車種別・最新情報
更新日:2021.02.10 / 掲載日:2018.10.26

【新車値引き購入事例】奥さんが強気で主張しステップワゴンを35万円値引き?

頭の中にはX氏流が満杯! 拍手喝采!! 技のデパートe-POWER攻撃にHVが陥落!!!

【プロローグ】 現在乗っているプリウス(3型)はもうすぐ10万kmです。と言っても、まだまだ快調ですが、自分が年をとってくるとしゃがみこむように乗り込むクルマはだんだん面倒になってきました(泣)。
 それに、奥さんは以前から「スライドドアのクルマなら、犬2匹を抱えても乗り降りがしやすい」と言っているし、災害が起きた際にクルマは愛犬たちと過ごせる避難場所となるので、それなりのスペースが欲しいところです。ただし、私が毎日、往復20kmほどの通勤に使用するので、燃費性能も重要な要素となります。
 そこで、クルマ探しを開始しました。インターネットや自動車雑誌から情報を集めて、じっくり検討した結果、本命としてステップワゴン・ハイブリッドが浮上。対抗はセレナe-POWER。大穴としてフリードプラス・ハイブリッドなどがあがっています。
 これまで5台の新車を購入していますが、いつも月刊自家用車のX氏シリーズを参考に値引き交渉をしてきました。したがって、私の頭の中にはX氏諸先輩が実践してきた戦術がたっぷり詰まっているわけです(笑)。

【交渉1日目(日曜日)】 昼過ぎ、奥さんを誘って、ホンダA店を訪問。ここは自宅から近く、よく行くショッピングモールから徒歩圏内なので、点検の時などは買い物で時間が潰せそうです。
 応対してくれたのはベテランの営業さん。まずはフリードプラスを見せてもらいました。
 夫婦二人にはまさに“ちょうどいいサイズ”ですし、犬用のペットカートを積み込む際にラゲージが2段になるのはとても便利です。ただし、奥さんは普段、犬と一緒に2列目シートに座るので、試してみると「前の椅子の下につま先が入らないので、ちょっと窮屈に感じる」とのことでした。
 一方、ステップワゴンはフリードプラスに比べると、乗り降りがしやすく、室内も広々しています。2列目に座った奥さんは「とっても快適!」とのこと。また、2列目のロールサンシェードやトリプルゾーンのエアコンも気に入ったようでした(プリウスは2列目のシート付近に吸気口があり、冬は寒いそうです)。
 さらにフリードのハイブリッド機構i-DCDと、ステップワゴンのi-MMD機構と比べると、やはりフリードは見劣りします。また、ステップワゴンに装備された渋滞追従ACCは、クルマで遠くにお出かけすることが多い、我が家にはとても魅力的な機能です。
 実車を見ながら、たっぷり時間をかけて比較した結果、夫婦の意見は「ステップワゴンのほうがいいね」で一致しました。
 ちょうどステップワゴンの試乗車が空いたので、営業さんにも同乗してもらって近辺を走ってみました。その際、さりげなくセレナe-POWERとの競合をにおわせておきました。
 店舗に戻って交渉開始。
セ「ステップワゴンのハイブリッドは上から『安売りするな』と言われています。だから、正直、値引きはかなり厳しいです」
 あれ? 月刊自家用車の値引き情報には「値引き拡大中。ガソリンもハイブリッドも値引き条件に差はない」って書いてあったのに、なんだか様子が違います。
 営業さんは値引き額をはっきり提示してこないし、下取り車のプリウスの査定もしません。あんなに熱心に展示車をチェックして、試乗までしたのに“冷やかし客”とみられてしまったのでしょうか? なによりも売り込みが消極的なのが気になります。
 結局、なんの成果もないまま、引き上げました。
 続いて日産へ。この店も我が家から近いので、購入後のメンテナンスには便利です。フェアを開催中で、店内はさっきのホンダよりも活気があります。
 試乗する前に、営業さんとe-POWERやプロパイロットについて説明を受けました。こちらがいろいろと質問をすると「Xさん、よくご存じですね!」と感心していました。
 e-POWERはモーターのみで走り、エンジンは発電するだけのせいか、運転感覚はプリウスとはかなり違います。アクセルを離すだけでブレーキがかかる……と、頭でわかっていても交差点手前ではかなりドキドキです(笑)。
 また、車庫入れする際にはアラウンドビューモニターを体験し、新技術の凄さを改めて感じました。
 店舗に戻って交渉を開始。
 プリウスの下取り額は45万円。7年落ち/10万kmにしては、思ったより高値を付けてくれたという感じです。下取りを差し引いた支払い総額は約393万円。
セ「ご希望のグレードなら在庫があるので、来週末までに決めていただければ、今月中に登録が可能です。今月登録なら支払い総額を360万円くらいにできます」
 おっ、逆算すると、値引きは約33万円! 内心、ガッツポーズをしましたが、ここは冷静に、
X「わかりました。検討させてください」
 帰宅後、奥さんと家族会議。
X「ステップワゴンもセレナも、どちらもいいけど、運転した感じはステップワゴンのほうが好みかなぁ。それとセレナのプロパイロットは単眼カメラを採用しているのがやっぱり気になる。自動ブレーキを過信するつもりはないけど、今年中に新しいプロパイロットが出るとの情報が雑誌やネットにも書いてあるし、買ってすぐに新型が発売されると後悔しそうな気もするから、俺的にはステップワゴンかなぁ」
奥さん「助手席や後部座席に乗った感じはステップワゴンのほうがいいね。セレナのキャプテンシートが横に動くのはとてもいいと思っていたけれど、実物を見たら『絶対欲しい!』というほどでもなかったから、私的にもステップワゴンかな」
 二人ともステップワゴンに大きく傾いていますが、値引き交渉では、X氏シリーズですっかりおなじみとなっている夫婦仲違い作戦を採るつもりです。
 また、ホンダは以前からメーカーのWEBサイトに「HONDA DOG」というページを立ち上げており、犬とクルマに関しての情報提供を積極的にやっています。当然ながら、販売店にも愛犬家に売り込みたい!という営業方針が浸透しているに違いないとみて、犬を前面に押し出した攻め方も試してみるつもりです。

