故障・修理
更新日:2025.07.13 / 掲載日:2022.09.16
車のエアコンが冷えない原因は?対処方法や修理先・修理代を解説

「車のエアコンが効かない」「停車中のエアコンが生ぬるい」という経験をされた人は多いのではないでしょうか。
とくに、夏の暑い日にエアコンが効かないと、車内はまるでサウナのような空間になります。快適なドライブのためには、エアコンの不調は早急に解決したいものです。
しかし、車のエアコンが不調になる原因はひとつではありません。走行状況や車種、エアコンの使い方、あるいは故障など、さまざまな原因が考えられます。
そこでこの記事では、車のエアコンが冷えない原因をくわしく解説し、具体的な対処法を紹介します。修理費用や自分でできるメンテナンスについても具体的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 車のエアコンが走らないと冷えない原因

車のエアコンが走らないと効かない原因は、主に車の仕様によるものです。故障ではなく、スピード低下による冷却不足、またはアイドリングストップ機能による送風への切り替えが考えられます。
(1) 渋滞に巻き込まれるなどスピードが出ていないため
走行速度が遅くなると、エアコンのコンデンサー(凝縮器)を冷やす風が十分に取り込めなくなります。
コンデンサーは、気化した冷媒を再び液体に戻す役割を担っており、走行風によって冷却されます。低速走行や停車時は、うまく風を取り込めず冷却効果が弱まるため、エアコンの効きが悪くなってしまうのです。
また、外気温が35度以上と高い場合や、強い日差しがアスファルトを照り返している場合は、コンデンサー自体の温度も上昇しやすく、冷却能力が低下します。
(2) アイドリングストップにより送風に切り替わったため
アイドリングストップ機能が作動するとエンジンが停止し、エアコンのコンプレッサーも停止します。
アイドリングストップは、車が信号待ちなどで停車した際に、自動でエンジンを停止させる機能です。コンプレッサーは冷媒を圧縮して液体にする装置で、停止すると冷房機能が送風に切り替わります。
停車中にエアコンが効かないと感じた場合は、アイドリングストップ機能によって、コンプレッサーが止まり、送風に切り替わっているかもしれません。
コンプレッサーが電動化されている車は、アイドリングストップ状態でもエアコンは効きます。
2. 車が停車中でもエアコンを効かせる方法

渋滞や停車中にエアコンが効かない場合は、「内気循環を活用」「車内温度の上昇を抑制」「アイドリングストップ機能を一時的に解除する」といった対策が有効です。
(1) 内気循環を活用する
エアコンを内気循環に設定すると、外の熱気を遮断し、車内の空気を効率的に冷やすことができます。
風向きを調整して冷風を直接体に当てることで、体感温度を下げる効果も期待できます。ただし、内気循環は車内の二酸化炭素濃度を高める可能性があるため、適度に外気を取り入れるようにしましょう。
外気導入に切り替えることで、新鮮な空気が取り込め、眠気防止にもつながります。
(2) 車内温度の上昇を抑制する
車内温度の上昇を抑制することも、エアコンの効率を高めるうえで重要です。
直射日光をさえぎるサンバイザーやサンシェードを使うことで、車内温度の上昇を抑え、エアコンへの負担を軽減できます。
エアコンの不調を直接解決するわけではありませんが、車内温度が過度に上がるのを防ぎ、冷房効率を高める効果があります。また、後部座席のガラスに断熱フィルムを貼るとより効果的です。
(3) アイドリングストップを一時的に解除する
アイドリングストップ機能をオフにすると、エンジンが停止しなくなるため、エアコンは冷房運転を継続できます。
アイドリングストップのオンオフは、運転席付近のスイッチパネルにある「アイドリングストップOFF」スイッチで切り替えられます。
なお、アイドリング中にアクセルを踏めば、エンジンの回転数を上げられるので冷房を効かせられますが、騒音となるため控えましょう。
3. 車のエアコンの故障が原因の可能性もある
内気循環の活用やアイドリングストップ機能の解除といった対処法を試しても、エアコンが効かない場合はトラブルや故障の可能性が高いでしょう。
考えられるトラブルや故障には、以下のようなものがあります。
・エアコンフィルターの詰まり
・エアコンガス不足
・コンプレッサーの故障
・エバポレーターの故障
エアコンフィルターの詰まりであれば、ご自身で清掃・交換できる場合があります。しかし、ほかの原因が考えられる場合や、ご自身での判断が難しい場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
4. 車のエアコンが効かない原因と対処法、修理費用
エアコンの不調は原因によって対処法と費用が異なり、軽微な詰まりから高額な部品交換までさまざまです。
主な原因であるエアコンフィルターの詰まり、エアコンガス不足、コンプレッサー・エバポレーターの故障について、対処法と修理費用目安を解説します。
(1) エアコンフィルターの詰まり
車のエアコンが効かない原因として、まず疑うべき箇所はエアコンフィルターです。
エアコンフィルターはエアコンの内部に装着されており、空気の通り道に設置されています。その役割は、ホコリや排気ガス、ゴミ、花粉など、車内に侵入するさまざまな異物をキャッチし、空気を清浄することです。
しかし、エアコンフィルターにゴミやホコリが詰まってくると、空気がスムーズに通らなくなり、エアコンの送風量が低下します。結果として、エアコンの風が弱まり、冷房効果が薄れてしまうため、「エアコンが効かない」と感じるのです。
① 対処法
エアコンフィルターの詰まりは自分でも対処可能です。汚れや詰まりが目立つ場合は、新しいフィルターに交換することでエアコンの効きが改善されます。

