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更新日:2018.11.29 / 掲載日:2017.11.29

三菱eKワゴン&日産デイズが3強退治に出陣!

お互いの強みを生かす歯車のようなものがNMKV

eKワゴン eKワゴンはすっきりとプレーンな印象。ハイウェイスターに相当するeKカスタムも展開される

eKワゴン eKワゴンはすっきりとプレーンな印象。ハイウェイスターに相当するeKカスタムも展開される

【本記事は2013年7月にベストカーに掲載された記事となります。】2年前に作られたNMKVはいったいどんな会社なのかよくわからなかった。日産三菱の合弁で立ち上げた軽自動車を企画、開発する会社という説明はOEMと何が違うのか? いまひとつピンと来なかったことも事実。しかし、三菱自動車の水島工場で質感の高い最新モデルとして日産のデイズと三菱のeKワゴンが同じラインから生まれてくるのを見て、なるほど、今後国内専売である軽自動車を製造し、競争力を持たせるためのビジネスモデルなのだとわかった。とにかく軽自動車のシェアは伸びているが、性能面でも価格面でも競争は激化している。2012年度末のシェアを見ると、日産自動車は7.7%、三菱自動車は3.7%にすぎない。これを両社合わせて20%にするのが目標だという。1台あたりのもうけが少ないという軽自動車にとって、1台あたりにかけられるコストはシェアに比例し、他のジャンルよりもコスト計算はシビアにならざるを得ない。その大きな制約のなか、日産は日産車らしいものを作りたい、三菱は商品力を向上させ、生産性も向上させたいという、それぞれの思いがあった。それを調整し、お互いの強みを生かす歯車のような役目をはたしたのが、NMKVである。まずは価格を見てほしい。ハイトワゴンのベンチマークであるワゴンRのCVTの最廉価モデルFXは110万9850円、同じくムーヴLのCVTは107万円に比べeKワゴンは105万円から、デイズは106万7850円からと安い。

両社の持つ技術力が相乗効果を生んだ

デイズハイウェイスター 太いメッキバーが特徴のデイズハイウェイスター。ターボはハイウェイスターにのみラインアップ

デイズハイウェイスター 太いメッキバーが特徴のデイズハイウェイスター。ターボはハイウェイスターにのみラインアップ

協業によってコストが下げられた証だ。三菱自動車は日産自動車追浜工場の高い生産性を参考にし、部品購入と物流費の削減も図ったことで、旧eKワゴンに比べて約30%のコスト削減が可能になったというから、そのぶん収益も上がる計算だ。さらに三菱の持つ空気抵抗の低減やアイドリングストップ技術に加え、日産のCVTの制御技術によってNAでクラストップのJC08モード燃費で29.2km/Lを達成している。両社の持つ技術力が相乗効果を生んだことは間違いない。次ページで具体的に見ていこう。

三菱×日産のコラボが生んだ予想以上のシナジー効果

大型のメッキグリルを採用するeKカスタム。126万9000円と価格も手頃だ

大型のメッキグリルを採用するeKカスタム。126万9000円と価格も手頃だ

三菱×日産のコラボが生んだ予想以上のシナジー効果Exteriorエクステリア新車販売台数における軽自動車のシェアは35%を超えるといわれ、年々増加中だ。その軽自動車のなかでも40%強を占めるのがハイトワゴン市場だ。ハイトワゴンのクルマの全高は1600mmプラスα、つまりターゲットである女性の身長とほぼ同じかやや大きいというもの。このサイズが安心感と日常的な使い勝手を生むのだという。デザインに関しては日産、三菱、NMKV3社で特に入念に討論してきたというだけあって、シンプルでありながらダイナミックだ。エクステリアデザインで特徴的なのはボディサイドに入った3本のキャラクターラインだ。グリルのバッジ付近からヘッドランプ、フロントフェンダーへと続くラインがワイド感を強調、堂々と見せている。いっぽう、リアはL字型のコンビネーションランプと起伏のあるボディパネルによって安定感を放っている。デイズ&eKワゴンがシンプルな黒基調のフロントグリルになり、デイズハイウェイスターとeKカスタムは押し出しの強い大型メッキグリルとなり、しっかり差別化されている。担当はデイズハイウェイスターとeKカスタムの面構えはなかなかかっこいいと思う。

