車のエンタメ
更新日:2025.12.10 / 掲載日:2025.12.10
クルマ愛が止まらない! 2025 〜前半〜
今年はこんなことがありました!!
いいこと・悪いこと、得した人・損した人……
私たちのクルマ生活事件簿
2025年の自動車業界で、起きた現象や話題になったクルマについてクローズアップ。
それぞれの事象に関係するさまざまな方にその真相を語ってもらいながら、2025年のクルマ業界を総括していく。
構成・文/フォッケウルフ 撮影/茂呂幸正
(掲載されている内容はグー本誌 2025年12月発売号掲載の内容です)

日本には、2025年も多くの名車が誕生したが、レクサスGXもそのひとつ。ご存じ、トヨタ・ランドクルーザー250の兄弟車であり、レクサスブランドから販売されるにあたって、内外装は上質に仕立てられ、快適性の向上も図られている。
このようにSUVにさまざまなバリエーションが広がっただけでなく、自動車業界のここ10年の大きな流れの中心になっているのが、電動化や自動運転化、コネクテッド技術や次世代バッテリー技術の進化など。しかし、クルマというものは前に進むだけでなく、レトロな趣を愛でる向きもある。昨今のネオクラブームや、名車のデザインオマージュや車名の復活なども廃れることなく、2025年にも見られた。
クルマのポジションやスタンスは時代とともに変わっていくが、現代においては、大人のたしなみとしてとらえている人たちが多くいる。そんな人たちのクルマ生活、つまりクルマの楽しみ方や、クルマとの親しみ方について話を集めた。
この1年、ある人はクルマで笑い、ある人は涙した。人々の希望やムードに応える機械でありながら、尊さと残酷さに悲喜こもごもさせてくれるのも、またクルマなのだ。現代のカーライフ喜劇を見てみよう。
あの実証実験都市が富士の裾野で始動開始!
2025年9月、自動運転やロボット、AIなどの先端技術を、人々が暮らしながら検証するためにトヨタが建設する実験都市「Woven City(ウーブン・シティ)」が街びらきを迎えた。今回は第1期開業ということで、開発・工事中の部分もあるが、住民が住み始め、各種プロダクトやサービスが始動している。

2025年に発売された話題の4車種「その先代モデル」を占う!
カーライフジャーナリスト
渡辺陽一郎さん
自動車誌編集長を経験後、フリーランスに。「読者に損をさせないこと」をテーマに、使う人の視点から執筆活動を続けている。

CROWN

新:2025年3月発売
[トヨタ]クラウン(エステート)(現行型)
先代型の復活ではなく、ワゴンとSUVの特徴を両立するモデルとして誕生した新型。広大なラゲッジスペースを備え、現行型クラウンの他モデルと同様、高い快適性と洗練されたデザインを備える。
新車価格:635万~810万円 中古車中心相場:610万~720万円

旧:[トヨタ]クラウンエステート(先代型)
クラウンセダンをそのままワゴンにした形状で、当時としてはクラストップのサイズを誇る大型ステーションワゴン。巨体にもかかわらず高い走行性能を有し、ドライバーも満足させてくれた。

