車の歴史
更新日:2020.01.29 / 掲載日:2020.01.29
SUNNY 1200GX-5 (B110) 【2】

TSレースで常勝のトヨタ勢を撃破!
日産のミニマムレンジの担い手となった2代目サニーは走りのよさが際立つモデルであった。B110がデビューした1970年は前年にスカイラインGT-Rがデビューするなど、高性能なクルマに人気が集まる、そんな時代でもあった。当時、高性能をイメージさせるアイテムとしては直列6気筒やSOHC、さらにはDOHC、多連キャブレター、4輪独立懸架などがあったが、B110についていえば、GX-5やGXがツインキャブを採用するのみ。いわゆる大衆車だけに実用性が最優先されていたはずなのだが、走らせてみると思いの外キビキビとよく走ったのである。これは感覚的な話ではなく、モータースポーツでの活躍を見れば明かだ。当時のツーリングカーレースの頂点がスカイラインGT-Rが活躍した特殊ツーリングカー、いわゆるTSクラスだったが、その1300以下のクラスにB110は参戦している。TS1300クラスはそれまでトヨタのカローラ&パブリカが常勝を誇っていたが、東名自動車がB110をベースに車両を作り上げ参戦し、見事パブリカ&カローラ勢の牙城を崩し、瞬く間にエントリー車両のほとんどがB110となったのだ。トヨタはレース用のDOHCのシリンダーヘッドを投入し対抗したが、性能的に圧倒的な大差をつけられず、増殖したB110勢を駆逐できないままTSレースからは撤退。サニーはTS用に改造が施されているとはいえ、OHVのままでワークス仕様のDOHC4バルブヘッドと同等の速さでB110はレースできるポテンシャルを有していたのだ。市販車のスペックこそ大衆車然としたものであったが、素の状態でもTSレースでの強さを感じさせる走りのよさが、多くの本気系走り好きの心をとらえることとなる。
ローバックとなるシフトパターンがGX-5の証し
メーターは3眼式。左がタコ、中央がスピード、そして右が上に水温計、下に燃料計を配置し、オイルとハイビーム、チャージの警告灯を組み合わせた連成計となる。中央の液晶はサイクルコンピューターで速度と時計を表
センターコンソールの前端、シフトレバーの前側には、大型のアナログ時計がレイアウトされている。その右側にはオーナーの鈴木さんによりレーシングメイトの油温計、スミスの油圧計などが増設される。
メインスイッチは、ハンドルロックが備わりハンドルコラム右側にレイアウトされる。キーはLOCK→GARAGE→ON→STARTの表示があり、表示される文字は異なるが、一般的なものとなっている。
シフトレバーはフロアシフト。ノーマルのGX-5は左上がバックとなるH型シフトパターンを採用するが、鈴木さんのGX-5は右下がバックとなる。そんなシフトレバー後方にサイドブレーキレバーが配される。
ABCペダルは前輪のホイールハウスを避けるようにやや左よりにオフセットされている。ちなみにノーマルではアクセルペダルがオルガン式となるが、オーナーの鈴木さんの好みで通常のタイプのペダルに変更。
シートは他車種用の流用で使い勝手を向上させる
フロントシートはノーマルではブラック一色のバケットタイプが標準となるが、日常の使い勝手などを重視して現代の軽自動車のノーマルシートを流用している。ブラックの表革に赤いパイピングが施されたシートは、GX
リヤシートは現在白い布製カバーが付いているが、今後自作の表革を作って張り替える予定だそうだ。
ドア内張りは現代のクルマと比べると非常にシンプルな構成。レギュレーターハンドル、ドアハンドル、それらからドアノブだけの非常に簡素なもの。ドアロックのつまみはドア後方の上部に備わる。
2ドアの4(5)人乗りが多かった時代にはよく見かけたが、エアコンが付く現代のクルマではなかなか見ることがなくなったチルト式ウインドウを採用。そのリヤウインドウの上にはアシストグリップが備わる。
ルーフはブラックレザーの天張りで覆われる。ピラー部もしっかりと内張りが備わり、鉄板がむき出しとなっている部分はない。室内灯は丸形のものが天井の中央部にレイアウトされている。
まだプルタイプがメインのスイッチまわり
インパネ中央部は、2段構成で上段右がシガーライターソケット、上段左がラジオ、下段右がチョーク、下段左が空調用のレバーとなる。
メーター右側のプルタイプのスイッチは上がワイパー&ウォッシャー、下がスモール&ヘッドライト。
ウインカーレバーはコラム右側に付く。先端はパッシングスイッチ。
ハンドルコラム上にはハザードと、左右別となるパーキングランプのスイッチを設置。
エアの吹き出し口にあるプルレバーは外気導入の切り替え。