輸入車
更新日:2024.12.12 / 掲載日:2024.12.12
人気中古車実車レビュー【フォルクスワーゲン Tクロス】小さくても頼れる万能SUV

[フォルクスワーゲン Tクロス]自動車ジャーナリスト 竹岡 圭と巡る人気中古車実車レビュー
文●竹岡 圭、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、MINI、ルノー
※中古車参考価格は2024年11月グーネット調べ。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年1月号の内容です)
試乗レポートではわからない、身近でリアルな使い勝手を実車を取材してレビューするのが、「人気中古車実車レビュー」。デザイン、装備、使い勝手をレビューしつつ、中古車相場についても中古車販売店に取材し掘り下げます。
Profile:自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもお馴染みの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーにも参戦経験を持つ。2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
輸入SUVランキングのトップを3年連続獲得
今回チェックするのは、フォルクスワーゲンのラインアップで最もコンパクトなSUV「Tクロス」。取材させていただいたのは、2021年登録の「TSIスタイル」で、走行距離は9000km、販売価格は250万円となっています。
実車チェックを行う自動車ジャーナリストの竹岡圭さんは、現在もシロッコRとポロGTIを所有するVWユーザーでもあります。
「Tクロスの日本導入は2019年11月。ちょうどそのときはコロナ禍で、話題としてはちょっと隠れる形になっちゃった。それでも実質的なデビューイヤーの2020年から2022年まで、3年連続で輸入SUVカテゴリーで登録台数ナンバーワンを獲った。2023年は2位だったんだけど、そのときのトップは兄貴分のTロック。VWによれば順位入れ替わりの理由はマイナーチェンジ前で登録台数を絞ったからだって。しかもなんと、カテゴリー内のシェア率は約25%! 凄い人気だよね」
VWは、Tクロス、Tロック、ティグアンと3モデルのSUVを販売中。日本だけでなく世界各国でも人気を集めていて、いまやブランドの屋台骨を支えるシリーズになりました。
Tクロスのキャッチコピーは『TさいSUV』で、全長4140mm、全幅1760mm、全高1580mm(TSIスタイル)と日本の道路事情にマッチするサイズ感が人気の理由。
「それでいて後席や荷室も使える大きさだからファミリーカーとしてもまったく問題なし。アイポイントも高めで、狭いところでも運転しやすいのもいい。それに、サイズだけじゃなくて、すごく使いやすくて、しっくりくるんだよね。これはVW車に共通するよいところで、乗れば乗るほど納得するというか、『ここまで考えてるんだ!』という発見がある。だから私は、VWは〝スルメカー〟だって説明する(笑)」
たとえばTクロスでは、無駄のない空間設計による大きくて使いやすいラゲッジルーム、疲れにくいシート、運転しやすさと低燃費を両立させたメカニズム、充実した運転支援装備などが魅力だと竹岡さん。
「日本車と比べてトラブルを心配するかもしれないけど、私は同じ世代のメカニズムを採用しているポロGTIで全日本ラリーに参戦した経験があるのね。普通では考えられないくらい厳しい条件で走らせたのに、DSGはトラブルが起きなかった。もう1台持っているシロッコRもそう。全然壊れないし、もうお気に入りすぎて、買い替えるタイミング逃しちゃった(笑)」
そんなTクロスは、2024年に初めてのマイナーチェンジを受けています。エクステリアデザインが新しくなり、ダッシュボードの素材が柔らかくなるなどインテリアの質感がアップ、運転支援システムも改良されていて、同一車線をキープする「トラベルアシスト」が全車で標準装備になりました。
「もちろんマイナーチェンジでいろいろなところが改良されているけど、基本的なところはデビューから変わってない。それだけ完成度が高いんだよね。というか、よいクルマだから売れてる。さすがだよねTクロス!」と竹岡さん。Tクロスは、まさにSUV界の小さな巨人です!

国産から乗り換えるユーザーも多い

フォルクスワーゲン草加のセールススタッフである鈴木さんによれば、Tクロスは、手頃なボディサイズと価格に加えて、ボディカラーの色合いもユーザーから支持を集めているとのこと。売れているクルマだけに中古車も豊富。人気モデルだけに新車からの値落ちは少ないものの、リセールの良さにも期待できます。
中古車参考価格帯:215万円〜350万円(19年〜24年 Tクロス 全グレード)

取材協力|VOLKSWAGEN草加

東京外環道草加I.C.から東京方面に向かう4号バイパス沿い、都内からも埼玉方面からもアクセス抜群な「フォルクスワーゲン草加」。店舗は道路に面して幅が広く、わかりやすさ、入りやすさも抜群。認定中古車展示場が新車ショールームと隣接しているため気軽に立ち寄れます。サービスワークショップも併設でサービス面も安心です。
SHOP DATA
住所:埼玉県草加市谷塚町1986
TEL:048-925-2222
定休日:月曜日、第1・第2火曜日、年末年始
営業時間: 10:00〜19:00
URL:https://www.vw-dealer.jp/top.do?dlr=vw_soka
フォルクスワーゲン T-CROSSの実車をチェック!
【デザイン】正統派のSUVスタイルは空間効率に優れる

