車の最新技術
更新日:2026.03.10 / 掲載日:2026.03.10
ダイハツ、トヨタ、スズキが共同開発! 商用EVバンの実力を徹底解剖

クルマに関する気になる話題を掘り下げたり、ニューモデルの試乗記事を紹介するコーナー。最新トレンドをわかりやすく、詳しく解説します。
メーカーを超えた枠組みで脱炭素の達成を目指す
電動化において国産メーカーはライバルであり仲間でもある。というのは、電動化が自動車メーカーにとって一社だけで取り組むにはあまりにコストが重たいからだ。
とりわけ商用車はそう。そこで、トヨタ、いすゞ、日野、スズキ、ダイハツが合同で出資し「CJPT株式会社」を2021年に設立した。商用車領域における電動化に向けて、コスト負担の大きな部分を共同開発しようというアイデアだ。2023年に広島で開催されたG7サミットにて披露された軽商用EVバンプロジェクトもそのひとつだった。
あれから3年弱、いよいよ成果として市販モデルが発売となった。2月2日にダイハツから「e-ハイゼット カーゴ」と「e-アトレー」が、トヨタから「ピクシス バン」のBEVモデルが発売されたのだ。
開発を担当したダイハツによれば、既存のエンジン車の構造を流用しながらも、部品配置の見直しやサスペンションの新設計により、エンジン車と同等となるクラストップの室内スペースと積載量を実現。航続距離は257kmで、これはユーザーの使用環境の9割をカバーする数値だ。
電気自動車ならではのメリットもある。スムーズな加速と乗り心地のよさはエンジン車よりも上。さらに圧倒的なのが静粛性で、市街地などでは歓迎されるに違いない。また、運転者の負担が減るため、安全にも寄与できるとダイハツは考えている。
生産はダイハツ九州の大分第1工場で、販売目標は月間300台。本来であれば、コスト的に生産を維持するのが難しい台数だ。ダイハツではこの問題をクリアするために、車体部分はガソリン車とラインを共通化しながら、バッテリーなど特有の部品を組み付ける作業のみ特装車(トラックや福祉車両など)のラインを活用する工夫を行っている。
電気自動車はまだまだたくさん売れるクルマではない。だからこそ設備への投資コストを最小化することが、プロジェクト実現の鍵だった。
「e-ハイゼット カーゴ」の価格は314万6000円で、補助金を活用すれば実質250万円半ばで購入可能だ。ガソリン車との価格差は100万円近くあるが、現実的な価格である。モーターの緻密なトルク制御で後輪を駆動するため、多積載時や坂道でも安心感が期待できる。
未来と現実を見据えた商品だ。
[CLOSE-UP]エンジン車同等の荷室、機能はそれ以上
電気自動車専用部品を最小限に抑えた開発

CJPTによる今回の軽商用電気自動車プロジェクトでは、ダイハツ、スズキ、トヨタが参画。3社により軽商用車にふさわしいEVについて話し合いが行われた。車両の開発・生産を担当したのはダイハツ。トヨタがバッテリーやモーターなどの電動化技術を提供している。航続距離は257km(WLTCモード)で、AC100Vの外部給電機能やV2Hにも活用できる急速充電機能を全車に標準装備する。販売目標は月間300台。




真のライバルは国外「オール日本」で戦う
トヨタが目指した「仲間づくり」は、協力関係と競争領域とを明確化することで、多数の自動車メーカーが参加しやすい環境を実現した。電動化、知能化といった多額の投資を必要とする領域において、日本の自動車会社が生き残るためにも重要な活動だ。
文●文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグー本誌2026年3月発売号「噂のクルマNEWS ニュースキャッチアップ/【使われてこそ技術は世の役に立つ】ダイハツ、トヨタ、スズキが共同開発した、商用EVバンが発売開始」記事の内容です)