中古車購入チェックポイント
更新日:2020.06.10 / 掲載日:2020.06.10

レクサス NX【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2020年6月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年5月調べ。


日本のラグジュアリーブランドである「レクサス」は、複数のSUVをラインアップしている。なかでも、最もバランスのいいボディサイズを持つのが「NX」だ。人気の「ハリアー」をさらに上級に仕立てたモデルでもある。

2016年式 レクサス NX200t Fスポーツ(6速AT) ●全長×全幅×全高:4630×1845×1645mm ●ホイールベース:2660mm ●トレッド前後:1570mm ●車両重量:1740kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1998cc ●最高出力:238ps/4800-5600rpm ●最大トルク:35.7kgm/1650-4000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン ●ブレーキ前後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:235/55R18 ●中古車参考価格帯:250万円~570万円(14年~19年 ※全グレード)

ハイブリッドも選べるアーバンSUV

 2014年夏に販売が始まった「NX」は、レクサスとしては2018年末に発売された「UX」の次にコンパクトな車体サイズのSUV。「LX」や「RX」に比べると小さく、運転のしやすさに価格面も含めてレクサスのラインアップでは比較的手の届きやすいモデルだ。
 キャラクターは、都会を俊敏に駆け抜けるようなアーバンSUV。悪路走行は意識せず、舗装路での走行性能や快適性を重視して作られたクロスオーバーモデルである。
 車体設計は2020年5月まで販売されていた3代目のトヨタ「ハリアー」とも共通部分が多い。パワートレーンも当初「NX200t」と呼び、後に「NX300」とグレード名が改名された2Lターボエンジン、そして「NX300h」と名付けられた2.5L自然吸気エンジン+モーターのハイブリッドモデルともに、3代目ハリアーと同様である。
 そんなNXの注目ポイントは、まずバランスのいいボディサイズだ。全長は4630mm~4640mmで、全幅は1845mm。これ以上大きくなると日常の取りまわしに気を使うが、このレベルなら、自宅や行動範囲の駐車場が極端に狭い人を除き、慣れさえあれば心配はいらない。ひとまわり大きなRXだと全長4890mm×全幅1895mmで大きさを強く意識してしまう。
 一方、ひとまわり小さなUXでは後席や荷室が狭いから実用性はクーペ感覚で、ファミリー層にはオススメできない。その点、NXはUXに対して後席が広く、荷室容量も倍以上あるから安心だ。
 また、プレミアムブランドらしく静粛性が高く、上級仕様では上質なレザーのシートを備えるなどおもてなしが充実しているのも魅力である。

[エクステリア]伸びやかなフォルムとシャープなディテール

 フロントデザインは、「スピンドルグリル」と呼ぶレクサス車に共通する形状のフロントグリルを組み合わせ、レクサスファミリーであることを主張するもの。流麗なキャビンの造形などSUVながらスポーティなフォルムとし、リアセクションはなだらかなDピラーの傾きが優雅さを象徴する。

[モデルヒストリー]着実な進化で完成度を高めてきたNX

2014年7月:NXを発売

 レクサス初のクロスオーバーSUVとしてデビュー。「NX200t」にはレクサス初のターボエンジンを搭載し、排気量は2.0L。ハイブリッドは燃費に有利な「アトキンソンサイクル」と呼ぶ燃焼方式を採用した2.5L自然吸気エンジンにモーターを組み合わせる。

2016年8月:一部改良

 「Fスポーツ」専用色として「ラヴァオレンジクリスタルシャイン」など2色の外装色を追加。車両に標準搭載する通信機能が高速度化。

2017年9月:マイナーチェンジ

 フロントバンパー、フロントグリル、ヘッドランプそしてリアコンビネーションランプのデザインを変更。光が流れるウインカーやパワーバックドアを全車標準採用し、先進安全機能も進化。

2018年8月:一部改良

 路面や周囲の車両との通信で運転を支援する「ITSコネクト」をオプション設定。また緊急時に救急車要請などを行う機能も高度化された。

2019年4月:一部改良

 衝突回避支援ブレーキなど先進安全機能が進化。道路標識をメーター内に表示する機能も加わった。旋回中の安定性を高める新制御も搭載。

[インテリア]スポーツセダンのような雰囲気のインテリア

 SUVとしては低めの着座位置によるスポーティな運転姿勢や、ドライバーを包み込むようなインパネの造形など開放感を重視したSUVとは一線を画する空間づくり。フロントシートはスポーツセダンの「IS」と共通の骨格を使い、スポーツグレードの「Fスポーツ」は身体保持性を高めたバケットシートを採用する。後席が実用的で、たとえば前後席間距離は兄貴分の「RX」よりわずか10mm短いだけだ。

