中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2010.04.23
トヨタ ハイエース バン 中古車購入チェックポイント
トヨタ ハイエース バン 中古車購入チェックポイント
ADF-KDH211K
参考車両:3.0 スーパーGL
ミドルルーフ
初年度登録2009年5月
■全体のチェックポイント
ビジネスカーのイメージがあるが、アウトドアスポーツやレジャーなどの愛好家にとっては定番。積載量が多くてタフなことで支持されている“隠れ人気”モデルだ。外装をしっかりチェックするのはもちろんだが、内装を特に念入りに調べよう。改装車やカスタム車にも注意。車両がどのように使われていたか、販売店でユーザー歴や使用歴を聞いてみよう。もちろん、エンジンや駆動系など、走行機能のコンディションをしっかり確認。ここでは特定のグレードだけを取りあげているが、使途によって数多くの仕様があるので、自分に合った車両を選び出したい。
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
やや離れた遠目から、車両の様子を観察しよう。全体から見て、外装部品や塗装面の状態などに違和感や不自然に見える部分などがないかチェック。車体の傾きなども注意しよう。
前面は、バンパー/ヘッドライト/グリル/フェンダー/ボンネットなどが並んでいるバランスをチェックして、左右対称になっていることも確認。左右ライトの片方だけが新しい場合(交換の疑い)は、その側の車体部を修理している可能性もある。ナンバープレートの傷や変形、修整跡なども、車体部の修理を疑ってみる。
2.後面のチェック
2.後面のチェック
前部と同様に、バンパー/テールゲート/フェンダー/コンビネーションランプ(テールライト)などのバランスをチェック。後部ナンバープレートは、封印の傷(プレートを外した形跡)が車体部を修理/交換しているヒントになる。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。部分的に隙間が狂っている箇所があれば、その部分の車体部を修理していると考えられる。
3.車体内側の鉄板を確認
3.車体内側の鉄板を確認
ボンネットを開けて、左右フェンダー側や室内側のパネルなど、内側の鉄板部を調べよう。ダメージを負うと走行機能面に支障が生じる重要な部分を修理している車両は、修復歴車と明示しているはずだが、念のために確認。カバーや部品類などに隠れている細部までは見えないが、歪みや修理/交換の形跡などがないかチェックしよう。
4.取り付け状態を調べる
フロントフェンダーは、固定ネジもチェック。ネジを脱着していれば、フェンダーを外して修理、あるいは交換している可能性がある。フロントドアのピラー部にあるネジも確認。ブラケット(フェンダーを支えている金具)の状態にも注意。
フロントフェンダーは、車体構成上は重要な車体補強部材とはなっていないので、傷や凹みなどを修理しても修復歴にはならないが、大きな衝撃を受けているようなら、車体内側の骨格部にダメージがないか調べる必要がある。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
外面だけでなく、裏面側に修理跡などがないかも確認。特に、外と内のパネルを貼り合わせている接合部(シーラーやスポット溶接の状態)に注意。
外して修理、あるいは交換することもあるので、ヒンジ部のネジも確認。ボンネットを修理/交換していれば、ボンネット単独の損傷なども考えられるが、他の部分を修理/交換していないか、車体前部一帯を慎重にチェックする必要がある。
6.前部の必須チェックポイント
エンジンルームの前部にある、車体の左右に繋がってラジエターサポートは、車体に大きな衝撃を受けると影響が及びやすい。修理/交換の形跡などがないか調べよう。カバーなどがあって、細部までは見えないが、左右フェンダー側との接続部周辺、ヘッドライトやグリルなど関連部品の状態も確認。バンパーやフェンダーなど、周辺も含めてチェックしよう。
7.整備状態を確かめる
7.整備状態を確かめる
前部のボンネット内は、ブレーキや冷却水、ウオッシャーなど、日常点検整備項目をチェック。エンジンは、助手席側のシートの下。定期点検整備記録と突き合わせて、エンジンルーム内をチェック。オイルの滲みや汚れ(漏れの兆候)などにも注意。新しい部品が付いていれば、消耗部品を交換したか、故障など不具合があったか、それとも事故などでダメージを負ったのか、整備記録も探ってみよう。
ボンネット内と同様に、車体内側の鉄板部もチェックしよう。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