★過去1年の平均相場動向
先代型の販売終了後、新型登場までだいぶ期間が空いたことで、先代型から直接乗り換えする層は少ないと思われる。流通台数は少なめだが根気よく探したいところ。
中古車中心相場:60万~190万円
純粋なワゴンだった旧型。現行型は受注停止が心配
25年3月に発売された現行クラウンエステートは、全高が1625㎜で最低地上高も175㎜(Z)だから、一般的にはSUVに分類される。しかし「エステート」という言葉は、基本的には「ワゴン」と同じ意味で使われてきた。以前は車名の後に「エステートワゴン」を付ける車種も多かった。
先代クラウンエステートの登場は99年に遡る。セダンのルーフを後方まで長く伸ばして室内に取り込んだ純粋なワゴンであった。11代目クラウンセダンをベースに開発され、上級セダンのワゴンとあって、後席には電動リクライニング機能を標準装着、あるいはオプションで選択できた。長いボディにより、荷室容量にも余裕があって大きな荷物も積みやすい。エンジンは直列6気筒2.5ℓなど4種類から選ぶことができる。
先代クラウンエステートの販売期間は99~07年だから、最も新しい車両でも初度登録から18年が経過する。中古車の流通台数も少ない。中古車ラインアップの中心はスポーティなアスリートで、豪華指向のロイヤルサルーンはほとんどない。それでも希少性が高いスポーツカーとは異なり、中心相場は高騰していない。低年式だから走行距離は10万㎞前後に達するが、相場は140万〜200万円が多い。新車価格348〜391万円だったことを考えると、中古車として納得できる価格だろう。
今では上級セダンをベースに開発されたワゴンはめずらしいから、純正ではないアルミホイールなどを装着してドレスアップされた中古車もあるが、オリジナルを保った車両を選びたい。販売店で定期的にメンテナンスを受けるなど、大切に扱われてきた可能性が高いからだ。このように先代クラウンエステートは、低年式でパーツの供給などに不安があるものの、デザインなどが好みなら選ぶ価値はあるだろう。
一方、現行クラウンエステートは25年3月に発売されたが、直後に受注を停止させた。生産が需要に追い付かず、納期が半年以上に遅延したからだ。その結果、転売が生じて中古車価格が高騰。ハイブリッドを搭載するZの新車価格は635万円だが、一時は700万円を超える中古車も増えた。しかし25年11月中旬時点では受注が再開して、販売店では「ハイブリッドのZ、PHEVのRSともに約3ヶ月で納車できる」という。現行型の新車を3ヶ月の納期で買えるなら、割高な中古車を選ぶ必要はない。今後は中古車価格も適正になる。それでも納期が再び半年前後に遅延して新車の受注が停止する可能性も高いから、クラウンエステートを買うなら早めに契約したい。
FORESTER

新:2025年4月発売
[スバル]フォレスター(現行型)
デザインイメージを一新し、より落ち着いた雰囲気と安心感を備えた。サイズは大きく変えずにボディ剛性を高めて、軽量化を実現。新たにストロングハイブリッドを導入し、燃費性能を向上させた。
新車価格:404万8000円~459万8000円 中古車中心相場:440万~500万円

旧:[スバル]フォレスター(先代型)
力強いデザインに、悪路走破性能を高めるX-MODEやシンメトリカルAWDを継承。ドライバーモニタリングシステムを初採用し、アイサイトが全車標準装備となるなど安全性能を高めた。

★過去1年の平均相場動向
人気のSUVのなかでも高いオフロード性能を持つ本格派ということで、多少年式を落としても相場は高めをキープ。18~20年式くらいなら250万円以下で狙える。
中古車中心相場:160万~320万円
実用性重視のユーザーには5年落ちの先代型を推奨
先代フォレスターは18~25年まで販売されていた。プラットフォームなどの基本部分は現行型と共通で、ホイールベースの数値も等しい。ボディサイズも、現行型が若干大きいが大差はない。そのために居住空間や荷室の広さも同程度だ。走行安定性、ステアリングの操舵感、安全装備の内容に差があるものの「先代型の中古車で十分」と考えるユーザーも多いだろう。
先代フォレスターのパワーユニットは時期に応じて異なり、水平対向4気筒2.0ℓマイルドハイブリッド、2.5ℓ、1.8ℓターボが用意された。5年落ちになる20年式の中古車価格は220万~240万円が中心だ。20年当時の新車価格は約290万~330万円だったから、人気のSUVとあって値落ちは少ない。5年落ちの中古車が新車価格の80%前後で売られている。
ただしそれでも先代型の中古車を選ぶメリットはある。現行型の新車価格が先代型よりも大幅に高いからだ。20年当時に売られていた先代型の新車価格は、前述の290万~330万円だが、現行型は約400万~460万円に達する。現行型の1.8ℓターボを搭載して安全装備を充実させたスポーツEXは、低価格の部類に入るが419万1000円だ。売れ筋の2.5ℓストロングハイブリッドを搭載したプレミアムS:HEV EXは459万8000円になる。
これに比べて5年落ちの中古車が220万~240万円なら、約半額だから求めやすい。つまりフォレスターは、現行型になってストロングハイブリッドを加えたこともあって新車価格を大きく上昇させ、その結果、先代型の中古車を買うメリットが際立ってきた。
一方、現行フォレスターの発売は25年4月だから、中古車の流通台数は少ない。現行型の発売時点では、S:HEVの受注がメーカーの予想を上まわって納期が約1年に遅延したが、その後に増産をしている。今のフォレスターの納期は、1.8ℓターボが4ケ月で2.5ℓストロングハイブリッドは少し長いが8ヶ月だから、わざわざ買い得とはいえない中古車を選ぶ必要はない。
従ってフォレスターの選び方としては、5年落ちになる先代型の中古車を220万〜240万円で買うか、それとも現行型の新車を400万円を超える価格で購入するか、という2つのパターンになる。実用重視のユーザーには、先代型の中古車がねらい目だ。ヤリスクロスなどノーマルガソリンエンジンを搭載するコンパクトSUVの新車を買う予算で、車内の広いミドルサイズSUVが手に入るからだ。
MOVE

