輸入車
更新日:2021.07.27 / 掲載日:2021.07.23
RAV4事情とプライベートカスタム【自動車ジャーナリスト九島辰也が解説】

文●九島辰也 写真●トヨタ、ユニット・コンパス
日本で大ヒットしているトヨタRAV4ですが、実はアメリカのマーケットをイメージしてつくられたというのをご存知ですか。
それを証拠に先代は日本では販売されず北米で売られ人気モノとなりました。名前が浸透しているので日本で売られていないことに気付かなかった方もいらっしゃるかもしれません。そんな背景もあり、現行型も先代に続きアメリカンなテイストで仕上げられます。USトヨタ専用車ハイランダーとデザインの関係性を感じますね。
そんな開発中のRAV4を見て、これは日本でもイケるかもと言う話になり、国内販売に至りました。結果からすると、このジャッジは見事成功というわけです。
RAV4の特徴はワイルドなフォルムで、クロスオーバー的SUVが全盛の中まったく異なる装いをしています。なだらかなルーフラインのSUVクーペ系とは真逆。言うなればオフローダー、クロカン、もしくは日本流でいうところのRVといった感じでしょうか。要するに骨太な一台に仕上がったのです。しかも、後からオフロードパッケージを追加したのですから確信犯。SUV本来の姿というべきオフロード車の匂いがプンプンします。
そんなことを2019年の試乗会からずっと感じていました。特にアーバンカーキというボディカラーのアドベンチャーはその傾向が強い気がします。と同時に、これをベースにカスタムしたらかなりかっこいいSUVができるのではないかと考えはじめます。80年代当時、老舗4WD車専門雑誌で編集のアルバイトをしていた時の勘が働きました。
トヨタ RAV4
トヨタ RAV4
トヨタ RAV4
カスタムのテーマは「大人が乗れる、ほどよくワイルドなSUV」

RAV4プライベートカスタムと九島辰也氏
ということで、カスタム車両を一台つくりました。ベースにしたのは2019年型のRAV4アドベンチャー。左ハンドルの逆輸入車です。中古の。よって、エンジンは日本にはない2.5リッター直4ユニットを搭載しています。珍しいでしょ!
カスタムのテーマは「大人が乗れる、ほどよくワイルドなSUV」。カリフォルニアを走っている姿をイメージしました。ニューポートビーチあたりもそうですし、レイクタホに向かう山道もそうです。もしかしたらLAのダウンタウンも似合ったりして。
テーマが決まったらパーツの収集。これはUSトヨタやジープ、フォードのSUVのカスタムを得意とするショップと一緒に行いました。知ってます? 日本より先行発売されたアメリカにはRAV4のカスタムパーツがたくさんあることを。ネットで探すといろいろ出てきますから、興味ある方はぜひチェックしてみてください。
カスタム内容は、ボディのオールペイント、2.5インチのリフトアップ、マットブラックのアルミホイールとオールテレインタイヤの装着などです。それとLEDフォグランプをできるだけたくさん付け、ルーフラックとリアにラダーを装備しました。マットグリーンのボディカラーは市販車のアーバンカーキを意識したものです。それをマットにしたらどうなるのか。ただ、そのままの明るさだと可愛らしいので、少しダークに仕上げています。でもって、それを映えらすためマフラーカッターやオーバーフェンダーなど細部をマットブラックに塗りました。リアブレーキランプユニットもスモークにしております。
仕上がりは上々。かなり気に入りました。イメージ通りというか、はじめにイラストをおこしたのですが、そのままです。そしてこの姿は街中で目立っていて、走っているとクルマ好き男子が二度見するのはもちろん、ちっちゃな子供が手を振ってくれます。広い世代にウケているのかも。先日もマリーナの駐車場に停めていたら、カップルが隣のスーパーカーを無視してこのカスタムRAV4の写真を撮っていました。聞くと、すでにRAV4をオーダーしていて、納車待ちの間にカスタムを思い描いているとか。嬉しいことに、「こんな風に仕上げたいな」と言ってくれました。クールに対応しましたが、ちょっと照れます。
現在市販されるRAV4はガソリンエンジン車とハイブリッド、それと後から追加されたプラグインハイブリッドのPHVがあります。それとガソリン車をベースにした特別仕様車のオフロードパッケージ。動力性能だけを見ると、PHVは魅力的ですが、個人的な嗜好ではやはりオフロードパッケージが気になりますね。あのくらいのカスタムでも十分魅力的です。というか、そこから手を入れていくのも楽しいかなと。
いずれにせよ、最近のアウトドアブームの中RAV4はストライクな一台ではないでしょうか? 密を避けて海や山に繰り出すにはいい相棒になるはずです。
執筆者プロフィール:九島辰也(くしま たつや)

自動車ジャーナリストの九島辰也氏
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。