中古車購入チェックポイント
更新日:2022.03.09 / 掲載日:2022.03.04

中古車の購入時はメーカー保証継承をしよう!その手続き方法や注意点を説明します。

中古車に新車だった時のメーカー保証の内容を引き継ぐのが「メーカー保証継承」です。

メーカー保証の期間が残っている中古車を買った場合は、お得なのでメーカー保証を利用することをおすすめします。

しかし、中古車の保証には「販売店保証」もあり、どちらを選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。また、保証継承を進めるためには条件や注意点もあります。

以下では、こうした内容の詳細や手続きを進める上でのポイントを説明していきます。

メーカー保証継承とは?

車のメーカーは新車登録時に保証書を発行します。保証書には、その車の保証修理を受けられる人の名前が記載されています。

もしも保証期間が残っている状態で車を売却・転売した場合は、その保証書の内容も書き換えることが可能です。これが「保証継承」と呼ばれる手続きです。

新車登録時についていた保証期間が残っている中古車は、いくつかの手続きを経て、その保証内容を新しい持ち主が受け継ぐことができます。

メーカー保証と販売店保証の違い

メーカー保証と販売店保証の違いは、保証の品質にあります。

メーカー保証には以下のメリットがあります。

・無料かつサービスの手厚さが新車と同レベル
・メーカーによっては、最初の1年間が無料
・全国のディーラーで修理が可能

一方、販売店が独自に提供している販売店保証には次のようなデメリットがあります。

・メーカー保証と同レベルの高品質の保証は望めない
・保証が有料となっていることがある
・保証期間が短い
・保証修理を受けるための条件がある
・実際には修理費の一部を負担することもある

可能ならメーカー保証をつけるのがベストです。中古車を購入したら、保証継承ができるか確認しましょう。

メーカー保証継承は断然おすすめ

購入した中古車にメーカー保証が残っている場合は保証継承を行いましょう。

先に述べた通り、メーカー保証をつけておくといつでもどこでも無料で高品質の保証修理を受けることができます。そのメリットは中古車販売店で提供する独自の保証ではとても及びません。

保証継承の手続きを行わないと、その中古車に残っていた保証期間が無駄になってしまいます。すると車に不具合が生じた場合、修理費用は有料となることがあります。

保証継承するにはディーラーで事前に法定点検などを受ける必要があるため、不具合や故障が発生してから慌てて手続きをしても間に合いません。

中古車を購入した際は、こちらから積極的に保証継承が可能かどうか確認しましょう。

メーカー保証継承の種類

メーカー保証継承の内容を説明する前に、メーカー保証の2つの種類について確認しておきましょう。

メーカー保証とひと口に言っても「一般保証」と「特別保証」の2つがあります。

一般保証は車の部品について修理保証するもので、特別保証はエンジンやブレーキなどの重要部品に関わる保証です。

また、一般保証よりも特別保証のほうが保証期間が長く設定されており、手厚い内容になっています。

以下では、一般保証と特別保証についてもう少し詳しく説明します。

一般保証の継承

メーカー保証のうち、車の一般的なパーツについて修理・交換を保証してくれるのが一般保証です。

一般保証の対象となる附属品は、パワーウインドウ、オーディオ、エアコンなどが挙げられます。

一般保証では車の構成部品のほぼ全てが保証対象ですが、バッテリー、タイヤ、オイルなどの一部の消耗部品は該当しません。

また、一般保証の継承には「保証書の名義人であること」と「メンテナンスがきちんと行われていること」が必須条件です。

一般保証の保証期間は初年度登録から3年以内または走行距離6万キロ以内と各メーカーで共通していますが、走行距離についてはメーカーによって異なることがあります。そのため、長距離走行する可能性がある場合は注意が必要です。

特別保証の継承

車の安全や走行機能に大きく関わる重要部品として、ブレーキ、エンジン、エアバッグ、ステアリングなどが挙げられます。特別保証では、これらを一般保証よりも長い期間保証してもらえるので、さらに安心して運転できるようになります。

また、期間だけではなく走行距離についても一般保証よりも保証範囲が大きいです。

基本的には新車登録から5年間または走行距離10万キロまで というのが一般的な範囲となっています。ただし、保証範囲はメーカーごとに少し異なる部分もあるので確認しておきましょう。

基本的に特別保証の対象になる部品はメーカーが独自開発しているものが多く、それとあわせて保証内容もメーカーの特色が出やすいです。

メーカー保証継承のための条件と手続きとは?