どうした?ホンダ、まさかの塩対応。やったぜ!日産、在庫に限り神対応

【交渉2日目(土曜日)】 仕事帰りにホンダA店に寄る。例のベテランの営業さんが出迎えてくれました。果たして、今回は売る気をみせてくれるか……。
X「本気で買い替えを検討することにしました。今日は具体的な金額を知りたいので、下取り車のプリウスの査定をお願いします」
セ「わかりました」
 しばらくして戻ってきました。
セ「プリウスの下取り査定額は40万円です。それから値引きですが、いまならナビクーポン15万円があります。ただし、これを使うと車両本体値引きは13万円になります。クーポンと合わせて28万円引きと考えてください」
 日産の下取り額と比べると5万円も低い。値引き条件の28万円もそのまま鵜呑みにはできません。松本さんによれば「ナビクーポンは額面そのままを値引き条件として考えないほうがいい。車両本体値引きに換算するなら額面の半分くらい」とのことです。それからすると、実質的な値引き合計は13万円+7万5000円で20万5000円ということになります。
X「実は先日訪問した後、セレナe-POWERを見てきました。正直言って、値引き額も下取り額も日産にぜんぜん負けていますよ。私はステップワゴンを気に入っていますが、奥さんはセレナ推しなんです。我が家では小型犬2匹を2列目に乗せるんですが、セレナの2列目シートは横に動くんですよね。これが使い勝手がいいと奥さんはお気に入りなんです。ともかく、この条件では奥さんを説得できません」
セ「わかりました。頑張ります、もう少し時間をください」
 それにしても、この営業さん、ちょっと頼りない。こちらの質問に対して回答がすぐに返ってこないし、回答もあやふやです。
 自宅に戻って家族会議。
 ホンダA店の営業さんが頼りないため、これまたX氏ではおなじみの同士討ち作戦を採ることにしました。幸い、近くに経営資本の異なるホンダの販売店があと2社あります。明日はこの2社とトヨタ、それに日産をまわることにしました。

