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更新日:2021.05.07 / 掲載日:2021.05.07

出先で電気自動車を充電するにはどうするの?【EVの疑問、解決します】

文●大音安弘

 近年、電気自動車の生命線となる充電設備が、多くの公共施設での設置されるようになってきました。もっとも自宅で充電ができれば、それらを日常で活用するケースは少ないでしょう。それでも郊外へのドライブやクルマ旅へと出かければ、出先での充電が必要となるケースもあるはず……。そんな場合に利用するのが、充電スタンドです。

疑問:出先で電気自動車を充電するにはどうするの?

答え:「充電カード」を作り、有料の充電スタンドを利用しましょう

充電スタンドには、「急速充電器」と「普通充電器」の2種類がある

EVの純正ナビには、現在地や目的地近くの充電器を探す機能が備わっていることが多い

EVの純正ナビには、現在地や目的地近くの充電器を探す機能が備わっていることが多い

 そのためには、まず充電スタンドを探さなくてはなりません。しかし、ガソリンスタンドのように、目立つ存在でもないのも正直なところ。EVに乗らなければ、その存在に気をとめることもないでしょう。しかし、ご安心を。充電スタンドを簡単に見つける方法があります。

 まずEVの多くには、カーナビゲーションシステムに充電スタンド情報の検索ができる機能が組み込まれています。もしセットした目的地に到着するのに、バッテリー残量不足するようならば、ルート周辺の充電スタンドを案内してくれたりもします。またインターネットで、充電スポットを検索することも可能。さらに充電スタンド情報を纏めたサイトもあり、複数の充電スタンドネットワークの位置の検索ができるだけでなく、EVユーザーの生の声を掲載することで利便性などの情報共有も図られています。

 充電スタンドは、大きく分けて、普通充電と急速充電の2種類があります。日産自動車WEBの情報によれば、充電器の総数は、全国で30,000基。そのうち急速充電器が7,950基、普通充電器21,700基(※2021年2月末時点、ゼンリン調べ)と記されています。どこにそんなに充電器があるのと思うかもしれませんが、近年に開業した商業施設の駐車場には多くの普通充電器が整備されるようになっています。

 ただ高価でもある急速充電器は、まだ少数派であり、1か所に1基のみとなるケースが多いです。このため、利用者が多い急速充電スタンドでは、充電待ちが発生するケースも……。ただナビやネットでの充電スタンド検索では、充電器の利用状況がリアルタイムで更新されるものもあり、そのような事態を回避することもでき、大変便利です。

急速充電器は、高速道路のSAなどに設置されていることが多い

急速充電器は、高速道路のSAなどに設置されていることが多い

 充電スタンドは、基本的には有料です。しかし、公共施設が提供するものの中には、なんと普通・急速充電共に無料のものも存在します。ただ絶対数は少なめ。また充電スタンドによっては、接地する施設がオープン時しか利用できないものや駐車場代が必要となる施設もあるので、確認が必要です。事前に利用方法を調べておくと良いでしょう。有料の充電スタンドでは、充電サービスの提供もしくは提携する「充電カード」で使用するのが一般的です。

 充電サービスの提供会社で最も有名なのが、「e-Mobility Power(旧NCS)」。同社の充電認証カードがあれば、全国の急速6,900基、普通14,900基の利用が可能に。また自動車メーカー各社が提供する充電カードも、同社と提携しているケースがほとんどです。

参考までに「e-Mobility Power(旧NCS)」の利用料金を表にまとめました。

プラン名急速充電プラン普通充電プラン急速・普通兼用プラン
使用可能な充電器(※同社提供及び提携の充電器のみ)急速充電器のみ普通充電器急速及び普通充電器
月会費(税込)4,180円/月1,540円/月4,620円/月
都度利用料金(税込)急速16.5円/分
※急速は1回30分まで
普通2.75円/分急速16.5円/分
普通2.75円/分
※急速は1回30分まで
登録手数料1,540円/初回のみ
※プラン変更等でも発生
「充電カード」を作ることで、有料の充電スタンドをスムーズに利用することが可能になる

「充電カード」を作ることで、有料の充電スタンドをスムーズに利用することが可能になる。カードがない場合でも、ゲスト利用が可能なことが多いが、料金が割高だったり、操作が煩雑だったりと面倒が多い

 このような充電スタンドサービス提供会社はほかにも存在しており、メーカーを問わずEV・PHVの所有者が加入できるようになっています。但し、利用可能な充電器の地域や数などは各所により異なりますので、それぞれの会社のプランをご確認ください。

 ただ多くのEVユーザーが最初に検討するのは、各自動車メーカー提供の充電カードサービスでしょう。「トヨタ自動車」「日産自動車」「三菱自動車」「ホンダ」「BMW」「フォルクスワーゲン」「ジャガー」「ランドローバー」「メルセデス・ベンツ」「テスラ」などが独自の充電サービスを提供しています。月額費用などは、提供各社により差がありますが、新車購入の場合、一定期間の充電カードの月額費用が無料などのサービスも多いため、充電スタンドの入門としても魅力的といえるでしょう。

 一例として、日産ゼロ・エミッションサポートプログラム3(ZESP3)を紹介すると、愛車の利用頻度による複数のプランが提供されています。従量制の「シンプル」プランに加え、普通充電器使い放題及び一定時間の急速充電利用料金を含んだプレミアムプランを用意。しかも、プレミアムプランの場合、3年定期契約だと月額利用料金が割引に。まるで携帯電話の料金プランのようです。またホンダの場合、加入から2年間は基本料金が無料で、充電料金は完全従量制となります。外出先で充電する機会が多いならば、日産のプレミアムプランがお得な人もいるでしょうし、基本的には、自宅で充電という人ならば、ホンダのように完全従量制の方が良いと感じる人もいるでしょう。ただ日産も以前のプランでは、日産自動車販売店及び高速道路・コンビニ・商業施設等の急速充電器が、わずか月額2,000円で使い放題という夢のようなプランがありましたが、現在は廃止に。現在、各社共に急速充電器については従量制となるケースがほとんどなので、利用料は上昇傾向にあるといえるでしょう。

 それでは、EVに充電カードは必須なのかといえば、そんなことはありません。急速及び普通充電器のビジター利用方法が用意されているからです。各社により使用方法は、異なりますが、基本的には、携帯電話やスマートフォンで登録を行い、一時的に利用可能なパスワードを発行してもらい、それを充電器に入力。支払いはクレジットカードが基本。ただ時代のニーズから、LINE Payなど新たな支払方法が取り入れる会社もあるようです。但し、利用料金は、充電カードと比べると割高。また提供各社によりビジター料金が大きく異なるケースもあるので、事前確認もしっかりと行いましょう。

執筆者プロフィール:大音安弘(おおと やすひろ)

自動車ジャーナリストの大音安弘氏

自動車ジャーナリストの大音安弘氏

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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グーネットマガジン編集部

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