メーカー保証を継承するにはいくつかの条件をクリアする必要があります。また、車の持ち主が直接ディーラーに赴いて所定の手続きを行わなければなりません。

以下では、まずディーラーの手続き内容を中心に説明していきます。

保証書で保証内容を確認することができる

車の保証内容は保証書によって確認することができます。

保証書はメンテナンスノートと一緒に車のダッシュボードなどに保管されており、その最初のページの保証書欄に保証を受けられる人の名前が書いてあります。メーカー保証は基本的にそこに記載されている人が受けられる保証なので、しっかり確認してください。

保証書には保証期間や走行距離の条件なども書いてあるので、保証継承が可能かどうかはそこを見るだけで分かります。

また、保証書には保証対象となるパーツの種類、範囲、工賃なども記載されています。中には部品は保証対象でも工賃は別料金になるケースもあるので、内容をきちんとチェックしましょう。

名義変更をする

たとえ車を購入したのが中古車販売店でも、保証継承の手続きは必ずディーラーで行います。

まずは、その中古車の名義変更手続きを済ませてからディーラーへ車を持ち込み、手続きを取るという流れになるでしょう。

この手続きは中古車販売店側で代行してくれることもありますが、基本的には自分で行います。

持ち込むディーラーはその車を新車登録した店舗である必要はなく、そのメーカーの車を扱うディーラーならどこでも構いません。

メーカーによる点検を受けることで保証継承できる

名義を変更したら車をディーラーに持ち込み、まずは車種・年式・走行距離・保証書の有無などが保証継承の条件と合致しているかどうかを確認します。

問題がなければ、12ヶ月点検と同様の点検を行います。この点検で車両に不具合が見つかったり、改造などにより純正以外の部品を使っていることが判明したりすることがあります。

詳細は後述しますが、その場合は保証継承そのものを断られることがあるので注意が必要です。

メーカー保証継承のための費用はいくら?

メーカー保証継承の手続きにかかる費用は、車両の点検費用を含めておよそ15,000~30,000円です。この金額はディーラーごとに異なり、外車の場合はもう少し高くなる可能性があります。

車を購入した中古車販売店で保証継承手続きを代行してくれることもあります。その場合は代行費用がプラスされるので、自分で行うにしても代行してもらうにしても、前もって見積もりを出してもらいましょう。

メーカー保証継承の注意点

メーカー保証継承をするにあたり、いくつか注意しておくべきことがあります。

まず、手続きの時には保証内容をきちんと確認しましょう。そして、特別保証は有料で期間延長ができることを覚えておきましょう。

また、中古車を販売店で購入した場合、販売店側が保証継承の手続きについて教えてくれないことがあります。そのため、保証継承が可能かどうかはこちらから確認することをおすすめします。

販売店は保証継承について教えてくれないことも

中古車を購入した時点で新車の保証期間が残っており、保証継承が可能であるにも関わらず、販売店側から保証継承のことを教えてもらえないケースがあります。

販売店側としては自社の有料保証を利用して欲しいために隠しているのかもしれませんが、これはトラブルに発展することもあるので注意が必要です。

中古車の購入時には、必ず保証継承が可能かどうか自分から確認するようにしましょう。

特別保証は内容がまちまち・期間延長も可能

車の一般保証の内容は、各メーカーごとに大きな違いはありません。一方、ブレーキやエンジン、ステアリングやエアバッグなどの重要な部品の修理費について一般保証よりも長い期間保証される特別保証は、保証の範囲や条件がメーカーごとにまちまちです。

その理由は、メーカーごとに技術開発の内容が異なり、一律での修理・点検で対応するのが難しいからです。

そのため、特別保証を受けられる条件は「新車登録から5年間または走行距離10万キロ」が、一般的ではあるものの細かい点は各メーカーで異なります。

メーカーとしてはユーザーに安全性を確保した上で車を利用してほしいと考えています。そのため、特別保証は有料での期間延長が可能です。ただし、これにもメーカーによって条件が変わりますので確認をしておきましょう。

保証される範囲を確認しておこう

保証継承を行うにあたり、保証される範囲を前もって確認しておくことも大切です。

一般保証の場合、どこのメーカーも「初年度登録から3年以内または走行距離6万キロ以内」で共通しています。(走行距離は異なることがあります。)

一方、特別保証の場合は「新車登録から5年間または走行距離10万キロまで」が基本ですが、細かい点はやはりメーカーごとに違います。

なお、中古車の中でも、ディーラーが品質を保証する「認定中古車」の場合は最初から新車保証が継承されることもあります。

中古車を購入する時点で、保証内容はしっかりチェックするようにしましょう。

メーカー保証が適用されない3つのケース

購入した中古車に不具合や故障が発生した場合、必ずメーカー保証が適用されるとは限りません。また、保証継承の手続きそのものを断られてしまうケースもあります。

以下では、そのような3つの場面について説明します。

①保証継承する前に故障した

メーカー保証が適用されないケースとして、保証継承手続きが完了する前に車が故障した場合が挙げられます。それは、保証継承の手続きをスタートさせても、それが完了するまでには少し間が空くためです。

