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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2017.09.25
【ホンダ】クルマづくりに欠かせない金型技術の革命とは

goo-net編集チーム
ホンダの高いクオリティーを誇るクルマづくりは、
VTECエンジンに代表されるパワーユニットだけでありません。
クルマのポテンシャルをトータルに引き出すため、
シャシー技術や溶接技術をはじめ、さまざまな最先端の技術が惜しみなく投入されています。
なかでも無駄を省き、高い精度を要求される確かな金型技術は、必要不可欠な技術です。
クルマの骨格やアウターパネルを製造する金型の高度な技術は、
まさに職人のクラフトマンシップに託されています。
金型技術の開発の背景
ホンダの優れた金型技術は、
2017年2月に「平成28年度 省エネ大賞 審査員会特別賞」を受賞しています。
Honda鈴鹿製作所の、
「誘導加熱導入による鋳造金型コーティングプロセスの革新と省エネ」の技術が対象となりました。
鋳造工程で金型を加熱するときに、
従来の電気炉から、誘導加熱(IH)を使用した新技術を開発し、
シリンダーヘッドを製造する行程に導入されました。
原理は家庭用のIHクッキングヒーターで、
フライパンなど金属の対象部分に直接加熱する方法をヒントに開発され、
電力使用量60%、作業時間80%の低減に成功しました。
常に環境に配慮した生産性とエコロジー性能の向上を目指し、新たな技術が投入されています。
金型技術の特徴
ホンダ車のボディ精製に使われる金型は、ホンダエンジニアリングが担当しています。
ここに「可動式の金型」という業界の常識を覆したプレス工程を採用しています。
一つのプレスマシンに、2つの可動式の金型をセットし、
交互に打ち出して型抜き(ブランキング)をしていく方法です。
これによって、材料のロス(切れ端)が最小限で済み、
歩留まりの良い効率的なプレスが可能になりました。
量産体制の実用化に向けて約5,000台のアウターパネルを作る1万ショットの連続耐久性検証では、
プレス機が停止するなど、試行錯誤の上、確立したプレス方法です。
金型の軸を修正するなど幾度も改良を講じ、2015年11月から量産稼働がスタートしました。
2017年4月時点で金型の打ち出し回数が20万ショットになり、安定した生産を持続しています。
2種類の可動型金型を交互にプレスする「交互ブランク型」は、
Honda鈴鹿製作所などと共同で開発を進め、
2013年12月から約2年にわたって検証を経て実用化に成功した、
クルマの金型技術の将来を大きく左右する画期的なプレス加工技術です。
汎用性の高い技術として、今後の普及・発展の可能性も広がります。
「交互ブランク型」可動型プレス技術は、
ホンダが世界で初めて実用化に成功した画期的な金型技術で、
将来に向けたクルマの生産現場に一石を投じました。
徹底的にロスを省き歩留まりを上げ、作業の効率化を図ることで、
クルマの完成度やクオリティーも向上します。
自動車を製造する工程では避けて通れない、
製造エネルギーや資源のロスを大きく削減する金型プレス技術として、今後も進化が期待されます。