレザーパッケージを装着するのは4割程度。相場もファブリック仕様とほとんど変わらないから、お買い得感が高いのは、レザーパッケージの方だろう。なお、こちらでも100万円台前半の予算で十分探せる。
VW ザ・ビートル中古車相場のまとめ

相場データを見ても、ザ・ビートルは手頃な価格で狙える優良なモデルと言っていい。その一方で、デビュー以降順当に相場が下がってきたものの、生産終了のアナウンスの影響を受け、今後この傾向に歯止めがかかる可能性がある。むしろ、その価値が再評価されて相場が上がる可能性すらあるから、購入を検討しているなら早めに決断したほうがいいかもしれない。良質な個体が手頃な価格で手に入る、まさに今が買い時のクルマである。