中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2010.06.18
トヨタ ノア 中古車購入チェックポイント
トヨタ ノア 中古車購入チェックポイント
DBA-ZRR70W
参考車両:Si 2WD
初年度登録:2009年4月
■全体のチェックポイント
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
全体が見えるやや離れた遠目から、車両の様子を観察しよう。外装部品や塗装の状態などに違和感や不自然に見える部分などがないかチェック。
前面は、バンパー/ボンネット/ヘッドライト/フェンダーなどが並んでいるバランスをチェック。左右対称になっていることも確認。
左右ライトの片方だけが新しい場合(交換の疑い)は、その側の車体部を修理している可能性もある。ナンバープレートの傷や変形なども、車体部の修理を疑ってみる。バンパー下部の損傷や破損などにも注意。
2.後部のチェック
2.後部のチェック
前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/フェンダーなどのバランスをチェック。後部ナンバープレートは、封印の傷(ナンバープレートを外した形跡)が車体部修理/交換のヒントになる。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。部分的に隙間が狂っている箇所があれば、その部分の車体部を修理していると考えられる。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、エンジンルーム内をチェック。オイルの滲みや汚れ(漏れの兆候)などにも注意。できれば、オイルの量および汚れ、ブレーキの液量なども点検したい。
新しい部品が付いていれば、消耗部品を交換したか、故障など不具合が起こったか、それとも事故などでダメージを負ったのか、整備記録も探ってみよう。
4.車体内側の鉄板部を確認
左右フェンダー側のパネルやフレーム、室内側のパネルなど、エンジンルーム内各部の鉄板を調べよう。ダメージを負うと、走行機能面に支障が生じる重要な部分だ。修理している車両は、修復歴車と明示しているはずだが、念のために確認。カバーや部品類などに隠れている細部までは見えないが、歪みや修理/交換の形跡などがないかチェックしよう。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
外面だけでなく、裏面側に修理跡などがないかもチェックしよう。特に、シーラーやスポット溶接の状態に注意。
外して修理、あるいは交換することもあるので、ヒンジ部のネジもチェック。ヒンジを修正/交換していないかも確認。
ボンネットを修理/交換していれば、ボンネット単独の損傷なども考えられるが、他の部分を修理/交換していないか、車体前部一帯を慎重にチェックする必要がある。
6.前部の必須チェック
エンジンルームの最前部で車体の左右に繋がっているラジエターサポートは、車体に大きな衝撃を受けると影響が及びやすい。修理/交換の形跡などがないか調べよう。左右フェンダー側へ繋がっている部分。ヘッドライトやフロントグリルなど関連部品の状態にも注意。バンパーやフェンダーなど、周辺部の状態にも注意してチェックしよう。
7.取り付け状態を調べる
7.取り付け状態を調べる
フロントフェンダーは、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡などがないかもチェック。ヘッドライト取り付け部の下にある固定ネジもチェック。ラジエターサポートに溶接されている金具(ラジエターサポートアッパー)に修正/交換跡などがないかも確認。
フェンダーは、傷や凹みなどを修理しても修復歴にはならないが、外して修理/交換していれば、車体内側の骨格部にダメージがないか確かめる必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
外装部品の立て付けを見る時は、例えば車体前部側面では、フェンダー、ヘッドライト、ボンネット、ドア、ピラー(フロントウインドウ部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けてずれているか、修理あるいは交換している可能性がある。
隙間を境に、隣り合うパネルの色艶も比べてみよう。修理や交換で塗装していると、色調が微妙に違って見えることがある。
9.角度を変えると見える
9.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインのずれや崩れ、立て付けの微妙な狂いなども判断しやすい。表面を斜め方向から透かして見ると、見落としがちな浅くて広い凹み、あるいは波打ち(しわ)なども確認できる。
しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡。部分的に色艶が違っているとか、ザラザラとした肌荒れ状態になっている箇所なども、修理跡の疑いがある。
10.縁と奥もチェック
フェンダーは、膨らんでいるホイールアーチ部(タイヤを囲っている部分)を傷付けることも多い。傷があれば、凹みを伴っていないか、フェンダーに歪みがないか確認。
縁の鉄板を内側に折り込んでいる部分に修理跡などがないかもチェック。さらに奥を覗いて、タイヤハウス内の状態も確認。フロントフェンダーは、ライナー(内側にある泥よけ)の取り付け状態にも注意。
「S」タイプは、下部に装着しているサイドマッドガードの取り付け状態にも注意しよう。
11.側面のチェックポイント
11.側面のチェックポイント
ドアに大きなダメージを負うと、外して修理することもあり、交換してしまうことも多い。ドアヒンジ部の取り付けネジをチェックしよう。ただし、ドアの立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジを見ただけではドアを修理/交換しているとは断定できない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)など、周辺にダメージや修理跡などがないかも調べて判断する必要がある。
12.スライドドアのチェック
