中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.24 / 掲載日:2015.01.23
トヨタ プリウスPHV(2013年9月~)中古車購入チェックポイント
トヨタ プリウスPHV(2013年9月~) 中古車購入チェックポイント
参考車両:S(型式DLA-ZVW35)
初度登録:2013年9月
追加装備:<メーカーオプション>HDDナビゲーションシステム、インテリジェントパーキングアシスト、CAN対応G-BOOK mX Pro専用DCM、オートアラーム付盗難防止システム、AC100V 1500Wアクセサリーコンセント(ヴィークルパワーコネクター付)、ラウンドストライプ
■全体のチェックポイント
2012年1月にプリウスシリーズとして新発売した後、2013年9月に一部変更した時期のモデル。PHV(プラグインハイブリッド車)は、自宅でバッテリーに充電して、近距離の移動ならEV(電気自動車)として走れるのがメリットだ。基本ポイントを押さえながら車体まわり・室内・装備機器をチェック。PHVシステムはもちろん、すべての走行機能の具合も必ず確認。充電設備やドライブサポートサービスなどPHVを利用する条件なども確認したい。
外装の損傷と同時に車体内のダメージにも注意
1.車体の様子から探る
1.車体の様子から探る
まずは、外装に異常がないか車体まわりを観察する。前面は、バンパー、グリル、ボンネット、ヘッドランプ、フェンダーなどの状態をチェック。細部では、フロントガラスの飛び石傷などにも注意。
2.隣接部も同時にチェック
2.隣接部も同時にチェック
バンパーは、角や下部、グリルウインカーなどをチェックし、立て付けも見る。下側にあるエアスパッツ(タイヤの前にある空気整流板)の破損などにも注意。ヘッドランプもチェック。バンパーは、ホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)の縁、奥のタイヤハウス内、内側のフェンダーライナー(泥よけ)などもチェックする。
3.ドアと関連部をチェック
3.ドアと関連部をチェック
ドアは、外面だけなく、内側も修理跡などがないかチェック。ドアを外して修理/交換していないか、ヒンジ部もチェック。同時に、ピラー(柱)やサイドシル(車体の梁)など周辺の状態もチェック。
4.車体の内側をチェックする
ボンネットは、内側やヒンジ部もチェック。フェンダーは、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡がないか見て、取り付け状態もチェック。同時に、車体パネルもチェック。最前部にあるラジエターサポートおよび関連部品なども要チェック。
5.後部のチェック
後面も、バンパー、バックドア、コンビネーションランプ、フェンダーなどを慎重にチェック。ガーニッシュやナンバープレート、バンパー下側のマフラーの損傷にも注意。
バックドアは、開閉とロッドダンパーの効き具合、バックドアの内側やヒンジ部もチェック。開口部も、パネル接合部の溶接やシーラーなどの状態に注意しながら修理/交換跡などがないかチェックする。
6.下側に要チェックポイント
車体側面下部は、サイドガーニッシュが付いているサイドマッドガードに損傷がないかチェック。床下側を覗いて、サイドシル(車体の梁)に損傷、腐食、修理/交換跡などがないかチェック。同様に、ステップ部(サイドシルの上側)周辺も慎重にチェックする。
7.損傷の程度と範囲も確認
ドア開口部は、乗り降りによる傷や簡易補修跡などがないかチェック。マスキング跡があれば、ダメージの度合いと修理した範囲を確認。右リアフェンダーは充電ポートの中、左フェンダーはガソリン給油口あたりにマスキング跡や修理跡がないか見る。
8.タイヤとホイールをチェック
8.タイヤとホイールをチェック
「プリウスPHV」は、195/65Rタイヤ&15インチアルミホイールが標準。タイヤは、残り溝の深さを点検し、傷や亀裂、欠けなどがないかチェック。異常摩耗を起こしていれば、サスペンションの異常や車体が歪んでいる可能性もあるので要注意。
アルミホイールは、塗装の傷みや剥がれ、傷、凹み、破損などがないかチェック。リムの縁(タイヤと接している部分)の擦り傷、欠損、曲がり。過度な衝撃を受けると生じることがある歪み(変形)や割れなどにも注意しながらチェックする。
9.床下の様子もチェック
9.床下の様子もチェック
車体パネルや補強部材、アンダーカバー類、マフラーやサスペンションなどの部品類も、傷、歪み、曲がり、破損、修理/交換跡などがないかチェック。
オイルやグリスなどの漏れ、樹脂やゴム部品の劣化・破損などにも注意。錆は、表面に浮いている程度なら心配ないといえるが、広がり範囲と腐食の進行状態を調べる。
★損傷と修理歴の有無を確認する
