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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28
こんなFRを待っていた!BMW 2シリーズ。
ラインアップ

【本記事は2014年4月にベストカーに掲載された記事となります。】BMW1シリーズクーペの後継車、2シリーズクーペが発売となった。ラインアップは2L直4ターボの220iクーペが2グレード、さらに3L直6ターボを積んだM235iクーペが用意されているのがポイント。M235iクーペは、ハイパフォーマンスモデル「M」の開発を担うBMW M社が新設した「Mパフォーマンスオートモービルズ」シリーズの1台。Mモデルと標準モデルのMスポーツ仕様との中間に位置づけられ、Mモデルほどスポーツを前面に押し出すのではなく、俊敏で正確なハンドリング特性を備えていながら日常の使い勝手も両立させるというのがコンセプト。パワートレーンやシャシーのチューニングはBMW M社が行っている。
コンパクトなFR

2月26日発売、2シリーズクーペのポイント ■全長4470×全幅1775×全高1410mm(M235i)という先々代E46型M3(全長4490×全幅1780×全高1370mm、3.2L直6:343ps/37.2kgm)並みのコンパクトなサイズに184ps/27.5kgmの2L直4ターボと3L直6ターボのM235i(326ps/45.9kgm)を用意。価格はいずれも8速ATの220iクーペ・スポーツ=444万円、220iクーペMスポーツが468万円、M235iクーペ= 8速スポーツAT(598万円)、6速MT=584万円。M3やM4が1000万円オーバー、しかもサイズが肥大化した今、M235iクーペの存在価値は高い。
コンパクトなFR、しかも直6! とくれば即乗りたくなるというのがクルマ好きの性。ということでM235iを借りて試乗することにしたわけだが、日本を代表するメーカー直系のチューニングブランドのひとつ、STIと勝負させたほうがおもしろい! コンパクトなFRクーペのM235iとくれば、FRのBRZ tSしかなかろうということでガチンコ勝負となったわけだ。なにしろボディサイズは全長4470×全幅1775mmと、全長4260×全幅1775mmのBRZと極めて近く、先々代のE46型M3とほぼ同じ。このコンパクトなボディに、ターボなしなら4.5Lに匹敵する326ps/45.9kgmという3L直6ターボを積む。86&BRZのパワーに不満な人にはピッタリだったりして。
試乗

BMW M235iクーペ:エンジンやブレーキに冷却用空気を供給する大型エアインテークを備えた専用フロントエプロンやフェリックグレーのドアミラー、専用セットアップされたアダプティブMサスペンション(電子制御式ダンパー)やステアリングギアレシオを可変制御するバリアブルスポーツステアリング、対向ピストン・ブレーキキャリパーを備えたMスポーツブレーキなど専用装備が満載
前置きは後回しにして試乗といこう! BMWらしいシフトフィールを感じつつ1速に送り込みクラッチミートするや、ニンマリしちゃう! 車重1530kgは決して軽くないものの、エンジンが強力! 太いトルクを味わいつつ、早めのシフトアップで速度を乗せていく。文字どおり意のままの速度を手にできるのだった。ただし、レスポンスが俊敏な3.2L直6NA時代のM3あたりをイメージすると少しがっかりするかも。日本車の代表として用意したBRZ(STIのtS)は典型的なターボなしエンジンの味であります。2Lということで回転を上げないとトルクが薄い感じ。半面、ダイレクトなレスポンスを楽しめるし、ライトウェイトFR車の雰囲気も味わえる。特にSTIはドライブシャフトの剛性を上げているため、アクセル開けた時の“つき”のよさが印象的。
ハイパワーFRのお手本みたいな味付け