Interiorインテリア

ピアノブラック調のセンタークラスターパネルとタッチパネル式のオートACを上級グレードに装備。メーターもハイウェイスターとeKカスタムはシルバーフレームが採用されタコメーターが付く

ピアノブラック調のセンタークラスターパネルとタッチパネル式のオートACを上級グレードに装備。メーターもハイウェイスターとeKカスタムはシルバーフレームが採用されタコメーターが付く

InteriorインテリアデイズとeKワゴンで最も目を引くのはインテリアのよさ。シンプルで落ち着きを感じさせる空間はクラス随一といっていいかもしれない。弧を描く水平基調のインパネ形状は広がり感と柔らかさを表現。エボニーとアイボリーのインテリアカラーも上品で高級感さえ感じさせるもの。最近流行のピアノブラック調のセンタークラスターパネルとスマートフォン感覚で扱える静電式のタッチスイッチを採用したオートエアコンは、インテリアのアクセントになっている。

170mmスライドできるシートは肉厚があって、クラス一番の質感を感じさせる。室内高は1280mmを確保している

170mmスライドできるシートは肉厚があって、クラス一番の質感を感じさせる。室内高は1280mmを確保している

さらに感心するのは肉厚があり、包まれ感のあるシートだ。運転席はしっかりフィットし、後席はゆったりくつろげる。しかも170mmスライドできるから荷物に合わせての荷室調整も可能だ。ルーフ上端までせり出したウィンドウのおかげで、広い視界を確保していることが、インテリアの印象をよくしている隠れたポイントになっている。ライバルと比べても開放的だ。グローブボックスやオープントレイ、ドアポケット、コンビニフックなどは定番の装備だが、どれもしっかりとデザインすることで、インテリアの一部として機能している。さらにメーターはハイコントラストメーターを採用。デイズとeKワゴンは白色照明で視認性を高め、デイズハイウェイスターとeKカスタムは立体的なシルバーフレームで質感を高めている。

Power trainパワートレーン

アイドリングストップ付きグレードでNAなら29.2km/Lとクラス1の低燃費だ

アイドリングストップ付きグレードでNAなら29.2km/Lとクラス1の低燃費だ

Power trainパワートレーンパワートレーンはプラットフォームとエンジンを一新したオールブランニューとなる。特筆したいのが、高張力鋼板をボディ全体の56%(旧eKワゴンが8%)に使用したこと。ボディが大きくなったにもかかわらず車重を同じ830kgに抑えられたのは高張力鋼板のおかげだ。エンジンはMIVECを使用した3気筒DOHC12バルブと同インタークーラーターボを装着した3B20。軽自動車初となる水冷クーラー付きEGRを搭載。EGRガスの効率的な冷却で高圧縮比12.0を実現。加えて国内初となる電子制御サーモスタットでエンジン冷却水の温度を最適制御。また副変速機付きのCVTは変速比幅の広いギアレンジを手に入れ、低アクセル開度での直結領域が拡大しているほか、トルクコンバーターにはロックアップ機構をもつ超扁平タイプを採用。日産がこれまで培ってきたCVTの制御技術が生かされている。燃費向上に大きな効果を発揮するアイドリングストップシステムは、FF、NAモデルが約13km/h以下でエンジンが停止。発進時はブレーキオフから0.4秒後にエンジン始動するシステムとなっている。こうしたいくつもの緻密な制御技術の積み重ねで、クラストップのJC08モード燃費29.2km/Lを実現するとともに、NA全車でエコカー減税の免税を獲得している。サスペンションは前ストラット、後3リンクコイルというオーソドックスな組み合わせだが、ストラットはクロスメンバーを新開発、コイルスプリングの上下に厚めのゴムパッドをレイアウトし乗り心地のよさと低振動化を図っている。電動パワーステアリングを全車に装備。駐車時の操作も取り回しやすい。