外装部品の立て付けを見る時は、例えば車体前部側面では、フェンダー、ヘッドライト、ボンネット、ドア、ピラー(フロントウインドウ部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けてずれたか、修理あるいは交換して位置が狂った可能性がある。
隙間を境に、隣り合うパネルの色調も比べてみよう。修理や交換で塗装していると、色艶が違って見えることがある。
9.角度を変えると見える
9.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインのずれや崩れ、微妙な立て付けの狂いなども判断しやすい。表面を斜め方向から透かして見ると、見落としがちな浅くて広い凹み、あるいは波打ち(しわ)なども確認できる。
しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡。部分的に色艶が違っているとか、ザラザラと肌荒れ状態になっている箇所なども、修理跡の疑いがある。
10.縁と奥もチェック
10.縁と奥もチェック
フェンダーは、ホイールアーチ部(タイヤを囲っている部分)を傷付けることも多い。傷があれば、凹みを伴っていないかチェック。フェンダーに歪みがないかも確認。
鉄板を内側に折り込んでいる部分にマスキング跡や修理跡などがないかもチェック。
さらに奥を覗いて、タイヤハウス内もチェック。塗装の飛沫が付着している場合は、修理箇所を突きとめて、ダメージの度合いを確かめよう。
11.周辺も調べて判断する
11.周辺も調べて判断する
側面のドアに大きなダメージを負うと、外して修理したり、あるいは交換してしまうことも多い。ドアヒンジ部のネジをチェックしよう。
ただし、ドアの立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけではドアを修理/交換しているとは断定できない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)やサイドシル(梁)など、周辺にダメージや修理跡などがないかも調べて判断する必要がある。
12.スライドドアのチェック
外板パネルに損傷などがないかチェックし、立て付けを確認。
ドアの開閉具合とスライドの動作もチェック。スライドの動きが鈍い、引っかかりがあるなどの症状にも注意。ロックの解錠/施錠具合やイージークローザーの動作なども忘れずにチェックしよう。
13.金具類の状態も確認する
フロントドアと同様にチェックするが、スライドドアは注意ポイントが多い。ドアを支えている金具類のほかに、レール(開口部の上下と車体後部側面にある溝金具)も慎重にチェック。各部のネジの脱着や金具類の交換の形跡などに注意しよう。
14.下側に注意ポイント
14.下側に注意ポイント
車体側面は、必ず下部も覗いて、サイドシル(車体の前後方向に通っている梁)に傷や歪み、腐食、修理跡などがないかチェック。
注意したいのは、下に張り出している外側と床側とのパネルを接合している部分。仕上げが粗くなっており、汚れていることも多いので判断は難しいかもしれないが、損傷や歪み、修理/交換の形跡などがないか調べよう。スポット(溶接)の打ち直しに注意しよう。
15.側面のチェックポイント
15.側面のチェックポイント
車体左側は、フューエルリッドも開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェック。
16.リアフェンダーのチェック
16.リアフェンダーのチェック
損傷や修理跡の有無を確認。リアバンパーやコンビネーションランプ、スライドドアなど、周辺部を含めて立て付け状態をチェック。スライドドアのレール、ホイールアーチなど、関連部の状態も慎重にチェック。リアスライドドアを開けて、ドアの開口部に修理/交換跡などがないかも確認しよう。
17.テールゲートのチェック
開閉具合をまず確認。テールゲートがスムーズに動いて、上げた状態でしっかり止まっていることも確認。
閉める時にカチッと収まらない場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。ずれているだけなら調整で直ることもあるが、車体が歪んでいる車両には要注意。
テールゲートは、内側に修理跡などがないかチェック。取り付けネジを脱着していないかもチェック。ヒンジおよび車体側のヒンジ固定部周辺に歪みや修理跡などがないかも調べよう。
18.鉄板の接合部を調べる
開口部を見ると、鉄板の接合部がある。修理/交換の形跡がないか、溶接やシーラー、塗装の状態を慎重にチェック。下部は、コンビネーションランプやバンパーなどの取り付け状態に注意。