荷室は後席をたたむことなく9.5インチのゴルフバッグを4個積める広さ。床下にある深さ300mmの広い空間も便利だ。後席電動折りたたみ機能も設定し、装着車は後席のリクライニングも電動式となる。

[メカニズム]積極採用の先進技術が頼もしい

 レクサスとして初めてダウンサイジングターボエンジンを搭載するなど、次世代のレクサスを見据えたテクノロジーが積極投入されているのもNXの注目すべきポイント。パワートレーンにおいて、構造的に近い関係にあるトヨタ「ハリアー」との大きな違いが、ハリアーに採用する2L自然吸気エンジンの設定がないこと。プレミアムブランドらしく、軽快な走りを求めているからだ。

LEXUS Safety System +

 衝突回避支援ブレーキは2017年9月以前のモデルは車両だけに反応。それ以降は歩行者検知も加わり、2019年5月からは自転車にも対応する。

HYBRID SYSTEM

 2.5Lエンジンに高出力モーターを組み合わせるハイブリッド。状況によってエンジンを止めたままモーターのみでも走行可能で、4WDは後輪をモーターのみで駆動。

LED WIDE CORNERING LAMP

 夜の運転を助ける機能がフォグランプに組み込まれている。夜間に交差点を曲がるときなどにはコーナリングランプとして光り、ヘッドライトが届かない範囲まで明るくする。

エンジン

  • 直4 2Lターボ
     238馬力の高出力が自慢で、ハイブリッドよりも動力性能に勝るターボエンジン。2017年9月以降グレード名を「NX300」とする。

  • 直4 2.5L
     ハイブリッド車に搭載する2.5L自然吸気エンジンは、「アトキンソンサイクル」という機構を搭載して燃費を重視した設計となっている。

[ライバル]BMW X3(先代)と比較してみると?

走りの実力が光るドイツの人気プレミアムSUV

 車体サイズでいえばトヨタ「ハリアー」やマツダ「CX-5」などが競合車だが、新車価格まで考えるとドイツのプレミアムSUVが気になる存在。たとえばBMWの「X3」は車体サイズも近い。高速道路での安定感はBMWの勝ちだが、乗り心地など快適面はNXが優勢。X3はNXにはないディーゼルが選べるが、ハイブリッドはNXだけとなる。

中古車参考価格帯:130万円~380万円(11年~17年 ※全グレード)

[市場データ]5年落ちなら300万円台の予算から探せるように

 レクサスのSUVということもあり、人気が高く相場は高値安定が続いている。とはいえ、新車時から100万円以上安いこともあり、そろそろ買い時。物件は2LターボのNX200tが多めで、走行距離が伸びたものは相場も低く手頃だ。

  • 年式
    デビュー翌年の2015年式が最も多く、36%を占める。高年式になるほど物件数が少なく、ねらうなら2016年式以前のモデル。

  • グレード
    2LターボのN200tは、2017年のマイナーチェンジでNX300に呼称変更。両方合わせると、2Lターボの割合がハイブリッドを上まわる。

  • 走行距離
    3万km未満の低走行物件が全体の半数近くを占めるなど、コンディションが良好なものが目立つ。極端な低走行車は相場がかなり高め。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「レクサス NX GOODとBAD」

【GOOD】上質な仕立てと装備 優れたバランスも魅力

 インテリアの仕立てのよさなどは、さすがプレミアムブランド。上級仕様に搭載する電動調整式のリアシートなど、一般的なSUVでは味わえない充実感も味わえる。そのうえで注目したいのは、優れたパッケージング。大きすぎない車体サイズでありながら、ひとクラス上の「レクサスRX」に匹敵する後席居住性やラゲッジルームを備えるのだから見事だ。

【BAD】ハイブリッド車は燃費に優れるが……

 これといって大きなウイークポイントはないが、ハイブリッドモデルは一世代前のシステムなのでドライバビリティに不満が残る。ドライバーのアクセル操作に対する反応に違和感が拭えないのだ。ただし燃費は期待どおりなので、ハイブリッド車は燃費を重視する人は最適な選択といえる。走りを楽しみたい人はガソリンターボエンジンを選ぶといいだろう。

編集部イチオシ!

NX200t

ベーシックグレードの「NX200t」でも装備は充実。17インチタイヤ、フロントシートの電動調整機能、カーナビなども標準装備。ターボの中古車価格はハイブリッドより割安感がある。

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グーネットマガジン編集部

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