車の歴史
更新日:2020.01.29 / 掲載日:2020.01.29

SUNNY 1200GX-5 (B110) 【1】

カローラのライバルとして1960~1970年代の日産の小排気量クラスを担ったのがサニー。その2代目として登場したのが今回のこのページの主役となるB110型だ。カローラを意識した「隣のクルマが小さく見えます」というキャッチコピーが示すとおり、1.1Lのカローラよりも大きな1.2LのA12型エンジンを搭載。このA12型エンジンはB110やB310サニーの特殊ツーリングカーレース(TS)にも用いられたエンジンで、今でも名機と謳われている。今回レポートする車両は、そんなTSレースなどモータースポーツ色の強いクーペのGX-5となる。

小排気量車らしからぬ美しいクーペボディ

1970年当時の日産のコンパクトカークラスを担っていたサニー。先代となるB10と全長はほぼ同じプラス10mmとなるが、全幅は50mm、全高は45mmそれぞれ拡大された。ライバル、カローラとの販売合戦に打ち勝つべく、ボディサイズも大型化が図られたものと思われる。ちなみにGX-5のクーペボディはいわゆるハッチバックではなく、リアウインドーは固定で、セダン同様にトランクが備わる構造となっている。

Dimension

  • 全高:1240mm、前輪トレッド:1390mm

  • 全幅:1495mm、後輪トレッド:1245mm

  • 全長:3830mm、ホイールベース:2300mm 、車両重量:710kg

ライバルにしてやられた“プラス100ccの余裕”

 サニーという車名のクルマが世に生まれたのは1966年のこと。兄貴分のブルーバードが排気量を上げひとクラス上に昇格したことで、日産の1000ccクラスの小排気量モデルを担うべくサニーがデビューすることになる。

 初代サニーは、3代目のB310まで搭載された日産の主力小排気量エンジンとなるA型のルーツとなるA10を搭載するモノコックボディの2ドアセダンとして登場し、その後4ドアセダンや2ドアクーペが追加されていった。セールスのほうは順調であったのだが、サニーのライバルとして登場した初代カローラが1100ccエンジンを搭載し、「プラス100ccの余裕」というキャッチフレーズを採用。それにより対カローラとの販売台数競争においては予期せぬ苦戦を強いられてしまうこととなったようだ。

 そんな初代サニーでの苦い経験(?)を開発に活かし生まれてきたのが、今回レポートする2代目サニーとなるB110型だ。排気量の差を突かれた日産は、A10型の排気量を1.2Lへと拡大したA12を2代目サニーに投入する。A12は単にA10の排気量を拡大したというものではなく、エンジンの根幹ともいうべきクランクシャフトの支持ベアリングの数をA10の3ベアリングから5ベアリングに変更。より高回転が可能なエンジンに作り替えて再デビューさせたのだ。とはいえカローラに搭載されたK型エンジンは初めから5ベアリングだったので、ある意味後追いでの対応とはなるのだが……。

 そんな1200ccのエンジンを搭載したB110サニーが採用したキャッチフレーズは「隣のクルマが小さく見えます」というもの。もちろんこれは初代カローラの「プラス100ccの余裕」に応戦したものなのは、誰の目にも明らか。

  • 丸目2灯のヘッドライトが備わるB110サニーのフロントマスク。グリルは前期と後期でデザインが異なるが、GX-5は1972年8月に登場するので、GX-5のグリルはご覧の形状のみとなる。

  • ワイパーは、一般的な右スイングタイプを採用。そのワイパーアームの付け根となるカウルトップには、樹脂製のダクトが左右2か所に配されている。今では見られなくなった外観上の特徴となる。

  • ミラーは当然ながら当時の法規制に合わせたフェンダーミラーを採用。そのミラーの形状はいわゆるスポーティな車両に採用された砲弾形となる。これはGX-5専用ではなくGX系の専用装備だ。

  • 上級の510ブルーバードは三角窓を排していたが、それよりも後となる1970年にデビューした弟分のB110サニーにはまだ三角窓が健在だった。窓枠に対して三角部の面積は意外と小さなサイズとなっている。

  • リヤのコンビネーションランプはウインカー、スモール、ストップ、バックランプが一体となるデザイン。ダックテール形状のリヤスポイラーの右端には、GX-5 SPEEDのエンブレムが装着されている。

  • ハッチバックではないがトランクはクーペボディながらそこそこの容量を誇る。さらにリヤシートの背もたれを前方に倒すことでトランクと車室が繋がる、いわゆるトランクスルーとし、長物の収納も可能。

  • フロントフェンダーから伸びる赤と黒のストライプはGX系の専用装備。そのストライプの後端、リヤフェンダーのドアとホイールアーチの間には、室内からのエアアウトレットが2つ配置される。

  • リヤフェンダーの後端部、プレスラインの上にはサニー1200GXのエンブレムが入る。これはGX-5専用ではなく、4速のGXも同様。右側にはプレスラインよりも低い位置にフューエルリッドが備わっている。

  • リヤウインドウには懐かしの有鉛のステッカーがしっかりと残されている。レプリカなどではなく、当時のものをそのまま残しているものだそう。その傍らにはナビゲーションシステム用のGPSアンテナを設置する。

実は豪華仕様? GX-5専用装備

GX-5専用となる外装の装備を紹介しよう。まずはリヤウインドウの熱線。1980年代以降の車両であれば珍しくもないがB110サニーではGX-5だけに採用された装備となる。それからトランクリッドの裏側にはなんと内張りが付く。GX-5がレースベース車ではなく豪華装備に振ったグレードだということがよく分かる装備のひとつとなる。それと同じように、リヤのコンビネーションランプの間にはガーニッシュが設けられる。

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グーネットマガジン編集部

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