中古車購入ガイド
更新日:2022.07.15 / 掲載日:2021.08.02

車いすに使いやすい車の選び方を徹底解説!

 

ご家族が車いすを使っている場合、お出かけや通院などで車を使うケースも少なくありません。しかし、一般的な車は車いすの方にとって使いやすいとは言い難く、車を選ぶにあたっては車いすの方でも乗り降りしやすいなどの特徴を備えていることが望まれます。とはいえ、「車いすでも使いやすい車」が、どのような車なのかご存知の方は少ないでしょう。そこで今回は、車いすの方でも使いやすい車の選び方、どんな特徴を持った車が向いているのかについて解説します。

 

車いすの方が使いにくい車の弊害

車いすの方でも使いやすい車を選ぶことは、車いすの方の心身の健康を維持するために重要なことです。もし、車いすの方がいらっしゃるご家庭において、車が使いやすいものではないと、さまざまな弊害をもたらすことになります。車いすの方にとって使いにくい車ということは快適に利用することができないということです。そのような場合だと、車いすの方は車を使っての外出が億劫になってしまう可能性があります。車を使った外出が最低限になることで、車いすの方の外出の頻度は減ってしまいます。そうなると、運動の機会が減少して足腰が弱ってしまったり、外出による気分転換ができないことによって気分が落ち込みがちになる可能性があります。それを回避するためには、車を車いすの方でも使いやすい仕様のものにする必要があります。

「普段使いと福祉車両で2台」よりも「普段使いも車いすにも使える」ほうが便利

 

車いすの方でも使いやすい、特別な仕様を備えている車のことを「福祉車両」といいます。もし、福祉車両の購入を検討する場合、すでにお持ちの車と合わせて2台の車を使い分けるという選択肢が思い浮かぶでしょう。しかしながら、その選択肢はあまりおすすめできるものではありません。最大の理由は「駐車場の確保ができるか?」ということです。普段使いの車と福祉車両の2台を保有するということは、その2台の車を停めるための駐車場が必要になります。庭に十分なスペースがあれば別ですが、なければ有料駐車場を確保しなければならず、金銭的な問題が生じることになるのです。そのため、駐車場の問題を回避するためには「普段使いにも問題がない福祉車両」を1台保有することが有効な手段となるのではないでしょうか。

車いすの方でも使いやすい2種類のタイプ

 

車いすの方にとって使いやすい車とは、言い換えると「車いすの方でも乗り降りしやすい車」ということになります。いわゆる福祉車両と呼ばれる車がそれに該当するのですが、乗り降りの仕方によって大きく2種類に分けられます。

回転昇降シート車

 

シートが回転&昇降して車外に出ることで乗り降りが楽になるタイプの車です。普段使いもしやすいのでオススメのタイプとなります。一般的に、車のシートは地面と高低差があり、介助によって車いすから車のシートに座るにあたって手間や転倒のリスクを抱えることになります。このタイプの福祉車両の場合、助手席のシートが回転して乗り降りのサポートをしてくれたり、シートが回転しながら車の外に出てきて、昇降によって地面との高低差が軽減されるため、車いすの方でも楽に、かつ安全にシートに座ることができます。

車いす仕様車

 

車いすに座ったまま車に乗り降りするタイプの車です。一般的に後部座席に車いす用のスペースがあり、スロープを用いることで車いすが福祉車両の中に乗り込みます。車いすの方は座ったまま車に乗り込むことができるので、乗り降りの際にいちいち車いすから降りる必要がありません。ただし、後部座席の部分が車いす用にスペースを使ってしまっているので、普段使いには少し不向きな特徴を持っています。

1台だけ持つのならば?

 

普段使いもできるし車いすの方にも使いやすい車を選択するのであれば、「回転昇降シート車」が普段使いにも自然に使えるのでおすすめです。昇降シートは、普段は普通のシートとして使うことができます。車いすごと乗り降りするタイプはどちらかといえば車いす用に特化しているため、普段使いでは違和感や不便さを感じる可能性があります。なので、普段使いと、車いすの方が乗る場合で使い勝手に差が生じにくい、回転昇降シート車をおすすめします。

車いす向けの車を購入する前に気になること

 

車の購入という大きな買い物ともなれば、事前にさまざまな事が気になるでしょう。ここでは「車いす向けの車を探しているけれど、気になることがいくつかある」という方の不安を払しょくするために、よくある質問をまとめてみました。

車いす向けの車は選択肢が少ない?

