中古車購入ガイド
更新日:2022.08.05 / 掲載日:2022.08.05
【ホンダ シビック タイプR】歴代タイプRの相場を総ざらいチェック。現在の中古車相場は?

サーキット走行にも耐えうる本格的なスポーツモデルの称号が、ホンダの「タイプR」。これが世に初めて出たのが、1992年のNSXタイプRだった。そして、1995年にはインテグラ、1997年にはシビックにもタイプRが設定され、バリエーションを拡大していった。NSXやインテグラのタイプRの生産が終わってからも、シビック タイプRは世代交代を重ね、先日は次世代型が初公開(発売は今年秋)されたことで話題となった。今回は、1997年の初代(EK9)から現行型(FK8)まで、各世代の相場動向を紹介しよう。
ホンダ シビック タイプRってどんなクルマ?

シビックは、ホンダの歴史ある乗用車。基本となるのはハッチバックだが、世代によってセダンやコンパクトワゴンなどの派生車も存在した。安価で使いやすいファミリー向けのクルマというのがシビックのコンセプトだ。とはいえ、タイプRが設定される以前のシビックも、高回転型のエンジンを搭載するなど、スポーティなイメージを持っていた。そんなスポーツイメージをさらに磨き上げたのが、1997年に登場した初代シビック タイプR。専用パワートレイン、赤いメーカーエンブレム、専用フロントバンパーやリアスポイラー、バケットシートなど、ハッチバックながらも中身は本格スポーツカー顔負けの仕立てなのが特徴で、そのスポーツマインドはそれ以降のタイプRにも継承されていった。
歴代シビック タイプRを振り返る
1997年8月、初代シビック タイプR(EK9)を発売。リッターあたり116馬力を発揮する1.6L 直4 VTECエンジンを搭載。最高出力は185馬力、最大トルクは16.3kgmに達した。8000回転以上を許容する専用バルブシステム、圧縮比の向上に加え、固められた足まわりにより、痛快なスポーツドライビングを楽しめる1台となった。トランスミッションは5速MTのみ。1998年にはマイナーチェンジが行われ、バンパーやリアコンビランプの形状が変更された。1999年12月には快適装備を充実させた「タイプR X」も登場している。
2001年10月、2代目(EP3)が登場。この世代のタイプRは、英国のスウィンドン工場で生産が行われている。ベースとなるシビックはスペース重視のフォルムとなったことで、タイプRの全高は先代から70mm高くなっている。しかし、高張力鋼版を多く用いたほか、ストラットタワーバー、パフォーマンスロッドの装着によりボディ剛性は先代よりもアップ。パワートレインは2.0L 直4が搭載され、最高出力は215馬力に達している。2004年にはマイナーチェンジが行われ、前後ヘッドランプやバンパー形状が改められた。
2007年3月、3代目(FD2)がデビュー。従来までは3ドアハッチバックだったが、こちらは4ドアのシビックがベースとなり、国内の工場で生産される。この世代のシビックは日本、欧州、北米それぞれで異なるボディが与えられ、日本市場には4ドアのみが導入されたのがその理由だ。パワートレインは2.0L 直4に6速MTが組み合わされ、最高出力は225馬力を発揮。さらに、翌年11月には欧州向けシビックをベースとした「タイプRユーロ」が2010台限定で導入された。こちらは欧州仕様の3ドアハッチバックがベースとなっており、201馬力の2.0L 直4+6速MTが搭載される。2010年10月には、1500台の「タイプRユーロ」が追加導入されている。
2015年10月の東京モーターショーで、4代目(FK2)が日本でお披露目された。生産は先代の「タイプRユーロ」と同じく英国で行われ、750台のみ導入される。なお、この世代ではタイプRのみが販売され、ベースとなる標準のシビックは日本に正規導入されていない。先代までは高回転型の自然吸気エンジンが特徴だったが、4代目タイプRでは初の2.0Lターボチャージャーを搭載。最高出力は310馬力を誇り、ダンパー減衰力をリアルタイムに制御する「アダプティブダンパーシステム」を採用するなど、走行性能を飛躍的に高めたのが特徴。ニュルブルクリンク北コースで7分50秒63と、発表時点でFF車最速の記録を打ち立てた(現在は別のクルマが記録を更新している)。
2017年7月、5代目(FK8)が登場した。先代とは異なり、限定車ではなくカタログモデルとして導入されている。生産は従来どおり英国で行われた。ベースとなるシビックはグローバルカーとして開発され、全世界共通のデザインを採用。タイプRには、先代と同じく2.0L 直4ターボを搭載するが、最高出力は10馬力アップの320馬力となった。トランスミッションはローレシオ化や軽量フライホイールを採用し、加速性能をアップ。また、安全運転支援システムの「ホンダセンシング」が標準装備となったのも注目のポイントだろう。
ホンダ シビック タイプRの世代別相場は?

