車検・点検・メンテナンス
更新日:2018.07.09 / 掲載日:2018.07.09
安全性向上計画Part.1 最新の安全向上用品を取り付ける(2)
ITEM.02 後側方から近づく車両を検知してインジケーターを点灯、警告してくれるブラインドスポット検知システムを取り付ける
「ブラインドスポット検知システム」は近年、高級車を中心に純正採用が進んでいる安全装備。ミラーでは確認できない左右の斜め後方に存在する死角に入り込んだ車両を検知して警告してくれる。
検知方法はカメラの画像解析だったりレーダーで探知したりと、カーメーカーによって異なり、後付けシステムとなるXBS-010にはマイクロウェーブセンサーが採用されている。設置数は2個で、リヤバンパー内の左右端に後方に向けて取り付ける。そして、斜め後方から接近してくる車両を検知するとインジケーターが点灯。ウインカーを出している状況下で検知した場合、インジケーターが点滅すると同時に警告音が発せられる。
なお、キットに付属するGPSアンテナは車速の検出に利用されており、ウインカー点滅時に後方から接近する車両を検知した時インジケーターの点滅に連動して鳴るブザーが、本バージョーンでは30km/h以下の速度域でOFFとなる仕様となっている。
純正採用もまだそれほど進んではいない先進の安全装備の後付けキット。近年の樹脂バンパーの車両であれば車種を選ぶことなく取り付けられる。
■問い合わせ先:株式会社CLS東京
取り付け・配線イメージ
システムの要となるマイクロウェーブセンサーは、付属のベルクロを使ってリヤバンパーのコーナー裏に取り付ける。
設置要件は20~30度、外側を向いた面、かつ高さ320~870mmの範囲内だ。まず、この条件に当てはまる部位をバンパー表面から選定し、取り付け位置が一目で判別できるようマーキングする。
なお、センサーハーネスに取り付けられているコネクターの色は左右を判別するために色違いとなっている。赤が左、黄色は右となるので組み間違いに注意!
【1】20~30度のアングルになる位置を特定する
1.リヤバンパーのコーナーで20~30度、外側を向く面をアングルゲージを利用して判別する。
2.内側末端位置にマスキングテープを貼ってマーキング。
3.端面からマーキングまでの距離を測り、反対側コーナーに転写する。
【2】特定したセンサー設置位置をマーキングする
1.マーキングした面にセンサーをあてがって収まり具合を確認する。
2.斜面が切り替わるプレスライン位置で路面から650mm。ここをセンサー上端の目安とする。
【3】リヤバンパーをそっくり取り外す
1.バンパー下端を固定している樹脂クリップをすべて引き抜く。固定箇所は剥き出しで下に潜ればすぐに発見できる。
2.バンパー末端に下から垂直に締め込まれている固定ネジを取り外す。
3-4.マッドフラップ上部に設置されている固定ネジを取り外す。
5.コンビネーションランプ近辺に設置さているメインの固定ボルトを外し、バンパー端を両手でがっちり保持。
6.手前にまっすぐ引っぱって上面末端のはめ込み固定を解除し、そのまま手前に引き抜く。樹脂の爪で嵌合されているだけなので、グッと力を込めて一気に引っぱれば引き抜ける。
7.反対端も同様に引き抜き、リヤバンパーをそっくり取り外す。
【4】バンパー裏の汚れをキッチリ落とす
1.カーシャンプーと洗車ブラシで外したリヤバンパーの裏側に堆積した泥汚れを洗い流す。
2.センサーを設置するコーナーは特に丁寧に、キッチリ泥汚れを落としておく。
3-4.乾燥したらアセトンを染みこませたウエスでセンサー取り付け面をムラなく拭いて脱脂する。
5.表面側のマーキングを指標に、バンパー裏にセンサー取り付け位置をマーキングする。
6.固定位置を明確に判断できるよう、センサー外周の上端と内側末端の2方向にマスキングテープを貼って印す。
7.端からの距離を指標に、反対側の左右対称となる位置にマーキングを施す。
【5】付属のベルクロでセンサーを貼り付ける
1.センサーは付属のベルクロを利用してバンパー裏に貼り付ける。ベルクロの利用には振動を吸収する目的があるが、容易に脱着できるため設置後にセンサー位置の微調整を行うことも可能となっている。
2-3.剥離紙を剥がしてセンサーの表面(黒いほう)に貼り付け、ムラなく擦って確実に密着させる。
4-5.剥離紙を剥がし、バンパー裏のマーキング面に慎重に位置合わせして貼り付ける。
6.反対側も同様の手順でセンサーを貼り付けて一段落。
7.起こした状態で壁に立て掛け、少し離れた位置からじっくり観察して左右対称に仕上がっているか念のため確認する。ほぼOKだ。
【6】延長ケーブルを接続し取り回す
1.センサーハーネスに取り付けられているコネクターと同色の延長ケーブルを選択してセンサーハーネスに接続する。
2.コネクターは防水ではないため、接続面に隙間なくテープを巻いてカバーする。
3.バンパー上端にセンサーハーネスを取り回し、密着させた状態でテープを貼って固定する。
4.バンパー上端部に配線留めを利用して固定しながら右センサー位置まで取り回す。
【7】余ったケーブルを束ねて固定!
