パーツ取付・交換
更新日:2018.08.29 / 掲載日:2018.08.29
タイヤが摩耗すると転がり抵抗は変わるのか
摩耗したタイヤを新しいタイヤに交換した直後に、運転していてタイヤが地面に吸い付くような感覚を体験した事はありませんか?これはタイヤの転がり抵抗の変化によるものと考えられます。タイヤの摩耗と転がり抵抗の関係性について見ていきましょう。
タイヤの摩耗とは何か、どのような要因で起こる(進行する)のか

タイヤが接地している面積は、タイヤ1本に対してハガキ1枚分と言われますが、ハガキ4枚分の面積で1t以上ある自動車の重量を支えていることになります。そもそもタイヤの摩耗とは、簡単に言えば「すり減り」です。加速やブレーキング時の路面との摩擦により「摩耗=すり減り」が起こります。ただし、この摩擦がないと、車は加速しないばかりか、ブレーキを掛けても減速・停止はしません。この摩擦は車の走行とは切っても切れない重要な要素であり、この摩擦を「転がり抵抗」と呼びます。
通常の走行でも、路面の微妙な凹凸により、タイヤは路面からの衝撃や振動を吸収するため「歪み・戻り」を繰り返す事となり、タイヤのゴム自体が熱を帯びてきます。加えて、地面との摩擦によってタイヤの表面は少しずつ削り取られていきます。さらに発進時や制動時は縦方向に力が加わり、コーナーリング等では横方向に大きな力が加わります。
タイヤの摩耗により転がり抵抗はどうなるのか
一般的にタイヤの転がり抵抗は、タイヤが摩耗してくるに従って小さくなっていきます。ゴムの厚みが薄い状態では、接地した時のタイヤ表面の歪みが少なくなるからです。歪みが小さくなればなるほど、衝撃や振動を受け止める事ができずに「摩擦力=転がり抵抗」が減少します。
タイヤの摩耗は転がり抵抗以外にどのような事に影響するのか
上記の通り、転がり抵抗が減少すると言うのは、タイヤのグリップ性能の低下を意味し、スリップの危険性も高くなるという事です。そして摩耗していくにつれてタイヤの溝は浅くなっていき、雨天時の排水能力は落ちていきます。高速走行時は車が水の膜に浮いてしまう「ハイドロプレーニング現象」が起こりやすくなり、ハンドルが効かなくなり、一時的に制御不能になるなど、危険な状態になる可能性が高まります。タイヤの摩耗状態はタイヤのトレッド溝部分にあるスリップサインによって判断します。スリップサインは、タイヤの使用限度の目安であり、残り溝が1.6mm未満では道路運送車両に関する保安基準により使用が禁じられており、車検にも通りません。タイヤは人命にも関わる安全走行に欠かせない需要な部品です。日ごろからタイヤのコンディションを管理し、安全運転を心がけましょう。