新:2025年6月発売
[ダイハツ]ムーヴ(現行型)
端正なデザインが採用された新型は、後席に両側スライドドアを初採用。電動パーキングブレーキとブレーキホールド機能を一部標準装備し、最新式のスマートアシストで予防安全性能を高めている。
新車価格:135万8500円~202万4000円 中古車中心相場:140万~200万円

旧:[ダイハツ]ムーヴ(先代型)
ダイハツの基幹モデルとして進化を続けてきたハイトワゴン軽の6代目モデル。2014年に発売され、ボディ骨格や足まわりなどを改良して基本性能を向上し、各種安全機能も追加された。

★過去1年の平均相場動向
軽自動車のなかでも高い人気を誇ったモデルということで、流通台数がかなり多め。しかしロングセラーモデルだったため、後半(20年代)は少し物件数が減り気味だ。
中古車中心相場:20万~130万円
先代型は中古車流通量が豊富だが時期を選ぶべき
軽自動車の現行ムーヴは、25年6月に発売された。開発者は「最近の軽自動車では、背の高いボディで、後席にスライドドアを装着することが売れ行きを増やす条件になっている」という。今の35歳以下の年齢層には、幼い頃からミニバンに親しんだユーザーが多い。2列シートの軽自動車でも、全高が1600㎜を超えるボディとスライドドアを希望するそうだ。そこで現行ムーヴもスライドドアを備えるようになった。
現行ムーヴは、25年12月時点では、発売から6ヶ月しか経過していない。中古車はあまり流通していないと思われるが、実際には走行距離が10㎞以下の中古車が相応に売られている。販売店によると「今のムーヴの納期は2ヶ月以内」だから、受注を停止しているランドクルーザーのような転売が生じているわけではない。中古車価格もXが155万円前後だ。新車価格よりも約6万円高いが、これらの中古車にはオプション設定のカーナビや右側スライドドアの電動機能など15万円程度の装備が追加されている。差し引きすれば、新車価格に比べて9万円前後は安い。
このような中古車は「届け出済み未使用中古車」と呼ばれる。販売会社が在庫車を届け出(小型/普通車は登録)して、中古車市場に卸した車両だ。軽自動車は薄利多売の商品だから生産ペースを落とせない。需要が減ったときは生産が過剰になり、在庫車が生まれる。ただし在庫車は保管コストを要するから、新車なのに届け出をして、実質的に未使用の中古車として流通させるのだ。
届け出済み未使用中古車は前述のとおり少し安価だが、値引き商談を相応に行うユーザーには買い得ではない。新車で買えば25年式なのに、届け出済み中古車は24年式という場合もあって、売却時には低年式で不利になってしまう。これらの事情を踏まえると、現行ムーヴに限らず、未使用中古車の購入は推奨できない。
一方、先代型の中古車は豊富に流通している。5年落ちの20年式は、標準ボディのXなら80万~100万円。当時の新車価格が約120万~140万円だったから、現在の中古車価格は新車時の70%前後になる。特に安くないが、5年落ちが80万円なら、購入予算を大幅に安くできる。
ただし可能であれば、先代ムーヴの中古車を買うのは26年5月以降がよい。25年の年末フェアから26年3月の決算フェアにかけて、先代ムーヴのユーザーがフルモデルチェンジした現行型へ乗り換えるからだ。26年5月以降になると、先代型の下取り車両が中古車市場に出まわり、供給台数が需要を上まわって価格がますます割安になる。
PRELUDE