もしも保証継承手続きが完了する前に故障したり不具合が生じたりした場合、その分の修理代は自分で支払うことになります。

これを防ぐには、中古車を購入したらすぐに保証継承手続きを行い、手続きが完了するまでは車の扱いに気を付けることです。

また、保証継承するためにはディーラーで一度点検を受けますが、この点検時に見つかった不具合も保証対象外となります。

保証が効くのは、あくまでも保証継承した後の修理に限られることを覚えておきましょう。

②前の持ち主か自分の過失による故障

保証継承の手続きが完了した後で車が故障した場合でも、前の持ち主や自分の明らかな不注意・過失による故障だと判断されると保証が効きません。そうなると修理や部品交換の費用は自腹となります。

不注意や過失というのは、例えば定期的に行わなければならないエンジンオイルの交換を怠ったことで、エンジンが傷んでしまった場合などです。このように持ち主がメンテナンスを行わなかったことで故障した場合は、メーカーの責任とは言えません。

また、自分で運転していて事故を起こして壊してしまった場合も、メーカーによる保証は適用されません。この場合に使えるのは「保証」ではなく「保険」の方になりますので、間違えないようにしましょう。
(全てが保険適用となるわけではありませんので、保険会社に確認しましょう)

③車が改造車だった

基本的にメーカー保証は、純正品の部品を使ってメンテナンスを定期的に行っている車に対して適用されます。よって、車体やエンジンに手が加えられている改造車の場合は、保証継承自体ができないことがあります。

自動車にはメーカーの開発技術が集約されており、正規品でないパーツを使ったことが原因で不具合が発生したとしても、メーカー側は責任を負いきれません。

例えば、社外品のマフラーを装着していたケースなどがこれにあたります。中古車の場合、前の持ち主が見えない部分を改造していることがあります。それがどんなに軽微でも点検時には改造車と見なされますので、購入前に入念に点検しましょう。

メーカー保証継承にまつわるメリット・デメリット

ここまでで、メーカー保証の保証継承についての内容や注意点などを説明しました。

基本的に中古車に残っているメーカー保証を引き継ぐことは、ユーザーやディーラーにとっては大きなメリットと言えます。なぜなら、ユーザーは中古車にも関わらず新車同然の保証がつけられ、ディーラーも新たな顧客の獲得につながるからです。

一方、中古車販売店にとってはユーザー保証継承の制度の存在はむしろデメリットと言えます。

ユーザーにとってのメリット

ユーザーにとっては、メーカー保証継承は基本的にメリットしかありません。

メーカー保証というのは、本来なら高いお金を払って新車を購入した時だけについてくるものですが、保証継承によってそれを安値で利用できるからです。

デメリットは、しいて言えば手続きがやや面倒なことでしょう。販売店保証をつけるだけなら、車を購入した販売店だけで手続きが済みますが、保証継承の場合はディーラーで点検を受ける必要があるからです。

ディーラーにとってのメリット

ユーザーがメーカー保証継承を利用することは、ディーラーにとってもメリットがあります。

ディーラーから見れば、もともとそのユーザーは中古車販売店の顧客であり、ディーラーとは無関係だったわけですが、保証継承によって新しい繋がりができるからです。

ユーザー保証が引き継がれれば、その保証の有効期間が切れた後も一般整備などの利用が期待できます。また保証期間中であっても、消耗品交換で利用してもらえるかもしれません。つまりは、新しい顧客の獲得につながる可能性が出てくるということです。

そういった縁が、将来的に新車を購入するくらいの繋がりに発展すれば、ディーラーにとっても喜ばしいことでしょう。

中古車販売店にとってのデメリット

ユーザーがディーラーの保証継承を利用することは、その中古車を販売した販売店にとってはデメリットになります。

特に自社独自の有料保証を提供しているような中古車販売店は、本当は自社の保証を利用して欲しかったと考えているからです。

中には積極的に保証継承の手続きを代行してくれる販売店もありますが、お店によっては車の販売時に「新車保証の残りはない」と偽ったり、保証継承のことを口にせずに後になってトラブルに発展することもあるかもしれません。

しかし、やはりディーラー保証と中古車販売店とでは保証の品質が全く異なります。よほどその販売店に義理立てするような理由がなければ、保証継承は積極的に活用するのが堅実です。

まとめ

①メーカー保証継承とは、中古車に残っている新車保証を引き継ぐこと

②メーカー保証は、販売店保証よりも内容がいい

③メーカー保証には「一般保証」と「特別保証」がある

④保証継承のためにはメーカーによる点検が必要

⑤手続きの費用は約15,000~30,000円

⑥保証継承する前の故障や過失による故障などの場合は保証が適用されない

⑦メーカー保証継承は、ユーザーとディーラーにとってはメリットだが、中古車販売店にとってはデメリットとなる

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