後方から強い衝撃を受けると、思わぬ部位に波及することもある。修理/交換跡があれば、周辺部だけでなく、ダメージが及んだ範囲を広く探る必要がある。
19.床下を覗いて確認
19.床下を覗いて確認
フレーム(骨格部)やメンバー(補強部材)などに損傷や修理/交換の形跡などがないか。マフラーやサスペンション、ブラケットなど、部品や金具類に損傷や曲がり、歪み、修理/交換の形跡などがないか。前後左右、四方から覗いてチェックしよう。
油脂汚れ(オイルやグリスなどの漏れの兆候)やゴム部品の劣化(ひび割れ)などにも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないといえるが、広がり範囲と腐食の状態を調べよう。
20.タイヤとホイールのチェック
20.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、残り溝の深さをまず点検。傷や異物の刺さり、ひび割れなどがないかも確認。
接地面の摩耗状態も調べよう。外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減る偏摩耗が起きていれば、ホイールの取り付け角度が狂っているのか、あるいは車体が歪んでいるのか、確かめる必要がある。
ホイールは、ホイールキャップに損傷や破損などがないかチェックするが、ホイールのリム部(タイヤと接している外周部)に曲がりなどがないか必ず確認。アルミホイールの場合は、過度な衝撃で生じる変形や割れなどにも注意したい。
21.不具合の兆候を探る
21.不具合の兆候を探る
エンジンをかけて、始動具合やアイドリング回転、排気ガスの色などをチェック。始動時には、メーター部にある表示/警告灯類の点灯にも注意。
スムーズに始動しない場合は、バッテリーのほか、始動困難に陥った原因を突きとめる必要がある。不安定なアイドリング回転、異音や大きな振動、白煙(水蒸気なら問題ない)や黒煙の排気ガスなどが出ていれば、なんらかのトラブルを抱えている。
異常を感じたり、疑問があれば、販売店に聞いてみよう。
22.オートマチックのチェック
22.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだままセレクトレバーを操作して、各ポジションにスムーズに切り替えできるかどうかチェック。
できれば試走して、走行中のオートマチック動作を確認。ギヤが切り替わる時のショックが大きい、アクセルペダルを踏んだ時に滑っている感じがするなど、走行時にしかわからない不具合症状もあるので注意したい。
23.装備機器類の機能を確認
23.装備機器類の機能を確認
ウインカーやヘッドライト、ブレーキ/バックランプなど、保安機器類が正常に作動することをまず確認。エアコンやオーディオなど、電装機器や電動機構は、スイッチを入れるだけでなく、調整操作して機能を確認。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯なども忘れずにチェックしよう。
グレードによって装備が異なっており、オプションなど後付け装備を付けていることもある。車両の装備内容は、事前に販売店でチェックしておこう。
24.室内の隅まで細かくチェック
シートや内装材などに汚れや染み、傷、穴などがないか。前席周辺だけでなく、後席や積載スペースまで念入りに調べよう。フロアや天井の状態も確認。ボックスやポケットは、内部も確認。エアコン吹き出し口やボックスの蓋などは、可動部の破損に注意。不可解な穴があれば、室内を改装していたなごりかもしれない。細部まで慎重にチェックしよう。
■車両の情報をチェック
「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限と内容などを確認。「車両取扱説明書」の他に、オプションや後付け装備などが付いている場合は、それぞれの使用説明書が揃っていることも確かめよう。
「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合は、周辺の状態を慎重にチェック。エンジンルームやスペアタイヤ収納部などは、新車時から外装とは塗色が異なってることがある。
●ドアの開口部など、外から見えない部分にマスキング(塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするためのカバーを粘着テープなどで留める)した跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような“直線状の段差”があれば、何らかの理由で塗装している。
●部品などに塗料が付着している場合も、周辺を詳しく調べる必要がある。
