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更新日:2018.12.03 / 掲載日:2018.12.03

11年ぶりの大進化ミニバン! MITSUBISHI新型デリカD:5

●価格帯:約385万~約425万円

高いオフロード性能を備えた異色ミニバン、デリカD:5が、11年ぶりの大進化を遂げた。持ち前の走りとワイルドな個性はそのままに、より上質に、より快適、安全に。こんなミニバンを待っていた、という人は、きっと多いはずだ。なお、ガソリンモデルは従来型が継続販売される。
●文:横田 晃 ●写真:奥隅 圭之

標準車とアーバンギア、2つの仕様をラインナップ

個性を磨いて装備は充実、孤高のミニバンの大進化

 人であれモノであれ、強い個性が魅力の存在には、熱狂的なファンがつく。本格オフロードカー並みの悪路走破性を備えたミニバンという、世界でも類のない個性を武器とするデリカD:5も、「このクルマでなければ」という熱心なファンに支持されて、登場から11年もの間、コンスタントな販売実績を重ねてきた。

 しかし、それだけの年月の間には、市場も経済も環境も変わる。デリカを脅かす個性の持ち主は今なお存在しないが、刻々と変化する時代の中でも衰えない魅力を、より多くの人々に感じてもらうための努力は欠かせない。今回の変身は、開発陣がそのために考え抜いて到達した最適解だ。

 8速ATと組み合わせたクリーンディーゼルと、三菱自慢の4WDシステムで、オン/オフロードを問わない走りの良さをさらに熟成。加えて、最新のライバルに真っ向勝負が挑める質感や乗り味、安全・快適装備を備える。そしてマスクはこれまで見たこともない、アグレッシブで先進的な表情へ。

 アクティブな標準車と、スタイリッシュなアーバンギアの、2つの個性も用意して、強力なライバルが待ち構えるミニバン戦線に、渾身の体当たりをぶちかますのだ。

DELICA D:5【エクステリア】

  • ドアやルーフ、ガラスなどは従来型を継承するが、前後の表情は大変身。比較的変化の少ない後ろ姿も、ガーニッシュやテールランプ、バンパーなどの変更で印象を変える。

  • サイドビューこそ先代と大きくは変わらないが、メッキのグリルと大きなLEDヘッドランプが醸し出す表情は迫力満点。ホイールは写真の18インチアルミのほか、ベーシックグレードには従来のデザインを受け継ぐ16

  • 新型に搭載されるエンジンは、2.3Lのクリーンディーゼルターボのみ。型式は先代と同じだが、排ガス浄化システムをはじめとする変更点は多岐にわたり、ほとんど新設計に近いという。

ボディシェルは継承しながらも大胆なマスクで存在感をアップ

■主要諸元(デリカ D:5 P7人乗り)
●全長×全幅×全高(mm): 4800×1795×1875
●ホイールベース(mm):2850
●車両重量(kg):1950
●パワートレーン:2267cc直4DOHCディーゼルターボ
(145PS/38.7kg・m)
●JC08モード燃費:13.6km/L
●燃料タンク容量(L):64[軽油]
●最小回転半径(m):5.6
●最低地上高(mm):185
●サスペンション形式(F/R):マクファーソンストラット式/マルチリンク式
●ブレーキ形式(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
●タイヤサイズ:225/55R18

最新仕様のデリカは存在感溢れるイメージが強烈

 新型デリカD:5のマスクは、ひと目見れば忘れられないインパクトに満ちている。最近の三菱車のアイデンティティである、ダイナミックシールドをさらに一歩進めた表情は、迫力満点だ。

 横基調にハニカムパターンを配した、巨大と言ってもいいメッキのグリル。オフロードカーらしさを演出するスキッドパネルガーニッシュを備えた、安定感のあるアンダーバンパー。

 そして両サイドにドーンと陣取る縦型ヘッドランプを中心とした灯火類。最上部がポジションランプで、ヘッドランプは外側のロービームが5灯、内側のハイビームが4灯の、計9灯のLEDで構成されて、前方に睨みを利かせる。ターンランプは最下段だ。

 後ろ姿も、従来型の比較的あっさりした印象から、導光LEDを効果的に使ったテールランプと、ワイド感を強調するリヤゲートガーニッシュで、最新ミニバンらしい先進性や色気を演出している。