現在まで5世代、6モデルが存在するシビック タイプR。今回は、各世代の最新の中古車動向を追ってみたい。
初代/EK9
90年代のスポーツモデルは軒並み高騰しているが、初代シビック タイプRも例外ではない。走行距離15万km以上の改造車でも200万円近い価格で、予算の最低ラインは200万円台前半といったところ。中古車平均価格は274万円。年式のわりに物件は揃っているものの、フルノーマル車を見つけるのはかなり難しい。コンディションのよいフルノーマル車は400万円以上のプライスタグが付けられることもある。これは新車当時の2倍の価格だ。
2代目/EP3
EK9よりも物件が少ないが、相場は比較的低めのEP3。コンディションを選ばなければ100万円台前半でも入手可能で、中古車平均価格は157万円。ただし修復歴ありの個体や改造車が目立つのは先代同様で、良質な車両を探すのは難しい。フルノーマル車は200万円台半ばの予算で購入でき、タイプRのなかでは探しやすいモデルといえよう。※中古車は少ないので物件表示は無し。
3代目/FD2
最も物件が多く、探しやすいのがFD2。ただし全体的に高価な車両が多く、走行距離15万km近くの多走行車両でも200万円前後のものが中心。中古車平均価格は310万円と、多くの物件が新車時よりも高くなっている。物件が多いため、3万km以下の低走行車をねらっていけるのが魅力。フルノーマルで状態がよいものや低走行車は、400万円~500万円の予算が必要だ。
3代目/FN2
タイプRユーロとして限定販売されたFN2。物件数はFD2の半分以下だが、相場も低く買いやすい。中古車平均価格は173万円。激しいスポーツ走行よりも街乗りで使われたような個体が目立ち、全体的にコンディションは良好だが、低走行車にこだわると探しにくいだろう。年式、価格、コンディションを考慮すると、比較的買いやすいタイプRといえる。
4代目/FK2
シビック タイプRのなかで最も物件が少なく、入手が難しいのがFK2。それは価格にも反映されており、中古車平均価格は420万円となっている。ただし、過酷に使われた車両は少ないのが魅力だ。
5代目/FK8
物件数はFD2に次いで多い現行型のFK8。ただし、価格の最低ラインは400万円となっており、中古車平均価格は548万円と、全世代で最も高額。その代わり低走行でコンディションのよい車両がほとんど。秋に登場する新型が登場しても、急激に相場が動くことはないと思われ、今後も高値をキープするだろう。
※中古車平均価格は2022年7月時点のデータ。
まとめ

全世代の中古車動向を見てみたが、現在買いやすいのはタイプRユーロのFN2。物件が少ないが、100万円台の予算で探すことができるだろう。また、初代EK9は良質な車両が少なくなっており、価格も高騰。一方、EP3は相場が安いので、いまのうちに押さえておくのも手だ。今後フルモデルチェンジを受けても、世代ごとの魅力があるので、相場は大きく変わらない。ほしい時が買い時といえるだろう。

ライタープロフィール
1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。
また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。
1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。
また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。