1.右センサーに延長ケーブルを接続。
2.取り回してきた左のセンサーケーブルに長さを合わせ、余った分を束ねバラけないようタイラップを巻いて締め付ける。
3.バンパー端に配線留め金具を貼り付け、束ねたハーネスを固定する。振動で外れないようキッチリ留めておくことが肝心だ。
センサーハーネスは車内に引き込む必要がある。その車内への引き込みポイントは、バンパーを取り付けると隠れてしまうボディ側面を探せば見つけることができる。特に平成モデルは側面への回り込み位置に注目! 既存ハーネスの引き込み口や予備の空グロメットが設置されている可能性が高い。
なお、このハーネス引き込み口はリヤバンパーを外した時点で目星を付けておくことが重要となる。バンパー裏を取り回して片側のセンサー位置にまとめたセンサーハーネスは、最終的にその引き込み口の直近に取り回すからだ。また、左右どちら側に集めるかは本体の設置場所次第。このため、本体設置場所も作業開始前に決めておく必要があるので注意!
【1】既存グロメットに延長ケーブルを通す
1.引き込み口として利用できる既存のグロメットはバンパー裏を探せばたいてい見つかる。モデル車モビリオの場合、リヤコンビネーションランプの下部という丁度よい位置に空グロメットが設置されていた。
2/3.既にバックセンサーのハーネス引き込みに利用していたため穴を若干広げ、車内側に向かってセンサーハーネスを通しておく。
【2】延長ケーブルを車内に引き込む
1/2.リヤコンビネーションランプ裏に設けられているサービスホールのカバーを外し、ハーネス引き込み口からセンサーハーネスを車内に引き込み、サービスホールから引き出す。
3/4.バンパー脱着時、ハーネスが突っ張ることなく作業を進めるだけの長さを残してセンサーハーネスを車内に引き込み、ハーネスに通しておいたグロメットを元通りキッチリはめ込む。
5.センサーハーネスの取り回しを整えつつリヤバンパーを元通り組み付ける。
【3】ラゲッジ横の空きスペースに本体を設置
1.本体はラゲッジの右側面に設置されている蓋付きの収納スペースに収めることにした。
2/3.収納スペースの天井部分にサービスホールに向かってピンバイスで下穴を開け、リーマーでコネクターが無理なく通るサイズに広げる。
4.その穴を通してサービースホールに引き出しておいたセンサーハーネスを収納スペース内に引き込む。
【4】本体とブザーを設置しハーネスを接続する
1.収納スペースの側壁をシリコンオフを染みこませたウエスで拭いて汚れと油分をキッチリ拭き取る。
2/3.ブザーの底面に貼られている両面テープの剥離紙を剥がし、収納スペース側壁の上方に貼り付ける。なお、動作確認した際、この位置だとブザーの音が聞こえにくいことが判明したため、最終的にDピラー上部に移動した。
4.本体裏面に付属の両面テープを貼り、電源ハーネスを接続する。
5.コネクター面を下に向けて収納スペース側壁に貼り付ける。
【5】空を見通せる位置にGPSアンテナを設置
1.トランクサイドライニングを軽く引き抜き、窓側の隙間からライニング裏にGPSハーネスを引き込込む。
2.GPSアンテナの底部に両面テープ貼り、クォーターガラス手前の空が見通せる位置に貼り付ける。
3.GPSハーネスを収納スペースに引き込み、GPSアンテナ端子に接続する。
【6】センサーケーブルを本体に接続する
1.本バージョンでは機能しないCAN線を後方に折り込み、テープを巻いて絶縁する。
2.取り回してきたセンサーハーネスを同色のセンサー端子に接続。
3.テープを巻いて抜け止め処理する。
4.左右のインジケーター端子に同色の延長ケーブルを接続し、電源コードをまとめてコルゲートチューブを被せる。
