モーターショー
更新日:2025.11.04 / 掲載日:2025.11.04
陸海空へと領域を広げたモビリティショー【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ホンダ、レクサス、マツダ、ヤマハ
JMS(ジャパン・モビリティ・ショー)に行ってきました。かつて東京モーターショーと呼ばれていたものの進化系です。特徴は、“モビリティ”となったことで、自動車だけではなく乗り物全般を扱うようになったこと。主催は日本自動車工業会ですが、自動車に限定しなくなりました。
なので、ホンダブースでは、「陸、海、空」の幅広いモビリティが展示されています。クルマとバイクは当然のこと、ホンダジェット(航空機)、ロケット、ボートの模型がありました。ロケットはサステナブルをテーマに機体の再使用と再生可能燃料の使用を掲げています。確かにロケットは打ち上げるたびに新型機ですからね。何度も使えたらエコだし、コスト面でも助かります。


ボートに関しては、ホンダマリンが長年船外機を設計開発、生産しています。なので、ノウハウは蓄積されていますが、船体をつくってはいないのでそこは興味津々。ブースには1/5のスケールモデルを展示していましたが、次回はぜひ1/1をお披露目してほしいところです。
船繋がりで言えば、レクサスブースにもカタマランのヨットが飾られていました。こちらも模型だったのが少々残念。せっかく「モーターショー」から「モビリティショー」に変わったのですから、その辺も本気を見せてもらいたかった気がします。まぁ、クルーザーもLY650からLY680へ進化したところを鑑みると、このヨットプロジェクトは進みそうな気配を感じます。

そのレクサスブースの目玉は6輪の大型ミニバンにモディファイしたLSです。6輪というとティレルのF1マシンP34を思い出しますが、あちらはフロントが4輪でした。
6輪ミニバンのメリットは3列シートのスペースを広く確保することとアクセスを容易にすることでしょう。リアを4輪にすることで、径の小さなタイヤを装着することができ、そういったメリットを獲得しました。これが成せるのはモーター駆動の賜物。電動化してしまえばフロントエンジンからの動力を伝えるプロペラシャフトはいらなくなり、機械的なパワーロスは少なくなります。それにモーターはコンパクトなので、スペース的にも問題なし。ただインホイールモーターだと話は別。20インチくらいないとモーターが入りません。
で、仕上がったキャビンスペースは広大。3列目シートにVIPを乗せても不満はなさそうです。それに2列目を180度回すことができるので新幹線のように対面シートにすることも可能。セレブ家族のご旅行って感じでしょうかね。中東あたりでウケそうな気がします。

マツダにはカッコいいコンセプトカーがステージ上にあります。ビジョンXクーペと呼ばれるもので、2ローターのロータリーターボエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドを搭載し、そこにCO2回収装置を取り付けています。で、興味深いのはこのCO2回収装置。“マツダ・モバイル・カーボン・キャプチャー”と呼ばれるそれは、排気ガスの中から二酸化炭素を吸着方式で取り出すもの。しかも、取り出した二酸化炭素はバイオ燃料の生成や農作物の成長促進、自動車部品としてのカーボン素材にあてがわれます。要するに、カーボンニュートラルという面で、かなり貢献するというわけです。ここ数年マツダはデザインの話が先に来ますが、環境問題にもかなり積極的に取り組んでいるのは事実。現在もこういった技術をモータースポーツの分野で走らせながら実験と研究を続けています。

ヤマハにも今回カッコいいモデルを見受けました。フロント二輪の三輪車で、“トライセラ プロト”と言います。見たまんまのフルオープンモデルで、駆動は電気モーターとなります。ユニークなのはフロントだけでなくリアも操舵すること。タイトなコーナーもクルリっと曲がれそうですね。走らせたくなりました。
メーカー展示以外には例年同様サプライヤーが西館二階にブースを並べています。ここもクルマ好きには外せないエリアであることは言うまでもありません。楽しみながらお勉強ができます。あとはトミカ55周年かな。ジオラマ展示はずっと見ていられます。
と言うことで、JMSは11月9日まで東京ビッグサイトで開催中。お時間のある方はどうぞ足をお運びください。