「プリウスPHV」は、ZVW30型「プリウス」がベース。ファストバックスタイル・5ドアセダンのボディ。エンジンルームにガソリンエンジンとトランスアクスル(駆動変速機構)、リアシート後部駆動用バッテリー、ラゲージルーム右補機用バッテリー、右リアフェンダー充電ポートなどを配置(電力会社や自治体などにリース販売した2009年12月~2011年12月生産車両とは構成が異なる)し、車体下部やエンジンルームに高電圧ケーブルが通っている。外装には、フロントグリルメッキ/ロアグリルシルバー/バックドアシルバー加飾、専用ヘッドランプ、クリアレンズテール&ストップランプ、LED式ハイマウントストップランプ付リアスポイラーなどを装着。「S」は、ディスチャージヘッドランプ、クローム調サイドガーニッシュ、LEDイルミネーション付リアエンブレムを装備。参考車両は、ラウンドストライプも追加している。
車体構造はともかく、外装の損傷だけでなく車体骨格やPHV機構などにダメージがないか注意したい。車体の骨格となる部分を事故修理している車両は修復歴車だが、たとえ修復歴に該当しなくても、損傷や修理/交換している箇所がないか販売店に聞いてみよう。
室内の状態と装備機器類の機能・作動をチェック
1.隅まで細かくチェック
室内は、汚れ、染み、傷、破損などがないか。シート、ドア、床、天井まわりもチェック。ボックスやトレイなどは、内部も見る。ボックスリッドやエアコンルーバーなどは、可動部の破損にも注意。
前席だけでなく、後席も、6:4分割可倒式リアシートの折り畳みなども試しながら周辺を丹念に調べる。ラゲッジスペースも、傷みがないかチェック。トノカバーの状態、サイドボックスやアンダーボックスの中の状態なども見る。
2.装備機能の作動を確認
ヘッドランプ、ウインカー、ワイパー、ドアミラー、テール/ブレーキ/バックランプなど保安装置。パワーウインドウ、ドアロック、室内ランプなど基本的な装備機器。電子キーの機能と各部の作動状態をチェック。リモートエアコンシステム・オートエアコンは、自動制御や調整・設定機能、車外からの操作(リモコンキーにスイッチ)などもチェック。
純正HDDナビゲーションシステム装着車は、ナビ機能やAV機能のほか、Bluetooth接続やステアリングスイッチなど関連機能も正常かチェック。スマートフォンなどを通じて車両の状態を知ることができる「PHV ドライブサポート」の情報通信機能も確認したい。
★販売店で細部まで調べてもらう
参考車両は、メーカーオプションのHDDナビゲーションシステム(インテリジェントパーキングアシスト、CAN対応G-BOOK mX Pro専用DCM、オートアラーム付盗難防止システムをセットで装備。eコネクト専用CAN-BTは非装着)とAC100V 1500Wアクセサリーコンセント(外部電源供給用ヴィークルパワーコネクター付)を追加している。標準装備に含んでいる「PHVドライブサポート」サービス(中古車でも無料で利用できる)の利用条件などは事前にトヨタ「プリウスPHV」ユーザーサイトなどを見ておくといいだろう。
いずれにしても、中古車をチェックする際は、車両の装備内容を販売店で確認。装備機器類は、とりあえずわかるところだけでもチェックして、細部は販売店で点検してもらおう。特に電子・電装機器が正常か確認したい。
PHVシステムと走行機能の整備状況を確認する
1.システムを始動してみる
1.システムを始動してみる
ハイブリッドシステムの始動時は、電子キーとパワースイッチの機能を確認。表示灯/警告灯の点灯、メーター/インジケーター/ディスプレイなどの表示、警告ブザーなどにも注意したい。わからないことや疑問は、販売店スタッフに聞いてみよう。
2.運転支援機能もチェック
エンジン・機械式減速機構・発電機・モーターなどを制御する電気式無段変速機は、各ポジションへのシフト具合をチェック。可能なら試乗して、ハイブリッドシステムのEVモードおよびHVモードにおける制御と動作をチェック。走行特性を選べるパワーモード[PWR MODE]とエコドライブモード[ECO MODE]、EV走行とHV走行を選択する[EV-HV]モード切替えなどの機能動作をチェック。横滑り抑止VSC、空転抑止TRC、ステアリング協調車両安定性制御S-VSCなど運転支援機能も正常か確認したい。
とはいえ異常かどうかを判断するのはまず無理。走行系各部は販売店で確実に点検してもらおう。
★正しく点検・整備してもらう
★正しく点検・整備してもらう
「プリウスPHV」は、「プリウス」のリダクション機構付THS II(トヨタ ハイブリッドシステムII)をベースに、ニッケル水素バッテリーをリチウムイオンバッテリーに変更し、家庭用交流電流を直流に変換して高電圧バッテリーを充電する車載充電器と外部電源から充電できる充電ポートを追加。PHV制御コンピューターのほか、メーターやインジケーターなどもPHV用。EBD付ABS&ブレーキアシスト、VSC、TRC、EPS、S-VSC、車両接近通報装置、緊急ブレーキシグナル、ヒルスタートアシストコントロールなど運転補助装置も搭載している。各装置の構造などはともかく、それぞれの機能が正常か確認したい。車両の購入を決めるなら、PHVシステムをはじめ、すべての走行関連機構を正しく点検・整備できるかどうかも確認したい。
■最初に車両の現状を確かめる
中古車両をチェックする際は、現物を見て「年式(登録年月日)・仕様・グレード」を確認。標準装備のほかに、メーカー/ディーラーオプション、市販機器、カスタムパーツなどを追加していないか確認。走行機構の整備状態も含めた現状を販売店で確認しよう。
目利きはココを見る!