12.スライドドアのチェック
外傷などがないかチェック。立て付け状態も確認。
ドアの開閉具合とスライドの動作もチェック。パワースライド(電動開閉)の操作に問題がないかも忘れずに確認しよう。
スライドの動きが鈍い、引っかかりがあるなどの症状にも注意。
13.金具類の状態も確認する
フロントドアと同様にチェックするが、スライドドアは注意ポイントが多い。ドアを支えている金具類のほかに、レール(開口部の上下と車体後部側面にある溝金具)の状態も慎重にチェック。各部のネジの脱着や、金具類の交換の形跡などに注意しよう。
14.下側に注意ポイント
「S」タイプは、ドアの下部にサイドマッドガードを装着している。損傷や破損などがないかチェック。取り付け状態も確認。交換していないかも注意。
もっと重要なチェックポイントは、ドアの下にある、車体前後方向に通っているサイドシル(梁)だ。損傷、腐食、修理跡などがないか必ず確認。特に、下に突き出ている部分にダメージや修理/交換跡がないか慎重に調べたい。
15.リアフェンダーのチェック
損傷や修理跡などがないかチェック。リアバンパーやスライドドアなど、周辺部も含めて、立て付け状態をチェック。さらに、スライドドアのレール部分、ホイールアーチ部、サイドマッドガードなど、関連部の状態もチェック。スライドドアを開けて、開口部に修理/交換跡などがないかも確認しよう。
車体左側は、フューエルリッドも開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェックしよう。
16.テールゲートのチェック
解錠/施錠の具合をまずチェック。開閉して、テールゲートの上げ下げの動作がスムーズにできるかチェック。上げた状態でしっかり止まっていることも確認。
閉まり具合がよくない(閉める時にカチッと収まらない)場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもあるので要注意。
テールゲートは、内側に修理跡などがないかチェック。取り付け状態も確認。ヒンジおよび車体側のヒンジ固定部周辺に歪みや修理跡などがないかも調べよう。
17.開口部を慎重にチェック
開口部の左右を見ると、鉄板の接合部がある。溶接、シーラー、塗装の状態に注意して、修理/交換の形跡がないかチェック。
開口部下部は鉄板部が見えないが、コンビネーションランプやバンパーの取り付け状態に注意。
強い衝撃を受けると広範囲に波及することがあるので、修理/交換跡があれば、ダメージが及んだ範囲を広く探る必要がある。
18.タイヤとホイールを点検
18.タイヤとホイールを点検
タイヤは、スリップサインを目安に、残り溝の深さを点検。傷や異物の刺さり、ひび割れなどがないかもチェック。同時に、摩耗状態も調べよう。接地面の外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減る偏摩耗が起きていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているのか、あるいは車体が歪んでいるのか、確かめる必要がある。
ホイールは、リム部(タイヤと接している外周部)を傷付けやすい。傷があれば、曲がりを伴っていないか確認。アルミホイールは、過度な衝撃で生じる歪み(ホイールの変形)や割れなどにも注意しよう。
19.床下もチェック
19.床下もチェック
フレーム(骨格部)やメンバー(補強部材)などに損傷や修理/交換跡などがないか。マフラーやサスペンションなど部品類、ブラケットなど金具類も、損傷や曲がり、歪み、修理/交換の形跡などがないかチェック。前後左右、四方から覗いてチェックしよう。
油脂汚れ(オイルやグリスなどの漏れの兆候)やゴム部品の劣化(ひび割れ)などにも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないといえるが、範囲と腐食状態に注意したい。
20.不具合の兆候を探る
20.不具合の兆候を探る
エンジンをかけて、始動具合やアイドリング回転などをチェック。スマートエントリー&スタートシステムの操作具合も確認。始動時には、メーターパネル上の表示/警告灯類の点灯などにも注意。
容易にエンジンがかからないとか、不安定なアイドリング回転、異音や大きな振動などは、なんらかのトラブルを抱えている。異常を感じたり、疑問があれば、販売店で確認してもらおう。
21.オートマチックのチェック
21.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだままセレクトレバーを操作して、各ポジションにスムーズに切り替えできるかどうかチェック。できれば試走して、走行中のオートマチック動作を確認したい。CVTは、ギヤが切り替わるような感じがあれば不具合が起きている。アクセルペダルの操作具合と自動変速の連動状態にも注意しよう。「Si」は、マニュアルモードの操作と動作を、ステアリングシフトでもチェックしたい。
22.装備機器類の機能を確認
22.装備機器類の機能を確認
ウインカーやヘッドライト、テール/ブレーキ/バックランプなど、保安装置類の作動状態をまずチェック。エアコンなど、電装機器や電動機構は、スイッチを入れるだけでなく、調整操作して機能を確認。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯、リモコンなども忘れずにチェック。
どのグレードもオーディオレスだが、カーナビなどを付けている車両も多い。仕様グレードで異なる標準装備やオプション装備の追加など、車両の装備は販売店で事前に確かめておこう。
23.隅まで細かくチェック
室内は、汚れや染み、傷、穴などがないか。運転席周辺だけでなく、2列目/3列目席からラゲッジスペースまで念入りに調べよう。床や天井の状態も確認。ボックスやポケットは、内部も確認。エアコン吹き出し口やボックスの蓋などは、可動部の破損に注意。参考車両にあるようなシートの傷みなども見逃さないようにしよう。
車両の情報をチェック

