輸入車
更新日:2025.05.08 / 掲載日:2025.05.08
人気中古車実車レビュー【アルファ ロメオ トナーレ】走りも楽しいコンパクトSUV

[アルファ ロメオ トナーレ]自動車ジャーナリスト 竹岡 圭と巡る人気中古車実車レビュー
文●竹岡 圭、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、プジョー、MINI
※中古車参考価格は2025年4月グーネット調べ。 ※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年6月号の内容です)
試乗レポートではわからない、身近でリアルな使い勝手を実車を取材してレビューするのが、「人気中古車実車レビュー」。デザイン、装備、使い勝手をレビューしつつ、中古車相場についても中古車販売店に取材し掘り下げます。
Profile:自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもお馴染みの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーにも参戦経験を持つ。2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
アルファ ロメオ初のプラグインHVを採用
今回チェックするのは、イタリアの名門アルファ ロメオから発売されたコンパクトSUVのトナーレ。取材したのは、2024年登録の「トナーレ ハイブリッド ベローチェ」で、走行距離は1500km、支払総額は538万円となっています。
実車チェックを行うのは、自動車ジャーナリストの竹岡圭さん。かつてジュリエッタを相棒に、全日本ラリー選手権に出場したこともあって、自然とアルファ ロメオには思い入れが強くなってしまうのだとか。
「アルファ ロメオが初めて作ったSUVがステルヴィオ(2018年〜)で、イタリアの有名な峠道から命名しただけあって、走りのテイストがかなりスポーティだった。ボディサイズも大きいし、高級SUVのなかでもかなりの個性派だった。それに比べるとトナーレ(2023年〜)は、より幅広いユーザーに受け入れられるキャラクターだよね。ボディサイズは日本の街中で使いやすいサイズだし、走りもほどよくスポーティ。ファミリーカーとして十分使える広さと快適性を備えている。なによりデザインだよね。アルファらしさがあって、インテリアも含め文句なしにカッコいい」
2019年のジュネーブモーターショーでコンセプトモデルが初公開されたトナーレ。日本に上陸したのは2023年で、電動化シフトを図るブランドを象徴するモデルとして紹介されました。
搭載するパワートレインは2種類。1.5L直4ターボに48Vモーターを組み合わせたマイルドHVの「ハイブリッド ヴェローチェ(160馬力・前輪駆動・7速DCT)」。そして、1.3L直4ターボに加えて前後車軸にモーターを搭載するプラグインHVの「プラグインハイブリッド Q4 ヴェローチェ(180馬力・四輪駆動・6速AT)」です。
「モーターのアシストがあるから、街中のようなストップアンドゴーの繰り返しでもすごく運転しやすい。アルファ ロメオだけど、いい意味で過激さがないから、デザインに惹かれて他メーカーからの乗り換えでも安心して運転できると思うな」とトナーレの走りを分析する竹岡さん。
マイルドHVの1.5Lエンジンには、低速域でのレスポンスと高速側のパワーを両立させる可変ジオメトリーターボが採用されています。一方でプラグインHVモデルは、よりパワフルな走りに加え、72kmのEV走行(WLTCモード)が可能です。
アルファ ロメオ横浜町田の平村副社長によれば、トナーレはユーザーそれぞれが自身の使用環境にマッチするパワートレインが選べるように、デザインの差別化は最小限に抑えているとのこと。ちなみに、プラグインHVモデルの見分け方は給電口のフタくらい。そしてその上方、サイドガラス後端をよく見ると、コンセントを咥えたヘビのデザインが隠されています。これは、イタリアンブランドらしい遊び心ですね。
「トナーレのデザインは見ていてワクワクする。エンジンスタートボタンがステアリングにあるとか、イタリアのブランドだけあっていちいちおしゃれだよね。普段乗りに使うクルマでも、みんなと同じものには乗りたくないという人にぴったりなんじゃないかな」

電動パワートレインを採用する都市型SUV

カーボンニュートラル時代に向けアルファ ロメオが開発したコンパクトSUV。爽快な走りと低燃費、エコ走行を両立する電動化パワートレインを採用している。コンパクトSUVでありながら、イタリアの美意識がみなぎる彫刻的なスタイリングや、アルファ ロメオらしい運転の楽しさを備えているのが特徴。
中古車参考価格帯:430万円〜740万円(23年〜25年 トナーレ 全グレード)

取材協力|アルファ ロメオ横浜町田

東名高速道路の横浜町田ICをはじめ、東急田園都市線南町田グランベリーパーク駅・すずかけ台駅からもアクセス良好な正規ディーラー。大型のショールームには最新モデルが並び、落ち着いた雰囲気のなか商談を進めることができる。認定中古車はデモカーや試乗車だったものが多く、高品質な物件が多いのも特徴だ。
SHOP DATA
住所:東京都町田市小川7-9-22
TEL:042-718-9489
定休日:火曜日、水曜日(祝・祭日を除く)
営業時間: 10:00〜18:00
URL:https://yokohama-machida.alfaromeo-dealer.jp
アルファ ロメオ トナーレの実車をチェック!
【デザイン】イタリアの美意識が伝わってくる彫刻的なスタイル