飽きのこないシンプルな内外装デザインを採用しているTクロス。注目は、SUVのなかでも箱型に近いプロポーションを採用していること。その理由は、小さいサイズボディと使い勝手のよさを共存させるため。特にCピラー(ボディ後ろ端の柱)の角度を垂直に近づけたことで、ラゲッジルームの容量を最大限確保しています。455Lの荷室容量は、ひとまわり大きなボディを持ちながら、Cピラーを寝かせたクーペスタイルのTロック(445L)よりも大きいのです。

【装備】運転支援も搭載。高年式モデルほど装備は充実傾向

VWで最も小さいSUVでありながら装備は充実しています。クルーズコントロールは全車速に対応。自動ブレーキや死角をサポートする機能も搭載。純正ナビはインターネットに接続するタイプでスマホにも連動します。2020年12月の一部改良でデジタルメーターや改良型のナビシステムを全車に搭載。また、2021年9月の改良で運転支援システムがアップグレード。2024年10月のマイナーチェンジで内装の品質感がアップし、運転支援システムも改良されました。

【使い勝手】ファミリーカーとして十分に活躍する後席と荷室

空間効率をとことん追求したスタイルを採用することで、想像以上に使い勝手は良好。ラゲッジルームの容量は、455Lから最大で1281Lまで拡大可能となっています。さらに、床の高さが二段階に調整可能なので、鉢植えのような高さのある荷物も積み込めます。コンパクトなボディサイズと高めの着座位置、そして広々とした視界のおかげで、運転のしやすさは抜群。パッケージオプションによっても使い勝手は高まりますので、中古車を選ぶ際には確認してください。

日々の生活にレジャーに使い勝手のいいSUV

竹岡 圭 レビュー
デザイン[★★★★★]
ゴツすぎなくてSUVらしいオーソドックスなデザインなので、どんなライフスタイルのユーザーにも似合いそう。ボディカラーが豊富なのもうれしいポイント。運転席からの視界もバッチリで普段使いには本当に便利! エクステリアもインテリアも作り込み品質感はVWらしく、クラスのなかでもずば抜けています。
装備[★★★★★]
パッと見て感覚的に使い方がわかるVWのインテリアデザインを受け継ぎつつ、SUVに必要な小物入れ等もしっかり装備しています。取材した車両は初期型でエアコンの操作がダイヤル式。やっぱり物理スイッチは使いやすくて◯。マイナーチェンジ後はタッチ式で、慣れればいいんでしょうけど、私はダイヤルが好き。
使い勝手[★★★★★]
このボディサイズからは想像できないほど、後席は前後にスライド式で荷物もたっぷり積めて、使い勝手は抜群! ヒップポイント(座面の高さ)もちょうどよくて、乗り降りするときに腰を大きく動かす必要なし。街中で使うクルマだからこそ、乗り降りしやすいのは大事。だからTクロスは機動力も高い!
編集部 レビュー
デザイン[★★★★★]
老若男女を問わず似合うクリーンで質感の高いデザイン。コンパクトカーのなかには、ハッチバック車の車高をわずかに上げたクロスオーバータイプも存在します。ですがTクロスは、樹脂製のフェンダーアーチやバンパーガードなどSUVらしいディテールを採用。それでいて威圧感はなく街中に溶け込みます。
装備[★★★★★]
かつてコンパクトカーは装備が簡素なのは当たり前でした。ですがTクロスは上級モデルと同等の装備を用意。もちろんすべてが標準装備ではなく、パッケージオプションという形で提供。中古車を購入する場合、車両の価格だけでなく、どのようなパッケージオプションが装着されているのか要チェックです。
使い勝手[★★★★★]
全高が1550mm以上あるため一部の立体駐車場には入庫できません。しかしその分、頭上空間にもゆとりがあるし、最低地上高が確保されているので、段差などを気にせず扱える気楽さがあります。後席は前後にスライドし、背もたれも前にたためるので、同乗者の数や荷物によってアレンジ可能。細部まで手抜きなしです。
ライバルモデルをチェック!
MINI クロスオーバー(先代)

MINIファミリーのSUVは、小型車であってもプレミアム的な立ち位置。人気モデルで、2024年に新型にフルモデルチェンジしたこともあり、中古車は台数が豊富に揃っています。
中古車参考価格帯:165万円〜560万円(17年〜23年 クロスオーバー 全グレード)
ルノー キャプチャー

フランス車らしい美しさとたくましさを両立させた秀逸なデザインが魅力。輸入車ではめずらしいフルハイブリッドもラインアップしています。中古車は台数が少ないのが残念。
中古車参考価格帯:210万円〜400万円(21年〜24年 キャプチャー 全グレード)