モーターショー
更新日:2023.10.31 / 掲載日:2023.10.30

1日かけても見切れないほど充実した内容【ジャパンモビリティショー2023】

文●九島辰也 写真●川崎泰輝

 2023年から東京モーターショーあらためジャパンモビリティショーとなった。そして去る10月26日から11月5日まで公開する。

 モーターショーという名称を変えた理由は、世界中でその需要がなくなったからだ。これまでフランクフルトモーターショーやデトロイトモーターショー、ニューヨークモーターショー、古くはロンドンモーターショー、トリノモーターショーなんてのもあって一年中世界のどこかで行われていた。理由はシンプルで、自動車産業全盛期であったから。ドイツ、アメリカ、フランス、イタリア、英国、そして日本と、それぞれのお膝元で自信作をお披露目したのである。おかげさまで、世界中のありとあらゆるモーターショーを取材した。アメリカで行われるショーの演出のスケールの大きさに驚かされたもんである。ガラスを突き破って登場するダッジのピックアップには思わず身体がのけぞった。

 ところが、近年各社がそれぞれの機会を設け、そこで新型車やコンセプトカーを発表する手法へスイッチした。その方がブランドの独自性が出せるし、世界中のメディアが自分のところに専念してくれるからだ。メディアが取り上げるスペースも自然と大きくなる。

 ということで、衰退するモーターショーをどうするべきか日本自動車工業会は決めあぐねていた。一時は開催をやめてしまうことも視野に入れていたと漏れ聞こえる。が、そこは豊田章男会長率いる日本自動車工業会が決断した。自動車にとどまらず乗り物全般で計画してみてはと。そして今年、ジャパン・モビリティショー2023の開催に漕ぎ着けた。

ジャパンモビリティショー2023

 一般開催前のプレスディに訪れた印象は思った以上に賑やかで盛大だった。個性豊かにデザインされたブースにはワクワクする展示が行われていた。

 自動車業界での大手メーカーは東館に集約されていた。トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、三菱、マツダ、レクサスといった見慣れた顔ぶれが続く。その間に中国の電気自動車メーカーBYDが入っていたのは目新しい。日本でアグレッシブに活動するようだ。それにヤマハ、カワサキ、(スズキやホンダもそうだが)といった二輪ブランドがあったのは嬉しい。見ているだけで楽しいし、モビリティショーになった意義を感じた。

ツバメインダストリの搭乗型ロボット アーカックス

 西館では、災害時に役に立つであろう新しい発想の機器の提案やスタートアップ企業がたくさん集まっている。気球のような物に乗って大気圏まで行くなんて夢の詰まった展示や四つの足を持ったアニメに出てきそうな乗り物まであった。思わず立ち止まってしまう提案物のオンパレードである。

 その西館の上の階は我々モータージャーナリストには欠かせない展示ブースが広がっていた。カーメーカーへ部品供給するサプライヤーたちだ。デンソーやアイシン、豊田自動織機、マーレ、ボッシュといったメジャーどころからかなり専門性に寄ったあまり耳にしたことのない会社までその技術を我々に見せてくれる。「この水素発電ボックスってどうなっているの?」「リチウムイオン電池のパックってどう進化しているの?」「EVに搭載するギアボックスの仕組みって?」といった素朴な疑問に的確に答えてくれる。いやぁ、本当に勉強になります。

西館の部品・機械器具ゾーンでは、サプライヤー各社がブースを出展

 なんて西館を通り過ぎると今度は南館に到着する。ここで一番目立つのはトミカだろう。最後の東京モーターショーの時もすごかったが、今回も大きなスケールで展示してくれた。フツーに生きていれば一生分のトミカをここで見ることになるかもしれない。それとここにはスーパーカー協会と連動した展示が行われていた。協会とは知り合いだが、あいかわらず目を引くスーパーカーを多数展示している。未来を提案するのとは別の軸で夢を見させてくれるだろう。

トミカブースのディスプレイ(筆者撮影)

 といった会場をじっくり見ながら歩き回った。開場から夕方まで予定していた以上に時間を使って。でも正直まだまだ足りない。あと2日、最低でももう1日練り歩きたい。スタートアップ系は説明してもらわないとわからないしね。そこにとんでもない未来をつくる原石が転がっていると想像するとワクワクする。個人的には毎年二輪車専門のモーターサイクルショーも船の祭典とも言える国際ボートショーにも行っている。その観点からするとモビリティショーだから全部まとめてもらってもいいかも。まぁ、その場合3、4日泊まり込みになるけどね。やっぱそりゃ無理かな。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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