国産車の多くは、助手席前のグローブボックスの裏側にエアコンフィルターが設置されています。グローブボックスを外し、エアコンフィルターのカバーを取り外してフィルターの状態を確認しましょう。
もし、グローブボックスの外し方がわからない場合や、フィルターの交換に不安がある場合は、無理せず専門業者に依頼しましょう。
② 修理費用目安
エアコンフィルターの詰まりは比較的軽度なトラブルで、フィルター交換のみで済みます。
自分で交換する場合、かかる費用はエアコンフィルター本体代の1,000〜3,000円程度です。専門業者に依頼する場合は、本体台と工賃を含めて4,000~7,000円程度が目安となります。
(2) エアコンガス不足
エアコンガスは、エアコンを冷やすために必要な冷媒です。このガスが不足すると、エアコンの効きが悪くなります。
エアコンガスは密閉されているため基本減ることはありませんが、長年使用していると振動や、部品の劣化によって少しずつガスが漏れていることがあります。
① 対処法
DIYでエアコンガスの補充はできません。
専門的な知識と工具が必要なため、専門業者に点検と補充を依頼しましょう。部品の劣化や破損などが原因で、ガス漏れしていないかも確認してもらえます。
② 修理費用目安
エアコンガスの補充費用は、10,000~20,000円程度が相場です。
車種や依頼する業者によって異なるため、事前にWebサイトで確認したり、見積もりを取ったりすることをおすすめします。
部品の劣化や破損が原因の場合は、修理や交換が必要となるため、さらに費用がかかります。
(3) コンプレッサーの故障
車のエアコンの心臓部ともいえるコンプレッサーが故障すると、エアコンから冷風が出なくなります。
コンプレッサーの役割は、エアコンガスを圧縮し、循環させることです。具体的には、エンジンの回転を利用してエアコンガスを圧縮し、液化しています。
ガスが液化する際に熱を放出しており、その後、液体が再度気化する際に熱を奪い、冷却効果を生み出しているのです。
この繰り返しでクーラーから冷たい風が送られてくるので、コンプレッサーが故障すると、生ぬるい風しか出てこなくなります。
① 対処法
コンプレッサーが故障した場合の対処法は、修理または交換となります。
修理や交換は、専門的な知識や技術が必要となるため、専門業者に依頼する必要があります。
そもそも、エアコン内部の故障は、原因を突き止めるのが非常に困難です。専門業者に依頼して原因を特定してもらい、適切な修理方法を提案してもらいましょう。
② 修理費用目安
コンプレッサー本体の交換が必要な場合は、工賃を含めて5〜10万円程度が目安です。
修理で対応できる場合もありますが、内部の構造が複雑なため、修理よりも交換になるケースが多いでしょう。
とても高額な費用が発生するため、見積もりをしっかりと確認し、修理内容について十分な説明を受けてください。
複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することが大切です。
(4) エバポレーターの故障
エバポレーターは、エアコンガス(冷媒)を気化させて、車内を冷やす重要な部品です。エアコンガスが気体に変わる際に周りの熱を奪う性質を利用して、冷たい風を送り出しています。
エバポレーターが故障すると、エアコンから異臭がしたり、冷却能力が低下したりします。
① 対処法
エアコンからの異臭や冷却能力低下の主な原因は、エバポレーターフィンに付着したホコリや汚れ、カビなどです。
比較的軽度の汚れであれば、洗浄で改善できます。汚れがひどい場合や、洗浄しても改善が見られない場合は、交換することになります。
エバポレーターの交換は専門的な知識と技術が必要となるため、必ず専門業者に依頼しましょう。
② 修理費用目安
エバポレーターの洗浄費用の相場は、15,000〜25,000円です。交換が必要な場合は、5〜7万円と高額になります。
ただし、エバポレーターの洗浄は一時的な処置となるため、おすすめはしていません。あらたに汚れや鉄粉が回り、再発する可能性が高いのです。
エバポレーターの修理は、内装を取り外すなど大掛かりな作業になるため、工賃が高くなってしまいます。修理を依頼する際は、事前に見積もりを取り、作業内容や費用について確認しましょう。
5. 車のエアコンの修理を依頼できる業者