 

「車いす向けの特徴を持つ」ことを条件に絞り込むとなると、どうしても車種の選択肢が限られてしまうイメージがあります。しかし実際には数多くの選択肢が用意されているため、気に入った車種を見つけやすいでしょう。車いすの方にとっていくら使いやすい車を選ぶとはいえ、所有者・運転者にとって不本意な車種は選びたくないでしょう。福祉車両を検索してみると、有名車種の福祉仕様車が多いことがわかります。

車いす向けの車は高額?

 

確かに、特殊な装備をしている福祉車両は、一般の車よりもコストがかかる傾向にあります。しかし、福祉車両は購入時に助成金や補助金が使えたり、装備によっては非課税になったりする場合もありますので購入時に販売店でしっかり確認しておきましょう。福祉車両の購入には、数百万円のコストがかかる可能性が高いです。しかし、条件次第では費用を助成してくれる制度を利用できるため、費用負担を抑えつつ車いすの方向けの車を購入できるでしょう。

新しく車を購入する以外の選択肢はあるの?

 

すでにお持ちの車を、車いす向けに改造することは可能です。この場合でも、条件次第では補助制度を利用して費用負担を軽減することも可能です。販売店のほか、車に特殊な装置を取り付ける専門業者もあるので、そういった業者に相談する方法もあります。新しく車を購入するにはコストがかかりますし、車に愛着がある方もいらっしゃるでしょう。全てのケースにおいて改造できるわけではありませんが、選択肢として「改造の余地があるかもしれない」という点は押さえておきましょう。

車いす向けの車を選ぶ際のポイント

 

あまり考えずに買い物をすれば後悔することがあるように、車いすの方向けの車も買い方次第では後悔する結果に終わるかもしれません。車いすの方向けに車を購入するにあたっては、2つのポイントに注意して車選びをすることをおすすめします。

車いすの方にとって乗りやすい

 

車いすの方にとって、乗りやすい車である必要があります。シートの高さや広さ、ドアの広さなど、車いすの方が快適に乗り降りできることを確認しておきましょう。車いすの方向けに車を購入する最大の理由は「車いすの方の乗り降りの利便性を確保する」ことです。にもかかわらず、車いすの方ご本人にとって使いにくい特徴を有している車を購入しても意味がありません。購入前には販売店に相談をした上で、できれば実際に試乗できる店舗を探すなどしながら、使い勝手を確認しておくと良いでしょう。

車いすでない方にも使いやすい

 

車いすの方を優先するのは大切ですが車いすの方が運転をする場合も含めて運転者の使い勝手についても考慮しておくべきです。運転する方にとって使いにくい特徴だと普段使いにも支障をきたすことにつながります。車いすの方にとって使いやすい車でも、乗り降りの際には介助が必要なケースが多いです。介助しにくい特徴を有する車では、車いすの方も気を使ってしまうでしょう。快適に利用するためには、車いすの方が一人でも乗り降りしやすいかと同時に介助者がいる場合も使いやすいことが重要でしょう。

福祉車両の購入は、助成を利用できる可能性があるとはいえ、決心が必要な大きな買い物であることは間違いありません。助成が利用できることは後押しになるでしょう、だからこそ、車いすの方にとってどのように生活が向上するか使いやすい車かを確認することが重要です。では福祉車両を購入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

乗り降りがスムーズになる

 

一般的な車の場合、車いすの方では乗り降りにどうしても時間がかかってしまいます。車いす向けの車であれば、乗り降りの手間が抑えられ、緊急時でも迅速に乗り降りすることが可能です。急ぎの用事や緊急事態(避難など)の際に、一般的な車では車いすの方は乗り降りに時間がかかってしまいます。福祉車両の場合であれば車いすの方が乗り降りする際の手間が軽減され、普段使いの際はもちろん、急いでいる際には特に利便性を感じるでしょう。また、車いすごと入れる車でない場合でも福祉車両は一般車両と比較すると車いすの方を抱きかかえて乗り降りさせる際に便利な機能がたくさんついているのでおすすめです。

乗り降りの際に転倒などケガのリスクが減る

 

