中古車購入チェックポイント
更新日:2019.03.09 / 掲載日:2019.03.09

三菱 アウトランダー【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

※写真は2018年式 アウトランダー PHEV Sエディション

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2019年3月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2019年2月調べ。


実用性の高い車体に、PHEVと呼ぶ先進的なパワートレーンをドッキング。モーター走行の爽快感を味わえる、時代の先を行くSUVだ。

●全長×全幅×全高:4695×1810×1710mm ●ホイールベース:2670mm ●トレッド前/後:1540/1540mm ●車両重量:1920kg ●エンジン最高出力:128ps/4500rpm ●エンジン最大トルク:20.3kgm/4500rpm ●モーター最高出力 前/後:82ps/95ps ●モーター最大トルク前/後:14.0kgm/19.9kgm ●サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:225/55R18 ●中古車参考価格帯:140万円~430万円(12年~18年 ※全グレード)

外部充電からの電力でもガソリンでも走行可能

 意外に知られていないことだが、三菱アウトランダーPHEVは世界でもっとも販売台数の多い“プラグインハイブリッドカーのSUV”だ。それほどまでの人気を得ているポイントは3つ。「爽快感あふれるパワートレーンのフィーリング」、「実用性の高さ」そして「比較的手の届きやすい価格」である。今回はそれらのキーワードを掘り下げつつ、アウトランダーPHEVの魅力を探っていこう。
 ところで「PHEV」とはハイブリッドカーと電気自動車をかけ合わせたクルマ。家庭などの電源から充電できるハイブリッドカーでありながら、電気自動車のようにモーター走行範囲が広いという意味が込められている。
「爽快感あふれるパワー」は、とにもかくにもモーターならではの雲に乗ったかのような滑らかさが素晴らしい。どこまでも続くかと思うようなスムーズで伸びやかな加速は、既存のガソリン車とは異次元の感覚だ。アウトランダーPHEVはエンジンも備えるが、駆動力としてはモーターを使うのが基本。だから電気自動車のような爽快なフィーリングなのだ。
「実用性の高さ」には、ふたつの意味がある。ひとつはパワートレーンの使い勝手の良さ。PHEVは電気自動車のように外部から充電した電気で走れる一方で、ガソリンを入れれば発電により走り続けることができる。だから電気自動車と違って航続距離や充電の心配が要らない。とても便利な乗りものだ。
 それからパッケージングは通常のSUVと同様で、室内は広く、荷物もたっぷり積めて実用的。
 そのうえ、アウトランダーPHEV以外のプラグインハイブリッドSUVはほとんどが欧州プレミアムブランドなので車両価格が高いが、アウトランダーPHEVは日本なら新車で400万円を下まわるグレードも用意されている。購入しやすいのも大きな魅力のひとつ。

【注目】中古車市場はPHEVの比率が高い傾向に

 中古車市場に流通している台数を見ると、ガソリン車に対してPHEVの比率が高い。これは、PHEVのほうが圧倒的に販売台数が多いという新車販売の状況を反映したものであり、その結果として中古車で選べる仕様や程度などもPHEVのほうが幅広いのだ。

[エクステリア]中期型以降はデザインを刷新しひときわ精悍に

 車体はガソリン車と共通だが、ボディ下部やタイヤの周囲(中期型以降)がブラックのガソリン車に対し、PHEVはボディ同色化で上質感を高めている。デビュー当初はプレーンな顔つきだったが、2015年6月のマイナーチェンジで全面刷新。「ダイナミックシールド」と呼ぶ三菱の新しいデザインコンセプトを採用した。

現在に続く三菱のフロントフェイスになったのは2015年6月のマイナーチェンジ。2018年の改良では、一部がさらにリファインされた。

[モデルヒストリー]2018年にはパワートレーンを刷新

2012年10月:2代目アウトランダーを発表
PHEVに先行し、2Lもしくは2.4L自然吸気エンジンを搭載したガソリン車がデビュー。2列シートの5人乗りと3列シート7人乗りが選べ、被害軽減ブレーキなど先進装備も時代に先立って採用されていた。

2012年12月:アウトランダーPHEVを発表
当時はとても珍しかったプラグインハイブリッドシステムを組み合わせた「アウトランダーPHEV」が登場。日本においては、トヨタの「プリウスPHV」に続き2車種目のプラグインハイブリッドカーだ。

2014年1月:一部改良
●シンプルだった樹脂グリルにメッキの装飾を多く施すなど、エクステリアをリファイン。車体に吸音材や遮音材、そして制振材を追加するとともに新型のダンパーを採用し、快適性や走りも向上。

2015年6月:マイナーチェンジ
ガソリン車、PHEVともに三菱の最新テーマを盛り込んだフロントデザインとするなど、外観を大幅刷新。ステッチの追加などインテリアの上質化、ボディ補強&サスペンションの見直しにより走りも進化。

2017年2月:一部改良
プラグインハイブリッドシステムは制御を見直して、さらに滑らかな走りにレベルアップ。新たな走行モードとして可能な限りエンジンを使わない「EVプライオリティモード」が追加された。

2018年8月:一部改良
エンジンを2.4Lへ排気量を上げ、駆動用バッテリー容量の拡大、駆動用モーターの出力アップなどPHEVのパワートレーンを刷新。ボディ剛性もさらに強化され、ひときわ質の高い乗り味を手に入れた。