【交渉3日目(日曜日)】 朝一番でディーラーまわりへ。今回は私一人で、奥さんには自宅で待機してもらっています。たとえどんなに凄い条件が飛び出そうとも「奥さんに相談しないと決められない」と言っていったん持ち帰り戦術を採るつもりです。
 まずはホンダB店へ。午前中の早い時間なのに店内はお客さんでほぼ満席。ホンダA店と違って賑わっています。
 背が高く、彫りの深い顔立ちの、なんとなくハーフっぽい営業さんが登場しました。
X「別のホンダでも商談していますが、担当さんにちょっと不安な点があるので、こちらに来ました」
セ「わかりました。よろしくお願いします」
X「小型犬を飼っているため使い勝手の面から奥さんはセレナの2列目が横に移動できるシートレイアウトを気に入っているんです。金額的にもセレナはいい条件を出しています。正直、奥さんはセレナ推しなんですよね。私はステップワゴン推しなんで、なんとか説得したいと思っています。だから、よろしくお願いします!」
セ「なるほど。ぜひ、ご希望に添えるように頑張ります!」
 おっ、この人、いい感じです。
セ「他店ではどのくらいの数字を出していますか?」
X「日産ではプリウスの下取り額が50万円近く出ています」(実際には45万円ですが、四捨五入しました=笑)
セ「う~ん……50ですか……」
X「セレナは初回の交渉では支払い総額360万円でしたが、まだまだ上乗せしそうです。おそらく350万円にはなるとみています。でも、ステップワゴンが同じくらいになれば“セレナ推し”の奥さんをなんとか説得しますよ」
セ「わかりました。頑張ります!」
 査定から戻って、
セ「現段階で出せる支払い総額は362万円です。Xさんのご希望額350万円はかなり厳しいですね。私の勝手な判断ではなんとか355万円くらいにはできそうな気がしますが……いずれにしても、上司の決裁が必要です。いますぐXさんのご希望を上に伝えて決裁をお願いしてもいいんですが、Xさんも奥様と相談する時間が必要ですよね?」
X「そうですね。いったん帰って相談させてください。奥さんがステップワゴンに興味を持てば、午後にでも再訪問します。それまでにいい条件が出せるように頑張ってみてください。ところで納期はどれくらいですか?」
セ「そうですね、いまなら1か月半くらいで納車できますよ」
 あれ? ホンダA店では「2か月半かかる」と言われていました。どうやら、店によって納期に差があるようです。
 ともあれ、この営業さん、こちらの細かい質問に対しても回答が素早くて的確です。やっぱり営業マンはこうでなくちゃ。
 お店を出て、奥さんと待ち合わせ。お昼を食べながら家族会議。
 二人ともすでに気分はステップワゴン(笑)。しかも「ホンダB店が希望に近い数字を出してくれそうだ」と言うと、奥さんは「その営業さん、ノリがいいね。へたにじらすよりも一気に攻めたほうがいいんじゃないかな」とのこと。私もまったく同感です。

奥さんが強気でズバッ! 愛犬家ならではの秘策も!