一般的な車だと、車いすの方が乗り降りする際にトラブルが発生する可能性があります。車いす向けの車であれば車いすの方向けに設計されているため、転倒のリスクが抑えられるのです。乗り降りに手間がかかるということは、その際に車いすの方が転倒してしまうリスクを高めます。転倒によるケガは心身の健康を害することにつながり日常生活にも支障をきたす可能性があります。車いすの方にとって乗り降りしやすいことにより、乗り降りの際の怪我のリスクを軽減できる点は大きなメリットです。

車いすの方が外出を億劫にならない

 

車いすの方でも乗り降りしやすい車であるため、外出を億劫に感じなくなります。外出の頻度が減ってしまうとストレスをため込んでしまうリスクがあるため、その回避に役立つのです。誰もが外出の機会を作ることで心身の健康に良い影響を与えます。しかし、乗り降りが面倒な一般車両では、車を使っての外出が億劫に感じてしまって腰が重くなりがちです。車いすの方でも気軽に車に乗れるような条件を整える福祉車両であれば、そのリスクを回避して、積極的に出かけられるようになるかもしれません。

車いす向けの車を購入する際の注意点

 

安全かつ快適に福祉車両を利用するためには、事前にさまざまな疑問を解消しておくことが必要です。車いすの方向けに車の購入を検討している場合には、以下の点に注意しましょう。

車いすの方も一緒に販売店にいく

 

車いすの方にとって快適に乗り降りできることは必須の条件です。それを確かめるためには、販売店に車いすの方も一緒にいくとわかりやすいでしょう。前述の通り「車いすの方が乗り降りしやすい事が必須の条件」です。福祉車両も車種によって実際の使い勝手は大きく異なります。車いすの方にとって使いやすいという条件を確かめるためには、販売店で実際に乗り降りのテストを行えると確実です。福祉車両の試乗車は常に店頭に無い場合が多いため、展示のある店舗を事前に探すか、販売店に相談をしておくと良いでしょう。

実際に試乗して乗り心地を確かめておく

 

車いすの方が快適に乗れることや、運転者にとって運転しやすいことは重要なポイントです。実際に車いすの方と一緒に試乗してみて、乗り心地や運転しやすさを確認しておきましょう。車の購入において大切なことは「乗り心地が良い」ことであり、これは車に乗るすべての方にとって欠かせない条件となります。運転時の快適さや運転中の乗り心地の良さを、試乗によってしっかりと確認しておきましょう。

補助制度など利用できる制度について相談しておく

 

車いす向けの福祉車両は、基本的にコストがかかりますので、利用できる補助制度等あれば利用したいところです。一から調べるには時間がかかりますので、詳しい販売店のスタッフに確認することをおすすめします。補助制度のように複雑な制度を利用する場合、地域によっても助成内容が異なるなど自分ひとりで調べるのは骨が折れます。事前に自分で調べるのは必要ですが、きちんと理解しているスタッフに相談をしながら検討を進めるのが良いでしょう。尚、障がい者手帳をお持ちの場合は必ず持参しおくとスムーズに話が進むと思いますので忘れないようにしましょう。

その他、不明な点があればしっかり相談しておく

 

車いす向けの車は、一般的な車と比べてわからないことも多いでしょう。購入前にわからないこと、購入後に不安になる点があれば、契約前にしっかりと確認して不安を払しょくしておきましょう。不明な点を残したまま車を購入してしまうと、後になって後悔するリスクを高めることになります。特に車いす仕様は納車までにかなり時間がかかってしまう場合がありますので、必要になる時期までに納車が間に合うかも含めて、早めに相談をしておくと良いでしょう。

車いすの方におすすめの車種5選

 

前述の通り、福祉車両に条件を絞ってもさまざまな車種があります。そして、種類があるということはそれぞれに異なる特徴や魅力があるということです。この記事では車いすの方におすすめの車種を5つ紹介します。

日産 ノート 助手席回転シート

 

まずご紹介するのは日産 ノート(助手席回転シート)です。

おすすめポイントは以下のとおりです。
・ストラップを引くだけで回転シートのロックを解除、簡単操作で乗り降りの負担が軽減される便利なシート
・フットレストを展開可能、フットレストに足を乗せればよりスムーズに乗り降りできる
・110mmの前後スライドが可能、乗車中の足元スペースが広がってゆったりと座れる
・新プラットフォームと第2世代e-POWERを採用、今まで以上に快適な乗り心地
・豊富なボディカラーでお気に入りの1台を見つけやすい