新:2025年9月発売
[ホンダ]プレリュード(現行型)
24年ぶりに復活した2ドアスペシャリティクーペ。グライダーのような伸びやかなスタイリングに最新ハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載し、操る喜びを味わえる走行性能を備える。
新車価格:617万9800円

旧:[ホンダ]プレリュード(先代型)
1996年デビューの5代目モデル。初代や2代目のリトラクタブルを彷彿させる四角形のヘッドランプを備える、整った2ドアクーペフォルムが特徴で、質感の高い内装や高い居住性能を備える。

★過去1年の平均相場動向
非常に少ない流通物件のなかでコンディションのいいモデルを探すのは困難。しかし、90年代のスポーツモデルにしては、それほど相場が高騰していないことは救いとなる。
中古車中心相場:170万~190万円
高価だが程度を優先して探したい希少な先代型
新型プレリュードが25年9月に発売された。今のクーペは、走行性能を徹底追求した後輪駆動のスポーツカーが中心だが、プレリュードはシビックと共通のプラットフォームを使う前輪駆動車だ。高性能と快適性を併せ持つスペシャルティクーペに位置付けられる。コペンが生産を終えるため、前輪駆動のクーペは貴重な存在だ。「プレリュード」の車名が付いた背景にも、前輪駆動の採用がある。かつてホンダには、前輪駆動のスペシャルティクーペとしてプレリュードが用意されていたからだ。共通の車名を与えた点では、現在のプレリュードは、新規投入ではなく復活になる。
そこで先代プレリュードの中古車事情を探ってみたい。プレリュードは初代モデルを78年に発売した後、フルモデルチェンジを重ねて、96年に5代目が登場した。01年まで生産され、これが先代プレリュードに位置付けられる。当時のクーペは、ボディの後部にリアゲートを装着した現行プレリュードのような3ドアではなく、後部に独立したトランクスペースを備える2ドアが人気だった。そのため先代プレリュードの外観は、2ドアセダン風であった。
先代プレリュードのエンジンは直列4気筒2.2ℓだが、4種類の仕様があった。ベーシックなタイプはXiが搭載する最高出力が135馬力タイプで、中級のSiは160馬力を搭載する。上級のSiRは200馬力で、最上級のタイプSは220馬力だった。当時は今に比べてクーペの販売が好調で、選択肢も豊富であった。
ただし、先代プレリュードの中古車は流通台数が少ない。01年に生産終了してすでに24年を経過したこともあるが、スカイラインGT-RやRX-7ほど人気が高くないことも影響している。それでも流通台数が少ないために、欲しいユーザーには希少性が高い。修復歴のない程度のいい車両の中古車価格は300万円を超える。先代プレリュードは低年式だから、中古車を買うなら、まずは元ベルノ系列だった販売店に相談するとよいだろう。
一方、現行プレリュードの中古車はほとんど流通していない。本格的に納車が開始されてから、約2ヶ月しか経過していないからだ。受注状況は、納期が遅延すると一時的に停止することもあるが、ランドクルーザーシリーズのように長期化してはいない。販売店では「6ヶ月程度は待っていただく場合もあるが、買えない状態ではない」と述べており、転売が生じて中古車価格が吊り上がる市場の混乱も招いてはいない。
COLUMN
中国車(BYD)と韓国車(ヒョンデ)の販売はどうだ!? 2025年と今後の戦略に迫る!
今や中国は世界一の自動車大国、韓国も世界第4位だが、日本ではBYD(中国)、ヒョンデ(韓国)ともに苦戦している。特にヒョンデは、インターネットでのEV販売に特化しているため厳しい。2025年は小型EVのインスターを投入し、対前年比で約60%増だが、それでも年間1000台程度。性能は日本製以上だが、今後も苦戦が続きそうだ。BYDもEVのみだが、積極的なディーラー展開により、販売台数はヒョンデの3倍以上。来年は日本市場攻略の切り札、軽ハイトワゴンEVの「ラッコ」を投入する。国産軽EVよりかなり安い価格で勝負をかけるはず。BYDがどこまで伸びるか注目だ。
TEXT/清水草一