ハイパワーFRのお手本みたいな味付けハンドリングやいかに? BMWはド真ん中の直球を投げてきた。横滑り防止装置のほか、パワースライドも容認すべくトラクションコントロールのカットスイッチも付けてきた。それじゃ、試してみましょうということで、エスケープゾーンのないミニサーキットに持ち込み走ってみる。コース幅が狭いため、ラリーのSSの如し! 意のままに操れないクルマだと滑らせる気にもならない難コースです。お手並み拝見とばかりM235iで走ってみたところ「ありゃま!」。レスポンス悪いと思っていたエンジンながら、4000rpm以上回っていればアクセルワークに対し忠実にトルクを出す。なんのことはない。ドリフト用のクルマのようなエンジン特性なのだった。ということで頭のなかの制御回路をドリフト競技用に切り替えてみた。するとどうよ! 存分に楽しめます。狭いコースだって意のままに走れる。リア245/35R18という超ぶっといサイズのタイヤを軽々とパワーで持っていくのだからすばらしい! 「ハイパワーFRのお手本みたいな味付けですね!」と感心しきり!ちなみに184psの2Lターボを搭載する220iは205/55R16というエンジンパワーに見合ったサイズのタイヤを履いている。FRの楽しさの大半が「エンジンパワーとタイヤのバランスで決まる」と私は思っています。
シャープ&スポーティさに感心

フロント7.5J×18、リア8 ×18JのMライトアロイホイール。タイヤサイズはフロント225/40R18、リア245/35R18
STIに乗り替えてみるとそのシャープ&スポーティさに改めて感心。日本車とは思えないほど引き締まった上質な乗り心地を実現しつつ、狙ったラインをキッチリとトレースしていけるハンドリングに仕上げている。それじゃM235iのようにテール流してみましょうか、とコースイン。するとどうよ! 完璧にトルク不足。タイヤ性能がエンジンに勝ってしまっている。アクセル踏むだけだと100%トラクションになってしまうため、前輪荷重が減りプッシュアンダーに。それじゃ、とばかりキッカケ作ってテール流してアクセル踏むも、225/40R18という高性能タイヤがすぐグリップを回復。パワースライドに持ち込めない。テール流すなら、高い速度域でコーナーに飛び込むというFFや4WDと同じ方法を使わなければダメ。超安定志向です。もちろん標準のBRZとサーキットのラップタイムを比べたら圧倒的にSTIの勝ち。競技で乗るなら迷うことなくコチラを選ぶ。されどクルマを振り回して遊ぶのなら、このクルマに「コントロール性よくてグリップ低い」グラベル用のラリータイヤなんか履かせたら最高に楽しいと思う。しかも低い速度域でFR車の楽しさを存分に引き出せることだろう。これまた好みの差が出る。
M235iクーペとBRZ tS、いざ勝負!!

アルミニウムヘキサゴントリムとブルーのラインが特徴のコクピット。マルチファンクション付きのMスポーツレザーステアリングや8.8インチのワイドコントロールディスプレイ、HDDナビ、iDriveコントローラーを装備
M235iクーペとBRZ tS、いざ勝負!!さて買うならドチラを選ぶだろうか? 今回試乗したM235iは584万円。最高速度はは250km/hでリミッター作動。0~100km/hが5秒というから、スペック見たらピュアスポーツカーである。片やSTIのtSは『GTパッケージ』が429万4500円。欧州仕様の最高速度は230km/h、0~100km/hで7.6秒だ。選択基準は「楽しさ」だと考える。M235iはBRZと比べるとGTカー的。乗り心地だって良好です。それでいて本気になったら凄い! というか、サーキットに持ち込めばノーマル状態でドリフトを存分に楽しめるほどだ。つまり日常の使い勝手のよさと、スポーツ性を併せもった、いいとこどりのFRコンパクトクーペということ。STIのtSはM235iと好対照。タイトなドライビングシートに座った瞬間からスポーツモデル独特のワクワク感が味わえる。走り出してもシャープな印象はまったく変わらない。適度にスポーティなエンジンなので、日本の道路環境にはちょうどいい感じ。ワインディングロードを走ったって好印象が続く。国沢光宏ならドチラを選ぶだろう。これはもう1秒も迷わずBRZのラリー車を選ぶ(街乗り用ならロールバー不要)。パワーと足のバランスが絶妙なのだ。「今回の2モデルから選べ」と聞かれれば、大いに迷った末、BRZ tSにします。ただし、これはあくまでも国沢光宏の場合。世の中価値観が違う人多いですからね。全長4470×全幅1775mmという日本にしっくりくるサイズ感、日常での使い勝手、ハイパワーFRを振り回す走りの楽しさを同時に味わいたい人ならM235iがオススメ。M4やM3が1000万円オーバーでとても手が出ないと嘆いているBMWファンにもオススメでしょう。