車の歴史
更新日:2019.11.29 / 掲載日:2019.11.29
DATSUN 70 BLUEBIRD 1800 SSS(H510)【3】


※(カッコ)内はレギュラー仕様
OHVが全盛の1960年代に高性能なSOHCを投入

搭載されたエンジンは、今でも旧車のエンジンとして高い人気を誇るL型エンジンだ。スカイラインやフェアレディZなど多くの日産車に搭載されたL型6気筒エンジンの4気筒版が搭載された。こう書くとL型6気筒のほうが先と思われるかもしれないが、実は先にL型4気筒が510ブルーバードに登場している。
ターンフローのSOHCということで、今の感覚では旧車らしいレイアウトを持つエンジンのように感じる。しかし登場時となる1960年代は、カムがブロック側に存在するOHVが一般的だったので、カムがヘッドに組み込まれる高性能なヘッドを有するエンジンだったのだ。 そんなL型4気筒の1.3L、1.4L、1.6L、1.8L版が510ブルーバードには搭載された。1.6Lと1.8LにはSUツインキャブを組み合わせたSSS専用エンジンを採用。共に高圧縮のハイオクガソリン仕様とレギュラーガソリンの低圧縮仕様が用意されている。ちなみにここで紹介している1800SSSは、ハイオク仕様の510ブルーバードの中では最もハイパワーな115PSとなる。
ちなみに圧縮比はピストン形状によって変更されていた。高圧縮仕様のエンジンにはピストンのトップ部がフラットな形状となるピストンが組み込まれている。対して低圧縮仕様のピストンはトップ部が抉られたディッシュ形状のものとなっている。その容積分、圧縮比が低くなっているのだ。
キャブはSU型をツインで装着するのはSSSだけ。スポーツグレードのキャブはソレックスなどが有名だが、可変ベンチュリーでフレキシビリティに優れるSU型はセダンである510には最適なキャブといえる。
燃料ポンプはシリンダーヘッド前端に付く機械式のものが標準となる。電磁ポンプに替えてしまう人も多いがオーナーの石川さんは、トラブル知らずの機械式ポンプにこだわる。
機械式の燃料ポンプと共に、オーナーの石川さんがこだわっているのがポイント式点火。メーカーでも点火系はメンテナンスフリーのフルトラなどに進化するが、あえてポイント式をキープする。
ラジエーターは数年前の車検時にヒーターコアと共に新品に交換されている。冷却性能を高めるためにシュラウドが付くが、これは純正部品ではなく、アフターマーケットのFRP製となる。
マフラーは今や貴重な純正品。錆びて穴が開いてしまわぬように、石川さんは510に乗る際、中途半端な距離は走らず、マフラーが高温になるまで走って、内部の水蒸気を残さないなどの工夫をしているそうだ。
ボンネットの支持棒はボンネット連動するタイプを採用する。ボディ側の支持部にはスプリングが組み込まれ、ボンネットの開きに合わせて指示棒を跳ね上げてくれるという仕組みだ。
4速ながらクロスレシオを搭載
デフはR160型。ドライブシャフトは510のウイークポイントでもある。ジョイントなどにガタが発生しやすいようだ。
プロペラシャフトは両端に付くユニバーサルジョイント以外は支持部を持たない1本構造となっている。

SSS用のミッションは通称ポルシェサーボシンクロを備える4速となる。1600SSSと1800SSSでギヤレシオが変更されていて、1600はワイド、1800はクロスなギヤ比の設定だ。ちなみに1800に採用されたギヤレシオは1600用のレース用オプション1と同じとなる。
オーナーの石川さん曰く、回転差のある時にシンクロ効果を発揮するものの、回転差が少ない時にはその効果が薄れるポルシェシンクロはシフトチェンジの練習にピッタリとも。
「特別な作業はしてないね。強いていえば、車検や12か月点検をしっかりするのが壊さない秘訣かな」

◆ 車両主治医 鈴木初雄さん がれぇじアルティア
埼玉県の久喜にあるがれぇじアルティアは昔から510を得意とするショップとして知られている。その代表である鈴木さんにメンテについて伺うと、「510だからと特別な整備はいらないかな? 車検時や、できれば12か月点検までしっかりやって、不具合があれば直すのが基本だよ」とのこと。
「でもオイルは重要。石川さんの510にも入れているけど、ミッションやデフにオメガ690を入れると調子もよくなるし、トラブル防止にもなるはずだよ」