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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28
BMW MINIのディーゼルはデミオよりいいのか?
ついにミニにディーゼル登場

ミニクロスオーバーとミニペースマンに112psと143psの2Lディーゼルを設定! 143psと112psの2種類の2Lディーゼルターボエンジンが用意され、143ps仕様はミニクロスオーバーのクーパーSDに、112ps仕様は、同クーパーD、クーパーD ALL4、そしてミニペースマンのクーパーDに設定
【本記事は2014年11月にベストカーに掲載された記事となります。】日本は今、ディーゼルがちょっとしたブームとなっている。そのブームの一端をなすBMWでは、X5を皮切りに、3シリーズや5シリーズやX3などでディーゼル車を積極的に導入してきた。そして現状、ディーゼルの販売比率は、Xモデルでは7割以上、乗用車系でも約半分を占めるようになった。そうした状況を鑑みてか、ついにミニのディーゼルについても、クロスオーバーとペースマンのマイナーチェンジを機に日本に導入されるはこびとなった。基本的にBMW3シリーズのものと同じ2L直4ディーゼルは112psのクーパーDと、143ps仕様のクーパーSDと2種類のエンジンが用意される。車種体系および価格は、いずれもATのみの設定で、クーパーDクロスオーバーの2WDが341万円、AWDが362万円、ペースマンが2WDのみで341万円。クーパーSDのほうはペースマンの2WDのみ設定があり、387万円となる。
ボリューム感アップのフロント

タイヤサイズは標準が205/55R17。マイナーチェンで乗り心地が改善
マイナーチェンジで、外観も若干デザインに変更があった。フロントはよりボリューム感を強調したものとなり、LEDフロントフォグランプを新たに採用。「S」の付くモデルには、それを示すバッジが与えられた。さらに、アンダーガードふうのフィニッシャーが選べるようになったのも大きな変更点だ。
インパネにフィニッシャー装備

今回のマイナーチェンジによってセンターメーターの文字盤を黒系のアンスラサイト変更
内装では、センターメーターの文字盤を白から黒系に変更するとともに、インテリアサーフェスの範囲を拡大し、インパネにもフィニッシャーを装備した。
クーパーSDとクーパーDを比較

クーパーSDのスリーサイズは全長4105×全幅1790×全高1550mm。ホイールベースは2595mm
今回は、クーパーSD・2WDのクロスオーバーと、クーパーDのペースマンの2台に試乗した。クーパーSDとクーパーDとでは、ハードとしては同じところを制御して性能を差別化している。最高出力で31ps、最大トルクで3.6kgmの差があるわけだが、印象はけっこう違った。停止状態からアクセルを軽く踏んで動き始めるところからして、クーパーSDのほうがピックアップが鋭くて、力強さを感じさせる。そこから上の、1700~3500rpmあたりにかけての加速の力強さもまったく違う。いずれもオーバーシュートで4500rpmぐらいまで回るが、高回転域ではそれほど力感はない。BMW車に対してはATが8速から6速になったハンデはあるが、それほど大きなデメリットは感じない。ところで、クーパーSDに比べてクーパーDのほうが音や振動がかなり小さい。アイドリング音からして、車外で聞いているとクーパーDのほうが静かだ。厳密にいうと、搭載される車体が同一ではないわけだが、それが理由でここまで違うとは考えにくい、という印象だ。
燃費はデミオの圧勝

1.5Lディーゼルのデミオと徹底比較これをデミオのディーゼルと比べるとどうか? ミニに比べると排気量は約500ccも違うのだから、本来はアクセラなどの2.2Lと比べたほうがいいかもしれないが、これもまたクラスが違うので同時期に日本で発売されたディーゼルとして興味深いのであえて比べてみたい。いずれも可変ジオメトリーターボチャージャーを採用していることや、複雑な後処理システムを用いることなく、排ガス規制に適合させているなど、多くの共通点を持つ。JC08モード燃費は、デミオの26.4~30.0km/Lに対し、ミニは16.3~16.6km/Lとデミオの圧勝で、おそらく実燃費もデミオがだいぶ上回るはずだ。
静粛性はデミオ、走りはミニか

