中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
LEXUS IS250C 優雅に、スポーティにオープンの悦びを

ボディカラーバリエーション:カトレアマイカメタリック
【本記事は2009年6月にベストカーに掲載された記事となります。】現段階において国産メーカーの4シーターオープンは残念ながら壊滅的といった状況。2シーターであればロードスターやコペンなど、存在感のあるモデルも見られるが、4シーターとなると、限定的に導入されたマイクラC+Cと、もとはソアラとして’01年から販売さ段階において国産メーカーの4シーターオープンれていたレクサスSCのみ。輸入車陣と比べると、正直サミシイといった印象は拭えない。そんな4シーターオープン市場に、ようやく一筋の光明となりうるモデルが登場した。5月7日に発表された「IS250C」がそれである。IS250Cは、その名のとおりレクサスISのコンバーチブルモデル。軽量な3分割構造の電動開閉式アルミ合金製ルーフを持っている。開発コンセプトは「妥協なき4人乗りコンバーチブルの創造」。2+2ではなく4シーターとして、基本パッケージやシートレイアウトはもちろん、ルーフ形状やフロントシートの薄型化など細部にわたって工夫を施し、大人4人がしっかりと乗れることにこだわった。
セダンとの共用部品

開放感はバツグン。メーターはオープン時の視認性に配慮し、ガラス透過率が30%から20%になったほか、光源の明るさアップ、見やすい針形状の採用などがなされた
IS250Cは写真を見てもらえればわかるように、もとの4ドアから2ドアヘと変更されている。それによって多くの部品がコンバーチブル専用として作られることになった。セダンとの共用部品は、ヘッドランプ、ボンネットフード、アウターミラー、ドアハンドル、インパネ、コンソール、インサイドハンドル、ステアリングくらい。それゆえかIS250Cのスタイリングは、オープン時はもちろん、ルーフを閉めた状態でもセダンとはまったく異なるまとまりを見せている。特に真横、リアからの眺めは、セダンにはない色気のようなものが漂っている。 開発時の想定シーンは、ちょっと懐に余裕のある家庭の奥様同士のお出かけ、ということだが、主査の米田啓一氏は、ぜひ子どもを乗せてほしいという。「ミニバンに乗せていて、子どもがクルマを好きになるはずがない。ぜひ子どもをこのクルマに乗せて、子どものキラキラする目を見てほしい」 と語った。なるほど、確かにこのクルマには子どもの憧れの対象となるようなスタイリッシュさがあるかもしれない。
見られる存在としての内装

リアフェンダーの切れ込みでオープンとわかってかっこいいじゃん
オープンカーとしての性格上、エクステリア同様に重要となってくるのがインテリア。オープンの場合、ルーフを開けた瞬間にインテリアはエクステリアとなるからだ。その意識ゆえかIS250Cの内装は、かなり遊び心というか、色気をともなった明るいイメージでまとめられている。その最たるものがシートだ。スタンダードグレードにはヌバック調ファブリックが、上級グレードのバージョンLにはセミアニリン本革シートが奢られているのだが、そのバージョンLのシートカラーリングには、次ページにあるようにメローホワイト&ブルー、メローホワイト&レッド、メローホワイト&シルバリーパールといった実に鮮やかな配色のものが用意されている。また、そこまで鮮やかなものはちょっと、という方には、ブラック、ホワイトのシートも選べる。ステッチの色をブルー、キャメル、レッドからオプションで選択できるので、そちらで遊んでもいいだろう。さらにバージョンLは本木目のオーナメントパネルが標準装備となっているが、そのパネルカラーもダークブラウン、ライトブラウン、グレーの3色から選択可能。これらを組み合わせれば、かなりオーナーの趣味を反映したインテリアとすることができるだろう。販売目標台数が100台/月という規模だからできることであろうが、ここまで徹底されると、充分ユーザーを惹きつける要素となりえるだろう。そのシートには、ユーティリティ面でもコンバーチブルならではの工夫がなされている。フロントシートショルダー部に設けられたウォークインスイッチがそれだ。2ドア化されたIS250Cでリアシートにアクセスするには、フロントシートを前倒しする必要があるのだが、このウォークインスイッチを押せば、シートのスライド/リクライニング/リフターが制御され、自動でフロントシートが乗り込みやすい位置まで移動してくれるのだ。後席への乗り込み終了後は、再びスイッチ操作により自動でシートはもとの位置まで戻る。レクサスらしいスマートな工夫といえるだろう。さらにリアシートのヘッドレストは、前席から手を伸ばして後席センターコンソール前端部のレバーを引き上げることで、乗員がいない時の後方視界を向上させることができる。レクサスの基本理念“おもてなし”は、IS250Cでも健在だ。
女性のためだけではない

肩部のバーについたスイッチが「ウォークインスイッチ」
前出の主査、米田啓一氏はこのIS250Cを女性のために作ったクルマだとはまったく思っていないと語った。事実このクルマは、そのスタイリッシュかつスポーティな印象から受けるイメージを損なわないだけの動力性能を与えられている。搭載されるエンジンはセダンのIS250と同じ、2.5LのV6。最高出力と最大トルクも同じく、215ps/26.5kgmだ。オープン化にともない、車重が170kg増加しているが、最大トルクの90%以上を2000rpmから6400rpmまでの広い範囲で発生させるトルク特性なので、カッタルさを感じることはないだろう。ボディ構造は、骨格を専用設計。さらに床下にはブレースが最適配置され、オープン時にも優れたボディ剛性が確保されている。さらにリアサスも変更。ルーフ収納スペース確保のため、取り付け高さが38.5mm低められ、アッパーマウント部の板厚アップや結合剛性を上げることで、上下剛性が60%ほど高められた。最終的にエンジンパワーを路面に伝えるタイヤだが、これはフロント=225/45R17、リア=245/45R17が標準装着。オプションで18インチタイヤも用意されるが、同じくオプションで標準装着と同サイズのランフラットタイヤも用意されている(空気圧警報装置は全車標準装備)。走行性能も、そしてタイヤに至るまでもが、高次元でユーザーの要求を満たすものになっている。
ユーティリティ&安全性

電動開閉式メタルトップを持つモデルで問題となるのが、ルーフオープン時の積載性。どうしても畳まれたルーフがラゲッジルームを占領してしまいがちだ。が、IS250Cはオープン時でも205L(ランフラットタイヤまたはパンク修理キット選択時には235L)という容量を確保し、9インチのゴルフバッグを1コ収容できる。リアオーバーハングの50mm延長が効いているのだろうが、兄貴ぶんにあたるレクサスSCは、オープン時には9インチゴルフバッグを搭載できない(8.5インチのものは搭載可)ことを考えれば、優秀と判断していいだろう。そのほかルーフのオープン/クローズに応じて空調コントロールを切り替えるオートエアコン、同じくイコライザーを自動チューニングするオーディオなど、乗員をもてなす工夫を挙げれば枚挙にいとまがない。また、前席にはSRSデュアルステージエアバッグ、SRSニーエアバッグのほか、胸部に加え頭部まで保護部位を拡大した新開発の頭部・胸部対応SRSサイドエアバッグを採用するなどパッシブセーフティ性能も高い。ユーロNCAPに則った車内評価では、最高評価の★5つも獲得している。ユーティリティ、安全性も死角なしと判断していいだろう。停滞する日本の4シーターオープン界にキラ星のごとく登場した、レクサスIS250C。来年春登場予定のムラーノコンバーチブルともども、今後の4シーターオープン界を牽引していってほしい。