輸入車
更新日:2026.07.09 / 掲載日:2026.07.09

【ES90】【EX90】ここから始まる新世代ボルボ。搭載された新技術を紹介

文●内田俊一 写真●ユニット・コンパス

 ボルボ・カー・ジャパンは、BEVのフラッグシップクロスオーバー「ES90」と、7人乗りフラッグシップSUV「EX90」の販売を開始した。価格はES90が979万円から、EX90は1199万円からとなる。

BEVユーザーの要望に寄り添う選択肢

新型90シリーズが採用するSPA2プラットフォーム

 2026年上半期の日本市場において、ボルボの販売台数のうち23.5%をBEV(電気自動車)が占めており、ブランドにとって重要なラインナップとなっている。

 一方、昨今の市場動向を踏まえ、「すべてのお客様が今すぐEVに移行する必要があるとは考えていない。あるお客様にとっては電気自動車が最適な選択肢であり、プラグインハイブリッドが最適なお客様もいる。特に日本では、多くのお客様が高効率のマイルドハイブリッドを実用的な選択肢だと考えている。我々にとって大切なのは、お客様の使い方やニーズに合った選択肢を用意することだ」と語るのは、ボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長のエドソン・イシカワ氏だ。そのうえで、ES90とEX90は「EVを検討するお客様が重要視するポイントをしっかりと抑えている」という。

新型90シリーズについて紹介を行ったボルボ・カーズ セーフティセンター シニア・テクニカル・スペシャリスト ロッタ・ヤコブソン博士とボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長 エドソン・イシカワ氏
ボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長 エドソン・イシカワ氏

 まずは航続距離だ。ES90はWLTCモード値で720km(Ultra Twin Motor Performance)、EX90は665kmを達成。また、新しい「SPA2」プラットフォームを採用するとともに、次世代800Vアーキテクチャを用いた充電性能により、将来の高出力充電にも対応しているという。

 そしてもうひとつ、価格についても戦略的な取り組みがなされた。イシカワ氏によると、「プレミアムEVは同じクラスのプラグインハイブリッド車(PHEV)より高額だったが、この状況を変えたい」との想いから、ES90は979万円と、フラッグシップクロスオーバー「S90 PHEV」の1089万円に近い価格に設定。EX90も1199万円からと、「XC90 PHEV」の1294万円と同等の価格帯に揃えられた。

ボルボの真骨頂、さらに進化した安全装備

ボルボ・カーズ セーフティセンター シニア・テクニカル・スペシャリスト ロッタ・ヤコブソン博士

 ボルボといえば「セーフティ」だ。当然、両車にも最新の安全技術が搭載されており、ボルボ・カーズ セーフティセンターのシニア・テクニカル・スペシャリストであるロッタ・ヤコブソン博士は、具体的に2つのシステムを挙げる。

 「ES90とEX90には、これまで積み重ねてきた安全に関する知見をすべて結集した。その結果、この2台は市場で最も安全なクルマのひとつとなっている」としたうえで、特にこの2台は「ドライバーサポートにさらに重点を置いている」とコメントした。

ボルボ EX90

 まずひとつは、運転中のドライバーをより適切に支援する「ドライバーアンダースタンディングシステム」だ。ここではドライバーに関わる2つのシーンを想定している。ひとつは「睡眠不足やアルコールの影響でドライバーの運転能力が低下している場合や、突発的な体調不良が起きてすぐに運転に戻れないケース。システムがこれを検知すると警告を発し、必要に応じて車両を安全に停止させるなど、適切なリスク低減策を講じる」と述べる。

ボルボ EX90

 一方、すぐに運転に戻れる可能性がある場合(わき見などの前方不注意など)に発生した緊急時には、「先進運転支援システム(ADAS)と連携し、危険に対処してリスクを低減する」という。

ボルボ EX90

 もうひとつのシステムは「オキュパント・センシング(乗員検知システム)」で、降車時にドライバーが意図せず大切な人やペットを車内に置き去りにしてしまうことを防ぐための機能だ。

ボルボ EX90

 「最大限の検知範囲を確保するため、子どもの呼吸などサブミリ単位の動きも検知できるほど高感度なレーダーセンサーを車室内全体に配置した。ドライバーが車両をロックしようとした際、システムが反応すると、注意喚起のサインとしてロックは阻止され、画面は起動したままドアミラーも格納されない。さらに車両からははっきりと聞こえる警告音も発せられ、センターディスプレイにはロックが阻止された理由が表示される。ただし、ユーザーが意図してロックしたい場合には、ロック操作を有効にできる選択肢も備えている」と説明した。