 よくよく見れば分かる通り、新型デリカD:5のボディは、ボディシェルを従来型から継承している。オフロードで3輪状態になっても、ミシリとも言わない高剛性ボディは、それだけの完成度を備えていたということ。機能は完璧。だからこそ、前後の表情を変えるだけでよかったというわけだ。

DELICA D:5【キャビン&ラゲッジ】

インパネは従来の絶壁のような平板なものから、複雑な面で構成され、圧迫感を軽減したデザインとなる。表面はソフトな素材で覆われ、リアルステッチも施される。もはや高級車の設えだ。

  • センターコンソールはピアノブラック調で、精緻なシフトノブや走行モード切り替えダイヤルがイイモノ感を演出。それらの操作感にもこだわり、上質さを追求している。

  • インパネやドアには新たにウッド調パネルもあしらわれて、上級ミニバンであることをアピール。

  • リアルウッドではないが、凝った木目を忠実に再現した、高級感のある仕上がり。

  • ディーラーOPとなったナビは10.5インチの大画面。画面を4分割できるクワッドビューや、スマホ感覚のタッチ操作なども受け付ける。ナビなしでもGPSアンテナは全車装備される。

  • エンジンスタートはようやくライバルと同じくプッシュボタン式となった。装備内容や質感の弱点は完全に払拭されて、最新の高級ミニバンとして生まれ変わった。

  • グローブボックスやフロアコンソールボックスのほか、スマホを置くスペースやポケットも使いやすく設けられている。

  • シート配置は2+2+3の7人乗りと、2+3+3の8人乗り。

  • 写真は7人乗りだ。標準仕様のシートカラーは写真のベージュとブラックが選べる。

  • 標準の表皮はファブリックで、7人乗りのみ本革(ブラック)をオプションで選べる。

  • 3列目も左右分割でスライドと折り畳みが可能で、多彩に使える。

  • 3列目は左右5:5の分割跳ね上げ式。その方式も先代から変わりないが、操作力は1kgほど軽減されているという。ちなみにデリカ乗りには3列目は跳ね上げたままの人が多いそうだ。

  • 3列目を跳ね上げれば、アウトドアギアがたっぷり積めるラゲッジルームに。

  • このクルマをコテンパンに使い倒す人には、一年中、様々な遊び道具をここに積んでいる人も多い。

ソフトな表皮に覆われた上質な内装に息づく機能

 新型デリカD:5の最大の見どころは、インテリアと言っても過言ではないだろう。従来型は道具感覚で使いやすい半面、上質感にはやや欠けていた印象が否めない。しかし、欧州車が一足先に進めてきた内装の質感向上は、現在の日本車全体の課題でもある。

 そうした時代の変化に対応するべく、新しくデザインされた新型のインテリアは、見るからに上質だ。インパネは悪路でも車両の傾きが掴みやすい、横基調のデザインを受け継ぎながらも、天地方向が薄く見えるようなデザイン処理も取り入れて、これまでの絶壁感を払拭。Aピラー内張りの断面形状もスリム化して、乗員の解放感を増している。

 インパネを始めとする内装の表皮は、ほとんどソフトな素材で覆われ、特に手が触れる部分には、贅沢なリアルステッチを施したソフトパッドを採用している。ステアリングのグリップもスムースレザーで、程よく入ったシボとあいまって、心地よい感触で乗り手を喜ばせる。従来型では不足していた上級ミニバンらしい風格をも醸し出しているといっていい。

 向上したインパネの質感に合わせて、木目調パネルも装備。標準車ではサバ杢と呼ばれる、樹木が二股に分かれる部分の木目を感触まで忠実に再現したパネルで、モダンなハイクラス感を表現。後で紹介するアーバンギアでは、樹木のコブ部分に出来る希少なバール柄の、しかも青味のある黒木目のブルーイッシュバールとして、洗練された印象を演出している。

 一方、ピアノブラック調のセンターコンソールに備わる走行モードの切り替えノブは、無垢の金属を思わせる硬質な感触と、手袋をしていても正確に操作できる、心地よいクリック感を実現。上質なインテリアにあっても、本格派の機能をも忘れていないことを、無言のうちに主張する。