車のエアコン修理を依頼できる業者は、ディーラー、カー用品店、ガソリンスタンド、自動車整備工場などがあります。
それぞれ特徴が異なるため、自分に合った業者を選ぶことが重要です。
(1) ディーラー
ディーラーはメーカー直系の安心感と高品質な修理が魅力です。
自社車両の専門家なので、構造や特徴を熟知しており、安心して任せられます。
正規部品を使用するため費用が高額になりがちですが、メーカー保証期間内であれば、無料または格安で修理できます。
(2) カー用品店
カー用品店は安価なパーツで修理費用を抑えたい場合に適しています。
幅広い商品ラインナップからパーツを選び、費用を抑えることが可能です。
ただし、修理専門家ではないため対応範囲が限られます。複雑な故障には対応できないこともあるため、事前に修理内容や対応範囲を確認しておきましょう。
技術力もディーラーに比べて劣るため、修理実績や評判なども考慮して依頼先を決めるのがおすすめです。
(3) ガソリンスタンド
ガソリンスタンドは、手軽な点検や簡単な修理に便利です。
気軽に立ち寄れて、比較的リーズナブルな費用で修理を依頼できます。無料点検サービスを提供している店舗もあり、軽微なトラブルの際に便利です。
ただし、専門家ではないため複雑な修理は対応できません。エアコンガスの補充やフィルター交換など、簡単な作業が中心となります。
(4) 自動車整備工場
自動車整備工場は専門的な知識と技術を持つ整備士が在籍しており、ディーラーより安価に修理を依頼できます。
カー用品店やガソリンスタンドでは対応できない複雑な修理も可能です。整備のプロなので、安心して任せられます。
ただし、工場や整備士によって技術力に差があるため、口コミや評判、実績を確認してから依頼するようにしましょう。
6. 自分でできるエアコンのメンテナンス方法

快適な車内環境を保つためには、車のエアコンを適切にメンテナンスすることが重要です。自分でできるメンテナンスとして、エアコンフィルターの清掃や交換が挙げられます。
エアコンフィルターの役割は、車外から取り込む空気中のホコリや花粉などを除去することです。定期的に清掃することで、エアコンの性能を維持し、車内の空気を清潔に保てます。
具体的な清掃手順は以下のとおりです。
1. グローブボックスを取り外す
2. エアコンフィルターカバーを外す
3. エアコンフィルターを取り出す
4. 掃除機でゴミを吸引する
5. カバーを元に戻し、グローブボックスを戻す
もしエアコンフィルターを1年以上使用している場合、10,000km以上走行している場合は、新しいフィルターに交換しましょう。なお、エアコンフィルターには取り付ける向きがありますので気を付けてください。
エアコンを作動させた際に異臭がする場合は、消臭スプレーや専門業者によるクリーニングもおすすめです。
7. 車のエアコンに関することはグーネットピットにお任せください
車のエアコンの不調は、放置するとさまざまなトラブルにつながります。より深刻な故障を引き起こし、高額な修理費用が発生する原因にもなりかねません。
そのため、異音や異臭、冷却能力の低下など、少しでも気になる症状があれば、早めに点検を受けるようにしましょう。
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