5.ウインカーに接続する緑線と青線、黒のアース線をまとめてコルゲートチューブを被せ、サービースホールに引き出す。
6.アース線にクワ型端子を取り付け、ランプ裏の既存のボルトに共締めする。
【7】ウインカーの+主線に分岐・接続する
1/2.サービスホールから右ウインカーのバルブソケットを引き抜く。
3.バルブを取り外して端子部にテスターのテストリードを接触させ、ウインカーが点灯した時2つある端子のどちらに12Vが流れるか確認。
4.その端子に接続されている配線(+主線)を分岐して緑のウインカー信号線を接続する。
【8】L線を左ウインカーに取り回して接続
1.青のウインカー信号線は左のフラッシャー裏まで取り回すが、そのままでは長さが足りなかったため0.5sqの単線で延長する。
2/3.リヤパネルライニングを取り外し、ライニング裏を経由して左のリヤコンビネーションランプ裏まで取り回す。
4/5.取り回してきた青のウインカー信号線をサービスホールから引き出し、左ウインカーのバルブソケットに接続されている+主線を分岐して接続する。
【9】+電源線をフロントに届くよう延長する
1.なお、ラゲージスペースまわりにはACC電源がなかったため、電源線はフロントまで取り回すが、入組みコードは短く届かないため延長した。
2.0.75sqの赤色単線を用意してハンダ付けし、インジケーターハーネスを収めたコルゲートチューブにはめ込んでいく。
【10】インジケーターケーブルを前方に取り回す
1.トランクサイドライニング上に組み付けられているサービスホールのカバーをすべて外す。
2/3.サービスホールから内部を覗き見ると、ライニング裏に取り回されている純正ハーネスを目視することができる。その純正ハーネスの取り回しルートに沿ってインジケーターケーブルをフロントに取り回す。
4.リヤサイドガーニッシュを取り外し、トランクサイドライニングの前端を剥き出しにする。
5/6.サービスホールから、その剥き出しにしたライニング前端を狙って針金を通す。
7.サービスホール側の針金端をインジケーターケーブルに巻き付け、反対端を引いて前方に引き出す。
【11】既存ハーネスに沿って取り回していく
1.ライニング前端部に引き出したインジケーターケーブルを、サイドガーニッシュ裏に取り回されている純正ハーネスに沿わせてフロントへと取り回していく。
2/3.Bピラー下部はピラーガーニッシュを軽く引き出して隙間を作れば、無理なく通すことができる。
4.フロントドア部もサイドガーニッシュを外せば純正ハーネスを目視できるので、そこに沿わせるようにしてサイドカウル裏まで取り回す。
5.そして、インパネ裏に引き込む。
【12】インジケーターランプを設置する
1.Aピラー面にはめ込まれているフロントドアインナーシールを引き抜く。
2.黄色端子のインジケーターケーブルに同色のインジケーターランプを接続。パネル端の隙間を通してピラーガーニッシュ面に取り回し、運転席から視認しやすい位置を選定して貼り付ける。
3/4.赤色端子のインジケーターケーブルを、インパネ裏を通して助手席側Aピラー下に引き出す。
5.同色のインジケーターランプを接続し、ピラーガーニッシュの視認しやすい位置に貼り付ける。
【13】ACC電源を分岐して電源線を接続する
1.ヒューズボックスにセットさたヒューズの中からACCで通電するヒューズを探し、同容量のヒューズ電源に組み替える。
2.電源ケーブルにギボシ端子を取り付け、電源分岐線に接続。
3.ハーネスの取り回しを整え、外したパネル類を元通り組み付ける。
【14】後方から近づいて反応するかチェック!