ボルボ EX90

フラッグシップに相応しいデジタルと快適性

ボルボ ES90

 現代のクルマにはおよそ100個ものECU(電子制御ユニット)が配され、それぞれが役割を果たしているが、この2台は「Hugin Core(フギン・コア)コンピューター」と呼ばれる中央集中型コンピューターを搭載。これまで分散していた各種センサーや駆動系から得られるデータを集約し、情報を効率よく判断して車両に指示を出せるようになった。これにより、将来にわたってソフトウェアアップデート(OTA)で機能を改善していくことも可能になるという。ちなみに、このコンピューター自体は「NVIDIA DRIVE Orin」チップを採用しており、毎秒254兆回の演算能力を誇る。

 また、近年のボルボが推進するGoogleインフォテインメントシステムについては、年内にも「Google Gemini(ジェミニ)」が日本語対応で搭載される予定だ。

ボルボ ES90

 エンターテインメント空間も充実した。オーディオには従来通り「Bowers & Wilkins(B&W)」が採用されているが、今回は新たに「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」にフル対応。「音響を3次元で楽しめるうえ、アビー・ロード・スタジオという新しいモードもある。スタジオのミキサーになったように、曲に合わせて音場や音の広がりを好みに作り出すことができ、快適で安全なドライブに相応しい装備になった」と説明するのは、ボルボ・カー・ジャパン プロダクト・マネージャーの畑山真一郎氏だ。

 その快適性という点では、BEVならではの「音振(NVH)対策」に相当な手が入っている。「床下のバッテリーなどを活用しながら、まずは車体できちんと振動を減衰。それ以外にも、ピラーの中に発泡充填剤を注入して透過音を防ぐなど、徹底した音対策を施している」と述べた。

 さらにEX90では、マイクとスピーカーを使って乗員の声を補正し、1列目と3列目での会話をよりスムーズにするコミュニケーション支援機能も導入されている。

後席の快適性と走破性を備える「ES90」

ボルボ ES90

 ここからは、それぞれの車種の特徴について触れておこう。 ES90は、流麗なスタイリングでありながらリアゲートを持つ5ドアハッチバックスタイルを採用。

 最低地上高は最も低いグレードでも175mm(Ultra Twin Motor Performance)を確保しており、「並みのSUVを凌ぐような走破性を持っている」と畑山氏。

ボルボ ES90

 また、ホイールベースが3100mmと長いこともあり、「リアシートの膝元スペースはたっぷりと確保され、シートベンチレーション機能や電動バックレストサポートも搭載している。長い航続距離とともに、ロングドライブに極めて相応しいクルマだ」と紹介した。

ボルボ ES90

 グレード構成は、「Plus Single Motor Extended Range」と「Ultra Single Motor Extended Range」が後輪駆動のシングルモーター仕様で、最高出力333ps、最大トルク480Nmを発揮。トップグレードの「Ultra Twin Motor Performance」はツインモーターのAWD(四輪駆動)で、フロントモーターが299ps/390Nm、リアモーターが381ps/480Nmを発揮する。車両重量は2,350kg~2,560kgだ。

ボルボ ES90

3列目シートも実用的な空間を誇る「EX90」

ボルボ EX90

 EX90は、従来のフラッグシップSUV「XC90」の正常進化版BEVと位置付けられており、インテリアスペースもXC90と比較して拡大した。身長170cmクラスの大人であっても「3列目で快適に過ごせ、当然ながらボルボの厳しい安全基準をクリアした空間を確保している」と畑山氏は太鼓判を押す。

ボルボ EX90

 ラインアップはすべて前後にモーターを搭載するツインモーターAWDだ。「Plus Twin Motor」と「Ultra Twin Motor」のフロントモーターは177ps/265Nm、リアモーターは279ps/405Nmを発揮。加速性能等を重視した最上級グレード「Ultra Twin Motor Performance」は、フロント299ps/390Nm、リア381ps/480Nmという圧倒的な出力とトルクを備えている。ちなみに車両重量は2,680kg~2,710kgとなる。

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グーネットマガジン編集部

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