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更新日:2026.03.10 / 掲載日:2026.03.10
オールシーズンタイヤは主流になりうるか【ミシュラン クロスクライメイト3】

文●九島辰也 写真●ミシュラン、ユニット・コンパス
タイヤを取り巻く環境は日々変化している。SUVが台頭する現代、クルマは時代とともに重くなり、電気自動車という新たなパワーソースの追加で走りが変わってきた。初速から大トルクを発生する駆動力にタイヤは耐えなくてはならない。自然界では予測し難い天候の変化がある。ゲリラ豪雨というワードも聞き慣れてきた。そして地球温暖化への配慮。各タイヤメーカーは持続可能な原料の調達や廃タイヤの再利用技術に力を注いでいる。
北海道の雪でオールシーズンタイヤをテスト

今回タイヤテストを行ったミシュランはそのトップランナーに位置する。タイヤの環境負荷を軽減するためサスティナブルなタイヤの設計・開発に努めている。消費して購入してもらうのが前提のタイヤ産業において、消費期限を伸ばそうと努力しているのだからすごい。知れば知るほどミシュランの企業姿勢には感心する。

そんな背景もあって進化したタイヤをテストした。ミシュラン「クロスクライメイト3」と「クロスクライメイト3スポーツ」だ。それらを雪上と氷上で走らせ、ハンドリングによるコントロール性と制動力を体験した。場所は北海道士別町にある自社のテストコースである。
クロスクライメイトシリーズは、いわゆるオールシーズンタイヤである。夏タイヤとしての性能をデフォルトとするが、突然の雪などにも対応できるといった代物となる。もう10年くらい前になるが、日本導入時からテストしている。

そして昨今、その需要が高まってきた。日本で言えば太平洋側など一年のうちに数回しか雪の降らないエリアではスタッドレスは必要ないという機運が高まっているからだ。というか、無駄にタイヤを増やすのはユーザーに苦労を強いるとともに環境への配慮にも欠ける。そうであれば、必要とする人や地域に住んでいる方には夏タイヤとスタッドレスタイヤ、そうでない人にはオールシーズンタイヤをおすすめするといった方針で良いのではという考えである。
新型「クロスクライメイト3」と「クロスクライメイト3スポーツ」に関してのテストドライブはこれが二度目で、昨年は栃木のGKNテストコースの舗装路で試している。転がり抵抗が少なく、スーッと滑らかに走るといったのがその時の印象だ。
スタッドレスタイヤとの比較でも実力の高さが理解できた

今回のテストでは、「雪も走れる夏タイヤ」の「雪」の部分を走らせた。ただ勘違いしては困るのであらかじめ言っておくと、このタイヤは圧雪路とシャーベット状の路面を走行可能とするが、凍結路はNGとしている。つまり、そこはスタッドレスタイヤの出番。クロスクライメイトシリーズはあくまでも夏タイヤベースであるということだ。
それを踏まえさまざまなコースでの走りを試してみた。スラローム、レーンチェンジ、雪上での制動や氷上での制動、それと登坂路でのハンドリング、定常旋回などである。それを従来型の「クロスクライメイト2」や「X-ICEスノー(スタッドレスタイヤ)」と比較した。車両はカローラツーリングやゴルフなどのFWD車である。

結論から言って、「クロスクライメイト3」と「クロスクライメイト3スポーツ」は総体的に従来型を上まわる。当然と言えばそうだが、明らかな違いだ。特にスラロームなどのハンドリングで性能を発揮する。操作性が高まり精度がアップするのだ。切り返し時のしっかり感が違う。トレッドパターンが余分な水分を排出し、グリップ力を発揮する。スタッドレスタイヤほどではないとしても、この安心感はすごい。
制動力も同じ。雪上では明らかに距離を短くする。と当時に氷上もけっして悪くはなかった。ミシュランは凍結路での使用を推奨していないが、低速域であれば不得意とは思えない走りをする。もちろん、氷の状態にもよるだろうが、水分が多ければコントロールは効きそうだ。排水性の良さが高いウェット性能を生むのと同じように、氷上でも水分の多いところではVシェイプトレッドパターンのセンターグルーブが機能を発揮する。
ちなみに、「クロスクライメイト3」と「クロスクライメイト3スポーツ」の違いは適応車種によるもので、それに見合ったサイズ展開と思えば良いだろう。SUVユーザーであれば「クロスクライメイト3」からのチョイスがわかりやすい。
クロスクライメイトはミシュランの主力商品になるだろう

というのが昨年から続く「クロスクライメイト3」と「クロスクライメイト3スポーツ」の体験テストドライブだが、今後このシリーズがミシュランの中心になってくると思われる。オールシーズンタイヤが再び脚光を浴び始めた今、注目のタイヤであることは間違いない。