1.イグニッションキーをACCに回して動作確認を行う。正常なら通電と同時に「ピピピピ」という確認音が聞こえる。
2.問題なく起動したら斜め後方からクルマに近づいて、接近した側のインジケーターランプが点灯することを確認して、完成だ。
死角に入り込んだ車両の検知能力はかなり高く、10m以上離れている車両も確実に検知。取説には「15m以内に接近した場合動作を開始」とされているが、ほぼ謳い文句通りの働きをしてくれる。
しかも、バイクや自転車といったクルマに比べて投影面積が小さくて見逃しやすい車両の接近も確実に検知。歩行者も検知することができる。
このため、かなり役立ち、安全に走らすことができるようになる。「ドアミラーの死角に入り込んだ車両に気付かずに車線変更して、あやうく接触するところだった」、「左折しようとしたら路肩をすり抜けてきたバイクが突然、現れてヒヤッとした」。そんな経験が誰しも一度はある。心当たりがあったなら、このシステムのありがたみ、有用性が理解できるはず。ぜひ導入することをおすすめする。
クルマの横をすり抜けるバイクはもちろん、自転車も検知してインジケーターランプが点灯。接近を知らせてくれる。
クルマ電装の基礎知識
既存の純正ハーネスからの電源や信号線の分岐も、市販キットによく入組みされている「エレクトロタップ」を利用すればワンタッチで行える。が、このアイテム。金属ツメを被覆を破って芯線に食い込ませるという構造から、接触不良を起こしやすいのだ。このため、確実・信頼性が求められる系統の配線分岐には向かない。ハンダ付けが原則だ。また、ハンダコテの利用できない状況下なら「スプライス」の利用をおすすめする。
1.配線コード端を指に巻き付けて保持。分岐する位置の被覆をニッパーで挟み、刃先が軽く食い込む程度にハンドルを握る。
2.親指をニッパー側面に当てて押し込みつつ指に巻き付けて配線コードを引っ張り、芯線を切らないよう慎重に被覆を剥いて芯線を5mmほど露出させる。
3/4.分岐線の被覆を10mmほど剥き、剥き出しになった芯線面に巻き付ける。
1.芯線の中央付近にコテ先を接触させてしっかり加熱する。
2.コテ先の横から芯線にハンダを押し付けるようにして芯線内部に溶かし込んでいく。
3.芯線内部に浸透すると裏側に溶けたハンダが染み出てくる。
4.裏側に溶けたハンダが染み出してきたら、裏返して浸透具合いを確認。芯線がムラなくハンダに覆われていたら完成。芯線が露出した面が残っていたらアウト。再度ハンダを溶かし込む。
ギボシ端子のカシメ部分のみを切り取ったようなU形状の単純な端子。それが「スプライス」で、これを利用すれば「エレクトロタップ」より確実に、 それでいて「ハンダ付け」よりも手軽に接続・分岐加工が行える。
1/2.分岐線を巻き付けた芯線面に「スプライス」をはめ込む。
3.芯線からズレないよう慎重に電工ペンチの圧着面に挟み込み、キッチリかしめる。この際、適合サイズより大きめのかしめ部(スプライスはサイズに種類があり、それによって適合するかしめ部は異なってくる)で仮かしめして形を整えてから、適合サイズで本かしめする。
4.これで分岐は完了。
【3】テープをキッチリ巻いて絶縁する
1.テープを指3本ほどの幅の長さにカット。
2.テープ端を折り込むように巻き付け、テープを引っぱって軽く伸ばしつつ巻き付けていく。
3.テープ幅の2/3くらい重ねるようにらせん状に巻き、巻き終わりは引き延ばしながら撫でつけ密着させる。
「スプライス」による分岐は「エレクトロタップ」のようにかさばることもなく、ハンダ付けに準じたスマートな仕上がり。電源を確保できない出先では無理があり、高温となるハンダコテの車内での利用はリスクも高い。そのような時「スプライス」の出番だ。
提供元:オートメカニック