【メルセデス・ベンツ Cクラス】W205を買うならどの年式とグレードがベストなの？

　コンパクトメルセデス「190E」の後継として、1993年にデビューしたセダンがCクラス（W202）。メルセデスと言えば、それまではビッグサイズのボディを持つ上級セダンが中心だった。しかし190Eやその後継のCクラスは、より大衆層へアピールしたモデルとして注目され、もっとも身近な存在のメルセデスとして人気を獲得したのだった。2000年には2代目（W203）、2007年には3代目（W204）が登場してモデルチェンジを重ね、2014年には最新世代の4代目（W205）がデビューしている。こちらは、先代（W204）で飛躍的に高まったスポーティな走行性能（メルセデスはアジリティと呼ぶ）をさらに進化させると同時に、当時のSクラスにも導入された安全運転支援「レーダーセーフティパッケージ」をはじめとする数多くの安全技術が盛り込まれたのがアピールポイントとなった。

　また、豊富なバリエーションもこの世代の特徴で、ガソリンエンジンはもちろん、ディーゼルやプラグインハイブリッドなどさまざまなパワートレーンを選択できるのも大きな魅力となっている。さらにボディタイプはセダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレの4タイプを用意するほか、より高性能なメルセデスAMGも当然ながら選べる。エクステリアは、Sクラスをそのまま小さくしたようなデザインも見どころで、小さいながらもより上級の佇まいを備えているのも、ファンの心を掴む重要なファクターとなった。そんな現行Cクラスだが、市場には膨大な中古車であふれている。中古車が買いやすいというのも、我々には嬉しいポイントと言えるだろう。

　2014年7月に導入された現行型Cクラスは、当初1.6L 4気筒ターボ（C180）と2.0L 4気筒ターボ（C200、C250）のエンジンラインアップでスタート。ちなみに新車時価格は419万円~644万円だった。2014年にはステーションワゴンが登場。さらに2015年9月には2.2L 4気筒ディーゼル（C220d）、同年12月にエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド（C350e）、2016年3月にはクーペ、同年6月にはカブリオレが追加され、バリエーションを次々と拡大していった。

　2017年2月には一部改良が行われてトランスミッションを7速から9速に変更すると同時に、四輪駆動のC200 4MATICを新設定。そして2018年7月、大幅改良により後期型に進化した。この改良における主題は、パワートレーンの刷新である。C200系のエンジンが1.5L 直4ターボに置き換えられ、これにスターターとジェネレーターを兼ねるモーター（メルセデスではBSGと呼ぶ）や48V電気システムを組み合わせ、高効率かつ高いパフォーマンスを獲得した。併せてディーゼルは新型Eクラスで導入されている最新世代の2.2Lに置きかわり、騒音や振動などを低減。もちろん、内外装や安全装備も最新バージョンへとアップデートされている。それを踏まえて、年式別の中古車平均価格を見ていこう。

　中古車市場において、もっともボリュームがあるゾーンは2017年式。この年式は、登録済未使用車が非常に豊富なのが特徴で、ほとんど使用されていなさそうな物件が大部分を占めている。平均価格は399万円となっているが、300万円台前半の予算でも十分探せるだろう。また、この年式だと新車保証、車検がともに残っているのもメリット。新車時価格は450万円からということを考えれば、価格に対する満足度は非常に大きい。一方、もっとリーズナブルに探すなら2014年式。こちらだと相場はグッと下がって平均価格は303万円。じっくり探せば200万円台半ばの物件もそれなりに流通しているから、車両価格だけに注目すればよりお買い得。しかし、保証など諸々の諸費用を込みで考えたら、2017年式がベストチョイスかもしれない。なおマイナーチェンジ後の物件は、現在はほとんど流通していない。新世代エンジンを搭載した後期型にこだわるなら、もうしばらく待ってみよう。

　次に、グレード別の中古車平均価格を見てみたい。

　上の表は、Cクラスの主軸であるセダンのデータ。この場合、中古車の大半はC200系となり、平均価格は377万円となっている。これに次いで数が多いC180系も買いやすいグレードだ。一方ディーゼルのC220d系は数が少なくて価格も高めなので、こちらはやや敷居が高い。ちなみにプラグインハイブリッドのC350eはほとんど流通していない。狙うべきはC180系かC200系のどちらかになるだろう。両者とも相場にそれほど大きな差はないので、C200系にターゲットを絞り込んでもいい。ちなみにC180系には素の「C180」がエントリーモデルとして設定されるが、C200系にはそれがなく、全車「アバンギャルド」と呼ばれるスポーティ仕様となるのが特徴。ゆとりある走り、17インチホイールなどで装うスポーティな「C200 アバンギャルド」を軸足に探すといいかもしれない。

　スポーティに進化した現行型Cクラスだが、メルセデスAMGが気になっている人もいるはず。現行型は、大きくわけて「C43 4MATIC」と「C63／C63 S」という2モデルが存在する。ちなみに前者は、デビュー当初は「C450 AMG 4MATIC」という名称だったが、わずか1年ほどで現在の車名に変更されたという経緯を持つ。3.0L V6ツインターボを搭載する「C43 4MATIC」は、快適性とパフォーマンスを両立した、いわば「中辛」のスポーツ性を持つモデル。それに対し4.0L V8ツインターボを搭載する最高峰「C63／C63 S」は、AMGがゼロから設計した超高性能エンジンを積む「激辛」モデルで、そのパフォーマンスはひとつ上の次元にあるもの。前者の平均価格は635万円、後者は793万円と200万円近い差があるが、後々まで高い価値を維持するのは、おそらく後者だろう。いずれにしても、標準のCクラスよりも高価でユーザーを選ぶモデルとなっているから、維持費、メンテ費などを下調べするのが大切だ。

　今年のマイナーチェンジでモデルライフの折り返しを過ぎたCクラスだが、古さをまったく感じさせず、万人に好まれるスタイルゆえ、今後も人気が続きそうだ。輸入車のなかでも指折りの物件数を誇ることから、中古車としての魅力が高く、高年式なのにリーズナブルな価格で買えるのもメリット。とくに2017年式の「C200 アバンギャルド」は、保証付かつ未使用な物件が300万円台前半の予算で入手できるのでオススメだ。また、「ローレウスエディション」などの特別仕様車も物件豊富でお得感があるので注目したい。