中古車比較・ライバル車対決
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2018.11.07
LEXUS ES vs TOYOTA カムリをガチ比較して見えてくるトヨタのプレミアム

TOYOTA カムリ●価格帯:329万8320~434万1600円
LEXUS ES ●価格帯:580万~698万円
走りの方向性は極めて近いが静粛性に大きな差がある
ESを語る上で切っても切れないのが「トヨタ・カムリ」の存在だろう。そもそも、1989年に登場した初代ESは2代目カムリプロミネントをベースに、内外装をレクサスに仕立てたモデルだった。2代目以降は基本コンポーネントこそ共通ながらも、独自の内外装やハンドリング、快適性、静粛性などが盛り込まれているが、どこか高級なカムリが拭えなかったのも事実。7代目はどうなのか?
エクステリアは若干プロポーションは似ているが、ミニLSのようなスタイルのESに対し、スポーティなキャラクターのカムリと、印象は大きく異なる。
インテリアはESがレクサス共通の水平基調のインパネ&リモートタッチを採用しているのに対し、カムリはスポーティ&質感が高められているが、いわゆるオーソドックスなトヨタレイアウトで、エクステリア以上の差がある。さらにESは先代LSの標準車に迫る2870mmのロングホイールベースを活かした、後席居住性の高さもポイントと言えるだろう。
パワートレーンは、共に日本仕様は2.5Lダイナミックフォースエンジン+モーターのハイブリッド一本と共通。どちらもこれまでのハイブリッドと違う力強さと自然なフィーリングが特徴だが、決定的な差は静粛性。ESは従来型でも静粛性にこだわっていたが、新型はLSの開発で培った技術をフィードバックすることで大幅に向上。車内での会話明瞭度を含めて、カムリと比べると明らかに一クラス上だ。
ハンドリングはどちらも正確性の高いステアリング、操作に忠実な応答性、安心感のある素直な直進性とハンドリングのバランスと言った基本素性の良さは共通ながら、各々の味付けは明確に違う。
ESは運動性能の高さを声高らかにアピールしない内に秘めた乗り味で、どちらかと言うと”やさしさ“が特徴。レクサス共通の「スッキリと奥深い走り」を最も表現できていると思う。ただし、新設定のFスポーツは、ESの世界観を損なわずに“走りの良さ”を明確に打ち出している。
対するカムリは、これまでの無味無臭なイメージから一転。セダンとしての快適性をシッカリ確保しながらも、ハンドリングは「おまえはスポーティセダンか!」と思わせるような味付けに仕上がっている。
ESとカムリ、見た目はもちろん走りもキャラクターも含めて、しっかりとレクサス/トヨタの独自の味が備わっている。
パッケージ比較
カムリ【全長:4885~4910mm】カムリもスポーティ志向を強化した“WS”グレードを追加するなどバリエーションを強化。スポーツセダンとしての魅力も高めてきている。
ES【全長:4975mm】シャシー性能が向上したこともあり、新型ESはスポーツグレードのFスポーツも新規設定。走りを意識したキャラクターが大幅に強化されている。
カムリ【全長:1840mm】
カムリ【全高: 1445mm】
ES【全長:1865mm】
ES【全高:1445mm】
共に最新のGA-Kプラットフォームを採用しているが、新型ESはカムリより格上の北米アバロン用をベースに開発されている。そのためホイールベースは異なっており、ESのホイールベースは2870mm、カムリのホイールベースは2825mmとなっている。
キャビン比較
カムリ
ES
カムリにも本革仕様は用意されるが、新型ESの本革と比べると、1ランク落ちるのは否めない。サイズはかなり近いが、基本設計を含めた静粛性や車格感では、明らかに差があるのは事実だ。
染料と顔料を用いて仕上げるセミアニリン本革など、厳選された素材がふんだんに使われるキャビンは、まさに高級車にふさわしい。バージョンLはリヤシートにも電動リクライニング機能が備わる。
キャビンは、新型ESとカムリの差が決定的に出てしまう部分。現行カムリも素材感を高めるなど質感向上を売りとしているが、それでもレクサスと戦うには力不足。シートもダッシュまわりも加飾も、明らかな差を感じてしまう。
パワートレーン比較
カムリ
ES
共にパワートレーンは2.5L直4+モーターのハイブリッド。最新仕様のTHS-IIであり、178PS/22.5kg・m(エンジン)+88Kw/202N・m(モーター)と共通のスペック。スペックの数値を見る限り、両車の動力性能は互角だろう。
装備比較
【カムリ】カムリのナビは、通信機能対応のTコネクトナビだが、残念ながら全車OPでの設定。最新のITSコネクト機能にも対応していない。
【ES】カムリにも最新のセーフティセンスが搭載されているが、強力な運転支援機能LTAは未搭載。先進安全装備は、新型ESが大きくリードしている。
利便系装備はカムリも充実しているが、最先端技術や贅沢さが注がれる上級装備で差が出てきてしまう。車両価格に差があるため、当然の結果なのだが、ここは想像以上に大きな差がある。
【歴代ESヒストリー】レクサスの屋台骨を支えるベストセラーの強さに迫る
実はESは、LSと共にレクサスブランド誕生の当初からラインナップしている最重要モデル。近年は北米のみならずアジアでも人気が高い世界戦略車でもある。ここではそんなESの歴史を振り返ってみよう。
【初代】1989~1991
1989年のレクサス立ち上げ時にLSと共に導入された初代は、FFレイアウトを活かした広大なキャビン空間と信頼性の高さで人気を獲得した。生産期間は2年。パワートレーンは2.5L・V6を搭載している。
【2代目】1991~1996
北米のデザインスタジオCALTY社の手によりデザインされた2代目は、洗練されたスタイリングが評価され、北米でのレクサスの成功を決定づけた。日本でもウインダムとして販売されている。
【3代目】1996~2001
デザインはキープコンセプトだが、ボディの車両剛性は大幅に向上。ブレーキ&エンジン制御のVSCや衝突安全ボディ「GOA」の採用、エアバッグの標準化など、走行性能と安全性が大きく高まっている。
【4代目】2001~2006
3代目までのハードトップボディからオーソドックスなセダンボディに一新。防振材や内装素材のアップデートなど、乗降性や居住性を重視した設計が強まった。なおウインダムはこのモデルが最後となった。
【5代目】2006~2012
「カーデザインをアートにまで高まる」という、LEXUSのデザインフィロソフィー「L-finesse」に基づくデザインを採用。北米での年間台数が10万台を超えるなど、LEXUSの中核モデルとして君臨。
【6代目】2012~2018
スピンドルグリルなど次世代LEXUSデザインを投入。プラットフォームはカムリから1サイズ上のアバロンベースとなり、大型化も図られた。プリクラッシュブレーキなどの先進装備の充実も見所。