「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限と内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、オプション装備や後付け装備類を追加している車両は、すべての使用説明書が揃っていることも確かめよう。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合は、周辺の状態を慎重にチェック。エンジンルームやスペアタイヤ収納部などは、新車時から外装とは塗色が異なってることがある。●ドアの開口部など、外から見えない部分にマスキング(塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするためのカバーを粘着テープなどで留める)した跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような“直線状の段差”があれば、何らかの理由で塗装している。●部品などに塗料が付着している場合も、周辺を詳しく調べる必要がある。●車種によっては、スペアタイヤ収納部などに、塗装の飛沫が付着しているように見える、新車時から仕上げが荒くなっている部分もある。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。●ネジの頭が塗装されていれば比較的容易に確認できるが、無塗装ネジの場合は判断しにくい。傷や錆に注意して、関連する近隣のネジや、車体左右の同じ部品のネジと見比べる。
溶接とシーラー
●修理/交換で溶接している(熱を加えた)部分は、錆が発生しやすくなっている。特に床下は、溶接部の塗装の剥がれや浮きに注意する。●鉄板の接合部分に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理/交換で再溶接すると塗り直すので、不自然に見える。●爪で押して、表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を比べてみる。●スポット溶接(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)は、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理/交換すると、組み付ける際に誤差が出ることがある。隣接するパネルの隙間(チリと呼ぶ)の幅が均等になっていなければ、修理/交換している可能性がある。●バンパーなどは、ぶつけたり、押されてずれることもある。たとえ修理/交換していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。●プレスライン(外板パネルが折れ曲がっている角の線)や、モール類(ドアなどに付いている飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。
■今回の車両のプロフィール
●2007年6月にフルモデルチェンジした2代目。以前に比べると、バンパーやヘッドライトなどの形状が違うほか、車体が丸みを帯びて、より洗練された印象。新開発2.0Lエンジン+CVTを搭載し、一部グレードには「バルブマチック」エンジン+7速マニュアルモード付CVTを採用。装備を充実するなどで快適性や使い勝手も向上している。●仕様グレードの「YY」は、積載性を優先した2列シートタイプ。2列目は6:4分割チップアップシートで、3分割デッキボードを装備。樹脂キャップ付15インチスチールホイール、ワイヤレスドアリモコン、アナログメーターが標準。「X」は、3列シートで、2列目は中央席折りたたみ式。装備内容はYYとほぼ同じだが、リアクーラーを備えている。Xに設定している「Lセレクション」は、助手席側パワースライドドア、プロジェクターヘッドランプ、オプティトロンメーターなどを追加するパッケージ。上級の「G」は、デュアルパワースライドドア、マルチ回転シート、本革巻き+木目調4本スポークステアリング、オプティトロンメーター、リアオートエアコン、スマートエントリー&スタートシステム、フォグランプ、15インチアルミホイールなどを標準装備。「S」と「Si」は、「エアロ」タイプとも呼ばれ、フェンダーが膨らんだ“ホイールフレア”と専用バンパーによって、標準ボディよりも全幅が+25mm広く、サイドマッドガードと16インチアルミホイールを装備。Sは、ウレタン4本スポークステアリングホイール、アナログメーターが標準。Siは、バルブマチックエンジン+7速スポーツシーケンシャルシフトマチックを搭載。スモーク仕様プロジェクターヘッドランプ、フォグランプ、助手席側パワースライドドア、スポーティオプティトロンメーター、パドルシフト付本革巻き3本スポークステアリングホイールなどを装備。なお、参考車両は、HDDナビゲーションシステム、バックガイドモニター、ナビAIシフト制御、ツインムーンルーフなどのほか、多数のオプション装備を組み込んでいる。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定(2007.06)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 | 定員 |
2.0(1986cc) | ||||
YY | DBA-ZRR70G | CVT | FF | 5 |
DBA-ZRR75G | CVT | 4WD | 5 | |
X | DBA-ZRR70G | CVT | FF | 8 |
DBA-ZRR75G | CVT | 4WD | 8 | |
X Lセレクション | DBA-ZRR70G | CVT | FF | 8 |
DBA-ZRR75G | CVT | 4WD | 8 | |
G | DBA-ZRR70G | CVT | FF | 8 |
DBA-ZRR75G | CVT | 4WD | 8 | |
S | DBA-ZRR70W | CVT | FF | 8 |
DBA-ZRR75W | CVT | 4WD | 8 |
2.0(1986cc)バルブマチック | ||||
Si | DBA-ZRR70W | CVT-7M | FF | 8 |
DBA-ZRR75W | CVT-7M | 4WD | 8 |
●その後、2010年4月のマイナーチェンジで外観の一部デザインを変更。バルブマチックエンジン+7速スポーツシーケンシャルシフトマチックを全車に採用し、装備設定なども一部変更している。