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更新日:2023.04.24 / 掲載日:2023.04.22

【オートモービルカウンシル】名車が集うクルマ好き至福の空間【九島辰也】

文と写真●九島辰也

 今年もオートモビルカウンシルが行われました。毎年顔を出している楽しいカーショーです。コロナ禍を境に海外のイベントに行けなくなってしまったので、こういった機会は希少です。普段あまり見られないリアルなビンテージカーを拝めるのは嬉しい限り。実際主催者展示がすごかった。エンツォ・フェラーリ生誕125周年記念ということで、名高いスペチャーレが顔を揃えます。288GTO、F40、F50、エンツォ、などなど。圧巻ですね。

マツダ MX-81

 会場には数多くのブースが並びます。国産メーカーでは日産、三菱、ホンダ、マツダ、海外ブランドではポルシェ、マセラティ、アルピーヌなど。個人的におもしろかったのはマツダブースに置かれたMX-81。1981年の東京モーターショーに飾られたコンセプトカーです。設計はベルトーネ。この時代から“MX”というネーミングは使われていたんですね。勉強になります。海外ブランドはこういった過去のコンセプトカーを保管しているところが数多くあります。自社が運営するミュージアムに並べたりして。でも日本のメーカーではあまり話題になりませんし、見る機会はほとんどありません。聞くところによると保持していく意識が薄いとか。「お金かかりますから」という言葉がそれを表していますね。そういう次元の話じゃないのに残念です。

エイム EV SPORT 01

 メーカー&インポーター系ブースの他には、街の専門ショップが顔をそろえます。その大半が普段から付き合いのある会社なので、歩いているだけで楽しくなります。立ち話が止まりません。展示されるクルマを見ては、「こんなクルマ持ってたんだ」、「コレ激レアだね」なんて会話が飛び交います。クルマ好きには至福の時間ですね。

アストンマーティン DB9ヴォランテ “9(NINE)エディション”

 今年はそんなショップを経営している友人のひとりBESPOKES TOKYO(ビスポークス トーキョー)とコラボしました。2005年型アストンマーティンDB9ヴォランテをベースに私がカスタムの指示を出します。ネーミングは“9(NINE)エディション”。九島の名前から取りました。

 手を入れたのはボディカラーとインテリア(シート、コンソール)、それとインターフェイス。ダッシュパネルにはまだプロトタイプですが、Apple CarPlay対応の縦型モニター式デジタル機器を搭載しました。まるでメーカー純正のようにピッタリおさまります。見た方はみんなその完成度の高さに驚いてました。

 ボディカラーは英国貴族をイメージしたグリーンを採用しました。ひと口にグリーンと言っても世の中たくさんあるから困ります。ただこの場合イメージは最初から出来上がっていたので、とあるブランドのグリーンを指定しました。陰影で雰囲気が変わる大人の色彩です。これまで何度かクルマのオールペンを指示してきた経験が生きましたね。

アストンマーティン DB9ヴォランテ “9(NINE)エディション”

 そしてインテリアにはチョコレートをイメージした濃い目のブラウンを施します。肌触り抜群で、シックな装いとなります。前後のシートとリアへつながるセンターコンソールをそれで覆いました。後ろへ行くほど面積が広くなるので見た目のインパクトは大きくなります。最初はありがちなブラックレザーだったので、印象はガラリと大きく変化。シートのシワの入り方もいい感じです。

 こういったカスタムの根底には長年英国車を勉強してきた経験があります。アストンマーティンやベントレー、ジャガー、レンジローバー、そしてロールスロイスの歴代モデルをたくさん見てきましたし、ゲイドンやニューポートパグネル、クルー、グッドウッド、キャッスルブロムウィッチ、ソリハル、イースナーなどにも足を運びました。製造過程やデザインスタジオを見るためです。そればかりではありません。ロンドンの街並みではサヴィル・ロウやメイフェア周辺を練り歩きました。特にかつてウェストミンスター公爵の邸宅だったバークレースクエアのボードンハウスには何度も訪れ、多くの時間を過ごしたり。ひとつひとつの調度品が勉強になります。英国製のクルーザーもそうです。カンヌやモナコのボートショーへ行き007でも知られるサンシーカー、プリンセス、フェアラインなどにも直接触れました。そうそう、英国のジェントルマンライフに関わる多くの文献は必須です。

 ということで、英国人が考える英国車よりも英国的な一台が仕上がりました。たぶんですが。ヴォランテなので多くの人にインテリアを見てもらえてよかったです。個人的にはこういうクルマが増えるといいなと思います。まぁ、自己満ですけど。

 それはともかく、オートモビルカウンシル2023は無事終了。開催中はジャズライブなんかもあっていい雰囲気でした。シャンパンも飲めたりして。こういう空間はいいですよね。クルマを語るにはクルマだけでは足りませんから。さて、来年はナニをしましょうかね。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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