パーツ取付・交換
更新日:2021.01.01 / 掲載日:2021.01.01
車高調の単筒式と複筒式の違いとは?

車高を下げる際に車高や乗り心地を自由に変えられる車高調サスペンションですが、大きく分けて単筒式と複筒式があることはご存知でしょうか。さらに、それぞれの特徴ということになると、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、車高調の単筒式と複筒式の違いについて解説します。
単筒式の車高調(車高調整式サスペンション)の特徴とは?

単筒式車高調はその名の通り、ひとつの筒で機能するサスペンションで、ショックアブソーバーのシェルケース内がピストンケースになっている構造ですが、その特徴としては以下のようなことが挙げられます。
メリットデメリット
- 構造上オイル容量を多くすることができ、放熱性も高いことから、熱に強く長時間安定した減衰力を発揮することができます
- 構造上ピストンバルブが大きくなるため、受圧面積が広く、減衰力の設定を細かく正確に行うことができます
- 車体への取付角度(極端に傾けたり、倒立させたり)を自由に設定することができます
- オイルとガスが混ざるエアレーションが起きません
複筒式の車高調(車高調整式サスペンション)の特徴とは?
複筒式車高調はその名の通り、シェルケースの中にもうひとつ筒がある二重構造になっているサスペンションです。その特徴としては、以下のようなことが挙げられます。
メリット
- 独立したオイル室とガス室がないため、ストロークは確保しやすくなります
- 封入ガス圧を低めにできるため、乗り心地は良くなります
- 二重構造なので、外側ケースのへこみなど外傷には強くなります
- 製造コストは低く抑えられます
デメリット
- オイル容量が少なく、放熱性も低いことから熱に弱く、長時間の減衰力維持という点に関しては難点があります
- 構造上ピストンバルブが小さくなるため、受圧面積が狭く、減衰力の設定を細かく正確に行うことができません
- 構造上、車体への取付角度(極端に傾けたり、倒立させたり)を自由に設定することができません
- オイル室とガス室の区切りがないため、オイルとガスが混ざるエアレーションが起きやすい構造です
単筒式と複筒式の違いとは?
上記の特徴から単筒式と複筒式の違いをまとめると以下のようになります。単筒式の長所は、熱に強いため長時間のハードな運転にも適応し、低速からリニアな乗り心地が得られる点です。短所は、封入するガス圧が高く、軽量な車両に対しては乗り心地が硬めになる傾向があり、コストが複筒式と比較して高い点です。一方複筒式の長所は、ストロークを確保しやすいために、段差や凹凸の多い道には強く、ガス圧を低めにできるため乗り心地を良くすることができます。短所は、熱に弱いため長時間のハードな運転には向かず、減衰力の細かい設定には適していません。ただし、単筒式よりコストは低くできます。以上の点から、単筒式はどちらかと言うとサーキットで長時間走行するスポーツカーや車両重量のある高級セダンやミニバンなどに適していて、複筒式は街中を走る一般的な乗用車に適していると言えます。それぞれのメリットとデメリットをしっかり把握して、それをうまく活かせば、単筒式でも複筒式でも、用途と目的に応じたいろいろな使い方ができるということです。