トヨタ ノア 助手席リフトアップシート車

 

次はトヨタ ノア(助手席リフトアップシート車)です。

おすすめポイントは以下のとおりです。
・電動で助手席が回転して車外へとスライドダウン、車いすの方でも乗り降りしやすい
・シートの前後スライドとリクライニング操作も電動で可動、簡単に快適な姿勢をキープできる
・便利なワイヤレスリモコンを標準装備、手軽にシートの操作が可能
・自動メモリー機能が標準装備、同じ車いすであれば毎回操作することなく同じ高さを自動で再現できる
・車体後部に手動車いす用固定装置を装備、安全に車いすを運搬できる

ダイハツ アトレー リヤシートリフト

 

次にダイハツ アトレー(リヤシートリフト)です。

おすすめポイントは以下のとおりです。
・電動で左側リヤシートが回転・昇降、車いすの方でも乗り降りがラクラク
・停車場所やお体の状態にあわせて、座席の左右どちらからでも乗り降りできる
・シート操作はリモコンで行う、コードが伸びるので車外からでも快適に操作できる
・折り畳み式フットレストを標準装備、普段は収納できるので使わない場合は足元にスペースを確保できる
・乗降時の開口部は910mm、高さに余裕があるので背の高い方でも気にすることなく快適に乗り降りできる

ホンダ N-BOX 車いす仕様車

 

次はホンダ N-BOX(車いす仕様車)です。

おすすめポイントは以下のとおりです。
・車いすの収納場所は後部座席を倒して床を確保、車いすモードと4人乗車モードを使い分けることで普段使いにも最適な構造
・車いすの乗り降りに使用するスロープは収納してフラットな荷室の床として使用可能、大きな荷物も安定した状態で積むことができる
・電動ウインチを使って力を使わずに乗り入れが完了、介助者の負担を最小限に抑えられる
・運転席と助手席のスペースを広く確保。 窮屈な姿勢で車に乗る必要がないので快適なドライブを満喫できる
・Honda SENSINGを標準装備、周囲の状況を認識して安心快適な運転を支援する

スズキ スペーシア 車いす移動車

 

次にスズキ スペーシア(車いす移動車)です。

おすすめポイントは以下のとおりです。
・ワンアクションで開閉可能なテールゲート一体型スロープを採用、電動ウインチなどの装備で力の弱い方でもラクに操作が行なえる
・頭上や足もとにゆとりがある車いす乗車空間を実現、さまざまなサイズの車いすにも対応できる
・車いす固定用のウインチベルトや3点式のシートベルトを装備、乗員に高水準の安心をもたらす
・スズキ セーフティ サポートを採用、運転をサポートする先進予防安全技術により事故のリスクを軽減
・モーターでエンジンをアシストするマイルドハイブリッドを採用、スターターモーター機能によって静かでスムーズなエンジン再始動を実現

まとめ:車いす向けの車は機能や補助制度をきちんと相談して購入しよう

 

いかがでしたでしょうか。
車いすに使いやすい車として検討方法などをご紹介してきました。

1.車いす向けの車は「シートが可動するタイプ」と「車いすごと載せられるタイプ」の2種類がある。普段使いすることも考えると前者の方がメリットが多い。
2.福祉車両は一般的な車よりもコストがかかる。場合によっては補助制度などを利用できるため、利用できる制度を利用して費用負担を抑えたい。
3.車いす向けの車を購入するにあたっては「介護される側の立場」も「介護する側・運転する側の立場」の両方を確認しておく必要がある。
4.車いす向けの車を購入することにはさまざまなメリットがある。車いすの方が快適なドライブを満喫することにより、心身の健康を維持できる。
5.購入するにあたっては車いすの方と一緒に販売店にいき、乗り心地や事前の疑問点を確認して不安を払しょくすることが重要
6.車いすの方におすすめな車5選

車いすの方にも快適に楽しいカーライフがおくれる仕様があることがおわかり頂けたと思います。
納車にかかる時間が長いなどデメリットもありますが、車に乗る全員が安全で快適な車に出会えるように願っています。

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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