●車種によっては、スペアタイヤ収納部などに、塗装の飛沫が付着しているように見える、新車時から仕上げが荒くなっている部分もある。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。
●ネジの頭が塗装されていれば比較的容易に確認できるが、無塗装ネジの場合は判断しにくい。傷や錆に注意して、関連する近隣のネジや、車体左右の同じ部品のネジと見比べる。
溶接とシーラー
●修理/交換で溶接している(熱を加えた)部分は、錆が発生しやすくなっている。特に床下は、溶接部の塗装の剥がれや浮きに注意する。
●鉄板の接合部分に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理/交換で再溶接すると塗り直すので、不自然に見える。
●爪で押して、表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を比べてみる。
●スポット溶接(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)は、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理/交換すると、組み付ける際に誤差が出ることがある。隣接するパネルの隙間(チリと呼ぶ)の幅が均等になっていなければ、修理/交換している可能性がある。
●バンパーなどは、ぶつけたり、押されてずれることもある。たとえ修理/交換していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●プレスライン(外板パネルが折れ曲がっている角の線)や、モール類(ドアなどに付いている飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。
■今回の車両のプロフィール
●2004年8月にフルモデルチェンジし、5代目「200系」とも呼ばれているキャブオーバー(エンジンの上に運転席がある)ワンボックスカー。「ハイエース」のモデルタイプには、輸送の「バン」の他に、多人数乗りの「ワゴン」と「コミューター」がある。また、「ハイエース バン」はトヨペット店、兄弟車の「レジアスエース」をネッツ店で販売している。
●エンジンは、3.0Lディーゼル、2.7Lと2.0Lガソリンの3種。トランスミッションは、4速ATと5速MT。駆動方式は、2WD(FR後輪駆動)と4WDがある。ボディ長は、ロングとスーパーロング。ボディ幅は、標準とワイド。ルーフ形状は、標準ルーフ、ミドルルーフ、ハイルーフ。フロア形状は、標準とジャストロー(低くフラットな床)。定員には、2/5人、3/6人、3人、3/6/9人がある。定員によって積載量も異なる。ボディやエンジン、トランスミッションとの組み合わせで仕様は65にもおよぶ。
グレードは、スタンダードな「DX」と上級仕様「スーパーGL」の2タイプ。DXは、フロントエアコン、M/FMマルチ電子チューナー付ラジオ&1スピーカー、マルチユースシートバックコンソールなどが標準装備。「GLパッケージ」も設定されており、前後カラードバンパー、メッキフロントグリル、電動格納式ドアミラー、メッキバックドアガーニッシュ、ハイグレードホイールキャップ、運転席パワーウインドウ、リアホイールハウスカバーなどを追加装備する。
スーパーGLは、前後カラードバンパー、プライバシーガラス、リアメッキエンブレム、タコメーター付オプティトロンメーター、ライト自動点灯消灯システム、2段階調整式リアシート、シルバーメタリック加飾、センターコンソール、大型スライドドアステップ、フロントエアコン+リアクーラー&ヒーター、オーディオレス&4スピーカーなどが標準。専用のメッキフロントグリル、フォグランプ、メッキドアハンドル、電動格納式メッキドアミラー、メッキバックドアガーニッシュ、ハイグレードホイールキャップ、両側スライドドアイージークローザーなどを装備している。
■参考車両と同時期の「スーパーGL」仕様設定(2008.09)
ロング/標準幅/標準ルーフ 2/5人乗り
エンジン | 型式 | シフト | 駆動 |
3000 ディーゼル | ADF-KDH201V | 4AT | 2WD |
ADF-KDH206V | 4AT | 4WD | |
2000 ガソリン | CBF-TRH200V | 4AT | 2WD |
ロング/ワイド幅/ミドルルーフ2/5人乗り
エンジン | 型式 | シフト | 駆動 |
3000 ディーゼル | ADF-KDH211K | 4AT | 2WD |
2700 ガソリン | CBF-TRH211K | 4AT | 2WD |
CBF-TRH216K | 4AT | 4WD |