新型車比較・ライバル車対決
更新日:2026.05.17 / 掲載日:2026.05.17
《ベストバイを探せ!》ホンダSUV選び虎の巻
フラッグシップ「CR-V」の投入でフルラインナップ体制へ
新型CR-Vの導入により、合計4モデルのラインナップが完成したホンダSUV。各モデルとも個性は十分で、たんにボディパッケージのサイズ感だけで「選んでおけばいい」ということにはならない。ホンダらしい「走り」と「実用性」を兼ね揃えている4モデルの魅力をお教えしよう。
文:渡辺陽一郎
※本記事の内容は月刊自家用車2026年5月号制作時点(2026年4月中旬)のものです。
《ホンダSUV選び》ベストバイをズバリ!

ホンダの売れ筋ヴェゼルは下剋上も可能な実力モデル
今回、新型CR-Vがラインナップに入ったことで、日本では4つのSUVが選べることになった。全長を比べると、WR-Vは4325㎜、ヴェゼルは4340〜4385㎜、ZR-Vは4570㎜、CR-Vは4700㎜になる。
まずWR-Vとヴェゼルは、ほぼ同サイズのコンパクトSUVだ。パワーユニットは、WR-Vが直列4気筒1.5ℓNAのガソリンエンジンで、駆動方式は前輪駆動の2WDのみ。主要グレードはベーシックなX、上級シート表皮やアルミホイールを備えたZ、外装パーツの豊富なZ+を選ぶことができる。最も買い得なのはXで、価格は214万9400円になる。Xのホイールは16インチのスチール製で、シート表皮も地味なファブリックだが、16インチのタイヤはバランスが良く、乗り心地と座り心地はWR-Vで最も優れている。
ヴェゼルはWR-Vとほぼ同じサイズだが、内外装はWR-Vよりも上質。パワーユニットは1.5ℓエンジンをベースとしたハイブリッドのe:HEVが中心になっている。
WR-Vの燃料タンクは後席の下に配置されるが、ヴェゼルはフロントシートの下にタンクを配置するセンタータンクレイアウトを採用しており、リヤシートを格納するとWR-Vよりも大容量の荷室が広がる。リヤシートの座面を持ち上げると、背の高い荷物も積めるチップアップ機構も備えるなど、ユーティリティ機能はヴェゼルの方が優れている。
装備も充実しており、売れ筋のe:HEV Z(駆動方式の表記は2WD)の価格は326万8100円と、装備と価格のバランスの良さが際立つことも、ヴェゼルが好調なセールスを記録している理由だ。
ただ最も買い得感を感じるのは、スポーティ志向も売りにしているe:HEV RSだ。価格こそZよりも48万700円ほど高くなるが、RSには、Zでは37万4000円のオプションになるホンダコネクトディスプレイや、後退出庫サポートなどが標準装着される。
RS専用のスポーティな外観や、立体駐車場が使える高さの全高設定、機敏なサスチューンを考えると、車両の価格差から前述のオプション価格を引くと実質的には約10万円高に収まる。最も高価だが、RSの割安感は際立っている。
ZR-Vの走りはホンダSUVのトップ級
マイナーチェンジされたZR-Vは、全長がヴェゼルよりも230㎜ほど長く、全幅も50㎜ワイド。デビュー当時はCR-Vの後継に相当するモデルとされ、カテゴリーとしてもミドルSUVになる。
プラットフォームはシビックと共通で、インパネまわりの配置や造形も似ている。マイナー以前は直列4気筒1.5ℓターボも設定されていたが、マイナーモデルでは廃止され、2ℓエンジンのe:HEVのみに変更されている。
ZR-Vの動力性能は、1.5ℓエンジンを使うヴェゼルのe:HEVを上まわり、駆動用モーターの最高出力や最大トルクは1.2〜1.4倍に増強される。サスペンションも、ヴェゼルとWR-Vは、フロントがストラットでリヤは車軸式(トーションビーム)だが、ZR-Vはフロントがストラット、リヤはマルチリンクの4輪独立式の奢ったアシとなる。