6ATと6MTでは105psの最高出力は同じものの、最大トルクとJC08モード燃費が大きく異なる。6MTが22.4kgm/1400~3200rpm、30.0km/L。6ATが25.5kgm/1500~2500rpm、26.4km/L。小排気量ディーゼルエンジンでは最も低い14.8という圧縮比、低速から高速まで充分な過給圧が得られる回転センサー付きの可変ジオメトリーターボチャージャーを採用
どちらが振動や音が小さいかというと、それはデミオで、あまりガソリンエンジンと大差ないほどスムーズだ。両車の大きな違いは、圧縮比がデミオは14.8、ミニは16.5という違いがあるのが効いていそうだ。小排気量とはいえ、踏み込んだ時にはディーゼルらしいトルクの盛り上がる感覚が味わえるし、ツインターボの2.2L版ほどの勢いはないにせよ、上までキレイに吹け上がる。半面、新しいことにチャレンジしたためかデミオのエンジンフィールにはまだやりきっていないところが見受けられるのは否めない。中間加速は力強いのだが、2000rpmあたりまでの低回転域で、いまひとつトルクが薄い。また、大量にEGRを導入しているせいだと思われるがアクセルワークに対して反応がついてこない時がある。このあたりは、ゆくゆくは改善されることだろうが、小排気量ディーゼルの難しいところ。デミオではMTとATが選べ、MTだとそれが顕著なところ、ATはトルコンが上手くそれをカバーしているという印象だ。
乗り心地はミニ

ミニのディーゼルはデミオよりいいのか?
乗り心地については、出た当初クロスオーバーは突っ張った印象が強く、そのあたり後発のペースマンではだいぶ改善されていたのだが、最新版に乗って両車ともより洗練(とくにクロスオーバー)されていることが確認できた。いずれも持ち前の俊敏なハンドリングが楽しい。いっぽうのデミオの操縦性はリニアで穏やかだが、ディーゼルではフロントヘビーを感じる。それを打ち消すためにサスペンションを固めてできるだけ動かなくしているようだが、その影響がリアに出ているようで荒れた路面を走るとガソリンにはないバタつきが少々見受けられる。
結果は互角?

2Lディーゼルターボで112psと非力に思うかもしれないが最大トルクは2.5Lガソリンエンジン並みの27.5kgmと走りは想像以上に力強い
そのほか価格はだいぶ違うことは承知のうえだが、インテリアの質感や車内の居住性を比べてみよう。ミニ勢は見てのとおり個性的で、プレミアムコンパクトと宣言しているクルマだけに、クォリティ感もまずまず。そこは外見と同様ミニの強みだ。ただし、使いやすさでいうと、最新のハッチバックのミニでは、だいぶ整理されて使いやすくなったが、クロスオーバーやペースマンは、まだ従来のままで、わかりづらい部分もある。いっぽうのデミオは、位置づけはベーシックなコンパクトカーながら、このクラスの日本車としてはかつてない雰囲気を持っている。白いレザー仕様はプレミアムコンパクトのようだ。居住性については、全幅と全高はミニ勢が若干大きいものの、印象はだいぶ違う。ミニ勢の2台に関しては、ペースマンも含め乗り込んでしまえばけっこう広い。トランクもミニ勢のほうが容量はだいぶ大きい。対するデミオは平均的な体格の成人男性が後席に座って頭上はギリギリで、ひざ前はこぶしひとつぶん。リアサイドウインドウが後方にいくにつれて切れ上がっているのであまり開放的ではない。というわけで、クルマとしてどうこうという部分では、もともとの成り立ちの話が出てくるわけだが、ディーゼルエンジンがどうだったかについては、両者とも一長一短ということにしたい。ドライバビリティ面ではミニに、フィーリング面ではデミオに分があり、そして燃費ではデミオに軍配といえる。