輸入車
更新日:2025.02.18 / 掲載日:2025.02.18
五感を刺激するグランドツーリングカー【アルピナ B3】の歴史といま買いの中古車

アルピナ B3|語り継がれる名車の系譜 vol.50|
文●ユニット・コンパス 写真●アルピナ
※中古車参考価格はすべてグーネット2025年1月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年3月号の内容です)
自分たちが納得のできる品質とサービスを守るため、あえて少量生産にこだわり続けたドイツの伝説的ラグジュアリーカーブランド。
芳醇なワインのように仕立てられたグランドツーリングカー
自動車とワインを愛した創業者の熱意と想い
名前を知っていても、所有はおろか運転した経験すら希少。そんなラグジュアリーカーブランドがある。ドイツのアルピナだ。
年間生産台数は、わずかに1600台あまり。1モデルではなく、ブランド全体でだ。理由はクオリティをキープするため。アルピナが顧客とするのは、運転を愛する、違いのわかるユーザーだからだ。まるで銘醸畑を手がけるワイナリーのような仕事ぶりである。
事実、アルピナは自動車ビジネスと並行してワインビジネスも手がけており、その歴史はすでに40年を越える。ブランド創業者ルカルト・ボーフェンジーペン氏は、クルマと同じくらいワインを愛した。いずれも奥深い魅力を備えるという部分で共通点があるジャンルだ。
アルピナをひと言で説明すると、BMWをベースに独自のチューニングを施したコンプリートカーだ。同じBMWの高性能モデルとしてはMモデルが有名だが、Mがサーキット走行を志向するのに対してアルピナはグランドツーリングカーであることにこだわりを持つ。
アルピナは、本質的にはチューニングブランドでありながらBMWと長年にわたり信頼関係を築いきた。まさに稀有な存在であったが、独立した活動は2025年いっぱいで、2026年からはBMWグループの一員として再スタートする予定だ。
アルピナ B3 GTはこんなクルマ

アルピナのなかでも理想的なモデルに使われる「GT」のネーミングが与えられたモデル。529馬力の最高出力や俊敏さと快適性を兼ね備えたシャシーが与えられている。

3シリーズをベースにしながらディテールにアルピナならではのアイテムを投入。そのテイストはあくまでも控えめ。

アルピナの目指す世界観は、あくまでも公道における高性能と高精度なハンドリングと快適な乗り心地であり、モータースポーツ志向とは一線を画する。
[アルピナ B3が名車になった理由]五感に訴えかける職人的こだわりの数々
BMWのチューニングパーツメーカーが伝説のスタート

1960年代前半にBMW車のチューニングからスタートしたアルピナの歴史。特筆すべきは、アルピナが手がけたクルマにはBMWの保証が適用されたこと。高い品質の裏付けであり、その後もアルピナとBMWは良好な関係を築いた。
ツーリングカーレースで実証された高い技術力

60年代後半からアルピナはツーリングカーレースに参加。1970年には欧州選手権を初め、ヨーロッパ各地でタイトルを獲得。それから1977年の撤退までモータースポーツの最前線で活躍を続けた。アルピナの名声は大きく高まった。
最上級のグランドツアラーを作る専門ブランドへ

モータースポーツ撤退後は高級高性能モデルの担い手として集中。1983年には正式に自動車メーカーとして登録されるている。その後もクラッチレスのMTシステムやAT車でもMTのようにギアを操れるシステムなどを開発している。
速さはもちろん上質なドライビングを味わうクルマ

アルピナの魅力は、ドライビングの喜びを究極的に進化させるところにある。単に速いだけではなく、車両とドライバーが深く対話ができ、要求に正確に反応する。まさに上質なワインを愉しむように運転を味わえるクルマなのだ。
アルピナを象徴する20スポークのアルピナ・ホイール

アルピナを象徴するディテールが、繊細なフィンタイプのアルミホイール。センター部分にはカバーが取り付けられ、ナットを隠すのも伝統。軽さと強靭さを備えたアルミホイールは、1971年からアルピナの足もとを支え続ける。
ディーゼルエンジンやSUVモデルもラインアップ

スポーティセダンのイメージが強いアルピナだが、近年ではSUVモデルもラインアップ。X3ベースのXD3、X4ベースのXD4、そしてX7ベースのXB7を取り揃えている。なかでもXD3は全体での売れ筋モデルとなっている。
新車といま買いの中古車たち
アルピナ B3 GT リムジン

「リムジン」はセダンを表すアルピナの伝統的なネーミング。3シリーズをベースに、パワートレインや電子制御システムを再セッティング。ベースモデルの改良を受け、進化したことで「B3 GT」を名乗る。
新車価格:1650万円(B3 GT リムジンのみ)
アルピナ B3 GT ツーリング

「B3 GT」のツーリング版。機能的にはリムジンと同等。20インチの鍛造ホイールやボディサイドを飾る「アルピナ・デコ・セット」といったアルピナ伝統のディテールを採用している。
新車価格:1720万円(B3 GT ツーリングのみ)
アルピナ B3 ビターボ(先代)

搭載するのは3L直6ターボで最高出力は410馬力とベースモデルから大幅にパワーアップ。独自に最適化した足まわりにブレーキシステムも強化されている。中古車はわずか数台だが流通。
中古車参考価格帯:330万円~400万円(13年~19年 B3 ビターボ 全グレード)
アルピナ B3 ビターボ(先々代)

後期型の「B3S」では専用ピストンを採用することで最高出力410馬力を達成。最高速度は300km/hに到達する快速モデルだ。低年式になっても価格が下がらないのがアルピナの特徴といえる。
中古車参考価格帯:320万円~450万円(07年~13年 B3 ビターボ 全グレード)