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更新日:2024.12.16 / 掲載日:2024.12.16
フェラーリの魂を受け継ぐ【ドゥーデチ チリンドリ】その歴史といま買いの中古車

フェラーリ ドゥーデチ チリンドリ|語り継がれる名車の系譜 vol.48|
文●ユニット・コンパス 写真●フェラーリ
※中古車参考価格はすべてグーネット2024年11月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年1月号の内容です)
フェラーリがフラッグシップモデルとして発表した「ドゥーデチ チリンドリ」。そのネーミングにはフェラーリの思いが込められている。
V12エンジンは、フェラーリの歴史であり、魂でもある
エンツォ・フェラーリが勝つために選んだV12
フェラーリにとってV12エンジンは特別だ。なぜならば、レースでの勝利が何よりも優先するフェラーリを、初めて勝利に導いたのがV12エンジンであったから。
創業者であるエンツォ・フェラーリは、レースで勝つためにパワフルなエンジンを求めた。そこで着目したのがV12エンジンであった。
当時V12は振動の少なさとスムーズさから高級車に使われていたが、レーシングカーに使われた例はなかった。しかしエンツォは、振動が少ないV12であれば、さらなる高回転化の可能性があると考えたのだ。パワー(馬力)は、「トルク×回転数」であるため、同じ排気量であればエンジンを高回転域で使うほどパワーを出すことができる。エンツォの目論見は当たり、フェラーリはレースの世界で一気に頭角を現す。
こうしてフェラーリの強さとV12エンジンは伝説となった。
その後、車両全体での物理的資質に優れるミッドシップがスーパースポーツの代名詞となっても、フェラーリのフラッグシップは基本的にはV12をフロントに搭載している。それが歴史であり、伝統だからだ。
新しく誕生したフラッグシップモデル「ドゥーデチ チリンドリ」。イタリア語で12気筒を示す。
美しいフロントノーズに収まるのは6.5LV型12気筒エンジン。まさに名車の系譜を受け継ぐマシンである。
フェラーリ ドゥーデチ チリンドリはこんなクルマ

「ドゥーデチ チリンドリ」というネーミングの由来は、搭載するV12エンジンのイタリア語読みから。フロントにエンジンを搭載しリアを駆動する。全長約4.7mのサイズを贅沢に使う2シーターモデルだ。

インテリアのデザインは左右対称で、センターにはタッチ操作に対応するディスプレイを搭載。助手席側にもディスプレイが用意される。

ブラック部分はハッチドアで荷室にアクセス可能。オープン版の「ドゥーデチ チリンドリ スパイダー」も存在。
[フェラーリ ドゥーデチ チリンドリが名車になった理由]フェラーリ勝利の歴史が受け継がれたV12エンジン
初めてフェラーリを名乗ったモデルにV12エンジンを搭載

「125 S」は、初めてフェラーリのエンブレムを掲げた記念碑的モデル。市販車ではなくレーシングカーで、その名称はV12エンジンの1気筒あたりの排気量から名付けられている。
V12が勝利を呼び勝利がフェラーリを特別な存在にした

1968年にフェラーリのフラッグシップモデルとして発売されたデイトナこと「365 GTB/4」。ル・マン24時間レースでもクラス優勝した名車のなかの名車。そのデザインは、ドゥーデチ チリンドリにも受け継がれている。
V12エンジンは振動が極めて少ない特徴を持つ

V12エンジンが発明された当初はスムーズさを生かし高級車に数多く採用された。フェラーリは振動の少なさが高回転化、つまりハイパワー化に繋がることに着目。いち早くレースに投入し、数多くの勝利を掴んできた。
市販モデルの最高峰はいつもV12エンジン

フェラーリのV12エンジンは、歴史的にフラッグシップモデルに搭載されてきた。過去にミッドシップレイアウトを採用するモデル(テスタロッサ系)も存在したが、90年代半ば以降は伝統のFRレイアウトに回帰している。
エレガンスとスポーツの究極バランス

フェラーリV12モデルの伝統は、エレガンスとスポーティさの融合にある。グランドツーリングカーとしての快適性も備えており、それは最新モデルの「ドゥーデチ チリンドリ」においても同様。まさに美しきサラブレッドだ。
最先端の技術とフェラーリの伝統をミックス

グランドツーリングカーとしての快適性を備えつつも、デザインテイストはスポーツカーそのもの。センターコンソールのMT風レバーなど、歴史を引用し現代的に解釈したディテールも見事だ。
新車といま買いの中古車たち
ドゥーデチ チリンドリ

2024年に登場したフェラーリのフラッグシップモデル。自然吸気の6.5LV12エンジンは830馬力を発生。0-100km/h加速は2.9秒、最高速度は340km/hと公表される。
新車価格:5674万円~6241万円(ドゥーデチ チリンドリ 全グレード)
812 GTS

812スーパーファストのオープンモデル。フロントにV12エンジンを搭載するオープンカーは、1969年の「365 GTS4」以来50年ぶり。中古車市場の物件は多くがプレミアム価格をつける。
中古車参考価格帯:6500万円~7200万円(19年~23年 812GTS 全グレード)
812 スーパーファスト

最高出力800馬力を発揮する自然吸気の6.5LV12エンジンをフロントに搭載。車齢を重ね後継モデルが登場したことで中古車市場にも物件が出回り始めた。認定中古車も存在している。
中古車参考価格帯:4300万円~5500万円(17年~22年 812スーパーファスト 全グレード)