 クルマ選びは急展開! これから商談しようと思っていた日産やトヨタ、それに経営の異なるホンダC店はすべてパスして、ホンダB店にズバリと勝負をかけることにしました。早速、電話して午後2時の訪問を予約しました。
 問題は決着の付け方です。ホンダB店の営業さんは「350万円はかなり厳しい」と言っていたけれど、ここで弱気になったらX氏の名がすたります(笑)。そこで、またまたX氏シリーズではおなじみのダメもと作戦をとることにしました。
 ペットシートサークル(2万4840円)を追加して、350万円を目指してみよう! 
 奥さんと一緒にホンダB店へ。
セ「奥様はセレナをお気に入りとのことですね」
奥「すみません、そうなんです。あっ、でも、HONDA DOGはよく見ていますよ。ステップワゴンもいい感じですよね」
セ「よろしくお願いします。あの後、上司と相談しましたが、ご希望の350万円はやはり厳しい金額です。そこで、ご提案なのですが、前回の見積もりに入っていた点検パックを2万4000円ほど安いライトプランに変えていただけませんか? 少しでも削って、ご希望の額に近づけたいんです」
X「う~ん……そうですね……」
奥「それだと点検時に出費が増えますよね。うちはけっこう遠出して距離を走るので、点検パックはやっぱり高くても通常プランがいいですね」(お~、奥さん、強気だ! ズバッと言うね)
セ「なるほど、わかりました。他に希望はありますか?」
X「ペットシートサークルを追加してもらえますか?」
セ「相談してみます。ところで、ワンちゃんの種類は何ですか?」
奥「パピヨンです」
X(携帯の画像を見せて)「こんな感じの犬です」
セ「可愛いですね! 私も実家で犬を飼っていたんですよ。では、しばらくお待ちください」
 愛犬家は犬の話をされると、とたんに気を緩めてしまいます(笑)。でも、ここは大事なところなので厳しくいかないと……。
なかなか戻ってきません。その間、こちらも作戦会議です。
奥「あの営業さん、ハキハキしていて話が進めやすいね」
X「きっとアフターサービスもテキパキやってくれるよ」
奥「でも、350は難しそうだね」
X「もしも、ダメならペットシートは取り下げよう。ネット通販で同じタイプのものが2万円で買えるからね」
奥「ポイントも付くしね」(笑)
 なんて話をしていたら、戻ってきました。
セ「お待たせしました。通常プランの点検パックとペットシートサークルを含めて355万円でお願いしたいということになりました。ご希望に添えなくてごめんなさい。いろいろ頑張ってみたのですが、これが限界です」
X「そうですか……だったら、ペットシートサークルはやめます。点検パックはこのまま通常プランにしておいてください。で、350万円って言いたいところですが、こちらも譲歩しましょう。352万円になりませんか?」
セ「ペットシートサークルを外して352ですか……う~ん……もう限界なんですが……相談してきます」
 再び奥へ引っ込みました。
奥「352万円って、微妙な数字だね。できるかな?」
X「営業さんの表情からすると、かなり厳しそうだね。そうそう、X氏の裏技として土壇場で諸費用をカットする落とし技ってのがあるんだけど……う~ん……すでに納車費用は削ってあるんで、あとは「車庫証明手続きはこっちでやります』って言って、費用(1万9440円)を落とすんだけど、無理な要求を出しているんで、さすがに言い出せないな」(泣)
奥「あの営業さん、うちの子を『可愛い!』って言ってくれたよ。もういいんじゃない」(笑)
X「うん、そうだね。よし、352万円がOKになったら、すんなりハンコを捺そう」
 営業さんが戻ってきました。
セ「Xさん、任意保険はどちらにご加入ですか? できれば現在の保険内容を見せていただき、当店から保険のご提案をさせていただきたいと思っています。保険に加入するかどうかは資料を見てから判断していただければけっこうです。要するに提案さえさせていただければ、352万円はOKということです」
X「任意保険加入は条件ではないんですね。だとしたらOKです。よろしくお願いします!」
 これにて決定です。
 最終的な条件は車両本体から22万3196円引き、付属品56万4246円から15万円引き(ナビクーポン分)で、合計37万3196円引き。そして下取り額はなんと58万1920円までアップしていました。
 ちなみに、任意保険については営業さんからの提案をじっくり吟味した結果、ホンダB店で加入することにしました。

From千葉県
HONDA ステップワゴン
スパーダハイブリッドG EXホンダセンシング
37.1万円引き

値引き採点 5
 さすが「X氏シリーズの大ファン」というだけあって“ならでは”の必殺技を惜しげもなく繰り出しています。計画にとらわれず、セールスマンの売り込み方に合わせて臨機応変に攻めた点も評価します。その変幻自在ぶりに思わず快哉を叫んだ読者も多いでしょう。
 作戦面では愛犬家の特徴を織り交ぜながら仕掛けた“夫婦仲違い攻撃”が大いに有効でした。
 また、セールスマンとの今後の付き合いを重んじた手加減の具合も絶妙です。これから商談をする人は今回のX氏の“上手な引き方”を参考にするといいでしょう。
 獲得した値引き条件は文句なしの特上クラスです。下取り車の高取り分と合わせて採点は最高点の5を付けました。


提供元:月刊自家用車


この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

この人の記事を読む

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