「車両の情報」を見る
●「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限や内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、追加装備などの使用説明書が揃っていることも確認。●「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両の状態を探る参考になる。
「立て付け」を見る
●外板パネルは、合わせ(隙間)が均等でなかったり、位置がずれていれば、ダメージを受けているか修理/交換している可能性がある。●プレスライン(外板パネルを折り曲げている角)やモール(飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。●外装は、見る角度を変えながらチェックすれば、プレスラインのずれや崩れ、立て付けの狂いなども判断しやすい。パネル表面を斜め方向から透かして見るようにすると、小さな凹みや浅くて広い凹み、波打ち(しわ)なども見つけやすい。しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡だ。
「塗装の状態」を見る
●部分的に色艶が違っていたり、ザラザラした肌荒れ状態になっている箇所は、修理跡の疑いがある。●新しい塗装跡は、錆などの補修か、損傷を負って修理したのか、詳しく調べる。●修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることがあるので、隣接しているパネルの色艶も比べてみる。●塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があるのはマスキング(周辺に塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするカバーを粘着テープなどで留める)跡。ドア開口部などにマスキング跡があれば、なんらかの理由で塗装しているので、周辺を詳しく調べる。●エンジンルーム内やスペアタイヤ収納部などは、外装色とは違っていることもあるので注意する。
「取り付け状態」を見る
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体部品を外す時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。●ボンネット、フロントフェンダー、ドア、テールゲート(またはトランクリッド)などは、外して修理、あるいは交換することがあるので、ネジを見て、ヒンジおよび車体側のヒンジ固定部周辺も修理跡などがないか調べる。
「接合部」を見る
●車体部品を交換する際に溶接部分を外すことがあるので、鉄板接合部を調べる。●スポット溶接(接合部にある丸い窪み)を打ち直している場合は、直径が小さい、窪みが深い、ずれている(2度打ちした)など、新車組み立て時の状態とは異なる特徴があるので注意する。●接合部に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理や交換で塗り直していると不自然に見える。●爪で押して、プチッと表面が割れる(表面が硬くても内部が柔らかい)ようなら新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、接合状態や塗布する方法によって形状が違っていることにも注意する。
■今回の車両のプロフィール
●2012年1月に新発売した「プリウスPHV」は、HV(ハイブリッド車)「プリウス」をベースに、外部電源から充電できる機能を加えて、EV(電気自動車)として走行できる能力を拡張したモデル。2012年11月に一部改良。装備設定を一部変更し、AC100V/1500Wアクセサリーコンセント・車外電源供給用ヴィークルパワーコネクター付をオプション設定。ビジネスユース向けに装備を簡略化したグレード「L」を追加設定。
●2013年9月に一部改良し、内外装を一部変更。車体の工法も一部変更(Lを除く)している。
前席快適温熱シート、ステアリングスイッチ付ステアリングホイール、リモートエアコンシステム・オートエアコンなどを全車標準装備。
仕様グレードの「L」は、ハロゲンヘッドランプ、ウレタンステアリングホイール、ワイヤレスドアロックリモートコントロール+スマートスタート、eコネクト専用CAN-BT、オーディオレス・4スピーカーなどが標準装備のベーシックタイプ。「S」は、ディスチャージヘッドランプ、クローム調サイドガーニッシュ、LEDイルミネーション付リアエンブレム、タッチトレーサーディスプレイ、ステアリングヒーター付本革巻ステアリングホイール、スマートエントリー&スタートシステム、オーディオレス・6スピーカーなどを標準装備しているスタンダードタイプ。「G」は、フロントフォグランプ、フロント雨滴感知式ウォッシャー連動間欠ワイパー、自動防眩付インナーミラー、クルーズコントロール、運転席8ウェイパワーシート&電動ランバーサポートなども装備している上級タイプ。
Gに設定している「レザーパッケージ」は、プリクラッシュセーフティシステム、レーダークルーズコントロール、インテリジェントパーキングアシスト、ヘッドアップディスプレイ、本革シート表皮、HDDナビゲーションシステム、CAN対応G-BOOK mX Pro専用DCM、オートアラーム付盗難防止システムなどを追加装備する。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
L | DLA-ZVW35 | ECVT | FF |
S | DLA-ZVW35 | ECVT | FF |
G | DLA-ZVW35 | ECVT | FF |
G レザーパッケージ | DLA-ZVW35 | ECVT | FF |