モータースポーツ
更新日:2024.04.06 / 掲載日:2024.04.06

いまからでも間に合うフォーミュラEの楽しみ方【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ジャガー

 3月30日土曜日、日本で初めてフォーミュラEが開催されました。知っていますか?フォーミュラEって。簡単に言えば、内燃機関を持たないバッテリーだけを原動力とするEVマシンのレースです。もちろんFIA(国際自動車連盟)公認なので、みなさんご存じのF1(フォーミュラ1)とは親戚といったところでしょう。ロードカーとは異なるフォーミュラマシンで競われます。

フォーミュラEのマシンは、バッテリーとモーターを搭載する電気自動車

 始まりは2014年の中国でした。北京オリンピック公園周辺で行われたのが、記念すべき第一回大会となります。草案はフォーミュラEの創設者アレハンドロ・アガグ氏と元FIA会長ジャン・トッド氏。パリのレストランで食事している時の会話がきっかけというからオシャレですよね。それが2011年ですから、瞬く間に実現された感じです。
 今年のABB FIAフォーミュラE選手権は、第一回大会からちょうど10シーズン目となります。年間16ラウンドで、メキシコ、中国、イタリア、ドイツ、アメリカ、英国など10カ国で開催されます。で、その第5戦が今回の東京E-Prix(イープリ)。場所は、臨海都心エリアで、東京ビッグサイトの駐車場を含む敷地内と一般道を使ってコース設定されました。そうそう、F1との違いはそれもあります。全16戦の中にはサーキットもありますが、基本このレースは市街地で行ないます。

 市街地を活用する理由はいくつかあります。F1マシンとは異なり、騒音や排気ガスが出ないので、街中でも「爆音がうるさい!」なんてクレームは来ません。交通の便がいいのもそうです。郊外にあるサーキットまで行かなくとも開催できるので、集客しやすいメリットがあります。また、それは同時にEVを開発するメーカーにも好都合だったりします。サーキットという特殊な環境ではなく、市販車と同じような環境で走らすことで、リアルなデータが取れます。「レース=実験室」の図式を積極的に生かそうという考えです。

シャシーやタイヤなどは統一だが、モーターやインバーターなどはチームごとに開発が許される

 それはタイヤメーカーも同じで、今回はハンコックのワンメイクでしたが、以前はミシュランが担当していました。きっとミシュランは十分データを収集できたのでしょう。EVの加速は特殊ですからいい機会と言えます。

 ではマシンのレギュレーションはどうなっているのかというと、すべてのチームが同じシャシーと車体を使います。各チーム個性豊かなカラーリングで異なる雰囲気を出していますが、よくみるとカタチはほぼ変わりません。シャシーは確かダラーラ製だったような。ですが、リアサスペンションとギアボックス(EVですがあります)といったハードウェアは各チームのオリジナルとなります。個性を出すのはこの辺でしょう。

 パワートレインではバッテリーは統一されますが、モーターとインバーターはチームごとに異なります。モーター開発が一つのキーになるのは明白。市販車へ直接的にフィードバックできそうなパーツです。

ジャガーTCSレーシングはチームランキング首位を走る

 そんなレースをジャガーTCSレーシングのお招きで観戦&取材してきました。彼らはフォーミュラEに2016年から参戦し、今回の東京E-Prixがちょうど100戦目になります。それに二人のドライバー、ニック・キャシディとミッチ・エバンスは第4戦終了時点でそれぞれドライバーズランキング1位と3位ですから力が入ります。ちなみに、ニック・キャシディは2015年から2020年まで日本のレースシーンで活躍していました。F3、スーパーフォーミュラ、スーパーGTでそれぞれタイトルを獲得しています。その意味では彼の名前を聞いたことのあるクルマ好きはいらっしゃるかもしれませんね。
 それはともかく、午前中に予選を行い、午後3時にスタートしたレースはおよそ一時間後に無事終了。熱いバトルが繰り広げられ、オーディエンスをかなり盛り上げました。やはりレースは現場で観るのが一番。ピットの緊張感もヒシヒシと伝わってきます。
 結果はニックが8位、ミッチが15位でしたが、ジャガーTCSレーシングはチームランキングで首位をキープ、ニックもドライバーズランキングで2位につけました。レースはまだ前半ですが、いい感じです。
 ということで、今回はフォーミュラEを軽く解説してみました。みなさんも今年を機会に残りの11戦を追いかけてみるのはいかがでしょう。来年また日本でやることは決まっていますしね。詳しくなっていると来シーズンがより楽しく観戦できるのは間違いありません。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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