[インテリア]新しいモデルになるに従って上質化

※写真は2018年式

 インパネの意匠そのものはガソリンエンジン車と共通だが、一部のモデルを除きクリスタルファイバー調の加飾パネルを組み合わせるなど差別化が図られている。またタコメーターに変えてハイブリッドシステムの出力/回生を示すメーターとなり、シフトレバーは電子式を採用。

PHEVは全車とも2列シート5人乗り。シフトレバーは操作後に中立位置へ戻る電子式で、操作方法はトヨタプリウスと同様だ。アクセルオフ時の回生ブレーキの効きを調整するセレクターも装備。

荷室はハイブリッドシステム搭載の影響でガソリン車に比べると床がわずかに高いものの、実質的には同等レベル。ゴルフバッグ(9インチ)を4つ積める広さが自慢で、ユーティリティに優れている。

[メカニズム]モーターで実現したスムーズで静かな走り

 エンジンとモーター、そして外部から充電できる大容量バッテリーを搭載するPHEVは、ハイブリッドと電気自動車の特性を備えて双方の優れた特徴を兼ね備える。エンジンの力を直接駆動力とするのは高速走行時だけで、日常領域では電気を起こすための発電機として使い、その電気でモーターを回して動力とする。

PHEVは「プラグイン・ハイブリッド・エレクトロニック・ビークル」の略。プラグイン、つまり電源をつないで家庭のコンセントや公共の充電器(急速充電器を含む)から充電できるのが特徴だ。バッテリーに溜めた電気を使えば、エンジンをかけずに最大60km程度走行可能だ。

エンジンをかけずに走る際は電気自動車と同様に静かすぎるので、周囲に存在を知らせるため人工音を出す仕掛けも装備。

【注目】2018年の改良でPHEVが大幅進化

「4B12 MIVEC」と呼ばれる新エンジンは排気量2.4Lの自然吸気。従来のエンジンに比べ回転を上げずに電力を賄える。

 2018年8月の改良では、パワートレーンを全面改良。エンジンは排気量を上げて、回転を高めることなく必要な電気を発電できるようにし、バッテリーを大型化。またモーターの出力も高めている。その目的は動力性能の向上とともに、エンジンがかかった際の静粛性を高めるためだ。

トピックス:価格を重視するならガソリン車がオススメ

4J11型 2Lエンジン

 コストパフォーマンスを重視するなら、「PHEV」ではない普通のアウトランダー(ガソリン車)を選ぶ手もある。モーター駆動車ならではの爽快な走りは持ち合わせないが、居住性に優れたキャビンと広い荷室(どちらも若干床が低くてPHEVより広い)は実用的。エンジンは2Lと2.4Lがあり、PHEVにはない3列シート7人乗りも選べる。

アウトランダーG ナビパッケージ

 「Gナビパッケージ」はガソリン車の最上級グレードで、先進安全装備に加えてカーナビも標準装備。写真は前期モデル。
中古車参考価格帯:130万円~260万円(12年~18年 ※全グレード)

[市場データ]高価なPHEVが中心。ゆとりの予算が必要

 このクラスのSUVは市場からのニーズが高く、なかなか価格が下がらない。さらにPHEVが物件の中心となるから、ライバルよりも相場は高水準だ。とはいえ、5年落ちだと200万円前後の予算でも買えるので、年式にこだわらず、車体のコンディション重視で探すとよい。

  • グレード
    グラフが示すように、標準のガソリン仕様は数が少なく、物件の大半がPHEV。とくにスタンダードな「G」系の物件が中心となっている。

  • 年式
    2016年式の物件が少ないことを除けば、全体的にどの年式も物件が流通している。とくに2017年式が3割弱と豊富に存在する。

  • 走行距離
    高年式物件が豊富に流通するため、1万km未満の低走行車が目立つ。一方、初期のガソリン車などは多走行な物件も見られる。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「三菱 アウトランダーのGOODとBAD」

【GOOD】爽快な走りと実用性の高さ

 モーターを主体とした走りは、一般的なガソリン車とは一線を画する爽快感をドライバーに与えてくれる。シャープにどこまでも加速していくような感覚が、気持ちいいのだ。その走りは一度味わうともう普通のガソリンエンジン車には戻れないと思えるほど。そのうえ電気自動車と違って航続距離や充電の心配がなく、居住空間や荷室だって広くて使い勝手がいい。

【BAD】価格水準は通常のアウトランダー未満

 弱点はコストパフォーマンスだ。本文では「比較的手の届きやすい価格」と書いたが、それらはライバルに相当するSUVのプラグインハイブリッド車と比べた場合。比較対象をPHEVではないアウトランダーなど一般的なSUVとした場合は、モーターやバッテリーなど高価な電気系部品が追加されているぶんだけ車両価格が上昇しているのは否めない。

編集部イチオシ!

買いのグレードは「アウトランダー PHEV G ナビパッケージ」

カーナビを標準採用した「PHEV Gナビパッケージ」は中間グレードで、装備と価格のバランスが優れている。さらに上級のグレードはレザー内装や専用のサスペンションを採用。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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