Equipment装備

フロントドアには女性にうれしい紫外線99%カットのUVカットガラスを装着

フロントドアには女性にうれしい紫外線99%カットのUVカットガラスを装着

Equipment装備 女性が欲する装備といえばやはり紫外線カットガラスだろう。デイズとeKワゴンは約99%(他車は約90%)の紫外線カット率を実現したフロントドアガラスを採用。

デイズにはアラウンドビューモニターを上級グレードに標準装備。eKワゴンはリアビューモニター付きルームミラーとなる

デイズにはアラウンドビューモニターを上級グレードに標準装備。eKワゴンはリアビューモニター付きルームミラーとなる

リアビューモニター付きルームミラーに加えて、デイズには軽自動車初のアラウンドビューモニターを採用。ノートと同様ルームミラー一体型のディスプレイのため、ナビなしでも映像を見ることができ、安心だ。ルームミラーは防眩機能がつき、夜間に絶大な効果を見せる。ワンタッチでフォールディングし、フラットな荷室になるリアシートやベビーカーを横にして載せられるように荷室の側面に凹みを持たせるなど工夫が見られる。またキーをカバンやポケットに入れておけば、ドアハンドルやテールゲートのリクエストスイッチを押すだけで解錠、施錠ができるキーレスオペレーション(リモートコントロールエントリー)は便利な装備。リバース連動のリアオートワイパー、イグニッションオフで運転席のドアを開けると自動消灯するヘッドライトオートカット、短時間のターンレバー操作でフラッシャーを3回点滅させるコンフォートフラッシャー、周囲の暗さでヘッドライトが自動で点灯と消灯するオートライトコントロール、坂道発進時に最大2秒間ブレーキをキープしてくれるヒルスタートアシストなど、毎日の安心と安全のために欲しい装備がしっかりと装着されている。デイズはX以上、eKワゴンはM以上のグレードでチルトステアリングが付き、小柄な女性も運転しやすい。

デイズ&eKワゴンライバルと比べた○と×

ワゴンRJC08モード燃費NA28.8km/L 

ワゴンRJC08モード燃費NA28.8km/L 

デイズ&eKワゴンライバルと比べた○と×■NAの燃費と動力性能デイズとeKワゴンはアイドリングストップの付くNAがJC08モード燃費で29.2km/Lとムーヴの29.0km/L、ワゴンRの28.8km/Lを凌いできたのは立派。しかし、アイドリングストップの付かないデイズのJとeKワゴンのEグレードは25.8km/Lと落ちるので、単純に価格が安いと飛びつくのは禁物。まだ試乗していないからなんともいえないが、NAエンジンは49psと最高出力がライバルよりも低く、最大トルクも5.7kgmと小さいのは気になるところ。高圧縮比12.0を実現した新開発エンジンと副変速機付きCVTによってスペック以上の走りができるというが、次号でお伝えする試乗のポイントとなる。■ターボの燃費と動力性能ターボのほうはというと最高出力は横並びの64psだが、最大トルクはライバルにない10.0kgmに到達していて、強烈な走りが楽しめそうだ。そのいっぽうでターボエンジン車にはアイドリングストップが付かず、23.4km/Lとライバルよりも劣ってしまい、エコカー減税も免税にならない。このあたりは時間がなかったのだろうか? 三菱ファンにはやはりターボだという人もいるだろうから、残念なポイントだ。■装備のよさと扱いやすさ前のページでも説明したが、99%紫外線をカットするスーパーUVカットガラスやアラウンドビューモニター、リアビューモニター付きミラーの標準装着、タッチパネル式のオートエアコンなど装備はムーヴやワゴンRと互角かそれ以上といえる。特に女性にとっては手に触れるところの質感が高く、食指が動くクルマかもしれない。NAモデルは間違いなくコストパフォーマンスもライバルに負けないものといえる。月販目標台数はデイズ8000台、eKワゴン5000台となっている。控えめな数字といえなくもないが、さあどれくらい売れるか? 発売1カ月の受注台数が楽しみだ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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