主要グレードはe:HEV Xと上級のe:HEV Z。前者の価格は370万7000円と、ヴェゼルのe:HEV RSよりも約4万円安くなるが、ハイビーム時に対向車などの眩惑を抑えるアダプティブドライビングビームなどをオプションでも装着できない。
買い得グレードは、装備を充実させたe:HEV Zだ。ホンダコネクトディスプレイやBOSEプレミアムサウンドシステム、本革シートなどが標準装備されて、2WDの価格は430万7600円になる。
ZR-Vと比較されるCR-Vは、ZR-Vよりも全長と全幅は大きくなるが、パワーユニットは2ℓのe:HEV。ローギヤ機構を組み込んだ最新型になるとはいえ、動力性能はZR-Vに近い。
グレードはRSとRSブラックエディションのみで、ホンダコネクトディスプレイや本革シートが標準装着される。上級のe:HEV RSブラックエディションには、前席シートベンチレーションや安全装備のホンダセンシング360も装着される。買い得感が高いのは、RSの方で2WDの価格は512万2700円だ。
このようにホンダSUVの4モデルは、おのおの買い得&主力グレードの内容を比べると、上下のヒエラルキーをしっかりと付けられていることが分かる。
幅広いニーズに応えられるラインナップを実現
想定されるターゲット層としては、WR-Vは、コンパクトなボディで広い室内が欲しい実用指向を重視するユーザーに推せるモデルだ。ヴェゼルは、コンパクトなサイズと広い室内を両立させ、さらにe:HEVと上質な内装も欲しいファミリーユーザーに最適。ZR-Vは、動力性能の高い2ℓエンジンのe:HEVと4輪独立式サスペンションにより、走行安定性と乗り心地にこだわるドライバーに向いている。そしてCR-Vは、軽快感の代わりに重厚感を強めたモデルであり、ロングドライブなどでより快適に走りたいという向きにオススメできる。
また選ぶ時は、4モデルのボディサイズが異なる割に、車内の広さはあまり変わらないことに注意したい。身長170㎝の大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、4モデルともすべて握りコブシ2つ半の余裕がある。WR-Vとヴェゼルは、後席を広げたために運転席が少し前寄りで、ペダル配置も中央に寄り気味になるが、ここに大きな不満を感じるユーザーは少ないだろう。
4モデルの中で、万人にオススメできるキャラを持つのはヴェゼルだ。運転しやすい手ごろなサイズのボディに、ZR-VやCR-Vに近い居住性と質感を備えるから、走行性能の差を許容できるユーザーならば、最も買い得感を感じるだろう。実際、2025年のヴェゼルの売れ行きは、ホンダの小型/普通車ではフリードに次ぐ2位という実績を残している。数字的にはフィットよりも多く、ホンダのSUVでは圧倒的なセールスだ。
ホンダは、これまでモデルの廃止やパワーユニットの絞り込みで失敗している。ヴェゼルはホンダの最多販売SUVだが、現行型はマイナー時にガソリン車のラインナップを縮小したことで売れ行きが落ち込み、その結果、ガソリン車専用のWR-Vを追加した。
ZR-Vも、先代CR-V(5代目)の代わりに導入された経緯を持つが、ボディが小ぶりになった印象が持たれ、さらにモデル名の認知度も低いから低迷した。今回登場した新型CR-V(6代目)が復活となったのも、ZR-Vではカバーできないユーザー層がいるからだろう。
一般論でいえば、モデルを廃止すると、ユーザーは裏切られた気分になり、当然ホンダから離れるユーザーが一定数は出てしまう。これはメーカーにとってもユーザーにとっても悲しいこと。そうならないためにも、CR-Vが復活したことで、充実したSUVラインナップを長く続けて欲しい。
HONDA 新型CR-V
●価格:512万2700円〜577万9400円

