輸入車
更新日:2024.07.17 / 掲載日:2024.07.17
メルセデス・マイバッハ Sクラス 伝統のV12を現代に継承する“究極のラグジュアリー”

メルセデス・マイバッハ Sクラス|語り継がれる名車の系譜 vol.43|
文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・マイバッハ
※中古車参考価格はすべてグーネット2024年6月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年8月号の内容です)
メルセデス・ベンツのサブブランドとして、2015年に立ち上げられたメルセデス・マイバッハ。歴史を知れば知るほどに、その名が備える重みを知ることになる。
ラグジュアリーを超えた威厳ある名前
メルセデスの誕生に貢献したエンジン技師
19世紀後半、内燃機関を搭載する自動車を発明したメルセデス。そのストーリーに大きく貢献したのが、エンジン設計のスペシャリストであるウィルヘルム・マイバッハだった。
自動車を生み出したマイバッハは、次なる夢である空の世界に挑むためにメルセデスを去る。目的は、ツェッペリン伯爵による飛行船に自身のエンジンを搭載することだった。
当時、飛行船は最先端のモビリティであり、世界一周旅行にも使われた。
こうして技術力の高さを証明したマイバッハは自動車の世界に凱旋。自身のブランド、マイバッハとして超高級車を市場に投入する。そのエンジンこそ、まさに飛行船に採用されたのと同じV12エンジンであった。
その後、マイバッハの名前が登場したのは21世紀となって2002年。メルセデスが超富裕層をターゲットにした新モデルを開発し、伝説の名前を復活させたのだ。セダン型のそれは、ボディの長さから「57」(570mm)、「62」(620mm)と名付けられた。
そして2015年、マイバッハはメルセデスのサブブランドという位置づけで「Sクラス」を投入。ある意味で究極のベースモデルを手に入れたことで、その完成度は圧倒的なものとなり、世界で6万台近く販売されるなど商業的にも成功した。
もちろん、現行モデルにもV12エンジンは用意される。それが彼らのプライドなのである。
メルセデス・マイバッハ Sクラスはこんなクルマ

Sクラスをベースにしているものの、その全長は5470mmと大幅に拡大されている。パッケージングはもちろん後席での快適性を高めたもので、ファーストクラスの快適さを提供する。

革新的なインフォテインメントシステムを搭載。あらゆる箇所が電動で調整可能で、冷蔵庫やマッサージ機能も備える。

マイバッハは単なるSクラスのストレッチではない。客室は専用構造を採用。後部ドアはより開けやすく設計されている。
[メルセデス・マイバッハ Sクラスが名車になった理由]究極のエンジン、究極のラグジュアリーを追及
マイバッハの開発したエンジンは陸と空を制覇した

内燃機関の専門家として創世記のメルセデスを支えたウィルヘルム・マイバッハは、ツェッペリン伯爵とともに飛行船の開発に邁進した。それがかの有名なツェッペリン号だった。長男で後継者であるカール・マイバッハ(写真)は、自動車づくりに挑戦。マイバッハ・ツェッペリンは、戦前を代表する超高級車として歴史に名を遺した。
ドイツを代表する究極の高級車メーカーだった

1921年のベルリンモーターショーで発表された「マイバッハ 22/70 HP W 3」。そのキャッチコピーは「最善の中の最善をお届けする」というもの。最高峰の技術と装備を備え、その顧客も王族や国家のリーダーなど頂点だった。
マイバッハのターゲットは富裕層のさらに上

現在ではメルセデス・ベンツのサブブランド「メルセデス・マイバッハ」として展開される。その世界観は写真のように大型クルーザーを所有するような超富裕層だ。ラインアップはセダンとSUVで、構成されている。
通常のメルセデスと一線を画す別格のステータス

ベースモデルの2倍以上のプライスを掲げるマイバッハ。それだけに、塗装やグリル、ホイールといったディテールがさらに高品質なものとなり、カスタマイズ性も高い。まさに別格のステータス性を身に着けている。
ファーストクラスの品質を備えたリアシート

メルセデス・マイバッハの特徴となるのが、圧倒的な快適性を誇る後席。車体のパッケージング自体が後席の居住性を優先したものとなり、シートや周辺の装備は航空機のファーストクラスをイメージさせるものとなる。
内外装の仕上げを担当するのは熟練のマイスターたち

量産車でありながらも、内装の仕立ては職人の手仕事がふんだんに用いられる。使われるマテリアルやそれらの組み合わせも、自動車というよりも工芸品のレベルに到達している。
新車といま買いの中古車たち
メルセデス・マイバッハ Sクラス

現行モデルは車体構造を専用としてさらに快適性やスタイリングの特別感を追及。電動開閉式のリアドアやアクティブロードノイズキャンセリング機能など、Sクラス以上の装備を採用する。
新車価格:3219万円~3665万円(Sクラス 全グレード)
メルセデス・マイバッハ Sクラス(先代)

Sクラスをベースにホイールベースを延長し、リアドアに三角窓を備えるなど上質なスタイリングとした。4.7LV8ツインターボの「S 550」と6LV12ツインターボエンジンの「S 600」が存在。
中古車参考価格帯:750万円~1600万円(15年~21年 Sクラス 全グレード)
マイバッハ

独立ブランド時代の作品。車名はブランド名同様マイバッハで、グレード名が全長を示す「57」、「62」。世界限定99台、1億4200万円の「ランドレー」などが発売された。
中古車参考価格帯:1000万円~3000万円(02年~13年 マイバッハ 全グレード)