デザイン上の特徴は、なんといってもアルファ ロメオの象徴である「スクデット(盾)」と呼ばれる独特のフロントグリル。その上にはアルファ ロメオのエンブレムが誇らしげに掲げられています。ブランド初となるマトリクスLEDライトの採用など新しい技術を取り入れる挑戦的な姿勢と伝統的なディテールとの融合がトナーレの魅力といえるでしょう。インテリアもそうで、メーターフードの造形などファンが見ればニヤリとしたくなるアイデアが込められています。

【装備】大型タッチスクリーンなど先進的な装備が充実している

パワートレインは、マイルドHVとプラグインHVをラインアップ。さらに最新モデルらしく、先進安全装備も充実しています。タッチスクリーンは10.25インチでメーターは12.3インチのデジタルタイプ。車載通信モジュールが標準装備で、車載ナビはオンラインを使った検索や駐車場の満空情報なども利用可能。さらに、走りにこだわるブランドだけに、3つのドライブモードを切り替えられる「ALFA DNA ドライブモードセレクター」も搭載されています。

【使い勝手】後席空間や荷室が充実しているためファミリーでもOK

コンパクトSUVだけあって使い勝手のよさはなかなかのもの。ここは従来のアルファ ロメオのイメージを大きく覆します。荷室容量は通常状態でマイルドHVモデルが500L(プラグインHVが385L)で、床の高さが調整できる仕切り付き。さらに全グレードに電動テールゲートが備わります。プラグインHVモデルであれば、自宅周辺の買い物などは電気自動車のように使うことも可能。当然、EVモードは静かなので、早朝深夜に出かける際などにも便利です。

デザインは個性的、使い勝手は万人向き

竹岡 圭 レビュー
デザイン[★★★★★]
アルファ ロメオらしいデザイン、モチーフのちりばめられ方もそうだけれど、どことなく全体的に色気が感じられるというのが最大のポイントだと思います。特にインテリア、運転席からの眺めは、やはり独特のものがあるんですよね。単なるモノではなく、所有する喜びを満喫できる、そんなブランド・デザインです。
装備[★★★★★]
アルファ ロメオというと、どうしてもデザイン先行で見られがちなのですが、じつはいわゆる日常使いのクルマとして欲しい装備などは、すべて揃っているんですよね。ボディサイズもお手頃だし、室内空間、ラゲッジスペースもこのサイズなら納得のいく仕上がり。質感も高く、他人とはちょっと違うものを求めるニーズにはぴったり!
使い勝手[★★★★☆]
見た目とは裏腹に、標準的に使いやすいと思います。惜しむらくは、もう少しパワフルさを前面に出すなど、アルファ ロメオらしい個性強めの元気のよさをアピールしたほうがよかったかも。でもその分、クセが少ないので、初めてイタリア車とお付き合いするという方も、使い勝手がいいと思います。すべてがちょうどイイモデルです。
編集部 レビュー
デザイン[★★★★★]
輸入車に期待するのはほかにはない個性。コンパクトSUVというライバルも多いカテゴリーのなかで、トナーレのデザインはひときわ輝いて見えます。彫刻のような美しい曲面で構成されたエクステリアはもちろん、インテリアもアルファらしさがあり見飽きません。過去の名車から取り入れたディテールを探すのも楽しいです。
装備[★★★★★]
装備の充実は驚くべきレベルにあります。運転支援や安全装備は充実していますし、ナビゲーションシステムの画面は大きくレスポンスも良好。スマホとの連携がワイヤレスなのもうれしいところ。USBポートのような細かい配慮も行き届いています。マイルドHVとプラグインHVでの装備差が少ないのも好印象です。
使い勝手[★★★★★]
コンパクトSUVということで街中での取りまわしにも優れています。さらに、360度カメラも備わっているので狭い場所での駐車も楽に行えるでしょう。テールゲートが電動式なのも日々の使い勝手を高めてくれます。スマホの充電もワイヤレスチャージで楽々。これまでのアルファの常識を覆す使いやすさです。
ライバルモデルをチェック!
プジョー 308

5ドアハッチバックでありながらSUVにも負けないインパクトのあるデザインを採用。装備が充実しているので、スポーティかつ小さな高級車的な雰囲気も味わえます。
中古車参考価格帯:360万円〜500万円(22年〜25年 308 GTハイブリッドのみ)
MINI クロスオーバー(先代)

MINIという抜群のキャラクター性を持つコンパクトSUV。可愛らしいデザインでありながらも性能はクラストップレベル。年式的にナビなどの装備がひと昔前のものとなるのがネック。
中古車参考価格帯:180万円〜450万円(17年〜24年 MINI クロスオーバーSEのみ)