輸入車
更新日:2025.06.13 / 掲載日:2025.06.13
【マセラティ ギブリ】の歴史といま買いの中古車 美と走りを極めたスポーツセダン

マセラティ ギブリ|語り継がれる名車の系譜 vol.54|
文●ユニット・コンパス 写真●マセラティ
※中古車参考価格はすべてグーネット2025年5月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年7月号の内容です)
ギブリは、イタリアの名門マセラティによる大型高級セダン。スポーツカーとセダンの魅力を1台に凝縮した個性派の魅力に迫る。
美しさと雄々しさと。イタリアの美意識を感じる4ドアセダン
エレガントなスタイルの奥に潜む熱い魂
1960年代、自動車はまさに黄金期を迎えていた。経済復興を背景にした技術革新、そしてデザインの進化は、圧倒的な性能とスタイルを誇るスーパースポーツカーを生み出したのだ。そして、フェラーリ デイトナ、ランボルギーニ ミウラに並ぶ存在と評されたのが、マセラティのギブリ(1966年)である。
デザインを手がけたのは、ジョルジェット・ジウジアーロ(当時はカロッツエリア ギア所属)。流行のくさび型シルエットを採用しながらも、緩やかな曲面を使い、要所をエッジで引き締めたスタイリングは美しく、氏の代表作のひとつと名高い。
マセラティは、レースで培った技術力を活かした富裕層向けのロードカーを開発することで頭角を現すことに成功。余裕と気品を漂わせるデザインと職人の手仕事を思わせる内装の作り込みは、その後もブランドのDNAとして受け継がれていく。
2013年から日本に導入された現代のギブリ。スポーティな上級セダンとして歴代マセラティのなかで最大の成功作となったが、惜しくも2024年に生産終了。そのスタイルは今見ても美しく魅力的だ。
こだわりはデザイン以外にも及ぶ。ボンネットやドアにはアルミを採用、車両の前後重量配分に配慮し、フェラーリと共同開発したエンジン(V8)など、目に見えない部分にも力が注がれている。
マセラティ ギブリはこんなクルマ

ジウジアーロが手掛けた名車、初代ギブリのイメージを現代的に解釈したスタイリング。あきらかに運動性能の高さを思わせながらも、穏やかでエレガントな雰囲気を漂わせるところもマセラティらしい。

3200GTにインスパイアされたテールランプなど、マセラティの歴史を感じさせるディテール。4ドアながらクーペのような美しさ。

パワートレインは多彩。直4ターボ+モーター、V6ツインターボ、V6ディーゼルターボ、そしてV8ツインターボまで存在している。

4ドアながら、歴代ギブリのスポーティかつラグジュアリーなインテリアを踏襲。後期モデルはインフォテインメント機能も強化された。
[マセラティ ギブリが名車になった理由]ラグジュアリーとスポーツ、いずれも一流
レースの強豪が手がけた富裕層向けのスポーツカーが原点

1941年に登場したA6 1500は、マセラティにとって初めてのロードカーであり、ピュアなレーシングカーではないGTとして企画された。その成功はマセラティのDNAに残り大きな影響を与えた。
初代ギブリは自動車史に残る美しいスタイル

A6 1500やそれに続く初代3500GT(1957年)の成功により、高級GTブランドとしての地位を固めたマセラティが1966年に発売したのが初代ギブリ。
スポーツカーの性能と乗用車の利便性を両立

1992年に登場した2代目ギブリ。高級高性能GTというキャラクターを受け継ぎながら、利便性に優れる2+2を採用。このDNAは、2ドア・2+2のグラントゥーリズモと4ドア・4シーターの3代目ギブリが継承した。
現代に蘇ったギブリは大人のスポーツセダン

同時期にラインアップされ、メカニズムの一部を共有していたクワトロポルテとは、その性格は大きく異なる。クワトロポルテが居住性とラグジュアリーさを重視したのに対して、ギブリはよりスポーティなテイスト。
ドライバーの心を熱くさせるエンジンサウンド

圧倒的なパフォーマンスを発揮するV8ツインターボからハイブリッドまで多彩なパワートレインを採用。いずれのモデルも性能だけでなく、鋭いレスポンスや刺激的なサウンドといった官能的な部分にもこだわっている。
電子制御4WDやハイブリッドなど最新技術も取り入れる

あらゆる路面で優れたトラクションを誇る4WDモデル(Q4)も用意されていた。ギブリは、ルックスだけでなく、技術面でもドイツ製ラグジュアリーカーに比肩しうる存在であった。
いま買いの中古車たち
マセラティ ギブリ(後期型)

内外装を大きくリフレッシュしたのが2021年のマイナーチェンジ。マセラティ初となるハイブリッドモデルを導入したのも話題で、パフォーマンスを向上させながら環境性能も引き上げている。
中古車参考価格帯:650万円~1300万円(21年〜24年 ギブリ 全グレード)
マセラティ ギブリ(前期型)

マセラティの歴代モデルのなかでも最大級のヒット作となったギブリ。それゆえ中古車の台数も豊富。ただ、低年式車については購入後それなりのリフレッシュ費用を用意しておきたい。
中古車参考価格帯:250万円~550万円(13年〜21年 ギブリ 全グレード)
マセラティ ギブリ(2代目)

90年代に輸入された2代目ギブリは、4シーターを備える2ドアクーペ。ネオクラとしてカルト的な人気を誇る。購入後もメンテナンスが必須なので、サポート体制のある店舗を選びたい。
中古車参考価格帯:200万円~500万円(92年〜97年 ギブリ 全グレード)