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更新日:2021.04.30 / 掲載日:2021.04.30
【釣り×クルマ】釣果も格好も欲張るオススメ車はこちら【九島辰也のクルマのある時間 第4回】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
ここ数年低迷していた釣り人口がにわかに増えているようです。ネットサーフィンして見つけた総務省のデータからそんな兆しが見えました。“低迷”というのは、2006年がピークでこの3、4年はその半分を横這いしているからです。
ただ、それもコロナの影響で少しずつですが増えていると。確かに釣りは団体競技ではなく、ひとりで過ごす時間が長いからそれほど感染を気に留める必要はないかもですね。それにアウトドアだし。
【自転車×クルマ】いまこそ夢の6輪生活を始めよう!【九島辰也のクルマのある時間 第3回】
実用性では軽自動車のワンボックスタイプが最強!?

ダイハツ WAKEは釣りクルマとして高い資質を備えている
個人的にボート業界ともつながっているので耳にしますが、フィッシングボートの売れ行きも順調だそうです。ヤマハやヤンマーの新艇は納船までにけっこう時間がかかると。よくできているんですよね、日本のフィッシングボートは。センターキャビンで船体のどこからでも糸を垂らせられるし、ジャイロスタビライザーなんかで横波でも安定しますから。まぁ、販売が好調なのはボート業界全体に言えることですがね。高級ボートともなれば一年待ち、二年待ちはザラだそうです。どういうこと?
船釣りばかりではありません。堤防にもたくさんのアングラーがいます。この辺は今流行かも。天気の良い日は家族単位で楽しんでいる方々もお見受けします。長閑な光景です。
さて、そんなアングラーたちもクルマがなければ釣り場には行けません。早朝は時間的に公共交通手段は厳しいし、荷物もたくさんあります。長くやっていればロッドの数も増えますし、タックルケースも大きくなったり。それに勝利の証“釣った魚”も自宅の台所まで運ばなければ行けません。
とはいえ、堤防で海釣りなのか、漁港から釣り船に乗るのか、湖でバスを狙うのか、野池に行くのかでクルマへのニーズも変わります。地方の漁港周辺は道が狭いので小さなクルマが活躍します。軽自動車率は多そうですね。ワンボックスだと大きめのクーラーボックスを気にせず積めます。
発売から7年が経過しているため、新車はもちろん中古車市場にも多くの物件が出まわっている
後席シートを畳むとごらんのとおり広大なスペースが生まれる
ライフスタイルとクルマ選びがマッチしていた90年代にヒントがある

ボルボ 850ステーションワゴンは、その個性的なスタイルと使い勝手のよさで現在でも多くのファンを持つ
話は90年代に遡りますが、当時バスフィッシングが大流行した時は“フィッシャーマンズエクスプレス”なる言葉が生まれました。それは朝一地方の湖でバス釣りを楽しみ、昼には都心に戻って仕事をする人のクルマを指します。要するに釣りのギアを積めて安定した高速走行のできる速いクルマのことですね。あの頃だとAMGのEクラスステーションワゴンやポルシェ928あたりがそれの代表格でした。まだパナメーラもなければハイパフォーマンスなSUVもなかった時代です。E55 AMGワゴンのカーゴにロッドホルダーとか装着したりして。ポルシェもFRだったから積めたんでしょう。空冷911だと何も載りません。
フライフィッシングだとボルボのステーションワゴンが象徴的でした。ギアもたくさん積めますし、山の中にも入っていけます。それになんといっても北欧のライフスタイルがそこにあって、それがカッコよく見えます。まさに大人のフィッシングスタイルとでも言いましょうか。憧れてしまいます。
今考えると90年代はクルマとシーンが繋がっていたと思います。こういうライフスタイルならこんなクルマって具合に。もちろん、今日もそれに当てはまるクルマはいくつかあります。しかも、SUVの台頭で選択肢はとてつもなく増えました。フィッシャーマンズエクスプレスと呼べるクルマは山ほどあります。ポルシェカイエンターボ、マセラティレヴァンテトロフェオ、BMW X6M、それにメルセデスAMG E63S ステーションワゴンなどなど。ジープグランドチェロキーのトラックホークなんてのもある。フライフィッシングには、ボルボXC90やV90もそうですが、ディフェンダーやジープラングラーアンリミテッドも世界観があって似合いそうです。
というように、釣りにもいろいろなスタイルがあるのでクルマと合わせて楽しむのもよろしいかと。また違った目線でショッピングリストを作れますね。
自然でも街中でも似合うジープ グランドチェロキー。中古車価格もこなれていて魅力的
本格オフローダーのディフェンダーは、ショートボディの「90」も登場し人気爆発中
執筆者プロフィール:九島辰也(くしま たつや)

自動車ジャーナリストの九島辰也氏
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。