●主要諸元(e:HEV RS 4WD)
全長×全幅×全高:4700×1865×1690㎜/ホイールベース:
2700㎜/最低地上高:210㎜/車両重量:1800㎏
パワートレーン:1993㏄直列4気筒DOHC+モーター(e-HEV)
エンジン最高出力:148PS/6100rpm
エンジン最大トルク:18.7㎏-m/4500rpm
モーター最大出力:135kW/モーター最大トルク:335Nm
WLTCモード総合燃費:25.4㎞/ℓ
サスペンション(前/後):マクファーソン式/マルチリンク式
タイヤサイズ:235/55R19
HONDA ZR-V
●価格:370万7000円〜472万7800円

●主要諸元(e:HEV Z クロスツーリング 2WD)
全長×全幅×全高:4570×1840×1620㎜
ホイールベース:2655㎜
最低地上高:190㎜
車両重量:1580㎏
パワートレーン:1993㏄直列4気筒DOHC+モーター(e-HEV)
エンジン最高出力:141PS/6000rpm
エンジン最大トルク:18.6㎏-m/4500rpm
モーター最大出力:135kW
モーター最大トルク:315Nm
WLTCモード総合燃費:22.0㎞/ℓ
サスペンション(前/後):マクファーソン式/マルチリンク式
タイヤサイズ:225/55R18
シビック直系のハンドリングで走る楽しみを追求
2013年に発売された初代(先代)ヴェゼルが人気を高め、ホンダは日本国内ではCR-V(4代目)を廃止した歴史がある。その後、SUV市場が予想以上に拡大したことで、ヴェゼルだけでは不十分と考えた。そこで2018年にCR-V(5代目)を復活させたのだが、内装の質感やサイズ的な問題もあって、期待したほどの結果は残せなかった。
そこでZR-Vを導入した。ZR-Vはフロントマスクが個性的で、車内の広さはヴェゼルに近い。販売は期待したほどの結果は残していないが、走行性能は4輪の接地性が高く、乗り心地も上質と、ホンダのSUVでは最も優れている。SUVだから高重心で、峠道ではボディが大きめに傾くが、挙動の変化は穏やか。操る実感と楽しさは、低重心のセダンやクーペよりもむしろ強いくらい。シビックに限りなく近いスポーティなSUVだ。






HONDA ヴェゼル
●価格:275万8800円〜396万8800円

●主要諸元(e:HEV RS 2WD)
全長×全幅×全高:4385×1790×1545㎜
ホイールベース:2610㎜
最低地上高:180㎜
車両重量:1380㎏
パワートレーン:1496㏄直列4気筒DOHC+モーター(e:HEV)
エンジン最高出力:106PS/6000-6400rpm
エンジン最大トルク:13.0㎏-m/4500-5000rpm
モーター最大出力:96kW
モーター最大トルク:253Nm
WLTCモード総合燃費:25.4㎞/ℓ
サスペンション(前/後):マクファーソン式/車軸式
タイヤサイズ:225/50R18
誰にでも扱いやすい不動のSUVエース
2025年のホンダ車国内販売ランキングは、1位がN-BOX、2位はフリード、3位がヴェゼルだった。ヴェゼルが好調な理由は、魅力的なポイントが多いからだ。
デザインではフロントマスクに適度な存在感があり、ボディの側面は水平基調だから視界も良い。インパネの周辺は、表皮や装飾が上質だ。後席も広く、ZR-VのようなミドルサイズSUVに相当する居住性も備わる。さらに燃料タンクを前席の下に搭載したから、後席を格納すると、ボックス状の広い荷室になる。SUVに必要な趣味性や上質感と、リヤシートや荷室の実用性を上手に両立させている。
主力のe:HEVは加速が滑らかでノイズも小さく、運転感覚はスポーティではないが、乗り心地は適度に柔軟。運転がしやすいキャラが与えられていることも、人気を集まっている理由だ。







HONDA WR-V
●価格:214万9400円〜258万600円

●主要諸元(X)
全長×全幅×全高:4325×1790×1650㎜
ホイールベース:2650㎜
最低地上高:195㎜
車両重量:1210㎏
パワートレーン:1496㏄直列4気筒DOHC
エンジン最高出力:118PS/6600rpm
エンジン最大トルク:14.5㎏-m/4300rpm
WLTCモード総合燃費:16.4㎞/ℓ
サスペンション(前/後):マクファーソン式/車軸式
タイヤサイズ:215/60R16
格上モデルに劣らぬ広々キャビンは大きな魅力
全長が4500㎜以下のコンパクトSUVで、プラットフォームはヴェゼルと共通だが、ホイールベースはWR-Vの方が40㎜長い2650㎜になっている。
パーキングブレーキがレバー式になるなどに、設計年次の古さを感じてしまう部分もあるが、前後方向の足元空間は、ZR-VやCR-V並みに広いことは大きな美点。腰の収まり感に優れたリヤシートや、広めの開口部により、後席の居心地や乗降性にも優れている。特に最も安いXに採用されたファブリックは、シート生地が柔軟で快適性にも優れている。
燃料タンクは、ヴェゼルは前席の下に配置したが、WR-Vは一般的な後席の下側に配置。シートアレンジはシンプルだ。
インドから輸入されるモデルになるため、受発注をスムーズに行うため、生産ラインで装着するメーカーオプションは用意されない。ただその代わり価格は安く設定されている。