 上質であり、機能的でもある新型デリカD:5の仕上がりは、見えないところにも抜かりがない。

今回の8速ATの搭載に合わせて新設計されたサブフレームとあいまって、定評のあったボディ剛性もさらに向上。足回りもよりスムーズに動くよう、取り付け剛性や荷重の入力方向にも目配りしてフリクションを低減させ、低速での応答性もアップした。パワーステアリングも従来の油圧から、2ピニオン式の電動となり、オンロードでの快適な乗り心地とハンドリング、オフロードでの安定した車両姿勢にも貢献している。

 基本骨格は先代を継承と述べたが、全体の約6割は新設計という。2.3Lのクリーンディーゼルエンジンも、型式こそ同じでも中身はほとんど新設計されるなど、十分に新型を名乗るにふさわしい進化なのだ。

DELICA D:5 アーバンギア【エクステリア】

  • アンダーバンパーは前後とも標準車より低い位置に構えている。車高をより低く見せるサイドスカートもアーバンギアだけの装備だ。

  • グリルも繊細な横基調のバーで構成されており、ワイルドな標準車に対して都会派をアピール。アルミホイールは専用の18インチ。

DELICA D:5 URBAN GEAR

■主要諸元(デリカ D:5 アーバンギア G-Power Package 8人乗り)
●全長×全幅×全高(mm):4800×1795×1875
●ホイールベース(mm):2850
●車両重量(kg):1960
●パワートレーン:2267cc直4DOHCディーゼルターボ(145PS/38.7kg・m)
●JC08モード燃費:13.6km/L
●燃料タンク容量(L):64[軽油]
●最小回転半径(m):5.6
●最低地上高(mm):185
●サスペンション形式(F/R):マクファーソンストラット式/マルチリンク式
●ブレーキ形式(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
●タイヤサイズ:225/55R18ギア G-Power Package 8人乗り) 

DELICA D:5 アーバンギア【キャビン&ラゲッジ】

  • センターコンソールやナビまわりの意匠は標準車と同じ。

  • ピアノブラック調のセンターコンソールと、ディーラーOPの10.5インチ大画面ナビがインストールできるモニター部は精緻な仕上がり。高い質感を醸し出す。

  • アーバンギアは写真のブラック内装のみの設定。木目調パネルの色調が渋いブルーブラックということもあり、標準車と比べると落ち着いた印象がする。前席シートは完全新設計で、ロングドライブでも疲れないかけ心地と

精悍なエアロを纏ったオンロード指向の新顔

 高いオフロード性能というデリカD:5の個性は、熱心なファンを生んだ一方で、一般ユーザーにはハードルの高い、マニアックなクルマという印象も与えてしまった感も否めない。今回の進化で新たに設定されたアーバンギアは、そんな顧客に振り向いてもらうために誕生したバリエーションだ。

 標準車では、前後のバンパー下端は斜めにカットされ、オフロード走行でアゴや尻を打たないためのアプローチアングル/デパーチャーアングルを確保している。対してアーバンギアは、アプローチアングルとデパーチャーアングルには目をつむり、精悍なエアダム形状のバンパーとサイドスカートを装着。他社のエアロモデルに当たるオンロード仕様なのだ。

 それに合わせて、繊細なメッキの専用グリルを装着。後ろ姿もリヤゲートガーニッシュをクリア化し、マフラーの切り欠きのない、スムーズな形状のバンパーを採用することで、低重心感を上手に表現している。

 アルミホイールも、標準仕様ではグレードにより16インチと、新デザインの18インチが用意されるのに対して、アーバンギアでは彫刻的でシャープなデザインの18インチのみの設定だ。

 インテリアは、前述の通り木目調パネルの柄と色味が標準車と異なるほか、ベージュ内装がアーバンギアには設定されず、精悍なブラックのみとなる。

 ミニバン市場を見回してみると、デリカD:5の立ち位置は、アルファードなどのLクラスと、ヴォクシーなどのMクラスの中間という、ありそうでない独自のポジションにある。そんな、ちょうどいいサイズ感の快適な上級ミニバンが欲しい人には、待ってましたと思える一台になるだろう。

提供元:月刊自家用車

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